表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレクトリカ  作者: ハリマトモアキ
8/44

なりかけ

「宍道!なりかけを見かけたのはどこらへんだ!」


出雲のひときわ大きい声が辺りに響く。

宍道が後ろを振り返ると出雲が息を切らしてゼイゼイいっており、ひたいには大粒の汗がたくさんできていた。


「すみません急いで来てもらって。」


宍道が出雲に一礼すると、先ほどまでの状況を説明し始める。


「26地区の旧市街地付近です。散策してますがまだみつかってません。対象は女の子、年齢は10代前半くらいです。由里香ちゃんにもレーダーで探してもらっていますが見つからなくて・・・もしかしたら地下じゃないかって。」


「地下かよ!まずいなぁ、場所によってはレーダーにほとんど映らないからな・・・」


出雲が大分困った顔をして地下に入れそうなところはないか辺りを見回しながら腕時計型ナビを起動する。

表示された地図を見る限り、以前は旧地下鉄が走っており、地下道は南北に大きく伸びていた。


「宍道!とりあえずお前達は30分だけ26地区地上部分を調べたらルート上に進んでくれ。」


「出雲くん?!もしかして一人で地下にもぐる気なんすか?さすがにそれは俺も止めますよ!布志名さんにサポートしてもらった方がいいっすよ。」


宍道も一人で地下に行くと今にも言いそうな出雲を心配して声をかける。

普通地下探索は、レーダーも効かず明かりもない為危険が多い、その為ツーマンセルは基本であり宍道の言っていることは正しいのである。しかし出雲は首を横にふると、話を続ける。


「大丈夫だ。『リンカー』を使用してビットを3機飛ばして探索するだけだから、俺が潜るわけじゃねーよ。」


「だけど・・・見つけたら潜らなきゃ行けなくなるでしょ。」


「大丈夫。大丈夫。俺には『アレ』があるし。」


「そうだけど・・・布志名さんきてもらったほうがいいって出雲くん。」


穴道の心配をよそに出雲はオペ担当に連絡すると、ライセンスカードを携帯スキャナーで、すかさず読み込んだ。


「はいオペの熊本です。」


「あークマさん。出雲です。なりかけの少女が地下に入った可能性が出てきたんで、今から俺は地下にビットを潜らせようと思います。それで俺の固有資格のひとつ「リンカー」を使用させて下さい。」


「了解。ライセンスカードはっと・・・もう通してるね。はいはい承認しといたよ。」


「さすが熊さん、話が早くて助かります。」


 そういうと出雲は道具箱からタバコの箱くらいの大きさの丸型でプロペラがついた物体を取り出す。そして会話をしながら、それに向けて視線を向け集中すると、その物体が出雲の周りをプロペラを回し旋回し始めた。


「うし、感度は問題ないな。映像はホログラムに表示っと。」


出雲の腕時計型ナビから映像が空中に映し出されると、3画面に分かれたモニターが映し出される。


「問題なさそうだね。だけど、なるべく無理はしないように、こちらからもレーダー探索は随時かけるから必ずオペレーターモードにしとくんだよ。」


「うっす。かしこまりです。」


話が終わると出雲は地下には入れそうな入り口を見つけると、3機のビットをその地下穴に飛ばして行く。器用に動くそのビットは地下を縦横無尽に駆け巡る。


『リンカー』

リモコン、コントローラーなどを使用しなくても脳からの発生する電波によりアクセス権限のあるものについてダイレクト操作を可能にする出雲の固有資格の一つである。


ビットを3機操りビットが捉えた映像を空中に映し出す。地下はやはり荒れ放題で道もほとんどなく明かりもない状態であった。ビットのライトを頼りに地下を照らし、なりかけの少女を探す出雲。


「ここにもいないか・・・。」


 出雲は地上からビットを飛ばしては地下に潜り込み道がなくなれば、ビットを地上に戻すのを繰り返し探索を行う。


そのとき出雲のレシーバーに熊本から通信が入る。


「出雲くん、その先前方50メートル付近に突如大きめのハイブリッド反応だよ。探索中に悪いけどこちらも対処をお願いするよ。タイプはこの大きさなら鋼だと思う。十分注意してくれ。」


 熊本からの指示を受けビットを一旦地下から引き上げる。そして、引き上げたビット一体をハイブリッドの反応があったところまで飛ばし映像を映し出す。そこには、かなりの大きさのハイブリッドがのそのそと何かを探すように歩く姿があった。


「ったく!急いでる時に出てきやがって!ハイブリの大きさは5体合体くらいか。」


そう言うと出雲は素早く道具を組み立て、準備を済ませるとハイブリッドの方に向かって歩き出した。

    

    

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