零式
ピアッシングストライクの一撃を受けたハイブリッドの巨体はぐらりと傾きながら出雲のいる方へ頭を振り向くとけたたましい咆哮をあげる。
グォーとも聞こえる叫びは辺りを振動させ、瓦礫の破片を吹き飛ばす
(よしとりあえずだが動きは止めた。あとは接近戦だな・・・懐潜るか)
そうすると出雲はゲート作業台よりウインチを使い飛び下りると瓦礫まみれの地面を駆けていく
ピアッシングストライクのリンクをきり
相手に接近し倒れた巨体の上をウインチを使いながらひょいひょいと登り背中付近で右手に装備した武器バイブロブレイカーを設置起動する
「とりあえずもう少しうずくまってろデカブツ!!貫けー!」
掛け声と同時に出雲の右手に装着された杭はハイブリッドの背中で振動したのち火薬で押し出された。
回転弾倉による何重にも加えた連撃により巨体ハイブリッドの背中にガッガッガッと音とともに穴を開け鉄の表皮にビシビシっと亀裂が生じていく
「まだまだぁ!」
続けざまにその穴の空いた巨体に出雲は振動型電光ナイフを突き刺し地面に向けて走り去る
ギィィィンとナイフは表皮を滑ると硬い表皮に更に傷跡をつけ亀裂が大きくなる
巨体ハイブリッドも穴の空いてない右手を出雲に向けて薙ぎ払うかのように攻撃するが出雲はウインチを起動させ頭の方に高速で移動し攻撃を見事にかわす。
巨体から放たれる右手の衝撃波のみが出雲の体を揺らしただけだった
「あっぶねーな、でかいんだからじっとしてろよ」
空中で器用にウインチを作動させ回転し攻撃態勢を立て直す
「しゅと君ほんまに無理はせんといて、動き止めてくれただけで十分やから、あとは応援くるまで待っといて」
「大丈夫もうちょっと頑張る。あとはエクスプロージョンハンマーの爆薬で片足だけもぎとるよ」
そう言い放ったのち出雲は頭付近から滑り落ちると片膝をついた巨体の右足の穴に腰につけていた
エクスプロージョンハンマーの爆薬部分のみを器用に取り付ける
一旦後ろに下がり距離を取ると電撃ドライバーを爆薬付近に向けて投げつけた
両端がバチバチと唸るドライバーは爆薬付近で重なり合うと爆薬を点火させ大爆発を引き起こしハイブリッドの右足を吹き飛ばす
ハイブリッドは右足の一部を吹き飛ばされ完全にバランスを崩し、前のめりにゲート向かって倒れた
(よし、これで一時的に動きは封じたがあとはどうするかな・・・応援はもうしばらくかかりそうだし、大型の重機を待つって手もあるがさあ、どうする)
「有理ちゃん、応援まであとどれくらいかかりそうだ?」
「しゅと君あと10分はかかると思って」
右足は吹き飛ばしたが流石にかなりの大きさのハイブリッドだけあってまだ一部が欠損しただけだ
「こんだけでかいと自己形成する前に完全にたたくか迷うな。しゃあないもういっちょ固有資格つかいますか『マテリアルコンバート』スキャンするよ」
そういうと出雲はカードをスキャンする
「しゅと君、固有資格連続で使いすぎると、また前みたいに数値が上がって苦しむよ。それ以上は・・・」
「大丈夫『アレ』を使うわけじゃないし数値も問題ないはずだから承認頼む」
「・・・わかったけど。無理はせんといてな
『マテリアルコンバート』承認」
「よし、承認確認、いきますぜ」
「・・・うん?そういえばマテコン使うってことは、まさか!!だってあの武器はまだ」
「多分そのまさか。まあ見てなはれ」
そう言い放つと吹き飛ばしたハイブリッドの右足に出雲は左腕で触ると、その触れた物体はみるみる形を変え出雲の左腕に絡みつき形を変えていく
そして左肩までに巨大な機械の腕が出来上がり、初めから左腕にセットしてあった骨組みを覆うようにかぶさる
マテリアルコンバート簡単に言えば物質を組み替える能力
基本的な使い方は物質などを流動させ形を形成することができる
出雲は形の出来上がった巨大な腕をハイブリッドに向かって構えるとガシガシと空中で掴んでは離してを繰り返す
「待たせたな!バイブロゼロ式 起源にして頂点の威力味合わしてやる!!」