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エレクトリカ  作者: ハリマトモアキ
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エクスカノン&マグネティカ

「第2ラウンドぅ!開始ぃだぁあ!!」


白石は叫ぶと同時に自慢の豪脚で地面を踏み抜くと鉱石級(オール)ハイブリッドに向かい突進する。


オールに向かい最速最短の一直線の攻撃。

それ故に無駄なものがなく、回り込んでフェイントだとか頭を遮るものもない。

空気の層を突き破り右腕のカッティングホイールを振りかぶり叩きつける。


「うらあぁ!!」


オールハイブリッドはその力任せの攻撃を両腕をクロスし真っ向から受け止めるとドンっと衝撃が突き抜け地面が陥没隆起する。


先ほどより小さくなった体だが変異体の時には受け止めることもできなかった白石の叩きつけを止めるまでに力が進化していた。


オールハイブリッドの頭上数センチのところでホイールが回転しギリギリと刃が揺れ動き、お互い膠着状態のまま睨み合う。


「ほお、多少はやるみたいだなぁあ!!」


「そうです。変異体、オールに進化しました。第七白石睦月が交戦中です。各班A級隊員を構成お願いします。」


由里香は瞬時に情報を開示すると、A級ランカーの出動要請を行う。その後モニターに目を向け白石のオペに専念するよう他の者に他の隊員の通信を任せた。


「白石くん、オールはウェポン持ちもいるから無意味に突っ込まないで。」


「武器なら俺も持ってるじゃねーかぁ!おあいこだぁあ!!」


白石はそう言い放つとオールハイブリッドに左腕のグラブリフタをすかさず伸ばす。


オールは先ほど掴まれたグラブリフタに反応すると白石の右腕を両腕の力で突き飛ばし、後ろにバックステップし距離をとると手のひらを擦り合わせ睨みを効かせた視線を白石に向ける。


「・・し・・・ね」


オールから発せられた殺す意思を乗せた言葉。

死ねと言う殺意を乗せ呼びかけに呼応するかのようにすり合わせた指一本一本が銃口のように形を変えていくと尖った指の先端を白石のいる方に向ける。


「あかん、ウェポン使う気や!白石くんホイールでガード!」


「応!!カッティングホイールぅシールドモードぉ!!」


白石の呼びかけに応じカッティングホイールの円が更に大きく広がると刃を外側に向けた円形の盾のような形状に変化する。


白石の大柄の身体を隠すくらいの大きさにまで広がると、グラブリフタのアームを円の中心に差し込み円形の盾は扇風機のように回転する。


オールの指先から弾丸にも似た鉄のかたまりが高速で放たれようとした瞬間


「やらせないよーだー。アトラクション!」


突如オールの頭上から女の声がした。


次の瞬間オールに引っ張られるような力が働きベタンと抗えない力で地面に吸い寄せられるように押さえつけられる。まるで強力すぎる磁石のように指先から放たれた弾丸も物理法則を無視しし直進する方向ではなく地面に吸いつけられるよう吸収された。


「ゴリさーん、お待たせー」


声のする上空を白石が見ると、そこには空中を金属でできたボードのようなものを使い浮き滑空する王子咲の姿があった。


「重力ガール!」 「咲ちゃん!」


「その言い方ー。やめてよー。あたしのエレクトリカ重力じゃないよー。」


咲は白石のその呼び方が気に入らないのかほおを膨らますとプイッとそっぽを向く。そして空中でくるりと回転すると白石の横にふわっと着地した。


「由里香さーん。やっほー。」


「咲ちゃーんグッドタイミング。イェーイ」


「イェーイ☆」


由里香は白石からようやく解放されたのと咲と言うA級ランカー到着による安堵からだろう若干おかしなテンションになっていた。


地面にへばりつく周囲のハイブリッドを尻目に女子達の会話は続く。


「相変わらず便利だね咲ちゃんの『マグネティカ』は。はぁーようやく言うこと聞いてくれる出来る子が来てくれたよ。」


「おいおれ「由里香さーん。ボスももうじき来るからねー。」


「ようやく来るかしゅとくん。どっかの猪突猛進バカのせいで、私疲れたよ。」


「おい!お前た「はははっ、ゴリさんの相手お疲れさまー。さっきは承認最速でしてくれてありがとでーす。おかげで飛んでこれましたー」


「いいのいいの、咲ちゃんには早く来て欲しかったし」


「お前らあぁ!おれを無視するなぁあ!敵の目の前だぞぉ!!」


「・・・・・」


「何か喋ろやぁあー!!」


白石を無視するガールズ達。咲は喋りながらもエレクトリカを使い周辺のハイブリッドを拘束していた。オール周辺の頭上にはクルクルと回転する輪っかが4つ地面に影を作っていた。


