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エレクトリカ  作者: ハリマトモアキ
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本日の報告


機材センター長への謝罪会見後、生駒に事務所まで送ってもらうことになった出雲。


実験した武器を一部車に詰め込むと携帯電話をとりだし宍道に連絡する。


「はい、宍道です」


「そっちの片付け終わったか宍道?」


「無事終わりましたよ。ただ50体もいなかったんすよね。全部で30体くらいでしたよ。嫌な予感しません?」


「だよなそんな気するよな・・・大合体シリーズ来そうだよな、地下から」


出雲が眉間にしわを寄せながらタバコを燻らせる。ハイブリッドが少ないに越したことはないがだいたいこういう風な時は現場の感では嫌な予感が的中していたのである。


現場経験の多い出雲は何度か同じような体験をしているが故に不安を感じていた。


「念のため明日も同じ場所の都市機能回復と探索してみるか。」


「了解っす。明日は僕と八雲と津和野さんが行きますんでよろしくお願いします。」


宍道との会話後、事務所までは生駒が送ってくれるとのことなのでお言葉に甘え出雲は生駒の車にゴソゴソ部品を積み込んでいく


「生駒ちゃんそれとあそこに飾ってあったものもらったから」


「飾ってあった?」


「まさか!ゼ・・・」


出雲が生駒の口をとっさに塞ぐ。


「しー。静かにそろそろ俺のものになる時期ですよ

アイツは」


「まあ誰も使えないけど。あれは欠陥品に近いから・・・出雲君『マテコン』も使えたっけ?」


「もちろん使えるよ。」


「はぁ・・・ほんと何でも使えるよね。まあいいや、持ち出し名簿名前かいとくよ。まさか持ち出ししてたとは不覚だよ。」


半ば諦めた表情で出雲を見るとハーとため息をつき頭をクシャクシャする生駒。


逆に出雲は活き活きとした表情で運び込んだ部品をポンポン叩いている。


「絶対壊さないでね。絶対だからね。壊したら木田さん帰ってきたら怒られるからね。」


「木田さんに誓って壊さないよ。」


そういうとどこか寂しそうな表情になる出雲は遠くを見つめる。その表情を察したのか生駒も頭をよりクシャクシャすると出雲に近寄りグイッと右手の小指を差し出す。


「指切り!」


「古いな生駒ちゃん。今時指切りって」


「いいから」


出雲も観念してか右手をズボンでゴシゴシ拭くと生駒の前に小指を差し出す。


「はい、指切り。約束破ったらアンカー二度と渡さないから」


「了解。了解。絶対壊さない」


2人はうっすらと笑みを浮かべると少し照れ臭そうに重なり合った指を見つめ直した。


「じゃそろそろ行こっか。」


「よろしくお願いします。」


車に乗り込むと本社に向けて走り出す。車内では新武器の話題で盛り上がり、話してるとあっという間に事務所までついた。


事務所横に停めた車から部品をせっせと2人で降ろしていく。


「ありがとう生駒ちゃん。またアンカーできたら連絡して。」


「了解だよー。なるべく早めにやってみるから」


出雲に手を振ると生駒は元来た道を帰っていく。


出雲も生駒が見えなくなるまで手を振ったのち事務所に戻る階段を上がっていく。


事務所に戻ると布志名ももどっており、出雲の汚い机の上の資料を北条と一緒に片付けていた。


「自分で言うのもなんだが座りたくなくなる席だよな・・・」


「そう思うならたまには自分でも片付けてください。」


北条が若干怒り気味でせっせと資料をまとめていっている。片付けた方が良さそうだと出雲も自分でおもったのか「片付けていただいて誠に助かっております。」というと2人に頭を下げながら自席に戻ると本日の報告書を作るべくパソコンの電源を起動しメールを確認し始めた。


「でもこのメールの数見てくれよ布志名」


出雲が自分に届いた未開封のメールの束を見てくれとパソコンの画面をぐいっと布志名の方向に向ける。


「ハイブリッドだけでも大変なのにさー。」


「なりかけだろうが、エレクトリカだろうが根こそぎ刈り尽くす。イカれ集団『レネゲイズ』にぃ!」


「なりかけをさらい、ハイブリッドを進化させるだのわけのわからないこと言ってる。『リザルト』」


「エレクトリカも関われない閉鎖地区の魔物。トップシークレットの『デモンズスクエア』」


「もうどれから手をつけていいかわかんねーわ 俺!!」


そう言い放った出雲はバシンっとパソコンを閉じると、両手をグイッと天井に向かい伸ばす。そして、お手上げと言わんばかりに伸ばした腕を覇気のない両目で見据えた。


「まあ、それほど出雲さんは変な人から人気者ってことでいいじゃないですか。」


北条がストレートに思ったことを口走る。出雲はそれを言うみたいな顔で北条の顔をみつめてから顔を伏せムリムリと手を振る。


「あぁ今日はフル残業だー。頑張りますか。」


今日も報告書の束に残業を覚悟する出雲だった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


薄暗い建物奥からカツカツカツと地面をヒールでたたく音が聞こえる。


あたりを包む残響に男が振り返り その人物に頭を下げる


「お早いおかえりで、姐さん」


その姐さんと呼ばれる人物は上着を脱ぎ捨て傘を放り投げると闇の中でギラギラした瞳を灯したまま口を開く。


「はっはぁ、今日はおもしれぇやつとあったかんな

あの腐れエレクトリカども。特にあいつとはじゃれあい決定だ。はっ」




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