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Gliese  作者: 白虹
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第1話

寒い、暖房が効いているのかよく分からないほど寒い


布団が俺に離れるなと好意を寄せてくる


いつもなら布団に潜りながらオンラインゲームを起動しレギオンチャットで挨拶をしている時間だ


『7年、運営に散々振り回され文句を言いながらも続けてきたMMOも今日で強制終了か。。。』


冷たくなったパソコンの電源を入れる


聞き慣れた起動音、ログイン画面をクリックする


『みんなログインしてるのかなぁ?。。。さすがに最終日の朝からは誰もいないか』


たくさんの冒険や仲間との思い出が詰まった

このゲーム、七難八苦乗り越え熟練戦士が集まるトップレギオンまで登り詰めたはいいが突然のサービス終了宣言


『この運営はほんと最後までユーザーを振り回すなぁ。。。企画者に出会う事があったら絶対文句言ってやる』


山脈がどこまでも続くような壮大な景色が広がる


『そういえばこのゲームグラフィックがすごい凝ってるんだよなぁ〜思い出に耽りながら探索でもしていくか』


。。。初期フィールドで懐かしい砂漠地帯が見えてきた


『オープンベータ当日はここでベヒモス討伐だったっけか、初日に40レベルのモンスターを狩れってどんだけ鬼畜なんだよ笑』


わらわらと群がる初心者プレイヤーをエサにクローズドベータ出身者達がここぞと言うタイミングでダメージを浴びせ続け討伐。。。


『初心者の反感を他所にレアアイテムを剥ぎ取る効率厨の姿には驚いたなぁ』


砂漠地帯を抜けると洞窟が見えてきた


ここはこのゲーム最初の難関クエストがあり、ソロプレイヤーがパーティーを組み出す所でもある


『そうえば一番最初に組んだの誰だっけ?

実は中身がおっさんだった魔女っ子さんと、、、明らかに素人の動きをしてた女の子は名前が思い出せないな。あれ以来見かけなくなったけど、辞めちゃったのかな?』


【魔女っ子がログインしました。】

魔女っ子【おっすシン】

シン【おはよう魔女っ子さん】


魔女っ子【何々?朝から思い出作り?さすがレギオン長、性が出るねぇ】

シン【思い出作り、というか思い出巡りですね笑】


魔女っ子【お、竜の祠かぁ懐かしい所にいるなぁ】

真【マップを最初から巡ってみようかなぁと、丁度その途中だったんです。】

魔女っ子【いやぁあん時はシンの謎プレイに助けられたよなぁ、女の子を救うナイト様降臨って感じでときめいちゃったよ】

シン【中身が美少女ならともかくいい年したおっちゃんに言われてもな笑】

魔女っ子【こいつ生意気に笑。。。シン!あとで決闘な!】

シン【負けませんよ!あ、そういえば魔女っ子さん、あの時一緒にいた初心者の女の子の名前って覚えてます?】

魔女っ子【ん?あぁいたなぁ、名前はユリカだよ】

シン【さすが!なんかスッキリしました!】

魔女っ子【まぁねぇ♫ってかあんな事があったら普通覚えてるけど、シンが忘れっぽいんだよ笑】

シン【ひっでぇ笑魔女っ子さんの超記憶がすごすぎるんですよ】


魔女っ子さんは有名企業のお偉いさんで、記憶力がすごすぎる超エリートなのである。


魔女っ子【今日で終わりだけど、またシンとは一緒に冒険したいなぁ】

シン【そりゃあしたいですけど、もう出来る所がなくなっちゃいますよ】

魔女っ子【そりゃあシン次第さ】


なにか含みのある言い方だったがいつもの事なのでその場は軽く流す事にした。


シン【探索すませたらアビスの17階層に向かうのでそこで狩でもしに行きますか?】

魔女っ子【おう!っとその前に朝メシ行ってくるわ!また後でな!】

シン【了解ノシ】


【魔女っ子が退出しました。】


『さて、このフィールドも回りきったし次のフィールドに向かうかな』


転移しようとすると視界の端に人影が走る


シン【ん?誰かいるの?】


ガラガラと道具品が崩れ落ちるのがはっきり見えた


シン【大丈夫?】


アビス上位階層のドロップ品も混じった道具が散乱している


シン【「ヘビーユーザーか、僕と同じ考えできたのかな?」おはようございます、貴方も思い出探索ツアー中ですか?】


???【すみません跡を付けるつもりはなかったんですが、昔の知り合いによく似た人だったのでつい。。。焦】


ハイドスキルか、しかし俺が気づかないとは単なるヘビーユーザーどころかうちと同等レギオンの人ってことか。。。ってか尾行してたの?汗


シン【大丈夫、気にしてないので。それより姿を見せてもらっても良いですか?見えない相手とチャットもなんか不気味で笑】


???【失礼しました。ハイド解きますね】


薄暗い洞窟にキラキラとした銀髪美女が登場した。

そして僕が自意識過剰なのかなにか訴えるような瞳をこちらに向けている。


シン【あの、知り合いに似てたって事は違う人。。。だったんですね?】


???【いえ、間違いではないと思います。白虹レギオンのシンさんですよね?】


シン【「最終日だし隠す必要もないか」。。どこかでお会いしましたっけ?】


???【。。。】


このゲームではプレイヤー同士の名前が見えない、名前を表示させるには同じレギオンに属するかフレンド登録をするしかないのだが。

例外としてランキング10位内のレギオン長は掲示板に名前が載るので嫌でも名前だけは広まってしまう。

姿と名前が一致するのはレギオン戦争で戦った者の一部か野良クエストで仲良くなり身の上話をするかである。


シン【「やはりうちと同等レギオン、そして幹部クラス以上かな。野良クエストは好きでよく混ざるけど身の上話はした事がない。」もしかしてプレイヤーキルですか?サービスも今日で終了だからそんなことしても何の得にもならないと思うんだけど】

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