救出
なりかけの少女を救出し手を繋ぎながら地上まで戻ってきた出雲。
崩れたビルの下で日陰を見つけ腰がかけれそうなブロックに座るとなりかけの少女に出雲は話しかける。
「そういえば名前聞いてなかったね。俺は出雲。しゅとって良く呼ばれてるよ。君は?」
「しゅっ・・・と?さん。」
「そう、しゅっと。珍しい苗字でしょ。結構自分でも気に入ってるんだ。」
ウンウンと頷く少女に地面に出雲という漢字を書き説明する。
なりかけの少女も出雲の地面に書いた文字を見ながら次に自分の名前を地面に書いた。
「カオル、わたしは薫だよ。しゅとさん。」
そう言いながら地面に薫という字を大きく書いてみた。
「かおるちゃんか、良い名前だね。」
そういうと出雲は薫の頭に手を乗せポンポンと頭を撫でる。薫も出雲を信用してか、ほおを赤らめながらも嫌な顔をせず頭を撫でられている。
「薬も効いてくるからね。もうじき医療班もくるから、もうちょっとだけ待っててね。」
出雲の方を向きうんと大きく頷く薫。
出雲は薫から少し離れた場所で地面に仰向けになるとヘルメットを外しタバコに火をつけた。
フーとタバコの煙を吐き出すと、おもむろに携帯を胸ポケットから取り出し熊本に連絡を取る。
「出雲でーす。無事ミッション完了し薫ちゃん救出しました。後のハイブリは宍道がどうにかしてくれるんで、俺はしばらく休みますよ。」
「さすが出雲くん。お疲れ様大変だったね。後は宍道君に期待してようかな。」
出雲の元気そうな声を聞き安心したのか熊本も嬉しそうだ。
「地下に1人で潜るって聞いた時、オペ室大変だったんだよ。由里香はあのバカはって怒って、布志名くんに早急にって何度も連絡してたよ。由里香にお礼言っときなよ。」
「ゆりちゅんに俺の事好きなんだからって言っといてください。」
「出雲君言っとくけど由里香、隣にいるからね。またプンプンするからそこまでにしといて。」
「ですね、冗談はそこまでにしときます。それで救出の際に多分レネゲイズの女と戦闘になったんですよ。髪は金髪で、化粧が濃くて、パンキッシュな女。名前はリルカ・アルデっていってたけど、そっちのデータベースにのってますか?」
「レネゲイズ?!!レネゲイズと戦闘したの?!こう言うのもなんだけどよく無事だったね。えーとリルカ・アルデだね。なんか聞いたことあるな。ちょっと待ってよ。」
レネゲイズという言葉に焦る熊本だったが、出雲に言われた通り本部のデータベースでリルカという人物について確認し始めた。その間、出雲は左のバイブロについた傷を見ながらタバコを燻らせていた。
暫くの間の後、熊本から通信が入る。
「ヒットだよ出雲くん・・・リルカ・アルデはレネゲイズの幹部の1人だよ。ばっちり写真付きで展開されてる。出雲くんの言った特徴で間違い無いよ。」
「やっぱりレネゲイズ幹部だったか・・・次あったら全力だな。あっ、熊さんここの現場終わったらバイブロ傷ついたから機材センター行くんで、鍵を誰かに預けといてもらえますか?」
「了解。センターの鍵は誰かにあずけとくから。いってもらえればわかるようにしとくよ。リルカ・アルデの情報もかえってから報告よろしくたのむよ。あぁそうだ生駒ちゃんが迎えに行くだとか、武器がどうのこうのいってたから時間があれば連絡してみて。じゃあおつかれさん。」
「はーいはーい、了解です。」
電話が終わるともう一服しようと 2本目のタバコに火をつける出雲。完全に後は宍道に任すつもりである。
さっきの寝っ転がった状態はやめブロックに座ると薫の方を見る。
薫も出雲と目が合うと首を傾げこちらを見てくる、薫も見た感じだいぶ落ち着いてきており布志名をみたり出雲を見たりその辺をウロウロしていた。
布志名も出雲の近くまで歩いてくるとタバコに火をつけ地面に腰掛けると一服しはじめる。
「レネゲイズだったかあの女。もうちょっとキツイ電撃食らわしてもよかったな。」
「ほんとだよ、100万ボルトでも食らわしてやれよ電撃王。」
出雲も布志名の顔を見ながらニカッと笑うと 、布志名のライトニングボルテックスの真似をする。
「そんなに出ねぇーよ。ペカチュウじゃあるまい。」
出雲に真似をされ少し恥ずかしげに喋る布志名。
「でもさ布志名、俺ちょっと昔思い出したよ。俺が木田さんに助けてもらった時を・・・」
「あぁ木田さんか、お前の師匠だったもんな。今頃どうしてるんだろうな。」
「絶対どこかで適当に生きてんだろう。だってあの人仮にも元『スリースターズ』だぞ。」
そういうと吸い終わったタバコを携帯灰皿に詰め込めポケットにしまう。
そうこうしてるうちに医療班が到着し薫の事を医療班に引き渡す出雲
「じゃあ薫ちゃんまたお見舞いに行くから。それまでいい子にしてるんだよ。」
「うん」と言い頷く薫に「よしいい子だ」と言いまた右手を薫の頭におきワシャワシャ撫でる出雲だった。