それぞれの苦しみと意い~最終章~
最終章に突入! 日太は悪夢を見ていた! 惨劇で何も出来ない絶望にして足が竦む悪夢を! 日太が見た悪夢はただの夢なのか? それとも――
四情狩林 それぞれの苦しみと意い
~最終章~
日太は暗闇の中にいた。
(日太)「ここはどこだ?…!」
日太が周りを見るとそこには淡堕、界男、丹波、完素の四人が血を流しながら死体となっていた。
(日太)「淡堕! 界男! 丹波! 完素!」
(山海)「やめろ!」
日太は声が聴こえる方を向くと刃物を持っている五人の大人に迫られている山海の姿が在った。
(日太)「山海!」
日太は山海に声を掛けたが気付かない。
(山海)「俺は…」
山海は見えない壁で後ろに下がれなくなっていた。
(日太)「…やめろ!」
日太は時を止めようとするが時が止まる事は無かった。
(日太)「どうして!?」
日太は時が止まらない事に動揺していた。
(山海)「やめてくれーー!」
山海に迫る大人達は既に刃物で刺そうとしていた。
(日太)「やめろぉぉぉぉ!」
日太は必死に山海の元に行こうとするが全く進まなかった。
(山海)「やめてくれ~」
山海は五人の大人達に刃物で刺された。日太は目の前の惨劇に叫んだ。
(希癒)「林寸君! 林寸君!」
(日太)「…っは!」
目が覚めるとそこには大網がいた。
(日太)「…夢か」
日太が見た惨劇は夢だった。
(希癒)「林寸君、大丈夫?」
大網は心配な表情で日太を見ていた。
(日太)「大丈夫だよ」
日太は大網を心配させない様に夢の事を隠した。
(日太)(あの夢が現実となるとしたら…)
(日太)「悪い…ちょっくら、出掛けてくる」
日太は大網に出掛ける事を言った。
(希癒)「でも、額から汗が…」
(日太)「大丈夫だから」
日太は玄関から出た瞬間に時を止めた。日太は門の前にいる人達を飛び越えて道路に出て彼らから見えない所で時を動かした。
(日太)(急がないと!)
日太はまず自由広場へ駆け出した
(日太)「ここじゃないか」
自由広場に山海達の姿は無かった。
(日太)「後は…最初の学校跡地か!」
日太は急いで学校跡地へ向った
(日太)「ここか!?」
日太の目の前に山海達五人の姿が在った
(日太)「お――!」
日太が声を掛けようとすると山海達の目の前に五人の大人が居た。
(日太)「この展開は!」
日太はさっきの悪夢を思い出した。
一方山海達の方は――
(山海)「親父!」
五人の大人は山海達の父親だった。
(山海の親父)「お前達は一族を裏切った!」
山海の父親は実の息子に一族を裏切ったと言った。
(丹波)「俺達は…」
(丹波の親父)「五月蠅い! 一族を裏切ったお前らに喋る権利は無い!」
五人の父親は刃物を出した。
一方日太は――
日太は悪夢が現実になろうとして足が震えた。
(日太)「俺は…」
(刻苦怒)『しっかりしろ!』
その時、刻苦怒が日太に話し掛けてきた。
(日太)「刻苦怒…」
(刻苦怒)『お前が見た悪夢を避ける方法が俺達にはある! それを思い出せ!』
刻苦怒は悪夢を現実にしない方法があると日太に行った。
(日太)「…! そうだな!」
(刻苦怒)『何時ものお前に戻ったな』
刻苦怒は少し笑っていた。
(日太)「俺達の力で…!」
日太が山海達の方を見ると大人達が刃物で山海達に刺そうとしていた。
(日太)「まずい!」
日太は時を止めた。日太は山海達の目の前に出た。そして、日太は時を動かした。
(日太)「グハッ!」
(山海達)『日太!』
日太は山海達の盾となり五人の刃に刺された。
(山海)「早く救急車を!」
(淡堕)「分かっている!」
山海は淡堕に救急車を呼ぶように言った。
(山海の親父)「これが報いだ!」
山海達の父親は刃物をその場に捨てて逃走した。
(山海)「待てよ!」
(日太)「…山…海…」
日太は嗄れる様な声で山海を呼んだ。
(山海)「…分かった! 完素! 俺とお前の二人で親父達を追うぞ!」
(完素)「あ、ああ!」
山海と完素は親父達を追いかけた。
数分後――
(淡堕)「こっちです!」
日太達の元に救急車が到着した。
(救急隊員)「これは、不味いな」
日太は救急車に担ぎ込まれて辰岐摩病院に搬送した。
(淡堕)「俺達も」
(救急隊員)「急いで!」
救急車に淡堕達三人も救急車に乗った。
一方、山海と完素は実の親父たちを追い掛けていた。
