それぞれの苦しみと意い~第五章~
日太は先に進むために仲間達と共に一族の廃墟に向かう! 悲しき霊を助けるために!
四情狩林 それぞれの苦しみと意い
~第五章~
~朝~
(日太)「う~ん~」
(日太)(何か上に乗っている?)
日太はゆっくりと目を開けるとそこには――。
(日太)「! ちょっと、大網! お前何でいるの?」
日太の横には大網が居た。
(希癒)「う~ん~」
大網はまだ眠っていた。
(希癒)「あれ、林寸君?」
大網は起きた様だ。
(希癒)「…! 何でいるのよ!」
大網は日太に強烈なビンタを当てた。
(日太)「あがっ!」
日太は大網の強烈なビンタで壁まで吹き飛んだ。
(日太)「いたっ!」
(希癒)「何でいるのよ!」
(日太)「いや、それはお前の方だよ」
(希癒)「!?」
(日太)「…覚えてないのか?」
(希癒)「確か昨日の夜にお互い隣に部屋で寝る時の挨拶をして扉を閉めたわよね」
(日太)「ああ」
二人はなぜ一緒に寝ているのか必死に考えていた。日太は扉から視線を感じた。
(日太)(……若しかして)
日太は一時的に大網と日太以外の時間を止めた。
(希癒)「何したの?」
(日太)「俺とお前以外の時間を停止させただけ」
(希癒)「そんなこと出来るの?」
(日太)「大網は俺の守護霊から聴いているよな」
(希癒)「! どうして」
(日太)「簡単だよ あの時、実はまだ熟睡をしていなかっただけ」
(希癒)「……確かに聴いたわ」
(日太)「なら、話が早い俺の中には妖怪を共生させている」
(希癒)「妖怪?」
(日太)「正確に言うと村で亡くなった女性達の怨念が集まった妖怪を俺の体内で一緒に暮している」
(希癒)「それって、危険じゃないの?」
(日太)「確かに気力がこいつより弱くなれば俺の体はこいつの物になるかもな」
(希癒)「だったら」
(日太)「……怨念を創るのは人間だ。でも、怨念を救えるのも人間だ」
(希癒)「…そう」
(日太)「取り敢えず、この話は此処まで。俺が俺とお前以外の時間を止めたのは…」
(希癒)「まさか、私に如何わしい事を!」
(日太)「ちげぇよ! 何で俺の部屋にお前が居る理由が大凡分かった」
(希癒)「本当!」
(日太)「ああ、恐らく沙枝さんだろうな」
(希癒)「沙枝さん!?」
(日太)「ああ、あそこにいる」
日太は扉に指差した。大網は扉を開けた。すると、確かに沙枝さんが居た。
(日太)「沙枝さん、ああ見えて、昔は大型トラックを両手で持ち上げた事があって今もお前は軽いらしいな」
(希癒)「ちょっと待って、私の命はそんなに軽いって言うの」
(日太)「ちげぇよ! お前の体重が軽いと言っただけでお前の命は軽く何かねぇよ!」
大網は一瞬だけ顔が赤くなった。
(希癒)「……それは兎も角、どうやって沙枝さんに問い詰める?」
(日太)「問い詰めなくて良いよ」
(希癒)「……でも」
(日太)「良いから全て時間が止まる前の状態に戻すぞ」
(希癒)「うん」
二人は時間が止まる前の状態で二人も時間が止まる前の体制に戻った。
(日太)「じゃぁ、お前は俺に止まる前の様に俺に一杯、言え!」
(希癒)「分かったわ」
日太は時間を動かした。
(希癒)「……じゃぁ、如何して、私此処に居るのよ!」
(日太)「知るかよ!」
口論は数十分続いた。
(日太)(そろそろ、口論を止めて、沙枝さんのいる所に行こう)
(日太)「……なあ、口喧嘩はこの位にしといて一階に行こうか」
(希癒)「……そうね」
二人は部屋から出ると階段を下りて行こうとする沙枝さんが居た。
(日太)「……沙枝さん」
日太は少し怒りの表情で沙枝さんを呼び止めた。
(沙枝)「……日太ちゃん、希癒ちゃん…御免なさい!」
(日太)「やっぱりね」
(日太)「謝らなくて良いですよ」
(希癒)「一寸、林寸君!」
(日太)「特に何も無かったし良かったじゃねぇか」
(希癒)「……そうね」
(沙枝)「許してくれるの?」
沙枝さんは二人に訊いた。
(希癒)「許しますよ」
(日太)「取り敢えず、朝飯にしようぜ!」
日太は二人に朝食にしないかと訊ねた。
(希癒)「そうだね」
(沙枝)「今日の朝はパンだけど良い?」
沙枝さんは二人に訊いた。
(日太)「俺は良いけど」
(希癒)「私も」
(沙枝)「じゃあ、パンにするわね」
沙枝さんは軽快に階段を下りていった。
数分後――
(沙枝)「朝食が出来たわよ~」
沙枝さんの言葉で二人は一階に下りて、朝食を取っていた。
(希癒)「ねぇ、今日は何所か行くの?」
大網は日太に訊いた。
(日太)「まぁ、山海達と一寸ね」
(希癒)「……そう」
(沙枝)「何も起きなきゃいいけど……」
日太の言葉で沙枝さんは不吉な予感がしていた。
数時間後――
日太は出掛ける準備をしていた。
(刻苦怒)『前に山海が言っていた場所に行くのか?』
