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未練ばかり  作者: ひとふた
2/5

捨ててくれるな

重い、重い、重い。

腕が千切れそうだ。

腹がはち切れそうだ。

身体中がギシギシと軋んでは痛む。

まったく、泣き叫びたい気分だ。

だがお前は歩くのをやめない。


暑い、暑い、暑い。

日差しで焦げそうだ。

お前の汗で濡れそうだ。

身体の中で水筒がカランコロンと音を立てる。

音は涼しげなクセに、やたらと重い。

相変わらず、お前は俺を気にも留めずに、ひたすら歩き続ける。


お前はいつになっても、俺の言うことをきかない。


いい加減にしてくれ。

もう引退してもいいだろう。

もう直さなくていいだろう。

これじゃまるでフランケンシュタインの怪物じゃないか。

なんて醜い見た目だ。

チグハグなツギハギで延命されても苦しいだけなんだ。どんなに傷を塞ごうとしても、俺は壊れていくしかないんだ。俺自身が消え去って、俺の代わりばかりが増えていく。

お願いだ、乗っ取られる前にはやく捨ててくれ。


俺がいくら叫んでも、お前の耳には届かない。

お前の声は聞こえるのに。


いったいあと何歩歩くつもりなのか。

どこまで逃げるつもりなのか。

俺だってお前の心までは読めない。



もっとカッコいい、新しいやつを見つけてくればいい。

そしたらお前も、バカになんかされないのに。


まったく、お前は俺の言うことをきかない。


俺は楽になりたいんだ。

リュックサックなんだから、そりゃ丈夫にできているさ。

だがそれにも限度ってもんがある。


身体が引きちぎれるよりも苦しくてしょうがない日々が、俺にはもう、辛くて耐えられないんだ。


だから、

はやく俺を捨ててくれ。

捨てられないお前と捨てられたい俺の話

思い出に支えられる日々、思い出に縋る日々、それは悪いことでしょうか

大切だった物と別れるって辛いですよね


お読みいただきありがとうございました

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