(山海)「待てよ!」
山海達は親父達に何とか捉えた。
(山海)「待てって言っているのが聴こえねぇのか!」
山海は父親達に自分の力を使った。
(山海)「ぐっ!」
山海は五人に力を使った為吐血した。
(完素)「大丈夫か!?」
完素が山海に大丈夫か訊いた。
(山海)「俺の事は良いから親父達を!」
(完素)「ああ」
完素は自分の力を使い父親達に檻の中に捕らえた。
(丹波の親父)「何だよ! 暗いぞ!」
(淡堕の親父)「くそっ! 一体何が…」
父親達はパニックに陥っていた。
(山海)「今の親父達が感じているのは産まれた女の子達が直ぐに感じた世界だ! 俺らは最悪の過ちを犯した! 俺がこの場所に行った時、苦しみを遥かに凌ぐ体験をした! 親父達はそれでも過ちを繰り返す気かよ!?」
山海は父親達に己の中にいる妖怪が体験した世界を父親達に体験させた。
(完素の親父)「…」
(淡堕の親父)「お前らは化け物だ!」
父親達も山海達に未だに怒鳴り続けた。
(山海)「…はぁ…親父達は勘違いをしている」
(山海の親父)「勘違いだと?」
(完素)「俺らの祖先は女の子が産まれても捨てたりはしなかった!」
(親父達)『!』
山海の言葉で父親達は言葉を失った。
その頃、日太の方は――
未だに辰岐摩病院に着いてはいなかった。
(日太)「…はぁ…はぁ…」
日太の目がゆっくり閉じて行った。
(淡堕)「日太!」
山海達の方に戻る。
(界男の親父)「嘘をつくな!」
山海達の父親達は山海が言った事は嘘だと言った。
(山海)「嘘じゃない! 俺と完素は調べたのさ」
(山海)(日太が言うまでは…)
時は遡り――
日太が病院で入院していた時の事――
(日太)「なぁ、山海」
(山海)「何だよ?」
(日太)「俺の祖先は村から出て女の子が産まれても育てたとお爺ちゃんから【あの世】と【この世】の狭間で聴いた」
(山海)「!」
(日太)「そこで、気になるんだが山海達の祖先も村から抜け出したって事は無いかなってさ?」
(山海)「…確かにそれは可能性的に在り得るな! 少し調べてみるよ!」
山海は直ぐに病室から出た。
数時間後――
山海は完素の部屋から《完素特製の携帯電話》を使って日太に連絡した。
(山海)「日太か」
(日太)「ああ」
(山海)「日太の推測通りだったよ」
(日太)「やっぱりな」
時間は現在の戻る――
(山海)「俺らが調べた方法はDNAで家族構成を調べる方法だ」
(完素)「俺が作った血液調査機で俺達の血液を入れて他の重要機密の機器に自動でハッキングして情報を一ヶ所に集めてDNAが一致する者達をピックアップして家族構成にしてDNAで祖先を辿ると女性で結婚して子供まで産まれていた者が十数人いたんだ!これは間違いなく俺達の祖先は村の掟に反対していた証拠だ!」
山海と完素は自分等の調査方法を父親達に教えた。
(完素の親父)「…じゃあ、俺達がやってきた事は」
父親達は動揺をし始めた。
(山海)「俺は親父達に自首を勧める!」
山海は父親達に自首をして欲しいと言った。
(完素)「親父達は後悔の念で埋め尽されている! 自首をすれば被害は拡大しない!」
完素は父親達を説得する。
(山海の親父)「でも、彼を刺した動機は如何したら」
(山海)「日太の親父さんと同じ事を言えばいいだけだ」
父親達は自首をしようと考えても動機の部分を如何したら良いのか分からなくなっていた所に山海が日太の父親と同じ事を言えば良いと言った。
(山海の親父)「…そうだな」
山海の父親はその方法に納得した。
(山海の親父)「お前らも息子や一族の間で葛藤していたが俺は息子の想いを酌みたい」
山海の父親は他の父親達に実の息子の思いを尊重した。
(完素の親父)「…そうだな」
他の父親達も山海の思いを酌み取った。
山海は自分の力を解くと地面に膝を着いた。
(山海の親父)「山海!」
山海の父親は山海の元に駆け寄った。
(山海)「大丈夫…流石に五人に力を使った反動だから心配しないで親父達は自首してくれ」
(山海の親父)「…分かった」
父親達は自首する為に警察署に向った。
(山海)「…俺達は辰岐摩病院に向うぞ!」
(完素)「ああ!」
山海達は病院へ向って走り出した。
十寸分後――
(山海)「淡堕!」
(淡堕)「山海…完素…」
山海と完素は病院の受付の椅子に座っている淡堕に声を掛けた。
(山海)「日太の様子は?」