(日太)「あぁ、病院で山海が言っていた所には二手に分かれて行く事になって俺は淡堕と界男の二人で淡堕の一族の施設に向う事になっているからさ」
日太は病院で山海との話で出て来た施設に今日行く事になっていた。
(刻苦怒)『そうだな……でも、一つ疑問があってさ』
(日太)「何だよ?」
刻苦怒は日太に気になる事を言った。
(刻苦怒)『お前の親父さんが車でお前を轢いたのは事実だが家に戻るのは事件当日の夜中に家に戻る事だったが事件が起きたのは昼の正午だった。事件当日の帰宅の早さが気になるし、どうやって我々の行動をあそこまで熟知していたのか気にならないか?』
(日太)「…そう言われてみれば妙だな」
刻苦怒の言葉で日太も気になった。
(日太)「取り敢えず、準備も出来たし行くか!」
日太は玄関に行った。
(日太)じゃ、行ってくるわ!」
(沙枝)「行ってらっしゃい」
日太は玄関を開けた。しかし、外にはバッシングをしに来た者達で溢れ返っていて外に出られない状態だった。日太は渋々玄関を閉めた。
(希癒)「如何したの?」
(日太)「いや、外は人だかりで出られない状態で」
(希癒)「如何するの?」
大網は日太にどうやって外に出るのか訊いた。
(日太)「一つだけ方法がある」
日太は靴を持って二階に上がり人だかりから見えない方のベランダから日太は外に出た。
(希癒)「どうするの?」
(日太)「隣のベランダに飛び移って行くって言う方法が一つだけ」
(希癒)「でも、遠過ぎない?」
(日太)「いや、家から出る道からの隣じゃなくって後ろの方にあるあっちの家のベランダに飛び移るだけ」
日太が言う方に確かに家の後ろの家にベランダがあって距離的には飛び移る事が可能だった。
(日太)「じゃあ、行ってくるから」
(希癒)「うん、気を付けて」
日太は隣のベランダに飛び移って隣の道に着地した。
数分後――
(日太)「すまん! 遅れて」
日太は淡堕の家に着いた。
(界男)「遅いぞ!」
界男は日太に遅刻した事を怒った。
(日太)「色々あって」
日太は遅刻した事を平謝りした。
(界男)「まあ、良いけど」
(淡堕)「取り敢えず、廃墟に向うぞ!」
日太達は淡堕の一族が経営していた廃施設に向った。
一方山海達は――
山海達は既に完素の一族が経営していた建物に着いていた。
(山海)「取り敢えず、例の物を取りつけろよ! 完素!」
(完素)「もう既に入れておいた」
完素は例のカメラを機能させて左胸の胸ポケットに入れた。
(山海)「じゃぁ、中に入りますか、二人とも!」
(完素&丹波)『おう!』
三人は建物の中へ
(完素)「酷い状況……でも、ないか」
三人が目にしたのは普通の廃墟ではなく完璧に未だに全ての機器は起動していて廃墟とは思えない状態だった。
(丹波)「機器が今も動くって……」
(完素)「いや、不可能じゃない」
(山海)「どう言う事だ?」
山海が完素に訊いた。
(完素)「まず、電力は建物が創っていて電力会社からの供給は一切無しで動いている」
(丹波)「だけど、どうやって?」
(完素)「恐らく、建物の最下層に電力を創る機器が存在していて未だに創りだしている」
(山海)「でも、此処は既に廃墟だぞ! 此処で働いていた者達は如何して電力供給危機を止めなかった?」
(完素)「まぁ、その電力供給機器は永久に動く為に創られ停止釦を付けておらず現在に至るまで動き続けているんだろうな」
此処の機器が動いている理由を完素は推測して二人に説明した。
(丹波)「でも、俺が一番気になるのは機器が埃も汚れも無く今も動いているのは何故だ?」
丹波は機器が今も正常に動いている疑問を二人に訊いた。
(完素)「一つ目の疑門についてだが……機器の上は強力な風力機で外に出して、床の方は自動掃除機で床を掃除する」
(丹波)「成程な」
丹波は完素の説明で納得した。
(山海)「俺も疑問がある。機器は動き続けば熱が出て、最悪の場合は火事になるかもしれないのに未だに火事にもならずに動いているのは何故だ?」
山海も完素に疑問をぶつけた。
(完素)「恐らくと言うか先ず間違いないのだが強力な冷却機があちこちに設置されていて恐らく例の電力供給機器の近くにも設置されている」
山海の疑問に完素が説明した。
三人は建物の二階へ――
三人はある部屋に入った。
(完素)「此処は非人道的な実験をしていた者達の実験室だったらしい」
完素が言うにはこの一室では非人道な実験が行われていたらしい」
(丹波)「…でもよ。非人道的な実験といったら死者は必ず出てくる筈だ! 遺体は何所にやっているんだ?」
丹波が完素に訊いた。
(完素)「この部屋には隠し通路があって、其処から遺体を捨てていたと書物には記されていたけど」
(丹波)「隠し通路!」
二人は完素が言う隠し通路を探した。
数分後――
(山海)「…ん? 此処に何か」
