笛吹く夜間
僕が笛を吹くまで、君は僕の側を離れない。
真夜中の瞳のまま、君は待っている。
はやく笛を吹かないかと。
はやく笛を吹かないかと。
何も考えていないのか。
考えすぎてぐちゃぐちゃになっているのか。
表情は変わらないまま、君は待っている。
はやく笛を吹かないかと。
はやく笛を吹かないかと。
もう太陽が家を出る頃だろう。
だというのに君は今日も起きている。
僕を火の上に置いて、君は待っている。
はやく笛を吹かないかと。
はやく笛を吹かないかと。
いい加減グラグラしてきて、
もう寝なさいと言いたくなって、
いざ叱ろう
と、
息が溢れたので笛を吹く。
まったく、いつもこうだ。
吐き出した蒸気が視界を白く塗り潰す。
君の顔は明るくなっただろうか。
わからないまま持ち上げられて、中身をごぽごぽとカップに吐き出す。
吐き出したものはカップの中で黒く変わり、君はそれを慎重に口へと運ぶ。
君は決して幸せそうな顔をしていない。
この習慣は、君の体には毒だろう。
それでも君はやめない。
紛い物の癒しでも、君には貴重なのだろう。
やや冷めた感情が僕を包み始めた。
そろそろ頃合いだ。
僕は黙って眠りにつく。
願わくば、また夜に目覚めぬことを祈って。
寝不足な君とお供のやかんのお話。
睡眠はとても大事です。
お読み下さりありがとうございました。