表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレクトリカ  作者: ハリマトモアキ
18/44

インパクト

出雲は巨大な機械の腕を振り回すとその腕をハイブリッドに向けてガシガシと空中を掴む動作を行う。


機械の腕からは時折プシューと油圧の抜ける音がし、周囲に圧縮した空気を押しだしている。


そしてあまりにも巨大な腕はまるでその破壊力を表すかの如く分不相応に身体に引っ付いており、モニター越しに見るものを圧倒する。


「バイブロ零式の威力味合わしてやる!デカブツ」


そう言い放つと出雲は前のめりに倒れたハイブリッドに向けて左腕を垂らしたままゆっくりと歩みだす。


「零式ってしゅと君!ちゃんと使えるん?!零式は木田さん以外使えた人知らんのやけど!!ちょっとしゅと君聞いとるん?」


出雲は由里香の通信を聞きニヤリと不敵に笑うとレシーバーをガシガシこすり応答する。


「まぁ見てな。俺の考えが正しければこのハイブリッドは零式でボンだ!!」


「はぁぁ!ボンってしゅと君?なにいってんの?なんでアレを誰も使わないか、ちゃう使えへんか知っとるん?あまりにもノックバックが・・・」


由里香のいるオペ室では零式、零式言う声があたりから聞こえガヤガヤしている。それほどまでにバイブロ零式は皆の前から木田しか使えないと認識されており、今まで使えるというものがいなかった旧時代の遺物のような扱いを受けていた。


「あっそうだ。インパクト時すげぇ音するからオペ班気をつけといてね。では出雲、バイブロ零式いきまーす。」


出雲はカラカラ笑いながら言い放つとどんどんとハイブリッドに近づいていく。一歩一歩の歩みがズシン、ズシンと零式の重さを表しながら歩を進めて行く。


前のめりに倒れていた巨大ハイブリッドはようやくゆっくりと立ち上がろうと片手を地面につけるとのそりと腕に力をかける。


「立ち上がらせねーよ!!」


立ち上がろうとするハイブリッドに出雲は言い放つとハイブリッドに背中を向け、顔だけハイブリッドの方を向いた状態になり、巨大な左腕を地面にガシャんとつける。


バイブロ零式のついた地面はピシピシと亀裂が入っていき、ひときわ大きい油圧の音がすると出雲は叫んだ。


「ぶっ飛べ!!イグニッション」


出雲が言い放った直後恐ろしいほどの衝撃波が起こる。地面は陥没し、亀裂があちこちにビシっと入る。まるでその衝撃は隕石でもぶつかったかのように広範囲に穴を形成する。


同時に出雲の身体は空中にはじき出される格好となりハイブリッドに向かい飛んでいく。


「えぇぅ!?なにその使い方?!!」


由里香の絶叫がこだまする中、空中に放り出される格好となった出雲は態勢をクルクルと回り立て直すとハイブリッドの頭目掛けて飛んでいく。


「きぐぅなしちょへんあずばべ」


多分起源にして頂点あじわえっていってんだろうなと由里香は思ったが、加速する速度に何を言っているのかわからない出雲の掛け声は意味がわからない言葉の羅列となりオペ室に響き渡る。


そしてハイブリッドの目前に来ると思いっきり左手を後ろから振り下ろすとハイブリッドの頭を零式でぶん殴った


ガイーン!!!


あたりに鉄と鉄がぶつかったような音がこだましハイブリッドは思いっきり顔を強打。


残響と衝撃がハイブリッドの体を突き抜け、顔は反対方向を向いた後更にミシっと言うと正面を向く力により戻された。その衝撃で出雲の腕も空に跳ね上がる


「零式の反動使って殴りって・・・」


由里香が呆れる中間髪入れずに出雲は叫ぶ


「ぶん殴り!!からの!!」


出雲のバイブロ零式がハイブリッドの頭の上で地面を向いた格好をとり両足で踏ん張るとブブブっと震えた


「チリとかせ!!」


一瞬の静寂の後衝撃波がハイブリッドを伝い地面に向けて解き放たれる。


ガガガガン!メコッ!バキキ!


という爆音とともにハイブリッドの足元は足型にへこみ地面を陥没させる。


それでもおさまらない衝撃波はハイブリッドの足を逆向きにへし折ると、次は背中を反対方向に折り曲げた


止まらない勢いは頭をついにはへし折りハイブリッドの身体は逆くの字になったと同時に体中に亀裂が走り空中に粒子がキラキラと舞い上がった


出雲はというと零式の反動で更に吹き飛び、腕はノックバックで空中に跳ね上がっていた。


「あっ!いったぁー。腕折れたかも」


出雲の嫌な報告がオペ室にも伝わる


「だからいうたやろ!零式はあかんて」


「あっ、脱臼かもゆりちゃん。てへ」


「テヘじゃないわバカ!」


会話しながらも出雲は右手でウインチを起動させ安全帯を壁から出た鉄骨に引っ掛けると、ゆっくりと巻き取りし落下速度を軽減した。


「それより見た?見た?これが俺の零式だ!ハイブリッドも粉々ですよ。周りも粉々だけど(笑」


「しゅと君楽しそーやけど、その壊した建造物直すのしゅと君やからね。知ってると思うけど。しばらくそこ直す方法でも考えとき」


えっという顔となる出雲


「そりゃそーやろ!自分が増援待ちきれずに零式なんかうったんやから。しばらくいつもの施工管理でもしとき。じゃあお疲れ様、私帰って寝るわ」


「えっゆりちゃん?ゆりちゃん。これはしょうがなくない。今回は大目に見てよ。」


「みるわけないやろ!」


地上に降りモニターに映るようにバイブロ零式を構えてみたがその後オペ室から応答はなかった


そしてえっマジで、マジで!と何度かつぶやいたのち出雲はモニターに向かって土下座した。


    


    




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