山海が何かを見つけた。
(完素)「如何した?」
(山海)「いや、何かが此処に……」
(完素)「一寸、変わって」
完素は山海が気になった場所に手を付けた。すると、扉が開いた。
(山海)「ど、どうなっているんだ?」
山海は扉が開いた事に驚いた。
(完素)「俺の遺伝子……つまり、DNAが取られてそれが一族の者と一致した事を機械が認識して扉が開いた」
(山海)「それでか」
二人は完素の説明に納得した。
(山海)「この中か」
山海は扉の中を覗いた。
(山海)「これは!」
山海が中を覗くと床が見えなかった。
(完素)「ここから、遺体を投げ落として捨てたって事だろうな」
完素はそう推測した。
(山海)「どうやって下りる?」
(完素)「それなら、大丈夫だ」
完素はそう言うと手を前に出した。すると、急に床が現れた。
(山海)「どうやって出した?」
(完素)「俺の力は檻を出す事だ。まぁ、これは檻の天井にあたる部分で其処を床の代わりにしただけ」
完素は檻を出しただけだった。
(完素)「取り敢えず、これに乗ってくれ!」
完素は二人に檻の上に乗れと言った。
(山海&丹波)『あ、ああ』
三人は檻の上に乗った。
(完素)「じゃあ、下に参ります」
完素がそう言うと檻はゆっくりと降下し始めた。
(丹波)「如何なってるんだ?」
丹波は完素に訊いた。
(完素)「俺が今回出したのは天井がゆっくり降下していく檻だ」
(山海&丹波)『……』
完素の説明で二人は少し鳥肌がした。
(丹波)「完素……お前って以外に怖いな」
(完素)「そうか」
完素は笑みを浮かべていた。
数分後――
三人は一番下に着いた。
(完素)「此処までか」
完素は檻を消した。
(完素)「到着~」
(山海)「あれは……」
山海は砂埃の中から何かを見つけた。
(完素)「如何した?」
完素が山海に訊いた。
(山海)「あそこ」
山海は目の前に指を指した。二人は指差した方向を見ると何かノートがあった。
(完素)「ノートか?」
完素達三人はノートらしき場所へ……
(山海)「間違いないノートだ!」
山海はノートを手にとって砂埃から引っ張り出した。
ノートの見出しは【遺書】と書かれていた。
(山海)「遺書って! …まさか!?」
山海は完素の方に振り向いた。
此処では二人の人間が屋上から投身自殺をした事が例の書物に記されていた。
(山海)「…読むか?」
山海は二人に読むか訊くと二人は「読んで」と言った。
(俺の名前は喜未 雷太【きみ らいた】この幸攏研究所【こうろうけんきゅうじょ】の研究員です。俺は研究所の裏の顔を知らなかった。俺が研究所の裏の顔を知ったのは俺の妹である凍子が行方不明になって初めて知った。俺が裏の顔を知るまでの詳細をお伝えします。俺は妹と中が良く妹は何時も笑顔でいた。そんなある日両親から「凍子は車に轢かれて死んだ」と言われたが俺はその言葉が本当だとは思えなかった。俺は妹の行方が分からず十日過ぎた時に俺は気分転換に部屋の掃除をすると妹が書いた手紙が見つかった。そこには(私は何時も研究所内で料理の手伝いをしたり、親父の秘書をしたり、研究所の掃除をやっていました。お兄ちゃんがこの手紙を読むとき私は既に研究所内の隠された部屋【ゴミ処理場】に遺体として捨てられています。その理由は両親と複数の研究員のみで行われていた研究の被検体の役目でした。でも、ある日にお父さんから「ここだけは掃除をするな」と言われたけど中にこっそり入ると子供の遺体が数千体もあった。私も何時かはこうなると察したからこの手紙をお兄ちゃんの部屋に隠しました)と書かれていて私は親父に発信機を付けて観視していると昔親父に「此処は関係者以外立ち入り禁止だから入らない事」と言われた場所に入っていたのが窺えたから夜中誰もいない事を確認して研究所内に入って例の一室に行くと簡単に開いた。中に入って探すと変な窪みを見つけた。そこに手を当てると左横が突如開いた。でも高さがあった為仕方なく他の入口を探しているとふと思った。此処を造った人物は此処からどうやって出たのか気になり俺は持っていたコインを下に落として音の反響でどのくらい深いのか調べたら地下五階ほどの反響があった。そこで俺は地下五階まで下りた。すると、地下五階も立ち入り禁止区域になっていたが俺は警告を無視して先に進むと大きな扉があった。それを開けると数千を超える数の遺体があった。俺はその中から妹を探すとミイラ化した遺体を見つけた。それは、妹の凍子だった。俺は妹を殺した研究所が憎くなり俺は研究所を研究所としての機能を壊す為に俺は投身自殺する事に決めた。……俺は妹が一番大切な存在だ。お前が居なくなった世界は俺にとって悲しみがずっと続く世界だ。俺が兄として出来るのは研究所の機能を無力化することぐらいだ。馬鹿な兄で済まない。……)
三人は涙を少し流していた。