山海は淡堕に日太の安否を訊いた。
(淡堕)「正直言うとまだ緊急手術でまだ判らない」
淡堕は日太が今も手術の最中だと聴いた。
手術室では――
(未代)「刃動先生! 輸血が足りません! 残りの輸血できる血液の量からして十分が限度です」
そう言ったのは息澤だった。
(刃動)「何! 手術は二十分以上掛かるって言うのに…! 誰か外に居る彼等から同じ血液型の者はいるか訊いて来てくれ」
刃動先生は外にいる丹波達に日太と同じ血液型がいないか訊いて来てくれと手術室の全員に言った。
(看護婦達)『はい!』
それに答えたのは息澤だった。息澤は手術室から出て丹波達の元へ向った。
(界男)「息澤!」
界男はこっちに来る息澤に気付いた。
(未代)「皆! 日太と同じ血液型を持っている者はいる?」
(丹波)「何かあったのか!?」
丹波は息澤に訊いた。
(未代)「…病院にある血液のストックが底をついちゃって手術は20分以上掛かっているの! …でも、最後に輸血したので十分が限界なの! …だから誰か日太と同じO型の者はいない!?」
息澤は日太の状況を丹波達に教えた。
(界男)「…山海と完素がそうだけどあいつら日太を刺した犯人を追いかけたからここには…」
界男は日太と同じ血液型なのは山海と完素のみと言ったが二人は日太を刺した犯人を追いかけて病院にはいなかった。
(未代)「二人にここに急いで来るように連絡して! …早く!」
息澤は丹波と界男の二人に山海と完素をここに急いで来るように言った。
(界男)「わ、分かった……!」
界男は直ぐに携帯を取り出して山海達に連絡を取ろうとした瞬間…こっちに走って来る山海達三人の姿があった。
(山海)「どうかしたのか?」
山海は丹波達三人に訊いた。
(未代)「それが…」
息澤は日太の現状を淡堕、完素、山海の三人に伝えた。
(山海)「…そうかなら俺の血液をお構いなく使ってくれ!」
(完素)「俺の血も!」
山海と完素は自分の血液を使う事を心置きなく承諾した。
(未代)「有難う! 後、五分しかないから急ぎましょう!」
(山海&完素)『ああ!』
息澤と山海、完素は手術室内に入って行った。
数十分後――
刃動先生が出て来た。
(山海)「先生!」
三人は刃動先生に日太の事を訊いた。
(刃動)「大丈夫! 成功したよ」
刃動先生は笑顔で淡堕達三人に答えた。
日太は病室に――
山海達は受付のテレビを見ていた。
【速報です! 今日の早朝に深大寺の一角で五日前に車で轢かれた一九歳の青年が五人の大人に刺されたと言う事件がありました。犯人は既に警察に自首をしています。犯人は刺された青年の友人達の父親でした。動機は「親である自分達の言う通りにしなかった」と供述しています。犯人達は実の息子達を刺そうとしていた所に青年が友人達を庇い刺されたと言う事です。刺された青年は命に別条は無く回復に向っていると担当医師は言っています。以上速報でした。……】
早くも報道番組に伝わっていた。
(山海)「テレビって情報網が馬鹿げているからな」
山海はそう言った。
(淡堕)「取り敢えず、日太の病室に戻るか」
淡堕は四人に言った。
(山海)「そうだな」
四人はそう答えると五人は日太の病室へ向った。
(山海)「あれ、息澤!」
日太の病室の前に息澤が居た。
(淡堕)「どうした?」
淡堕は息澤が日太の病室の前に居るのか訊いた。
(未代)「…ちょっと来て」
息澤が険しい顔をして五人を日太の病室に入れた。
(丹波)「息澤、日太に何か?」
丹波は息澤に訊いた。
(未代)「…鮫熊君なら分かるでしょ」
息澤は山海に言った。
(山海)「…!」
山海は息澤の言う通りに日太と日太の心電図を見た。すると、山海は何かに気付いた。
(山海)「…日太のやつまさか!」
(未代)「その通りよ」
(丹波)「だから、二人とも如何したの?」
丹波は二人の挙動が気になって訊いた。
(未代)「…林寸君は今…あの世とこの世の狭間に居るわ」
息澤が言うには日太は現在あの世とこの世の狭間にいると言った。
(丹波)「ちょっと待てよ! 先生が言うには日太は大丈夫だって言ったよな! あれは嘘だったのか!」
丹波は怒り口調で言った。
(未代)「…刃動先生も私も正直に言うと手術室では林寸君の心拍数は正常だったのよ!でも、今さっき来たら心拍数が正常じゃ無かったの! これはあの世に行く時の兆候と同じなのよ! …でも、まだ望みはあるわ! この状態から回復した事例もあるから…」
