29:流れ星
ファルコンZ 29
『流れ星』
第3惑星にみとれて、気づくとコクピットのみんなが静止していた。
バルスは、反重力エンジンのモニターを見つめたまま。
コスモスは、第3惑星をアナライズしようと、アナライザーを起動させようとしたまま。
ポチは、第3惑星の姿を見ようとして、背が足りない分、ジャンプしたまま。
船長は、驚愕の眼差しで第3惑星を見つめたまま。
ミナホは……立ったまま。だけど、呼吸はしていた。ガイノイドの擬似呼吸ではない自然な呼吸に見えた。
「ミナホ、あなた意識があるの……?」
数秒遅れて、ミナホは小さく頷いた。
「でも、体が動かない……こんなの初めて」
「他のみんなは、人形みたいにフリーズしている。まともに動けるのは、あたしだけ……?」
「そうみたい。わたしは……」
「動き出した、どこへ行くの?」
「分からない。自分の意志じゃないわ……」
ミナホは、中央のエレベーターに向かった。
「ミナホ……!」
「ミナコ、あなたも付いてきて……」
「待って、行っちゃだめよ!」
ミナコは、ミナホの腕を掴もうとしたが、逆に腕を掴まれてしまった。
「ミナホ、どこに行くつもり!?」
「分からない……貨物室のよう……」
ミナホは、第一層の貨物室のボタンを押した。
「ミナホ、いったい……」
ミナホは、なにか言おうと唇を動かすが、もう声にはなっていなかった。
貨物室につくと、驚いた。ハッチが開いている。開いたハッチからは第3惑星が大きく、いっぱいに見えた。船は、惑星の周回軌道を回っているようだった。
「うそ……成層圏なのに空気が漏れない」
その信じられない状況に驚いている暇は無かった。ミナホがミナコの腕を掴んだまま、ハッチから船外に身を躍らせた。
キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー死んじゃうよーーーーーーーーー!
二人は手を繋いだムササビのように、成層圏を滑空し、やがて大気圏に突入。当たり前だが、空気との摩擦で熱くなりはじめた。
「あ、熱い……!」
二人は隕石のように燃えながら、地上に落下していき、地上5000メートルあたりで燃え尽きて消えてしまった。
あたし流れ星になったんだ……それがミナコの最後の意識だった。