(丹波)「なぁ、今の研究所は機能を果してはいないが何時からだ?」
丹波は完素に研究所が何時廃墟となったのか訊いた。
(完素)「それは……」
(山海)「ちょっと待て!」
完素は丹波に返答しようとすると山海が止めた。
(完素)「如何した?」
(山海)「これ……まだ、続きがあるぞ」
山海は遺書の続きがある事に気付いた。
(丹波&完素)『読んで』
二人は山海に読んで欲しいと言った。山海は遺書の先を読んだ。
(私の名前は感末 徳美【かんまつ なるみ】ここ幸攏研究所で働いていた者です。私は雷太君と一緒に投身自殺を決意しました。私が何故雷太君と一緒に死ぬ事になったのかお伝えしましょう。私は雷太君と一緒の研究をしていました。雷太君の妹の凍子ちゃんとは研究員の中では一番中が良かった。そんなある日少し様子が可笑しい凍子ちゃんに逢った。その時の凍子ちゃんは可なり疲れていたように見えた。私は凍子ちゃんに「大丈夫?」と訊くと凍子ちゃんは「大丈夫だから」と言って私とその場で別れたのが最後だった。次の日に凍子ちゃんを見る事は無かった。それで凍子ちゃんの兄の雷太君に凍子ちゃんの事を訊くと「両親は車に轢かれて死んだって言っていた」と言っていて雷太君は両親の言葉を信じていなかった。私も雷太君と同じで所長の言う事は信じられなかった。私は雷太君が何かしないか心配で何時も雷太君の後をストーキングしていた。そんなある日の夜中に雷太君が珍しく家から出て来た。私は雷太君の後を追った。雷太君が二階にある立ち入り区域に入って行ったのを見た。私は隠れて見ていた。すると雷太君が部屋から出てくるのが見えた。私はこっそり、雷太君が作った発信機を撃つ銃を雷太君に向けて撃った。私は雷太君が出て来た部屋に入るとかなり見慣れない薬や実験室には大量の血が見えた。私は部屋から出て雷太君が行った方角を調べると地下に向っているのを確認して私も音を立てずに急いで後を追った。雷太君を目視出来る距離になってゆっくりと後を追った。すると、地下五階で何所かに向った。雷太君が扉を開けるのを見て様子を見ていたら数分後に部屋から大きな叫び声が聴こえた。すると、直ぐに雷太君が出て来た。私は雷太君が入った部屋に入るとものすごい数の子供の遺体があった。その中で最も新しいミイラ化した遺体を見つけた。ミイラ化した遺体を見ると凍子ちゃんだった。私は雷太君が叫んだ理由が分かり次に雷太君が何所に行くのか分かった。私は急いで雷太君の後を追うと推測通り屋上に雷太君はいた。もう少しで飛び降りそうだったから私は雷太君が自殺するのを止めた。私が何故此処に居るのかちゃんと教えた。すると雷太君は「如何して俺の後を追う?」と訊かれた。私は雷太君に「好きだから!」と告白した。すると、雷太君は凍子ちゃんからの手紙を見せてくれた。私は驚いた。でも、私はそのまま死ぬのは凍子ちゃんの願いや雷太君の悲痛な想いは成就しないと察してある提案をした。其れがこの遺書を書く事で未来永劫忘れる事無いと思い私は雷太君にこの事を提案した。雷太君は其れに乗った。それで私はノートとペンを持っていたので雷太君は全てを書いた。すると、雷太君は「一緒に死ぬ覚悟があるのか?」と訊かれて私は「雷太君が居なくなったら駄目になる」と言うと雷太君は「俺の次に遺書を書いて一緒に死のう」そう雷太君が言って私は今の遺書を書いた。でも、遺書を投身自殺の屋上に置いとくのは不味いと思い二階の研究室の扉から【ゴミ処理場】に落とした。……私は、凍子ちゃんのお兄さんが好きで一緒に死ぬ事にした。もしも、あの世で凍子ちゃんに逢えたら三人一緒に暮そう……)
三人は涙が滝の様に流れていた。
(丹波)「さっきの続きだけど何時廃墟になった?」
丹波は二つ目の遺書を読む前の疑問を再度完素に訊いた。
(完素)「確か……二人の自殺後に研究部員の人々が辞めて行って裏の行為が隠れなくなり研究所は閉鎖となったって書物に記されていた」
完素は丹波の問いに答えた。
(???)『お願いがあります』
完素達以外の声が聴こえた。
(丹波)「誰ですか?」
丹波は聴こえた声に誰かを訊いた。
(???)「私達は……」
(完素)「分かっています。雷太さんと徳美さんですね?」
(???)『はい』
完素は声の主を当てた。
(山海)「お願いとは?」
山海は二人の願いについて訊いた。
(徳美)「凍子ちゃんを救って下さい!」
(丹波)「どう言う事ですか?」
丹波は声の主に訊いた。
(雷太)「俺達二人が死んだ後、研究所は数日後に確かに閉鎖されました。ですが凍子は今君達がいる場所で今も苦しんでいます。俺達は何とか凍子に必死に研究所が閉鎖した事を伝えようとしましたが何か特殊な力で声が届きません、ですから貴方方にお願いします。凍子を救って下さい……お願いします!」
声の主は凍子ちゃんを救って欲しいと強く頼んだ。