王子 咲

固有資格は磁力操作である。エレクトリカの通称を『マグネティカ』と言う。咲が指定するフィールド内に500テスラというとてつもない磁場を発生さすことができる。輪っか型のコイルビットを使い電流を高速圧縮し強磁場を発生させ、敵を拘束および作り出される高エネルギーからの衝撃波により破壊することもできる。


咲は由里香との会話が済むと白石の方を振り向くと上目遣いで人差し指をたてる。


「ボスから伝言ー。3分で倒せってー。それ以上は待たないって。だから私ゲート上から飛んできたんだよー。」


咲はボードに付いている空気の噴出口からプシューとエアーを軽く噴出させると、クルクルと自分の頭の上で回転させる。重力に逆らうように金属でできた板は咲の指先の動きに合わせ器用に浮きながら動いている。


「あんのクソバカの指示など受けるかぁあ!」


「そう言うと思ったよー。だからボスから伝言2。お前じゃオール相手は厳しいもんなB級のお前じゃ。だってー」


その言葉を聞いて白石の顔がみるみる真っ赤になる。顔にビキビキと青筋が浮かべ身体をワナワナ震わせる。

余程B級と言う言葉を言われたくないのかオール相手は厳しいと言われたことに腹がたつのか、そもそも出雲から小馬鹿にされたのが一番応えたのだろう。


「何をぉぅー!!1分だぁ!1分でケリをつけてやるぅ!!エクスカノンを使うぞぉお!!」


「オッケーゴリさん。伝言3、あたしがマグネティカで動き止めるからエクスカノンでトドメさせってー。」


「あいつも少しは!少しだけはわかってるじゃねーかぁあ!!」


白石と咲はお互いに拳を合わせるとニヤッと笑い合う。


「由里香さんー、作戦は今伝えた通りです。」


「了解だよ咲ちゃん。周囲のハイブリットも余力があれば拘束して欲しいけど、できそう?」


「ラジャー☆任してくださーい。」


咲は可愛く舌を横に出し右目を閉じると右手で敬礼するポーズをとる。


ー本当ボスの言う通りだよーゴリさん全部行動把握されてるや。ふふふ


咲は先ほど出雲から言われた言葉を思い返していた。


(白石はエクスカノンを撃つ気だろうが、あのバカに任すと絶対当たらない。動けなくなるエクスカノンは格好の的だしな。だからサキがタイミングを見てマグネティカでオールを浮かしてくれ。地面にへばりつかすと白石の砲撃の射線がうまく通らない。浮かしといて弾が当たるタイミングで解除してくれ。)


ーやっぱ凄いよなーボスは。瞬時に最適手を判断するから、仲間の特性のことも全部把握してくれてるし。


「はぁーボスかっこいいなー」


咲は恍惚した表情を浮かべると両手を顔に持っていきニタニタする顔の口角をギュッと引き上げた。


「なんか言ったかぁ」


「なんにもー、じゃあーいっくよー」


そう言うと咲は地面を蹴り飛び上がる。ビリビリと地面と鉄製の靴底に電気のようなものが走ったと思うと、もはや人の跳躍などはるかに凌駕するほどに空中に飛び上がる。


空中に身体を投げ出すと持っていたボードの取っ手を手で掴み噴出口から空気を噴出させ自在に空を駆け巡る。


オールは地面にへばりついていた身体を無理矢理に動かそうとするが吸いつけられる力が強く、指先だけでもと咲のいる上空に向けようと必死の抵抗をする。


「だからー、やらせないってー。」


咲の手首足首につけているリストバンドとアンクルバンドの緑色のゲージが溜まっていく。そして空中を浮遊していた4つの輪っかがオールの頭上をグルグルと旋回する。


「アトラクション!」


咲の掛け声に合わしオールを含め周辺のハイブリッドが更に強い力で一箇所の地面に吸いつけられる。強力すぎる磁石のように周囲の者を一瞬で引きつけ動きを封じる。ばちんばちんとくっついていくハイブリッドを確認し咲が白石に合図を出した。