息澤は日太の状態と助かる可能性を教えた。
(丹波)「…そうか」
丹波は暗い顔だったが納得はしたようだった。
(山海)(…日太、戻ってこいよ)
山海は願っていた。
一方、日太は――
(日太)「ここは…前にも来たな」
日太の周りは暗かった。
(日太)「!」
すると、日太の周りに十五体の人魂が現れた。
(人魂)『貴方方のお陰で俺達の妹は助かりました』
そう人魂の一人が言うと全ての人魂が人型に変わった。
(日太)「君達は!」
日太の前に現れたのは何と魔負児小学校の救男、詩蘇男、遊子と屍穀病院の守堕、溧子、理子と赤獄銭湯の漉太、冷子、沴耶と幸攏研究所の雷太、徳美、凍子そして気愛東寺の平他、燿代、恥緪の十五人だった。
(救男)『俺達は君達のおかげで妹を救ってくれました。本当に有難うございます!』
救男がそう言うと日太の周りに居る全員がお辞儀をした。
(日太)「いや、俺達は一族の過ちで苦しめられた者達を救うと決めただけですから」
日太は自分達が彼らを救った理由を話した。
(冷子)『…私達が無関係の人間だったら救わなかったの?』
冷子さんが日太に訊いた。
(日太)「…そう来たか! …俺は無関係でも助けますよ! …って言うか世の中に無関係は無いから!」
(冷子)『…そう』
日太の説明に冷子さんは安心した。
(救男)『…さてと、君を肉体に戻す』
(日太)「…まさか」
彼らが日太の魂を日太の肉体に戻すと言った時、日太は前回ここに来た時に体験した事を想い出す。
(救男)『…我々の妹を救った者がこんなにも早く死ぬ事は俺達が絶対に許さない! 元の肉体に戻れ!』
救男がそう言うと全員は日太の目の前に並び前回と同じ構えをした。最後の「…戻れ!」の所で日太に強烈な一撃が炸裂して日太は後ろに吹っ飛んだ。
(日太)「…はっ!」
日太が目を覚ますと外は既に夕方だった。
(未代)「あら、お目覚め?」
(日太)「息澤か」
日太に声を掛けたのは息澤だった。
(未代)「…それにしても、数日後にまた入院するとはね」
(日太)「だな」
息澤は日太が五日後にまた入院した事に呆れて言った。日太はそれに微笑んで言った。
(山海)「日太!」
その時、山海達五人が入って来た。
(山海)「良く、戻って来たな」
山海は笑顔で言った。
(日太)「…まぁな」
日太は照れくさい表情で返答した。
数分後――
日太の病室には息澤と山海達五人に加え大網と沙枝さんがいた。
(希癒)「成程ね…悪夢を見て家を飛び出したと」
大網はムカッとした表情で言った。
(日太)「…はい」
日太は言葉が詰まった。
(希癒)「あんた! 私との約束を破る所だったのよ!」
大網はお怒りになった。
(日太)「…すいませんでした」
日太は暗い表情で謝った。
(刃動)「これは、これは、元気の様で」
病室に入って来たのは刃動先生だった。
(日太)「先生!」
(刃動)「…君は退院だ!」
(全員)『!』
刃動先生の発言で全員が驚いた。
(山海)「退院って!」
山海が刃動先生に訊いた。
(刃動)「明後日にはお前さんらの小学校の同窓会が行われる日だろ?」
刃動先生は皆に訊いた。
(日太)「…はい」
日太が刃動先生の問いに答えた。
(刃動)「入院していれば同窓会に参加は出来ない! …だが退院していれば同窓会には参加できるそう言う事だよ!」
刃動先生は日太が同窓会に行かせる為に退院を進めた。
(日太)「俺は…同窓会に…行きます! だから、退院させて下さい!」
日太は退院を選んだ。
(刃動)「…じゃあ、今日の八時に病院を出てもらう!」
(日太)「はい!」
日太は今夜8時に退院する事になった。
数時間後――
日太は病院に来た山海達六人と共に帰路に着いていた。
日太達の後ろから謎の人物が見ていた。
(謎の人物)「…先生、今回の件は予想通りの展開ですよ。……はい! …そうですか有難う御座います…後は俺一人でやるので…心配はしなくていいですよ…明後日は同窓会です…そこで俺が彼らを引き入れましょう…【特殊逃走犯捕縛班】に…」
謎の人物が言う【特殊逃走犯捕縛班】とは一体!?
四情狩林 それぞれの苦しみと意い
~最終章~ 完
四情狩林 同窓会と隠された真相 続く――
これにて《それぞれの苦しみと意い》は終わった! だが、日太達の同窓会が控えてる!