(完素)「分かりました! 全力で凍子ちゃんを救って見せます!」
完素は声の主の願いを引き受けた。
(雷太&徳美)『お願いします!』
声の主はそう言うと聴こえなくなった。
(完素)「まずは凍子ちゃんを呼ぶか!」
(山海)「どうやって?」
完素は凍子ちゃんを呼ぶと言った。
(完素)「凍子ちゃん出ておいで~!」
(山海&丹波)『そんなので、出てくるかぁ!』
普通に凍子ちゃんを呼んだ。それを山海と丹波が突っ込んだ。
(狂霊)『ダレ、アソボウヨ』
(完素)「出て来た!」
何と完素が普通に呼ぶとスゥーと現れた。山海と丹波は驚いた。
(完素)「遊ぶ為に呼んだ訳じゃないの」
(狂霊)『アソブタメジャナイ……』
完素が正直に言うと凍子ちゃんは様子が可笑しくなった。
(狂霊)『アソボ、アソボ』
(完素)「落ち着いて、話を聴いて」
凍子ちゃんは突然部屋の全体にある砂埃を念力で宙に浮かせた。
(完素)「これは非常に不味いかも」
完素は凍子ちゃんが砂埃を宙に浮かせた事で非常に危険だと察した。
(狂霊)『ア~ソ~ボ~ヨ~!』
凍子ちゃんは砂埃を小さな針にして完素達に目掛けて飛ばした。
(完素)「!」
完素は二人を守る為に強力な防弾ガラス製の檻を出現させた。
(山海)「あぶねぇ」
山海がホットしていると檻の中に浮遊している砂埃を三本の包丁に変えて背後から三人を襲う。
(鵯恕)『丹波! 後ろからだ!』
鵯恕が丹波に後ろから奇襲を知らせた。丹波は直ぐに両腕を嘴に変えて三人に襲う刃物を食い止めて、刃物に流れる念波を嘴で吸い取った。
(完素)「山海! 一時的に凍子ちゃんの視界をゼロにしてくれ!」
(山海&丹波)「了解!」
山海は凍子ちゃんの視界をゼロにした。
(狂霊)『ミ~エ~ナ~イ~ヨ~』
凍子ちゃんは見えなくなりパニックに陥り砂埃が部屋全体を巻き上げる程の砂嵐を創りだした。三人は砂嵐の影響で上手く力をコントロール出来ていなかった。
(完素)「丹波!」
(丹波)「分かっているけど砂が目に入りそうで防御するので精一杯!」
(山海)(どうする)
丹波の力で砂嵐を止めようと考えるが丹波は目に砂が入らない様にするので精一杯だった。
(山海)(……そうだ!)
完素は何かを思い付くと完素はシャツの右ポケットからサングラスを掛けた。
(山海)「これで腕が使える!」
完素はサングラスを付けた事で腕が使えるようになった。
(完素)「二人とも俺から離れろ!」
完素は山海と丹波に自分から離れる事を指示した。
(山海&丹波)『ああ!』
二人は指示に従い完素から離れた。
(完素)「これで準備は出来た」
完素は砂嵐にも負けない強力な檻を二人の周りに出した。
(完素)「お前ら! もう大丈夫だ!」
完素の言葉で二人は手を目の前から退かした。すると、二人は檻の中にいた。
(完素)「これでお前らも力を使える筈だ」
完素は二人に力が使える様になった事を伝えた。
(丹波)「完素! お前の妖怪と俺の妖怪を入れ替えるぞ!」
丹波はお互いの妖怪を入れ替えると言った。
(完素)「駄目だ! 俺と櫳巣で凍子ちゃんの苦しみを解く! お前らは邪魔をするな!」
完素は丹波の提案に反対して山海と丹波の二人に完素は自分と櫳巣の二人で凍子ちゃんの苦しみを解くと言った。
(山海)「……分かった」
山海は完素の想いを受け取り凍子ちゃんの苦しみを解くのを完素に任せた。
(丹波)「山海!」
丹波だけは完素の気持ちに気付いていなかった。
(山海)「丹波! ……完素の気持ちを考えろ!」
山海は丹波に完素の気持ちを考えろと言った。丹波は山海の言う通りに完素を見ながら完素の気持ちを考えた。
(丹波)「……! 完素、お前は…」
丹波は完素を見ると涙が出ているのが分かった。
(丹波)「……分かったよ」
丹波も完素の想いを受け取った。
(完素)「じゃぁ、行ってくる」
完素は凍子ちゃんの苦しみを解く為に砂嵐の中心に向った。
(山海&丹波)『完素……頼むぞ!』
二人は完素が凍子ちゃんを助けると信じて待つ事にした。
(狂霊)『ク~ラ~イ~ヨ~』
凍子ちゃんがそう言うと急に砂嵐の音が消えた。
(完素)「君が凍子ちゃんだね?」
完素は本人に名前を確認した。
(狂霊)『ワタシトアソバナイコハキライ~』
(完素)「聴く耳持たないか……たくっ!」
完素は檻の性質を変えた。
(凍子)『!……ここは?』
完素が檻の性質を変えた事で凍子ちゃんは意識がハッキリした。
(完素)「君は死んだ事は分かっているよね?」
(凍子)『うん』
完素の問いにもハッキリと答えた。
(完素)「君が死んだ後に君のお兄さんと徳美さんが君の為にこの研究所から投身自殺をしたの」
(凍子)『お兄ちゃんと徳美お姉ちゃんが……』
(完素)「そうだよ」
完素は凍子ちゃんに死んだ後の事を教えた。
(凍子)『嘘よ!』
