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ファルコンZ  作者: 大橋むつお
16/29

16:SJK47

ファルコンZ・16 

『SJK47』        



☆……三丁目の星・4



 警察だ、電波法並びに放送事業法違反で、家宅捜査する!


 銭形警部のような、トレンチコートの刑事が宣告した。同時に、何十人という鑑識……それにCIA(アメリカの秘密情報部)も混じっていた。

 電話、ラジオ、テレビと、そのアンテナ。電波の受信発信に関する物は全て押収され、事務所は水洗トイレのタンクの中まで調べられた。


――マークプロ、ソ連のスパイか!――


 夕刊のトップ記事に、デカデカと出た。


――マークプロからは、何も出ず。警察の勇み足!?――


 朝刊では、早くも、当局の捜査を疑う記事になった。明くる日にはアメリカの国家航空宇宙諮問委員会(NASAの前身)の実験失敗の影響と、陰謀説が流された。前者はアメリカの、後者はソ連の噂と疑心暗鬼であった。


 とにかく、世界中のラジオやテレビからは、毎日周波数チャンネルを変えて、マークプロの陽子やザ・チェリーズの映像や歌が流れてくるのである。


 少しずつではあるが、世界中にファンが増え始め、Jポップという言葉で呼ばれ出した。

 JにはJAPANとJACKの両方の意味がある。


「音楽で、世界が変わるかもしれないんですね!」

 アメリカとソ連の記者のインタビューを受けた後で、陽子が感動して言った。

「まだ、まだ序の口、これからが本番だ。それから、今の記者の半分はCIAとKGBだ。コスモス、あいつらが仕掛けていった盗聴機を全部回収しといてくれ」

「わかりました」

 コスモスは、そう言うと一枚のメモを陽子に見せた。

――記者からもらったカメオを見せて。喋らずに――

 陽子が、黙って差し出したカメオの中に盗聴機が組み込まれていた。そして、事務所からは二十個の盗聴機が発見された。


 マーク船長は涼しい顔をしている。

「バルス、この企画、実行に移してくれ」

 企画書は、陽子やミナコにも回された。


「SJK47!?」

「うん、新宿47のこと」

「これって……そう、AKBのパクリ。ただ違うのは、インターナショナルを目指すとこ。将来的には世界の女の子でアイドルユニットを作ろうと思う」

「アイドル……ハンドルなら分かるんですけど」

 陽子が江戸っ子らしい聞き方をした。

「そう、ハンドルだよ。世界を平和の方向に向けるためのね」

 

 それは、マークプロ最初の後楽園球場ライブで、発表された。


「今日は、こんなにたくさんの人たちに集まっていただいて、ありがとうございます。最後に、みなさんに、お知らせがあります。ミナコちゃん、ミナホちゃん、どうぞ」

「マークプロは、新人を発掘することになりました。一人や二人じゃありません……」


「47人です!」

 三人の声が揃い、後楽園球場にどよめきが起こった。


「これは、まったく新しい歌手のグループです。英語でユニットと表現すれば分かっていただけるかもしれません」

「例えれば、宝塚歌劇団に近いものがありますが、わたしたちが目指すのは、誰もが歌えてフリが覚えられて……うまく言えませんけど、ミナホお願い」

「世界中がハッピーになれるような歌を、みんなで歌っていこうと思います。歌がうまくなくても、ダンスが苦手でもいいんです。なにか光る物を持っている人を求めています」

「いわば、根拠のない自信と夢を持っている人たち。そこから始めます」

「年齢は12歳から25歳の女性。一応です。光っているひとなら大歓迎!」


 そうやって、SJK47が始まった。


 一年のうちに三期生まで入り、総勢141人の大所帯になった。二期生からは外国人もチラホラいる。選抜メンバーの15人程をマスコミに売り出し、Jポップはあっと言う間にインターナショナルになった。

 中には、CIAやKGBのスパイも混じっていたが、ことエンタメに関して優秀であれば、お構いなし。

「実は、このミーシャはKGBのスパイなんですよ!」

 そんなことを、ミナコなどのリーダーは平気で言う。言われた本人はビックリするが。観客はジョークだと受け止める。

 マークプロには、政治的な秘密なんて何にもない。自分たちも観客のみんなも楽しくやっているだけだ。スパイは三人公表された。アメリカのジェシカ、中国のミレイ。でも、みんな和気アイアイだった。


 そんなある日、新宿のSJK劇場公演のあとの握手会で悲劇がおこった。


 ミーシャが狙撃されてしまった……!



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