プロローグ(下)
土地を失飲み込み幾多もの国を飲み込み、遅くなってもじわじわと広がり続ける『領域』から土地を守るため、出てくる魔獣を狩り続ける人類。ユーセレア大陸中央部以外にも小さな領域は点在していて、それらとも戦い続ける日々。
しかしある時、ある発明がイラキア地方で発明される。かなり原始的ではあるものの、それは私たちの地球では『銃』や《砲》と呼ばれているものの原型であった。
「礫」の魔術よりも威力のある弾丸を、弓矢よりも長射程で、かつ簡易的な練習で扱えるようになるというこの技術。地球であれば他国には秘匿され、戦争に用いられるであろうこの技術も、一国が落ちたら次は我が身、という世界では共有されたのも納得のいく話であろう。
そうして銃が世界に回り、改良され、先頭の中心が剣で武装した部隊から銃を構える軍隊になった頃。
イラキア北西にある島国、「紅英王国」にて、中規模な『領域』を落とすことに成功したのである。
世界は、初めて中規模な『領域』の解放に成功したことに喜んだが、その直後に流れたもう1つのニュースに熱狂した。
紅英王国の解放した『領域』の地下で、高純度の魔力の結晶とでもいうべき鉱石が発見され、それが他の『領域』の地下でも発見されたのである。
ちなみに、この世界の地図は現代地球と変わりません。
ユーセレア=ユーラシア
イラキア=ヨーロッパ
紅英王国=イギリス
となっています。