(完素)「嘘じゃない!……その証拠に君のお兄さんと徳美さんが書いた遺書を読めば分かる筈だ!」
完素はジャンパーの裏ポケットに隠していた雷太と徳美さんの遺書を凍子ちゃんの足元に置いた。
(凍子)『…!』
(完素)「二人の気持ちに答えてあげなさい!」
(凍子)『うん』
凍子ちゃんは雷太と徳美さんの遺書を読むと凍子ちゃんの苦しみが解放されて清々しい表情に変わった。
(完素)「よし! それじゃぁ二人の所に行こう」
(凍子)『うん』
完素はまず山海と丹波の檻を消した。
(丹波)「檻が消えたって事は……」
(山海)「ああ、完素が凍子ちゃんを救えたって事だ!」
丹波は檻が消える前に既に腕を嘴に変えていた。
(丹波)「悪しき呪いを喰う!」
丹波は砂嵐の根源である悪しき念波を嘴で喰い尽した。
(山海)「丹波、完素の元に行くぞ!」
(丹波)「ああ!」
山海達は完素の元へ向った。
(山海)「完素! 檻の外はもう安全だぞ」
山海が完素に檻の外が安全だと伝えた。すると、檻が消えて完素と幽霊の凍子ちゃんが現れた。
(完素)「雷太! 徳美さん! 凍子ちゃんを救いました。出てきて下さい!」
完素が雷太と徳美さんの二人に伝えた。すると、天井からゆっくりと下りて来た。
(雷太)『凍子!』
(徳美)『凍子ちゃん!』
雷太と徳美さんは凍子ちゃんに抱きついた。
(徳美)『本当に良かった』
二人はまだ凍子ちゃんに抱きついていた。
(徳美)『そうだ! 彼らに礼を言わないと!』
(雷太)『もう……いないけど』
(凍子)『え?』
三人が周りを見渡したが完素達三人の姿が無かった。
(山海)「…まあ、あそこに居るのは野暮だからな」
完素達は既に研究所から出ていた。
(丹波)「そういえば、山海、さっき何所に電話してたんだ?」
丹波は山海に電話していた事を訊いた。
(山海)「ちょっとな」
(丹波)「……そうか」
山海は丹波の質問に答えなかった。
(山海)(あいつは、今回の件にも陰で出てくると思ったが大網が言うには今回行く時に周りを探したがあいつの姿は影一つなかったと言いていた。あいつは何を考えている)
山海が言う《あいつ》とは一体?
(丹波)「…そう言えば完素はどうやって狂霊となった凍子ちゃんを助けたの?」
丹波は完素似どうやって凍子ちゃんを救ったのか訊いた。
(完素)「俺の能力は色々な檻を出現する事が出来る。今回、出現させたのは悪しき念波のみを吸収する檻を出現させた」
完素は丹波の問いに答えた。
三人は帰路についていた。
時間を少し溯り淡堕組に――
淡堕達三人は廃墟の寺に着いていた。
(界男)「この寺……村に通ずるあの寺に似ている気がする」
界男は九日前に行った村に通ずる名も無き寺にそっくりだと言った。
(淡堕)「確かに……でも、違う所があるとしたらあっちには神が居なく、こっちには神が存在していた位だな」
淡堕は界男と同じ事を言った。
(日太)「取り敢えず、二時間位まで調べるぞ!」
(淡堕&界男)『お、おう』
三人は寺の周りを三手に分かれて調査し始めた。
二時間後――
(日太)「もう時間か…」
日太は時間になり寺の中央に向った。
(日太)「おう、二人とも!」
日太が中央に行くと淡堕と界男の二人も丁度向っていた。そして、日太と淡堕、界男の三人は寺の中央に集まった。
(日太)「俺の方は特に怪しい空気がした場所は無かったな!」
日太が調べた西側の方には怪しい場所が無かった。
(界男)「こっちには怪しい場所と言うか気になる場所はあった」
界男が調べた東側には界男が気になる場所があったらしい。
(淡堕)「俺の方には怪しい空気が万々している場所があった」
淡堕が調べた本殿がある北側に怪しい空気がする場所を淡堕が見つけた。
(日太)「先ずは界男が見つけた場所に行くか?」
日太は界男が見つけた場所に行くか二人に訊いた。
(淡堕)「界男の方を先に行った方が良いと俺の第六感がそう言っている」
淡堕は日太の提案に頷いた。
(界男)「…良いけど」
界男も日太の提案には賛成だった。
(日太)「じゃあ、界男、案内頼むよ」
日太は界男に案内する様に頼んだ。
(界男)「ああ」
界男は二人に気になった場所に案内した。
数分後――
(界男)「ここだよ」
界男が案内した場所は角の無い牛の像だった。
(日太)「此れの何処が気になる?」
日太は界男に牛の像の何処が気になるのか訊いた。
(界男)「牛の像の台座と地面の境目に隙間が微かに開いているのが気になるんだ」
界男が言う台座と地面の境目を日太と淡堕も見た。
(日太)「確かに開いているな」
(淡堕)「結構前に一度動かされた様だな」
日太と淡堕の二人も確かに気になった。
(日太)「取り敢えず、動かして見るか」
日太は三人で牛の像を動かそうと提案した。
(界男)「そうだな」
(淡堕)「下に何があるのか気になるからな」
