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エレクトリカ  作者: ハリマトモアキ
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掃討作戦 開始

朝7時50分


晴空の下を出雲(しゅっと)と、もう一人男がG3-30地区のゲートに向かって歩いていた。


男は色白で顔は中性的で異様に整っており、身長も出雲より高くすらっとした体型。まあ俗に言うイケメンというヤツだ。


出雲はタバコにライターで火をつけると、くわえ煙草のまま隣にいる男に話しかけた。


布志名(ふしな)、この前手伝いに来るっていってたのに結局こなかったな。」


「悪い、あっちはあっちで大変だったんだよ。お前のとこの方がある意味大変だったみたいだけど(笑」


布志名は笑いをこらえきれず、出雲の方を見るとブハッと吹き出す。


バイブロハンマー建造物破壊事件。


この前出雲が引き起こしたバイブロハンマーでの被害は各方面に速報で流れており、布志名もそれを災害事例で確認していた。


「由里香ちゃんに相当きれられたらしいなお前。辺り一帯バイブロでぶち壊すとかなにやってんだよ。北浦さんなんか相当怒ってたぞ。」


「始末書書いたよ。始末書!」


「それはそうだろ。あんだけ盛大に壊してるんだから。初め見たときお前の事だからダイナマイトでも使ったのかと思ったよ。」


「ははっ俺のバイブロはダイナマイト級だからな。まあ、全然気にしてないけどね。すきあらばバイブロは使っていくスタンスだし。」


出雲が左手を高々と掲げるとバイブロハンマーを左手にセッティングしていることを布志名に見せつける。それを半ば呆れた様子で布志名は見ていた。


「全然反省してないなお前・・・まあ、その方が俺は気が楽でいいよ。」


そんな会話をしながら2人は隔離地区のゲート前までやってくると、そこには先般G3地区の対策会議に出ていた穴道達が既に集まってタバコを吸っていた。


宍道も出雲達に気づくとゆっくりとその場に立ち上がり手を振ってくる。それを見た布志名はゲート付近に集まっているメンバーを見渡しかるく会釈をした。


「お久しぶりですみなさん。相変わらず朝早いですね。今日はよろしくお願いします。」


「お久しぶりっす布志名さん。あと出雲君もお疲れ様でーす。」


「あとってなんだよ、あとって。それになんで布志名だけさんづけなんだよお前は。俺が今回の現場の代理人だぞ宍道。布志名は副代理人だからな、ふーく。」


出雲が凄んだ顔のまま宍道の前までいき軽くヘルメットを小突くとファイリングしてある一冊の点検シートを宍道に手渡す。


「使用する武器の稼働テスト終わったら、点検シートにきちんと記録つけとけよ。」


「わかってるって出雲くん。そんなの基本だよ。」


軽口を叩きながら宍道はそれを受け取るとブルーシートを広げ、そこに使用する武器や機材を綺麗に並べていった。そして各々のメンバーにきちんと点検しろよと指示を出した。


「採血も済んでる?」


「バッチリっす。先に渡しときますね。」


そういうと穴道は少量の血液の入った容器を数本出雲に手渡す。


「お前に任すと心配だから、因子チェック俺も確認するからな。」


「信用ないなー。まあ、了解っす。」


宍道はそういうと自分につけていた安全帯を一旦取り外し、ブルーシートの上にある点検が終わった武器や道具などを腰袋にセットしていく。


その様子を見ながら出雲と布志名は今回の作戦で使用する資料の地図などの掲示物を広げると、その地図に手書きで今回使用するルートや危険なポイントなどをつけていた。


「こんなとこだろ。よっしゃ、そろそろ始めますかね。」


出雲がタバコを消し立ち上がるとみんなに集合するよう合図を出すと、チームのメンバーが出雲の周りにサークル状に集まる。


「じゃあ、はじめに体調確認しまーす。」


そういうと出雲はチームメンバーの名前を点呼しはじめた。


「布志名、 体調は?」


「良。」


「宍道。」


「元気でーす。元気すぎまーす。」


「和尚」


「和尚っていうな。体調はばっちりだ。」


「和製スタローン。」


「スタローンって・・・問題なしです。」


「八雲 。」


「はい、元気です。」


「津和野さんは酒残ってない?大丈夫?」


「そんなに飲んでねーよ。問題なしだ。」


「よしよし、みんな大丈夫そうだな。もちろん出雲はいつも通り元気でーす!じゃあ、みんな体調はばっちりってことで。みんなの因子チェック俺も確認したけど問題なしだからよろしく頼むよ。」


「okっすよ出雲くん。エブリシングok。」


出雲は作業報告書の各自体調欄の良のところにチェックをつけていくと、続けて本日のミッションの内容を説明し始めた。


「今日はここ30区から25区まで2班に分かれて探索するから。布志名 、八雲、津和野さんがA班で、班長は布志名。さっき名前呼ばれていないのがB班で、班長は宍道。俺が統括指揮といざとなればサポート。そういう風な感じでいくから。」


「またー。そう言って1人で突っ走るんでしょ。バイブロ事件再び。笑」


「ほう、どうやらそこのドレッドは余程バイブロを味わいたいみたいだな。」


「冗談っすよ。出雲君。」


出雲が宍道をにらんだそのやり取りの後、出雲は掲示板に先ほど貼った地図を使って今回の作戦のルートなどを詳しく説明していく。


ここは倒壊する可能性が高いからなるべく近づかないようにとか、ここでこの武器は使用しないようなど

的確な指示を出していく。


「25区まではこのルートで各班進み、一度27区ゲートで合流。昼食後にまた散会する。ハイブリッドが出た際は各班対応を頼む。応援要請は早めにな。すぐ俺がサポートするから。以上。・・・じゃなかった『なりかけ』について説明しなきゃな。」


そういうと出雲は右肩に担いでいた救急箱のなかからアンプルを取り出すと、みんなにわかるようアンプルを右手にかざした。


「『なりかけ』にあったら、まず俺か布志名にすぐ連絡してくれ。そして出来るだけ話しかけて自分たちはなりかけを助けにきたんだってことを伝えてくれ。」


「でも、出雲くん。『なりかけ』は基本逃げるからなー。」


「そうなんだよなー。だから、手荒にはなるが拘束具なんかをつかってなんとか動きを封じて欲しい。後はこのアンプルを俺が打ち込みさえすれば、後は医療班にお任せできるから。」


「了解っすよ。出雲くん。」


「任せたからな、宍道。」


そういうと携帯を取り出し出雲は作業開始の連絡をかけた。


「あー出雲ですけど、お疲れ様です。本日8時30分。今から10分後にG3地区の掃討作戦開始します。」

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