「ゴリさん、いまー!」


「応!!エクスカベーター!カノンモードぉ!アンカーセットぉお!!」


白石の呼びかけに応じるようグラブリフタの4本のアームが中心に向かい閉じていき、格納してあったリトラクタブルアームが更に長い砲身のような形状に変わっていく。


それと同時に白石の両足からアンカーが地面に突き刺さり足元を固定、背中から腰にかけて地面に斜めに固定する斜材が突き刺さる。


カッティングホイールはヤイバを内側にしまうと砲身の横でギアが噛み合うように接合、巨大な歯車のようになり高速で回転し唸りを上げた。


白石は片目用のゴーグルのようになっているスナイパースコープとイヤホンを取り出し右目と右耳に装着すると、砲身の根元についている3つ飛び出したスコープのうちの真ん中の一つからケーブルを取り出し右目のスナイパースコープに直結させた。


白石の眼光に鋭さが増す。

ヒューと息を吸い込んで吐き出すとピタッと動きを止めた。


『イグザシステム起動。ターゲットロック開始』


自動で音声が流れるとスコープに映し出される標的のマーキングを行う。青の十字にきられたロックオン表示をオールに向けて銃身を動かし標的を捉える。そしてトリガー横の赤いボタンを押し込むとロックオン表示が赤色に変化した。


『ロックオン完了。プル ザ トリガー』


白石は自動アナウンスに従うよう銃口をオールより上に向け、一度マーキングを外しロックオン表示が赤点滅に切り替わったのを確認するとトリガーをガチャンと引いた。


『自動射撃システム作動 再度標的をロックオンした際は自動射撃します。』


「重力ガール!!準備おーけーだぁあ!!」


白石の大声が周囲にこだまする。咲はコクっと頷くと更に4つの輪っかを解き放ち計8つになった輪っかがオールの周りを立方体を作るようにピタッと静止した。


「浮かすよー。マグレブ(マグネティックレビテーション)」


咲のマグレブと言う言葉に反応するよう地面に這いつくばっていたオール達は磁力浮遊によりフワッと浮き上がる。

ジタバタと手足を動かすが力をかける場所のない空中では暴れようがどうすることもできない。反磁力によって浮かび上がった体は無防備にフワフワと浮き続けている。


「いまー!」


咲は白石に合図すると同時にさらに高く空中に跳ね上がる。その合図を確認した白石は砲塔を動かし再度標的をロックオンした。


スコープ内でターゲットランプが赤色に切り替わると、電子スコープが標的までの距離、風速、重力、地球の回転などの変数を自動で計算し目標を捉えた。


『イグザシステム アクチュエーション』


「ぶちぃ!かませぇええぇい!!」


白石の叫びに応えるよう直後唸りを上げるエクスカノン。チリチリと砲塔に帯電すると銃口から発車音と共に電磁誘導により加速された弾丸が轟音と共に射出された。


轟音と共に訪れた衝撃は白石の巨体をアンカーごとノックバックするとビキビキと地面に亀裂を入れる。


オールも空中に浮かび上がった態勢から指先を白石の方に向けウェポンを構えるが、高速で放たれた上腕サイズの弾丸は地面を時間差でやってくる衝撃波で抉り取りながら、空気が破裂したような音を鳴らすと一瞬の内にオールを捉えた。


超高速で推進する弾丸が硬いオールの体に触れる。


瞬間衝撃波が後ろに突き抜け、着弾と同時に周囲を巻き込む爆発と爆風。


周囲には熱線と閃光が降り注ぎ、衝撃波が全方位に解き放たれた。


小型のミサイルと言っていいその威力は周囲のハイブリッドもろとも消しとばす。


「これがぁ!!エクスカノンの威力だぁあ!思い知ったか!!由里香ぁあ!」


「はいはい、オールの反応完全に消失したよ。」


白石はまだ余熱のこもった砲塔のアームを格納すると、地面に突き刺さるアンカーを抜き取り、装着していたエクスカベーターを外し地面に降ろした。


空中にいた咲も白石の横に降りてくると持っていたペットボトルの水をゴクゴクと口に入れる。余程喉が乾くのか咲は500mlの水を一気に飲み干す。


「ぷはー。さっすがゴリさんー。後はボスの出番かなー。本当はボスにはエレクトリカ使って欲しくないけど・・・」


咲は心配そうな悲しそうな表情を浮かべると下を向く。


「誰が止めようがアイツが使うと言ったら使うだろう。後ろに解放地区もあるしアイツに任しとけばいい!」


「うーん。今回怒ってたからなーボス。会社にも布志名さんにも。止められないよね。私も『副作用』ではじめたしー。ここまでにするよ。」


「ふんっ!後はあいつの『アレ』に任しとけば終わりだ。」


白石はエクスカベーターを両手で抱えると空を見上げる。


見上げた空には銀色とも黒色とも取れる輝く無数の物体が増殖するように数を増やすと、尖った先端を下に向けるように静止し地面に無数の影を作り出していた。


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