界男と淡堕は日太の提案に乗った。そして、三人は牛の像と台座を動かした。
(日太)「ハァ…ハァ…流石にきついな」
三人が牛の像の台座を何とか動かすと其処には……
(淡堕)「何も無いな」
淡堕の言う通り、地面には何も無かった。
(日太)「…いや、地面の一部分の色が違うぞ!」
(界男)「…本当だ!」
日太は地面の一部分の色が周り地面の色よりもちょっとだけ濃い事に気付いた。
(界男)「掘ってみるか?」
界男は日太と淡堕の二人にちょっと濃い部分を掘るか訊いた。
(日太)「それは良いけど掘る道具は?」
日太は丹波の提案には納得だが日太は三人が掘る道具が無い事を言った。
(界男)「…そうだった!」
界男は掘る道具が無い事を忘れていた。
(淡堕)「…俺が掘ろう!」
(日太)「淡堕?」
淡堕は自分が掘ると言った。
(界男)「でも、どうやって?」
界男は淡堕にどうやって掘るのか訊いた。
(淡堕)「こうやって」
そう言うと淡堕は力で剣先が丸い刀を出した。
(界男)「何だ、それ?」
界男は淡堕が出した刀について訊いた。
(淡堕)「これで、掘るだけ!」
そう言うと淡堕は刀の剣先をちょっと濃い部分を使って掘り始めた。すると、中位の木箱が出て来た。
(日太)「木箱?」
(淡堕)「開けるぞ!」
(日太&界男)『ああ』
淡堕は木箱を開けた。すると、二つのノートと小さなボールと一つの封筒が入っていた。淡堕は封筒を手に取り封筒の中の物を出した。
(淡堕)「手紙…いや、遺書だな」
淡堕は遺書を読み始めた。
(お兄ちゃん…私、ママとパパの話を聞いちゃったの…私の体が弱いのは体質じゃなくて毎日のご飯に毒を入れていたって聞いちゃったの…その後にママとパパが希望と言えることを言っていた。私に盛った毒を一週間以内には死ぬと言っていたけど私は五年以上生きているのは私の生きたいという思いが強くて毒の効力が薄まっているとか言っていた。でも、私はいつか、ママとパパに殺されるだから私は寺の本殿で首を吊るね。ごめんね…お兄ちゃん…大好きだよ…さようなら…恥緪)
淡堕と界男の顔は怒っているが目は悲しい表情をしていた。日太だけは顔の表情は無表情だった。
(淡堕)「許せん! 濃怒一族!」
淡堕は怒りが頂点に達し様としていた。
(日太)「いや、淡堕…お前も同じ濃怒一族だろうが! それに少し落ちつけ!」
日太は冷静に突っ込んだ。
(淡堕)「……悪い」
淡堕は日太の突っ込みで少し冷静になった。
(日太)「…ノートの方は俺が読む!」
日太は木箱からノートを取り出して読み始めた。
(俺の名は濃怒 平他【じょうご へいた】という者で気愛東寺【げおとうでら】の次期住持になるつもりだった者です。俺が死んだ理由は妹である恥緪の死が原因です。俺が妹の死の真相に気付いたのは亡くなって、遺書が俺の部屋から見つかり遺書の内容を読むと驚愕の事実を知りました。まさか、両親が実の娘を殺そうとしていたとは……。俺は妹の死の真相を知り両親の考えに従う事が出来なくなりました。俺は実家でもあるこの寺を廃寺にさせる事を決意した。でも、俺は妹の恥緪が生きていた証拠を如何するか考えました。そこで、妹の血緪が大事にしていた木箱にこの遺書と恥緪の遺書を入れた木箱を牛の像の台座の下に埋めました。誰も気づかないほどの微妙な隙間を作り元に戻しました。これを読んでいる方は繊細な人間です。この木箱の共々全てを貴方に差し上げます。木箱共々大切に保管して下さい…最後に妹に…愚かなお兄ちゃんで済まない俺がこの世に居る限り両親の言う通りにしないと生きていけないであろう…俺は妹のお前と同じ場所で首を吊って縊死する事にした。俺は妹の為にやれた事は一つも無い…だけど、せめてもこの寺を廃寺にする事が最初で最後に俺が妹の為にやれる償いだ。…妹よ、すまない…)
これが一つのノートの全容だった。
(淡堕&界男)『うぉぉぉぉぉぉ!』
淡堕と界男は更に号泣した。だが日太だけは涙一つも流さず無表情だった。
(日太)「…もう一つ読むぞ!」
二人が号泣中に日太はもう一つのノートを読み始めた。
(私の名は尺人 燿代【あたたり てるよ】と言う者で平他君と一緒に縊死した者です。私が平他君と死ぬまでの事をお伝えします。私は平他君の妹の恥緪ちゃんと良く遊びました。平他君が両親の言い付けで次期住持になる為の修行で恥緪ちゃんとは遊べないでいた。私は何時も平他君が修行中に恥緪ちゃんを見ているとやっぱり兄と遊べない悲しさをした目で兄の修行を見ていた恥緪ちゃんに私は恥緪ちゃんの悲しみを和らげたい一心で恥緪ちゃんに「私と一緒にボール遊びをしない?」と言うと恥緪ちゃんは小さく頷いた。それで私は恥緪ちゃんと遊ぶようになり、平他君が修行を終わると妹の恥緪ちゃんの迎えに来るほど妹の事が大切な家族の事が分かっていました。でも、数カ月が過ぎると何時も一緒に遊んでいた恥緪ちゃんが急に「私に何かあったらお兄ちゃんの事頼むね」と言った。私は何の事か分らなかったが数日後に恥緪ちゃんが本殿で死んだ事を知り、恥緪ちゃんのあの言葉の意味が少し分かった気がした。私は其れから平他君を監視していた。ある日、平他君が封筒を持って部屋から出て来た。私は平他君の後を追うと平他君は恥緪ちゃんが自殺した本殿に向った。私は平他君が何をするのか蔭から見ていると本殿にあったロープを吊るし上げているのが見えて平他君が自殺すると思って私は急いで平他君に駆け寄り自殺を止める様に説得した。でも、自殺をする決意は揺るがなかった。私は「もし、死ぬのなら私も一緒に死ぬ!」と言うと平他君は「馬鹿な事を言うな!」と私を叱った。でも、私は平他君に「私は平他君が居なくなるのは一番嫌だから。…私は…平他君の事が…好きだから!」と告白した。平他君は手を動かすのを止めて、平他君が自殺の理由を聴いた。私は恥緪ちゃんの死の真相を聴いて驚きを隠せなかった。でも、私は恥緪ちゃんが大好きだったお兄ちゃんが死ぬ事は恥緪ちゃんを覚えている人間が居なくなる事を提示していた。そこで、私は牛の像の台座の下に恥緪ちゃんの遺書と恥緪ちゃんとの思い出の品を埋めようと平他君に提案した。平他君は納得してくれた。私と平他君は翌日の夜に改めて本殿で一緒に死ぬ事を約束してお互い帰宅した。私が恥緪ちゃんとの思い出の品は恥緪ちゃんと一緒に平他君の修行が終わるまで一緒に遊んでいた時のボールを埋めると決めた。最後に恥緪ちゃんへ…私は恥緪ちゃんのお兄ちゃんの自殺を止められなかったけど私は平他君と一緒に死ねるなら本望です。一緒に居たいから…恥緪ちゃんにあの世で逢えたら嬉しいね…)
日太はもう一つのノートの全容を読んだ。
(淡堕&界男)『うぉぉぉぉぉぉ!』
淡堕と界男は未だにというか更に涙の量が増えた。
(日太)「お前ら…いい加減に涙を止めろ!」
日太は二人の頭部を全力で殴った。
(淡堕&界男)『すみません』
二人とも涙は止まった。
(日太)「なぁ、この寺ってどうして廃寺になったんだ?」
日太は二人に訊いた。
(淡堕)「それは、二人の人間が本殿で首吊りをして亡くなった事で仏じゃない邪仏が取り憑いていると噂されてこの寺の者は引っ越しを余儀なくされて誰も寺を訪れる事が無くなってそのまま廃寺となった」
淡堕は日太の問いに詳細に答えた。
(???)『お願いがあります』
その時、三人の上空から声が聴こえた。
(界男)「誰だ!」
(日太)(いや、流石に声の主に見当はついているだろ)
界男は声の主に何者か訊ねた。
(???)『私達は…』
(日太)「言わなくていい」
声の主が名を名乗ろうとすると日太が止めた。
(日太)「貴方達は平他さんと燿代さんですね?」
(???)『そうです』
日太は声の主に名前を訊くと日太の予想通り平他と燿代さんだった。
(日太)「お願いって言うのは遺書に書いてある恥緪ちゃんの事ですね?」
(燿代)『そうです』
日太は二人のお願いも当てた。
(日太)「俺達はそもそも、狂った霊つまり狂霊を助けるのが我々の第一目的です。だからこの廃寺に来ました。恐らく恥緪ちゃんがいるのは本殿ですね?」
(平他)『その通りです。でも、俺達は本殿に近付く事が出来ません。ですから、お願いします恥緪を助けて下さい!』
(日太)「…分かりました。必ず助けます!」
日太は淡堕達二人に無許可で平他達二人のお願いを受けた。
(平他&燿代)『宜しくお願いします!』
そう言うと声の主の気配が消えた。
(日太)「さぁ、二人とも仕事だ! 気分変えて行くぞ!」
日太は淡堕と界男に気合いの入れ直しをして淡堕が見つけた怪しい場所である本殿に向う事を言った。
(淡堕)「じゃぁ、案内するよ」
淡堕は立ち上がり淡堕が見つけた怪しい空気がした場所である本殿に日太と界男を案内し始めた。
数分後――
三人は淡堕の案内の【気愛東寺の本殿】目の前に着いた。
(界男)「確かに怪しいと言うか異様な空気が流れているな」
界男が言う通り向って右側は腐れているが反対の左側は腐ってもいなかった。他にも本殿の外壁は右側から橙色、藍色、黄色、朱色、白色、黒色と上手く色づけされている。もう一つは、朝なのに中が暗すぎる点が奇妙だった。
(日太)「取り敢えず、入るか」
日太はそう言うと躊躇せずに本殿へ――
(淡堕)「ちょ、ちょっと待てよ!」
淡堕達も日太の後追って本殿へ――
本殿内――
(淡堕)「これは…」
三人が目にしたのは……10人以上に及ぶ人の抜け殻だった。
(界男)「酷過ぎる」
(日太)「…脈はあるな」
(淡堕)「こっちは既に――」
(日太)「…こいつら、何も知らずに本殿に入って狂霊の女の子に襲われた人達…」
日太は倒れている人間達の事を推測した。
(狂霊)『イッショニアソボウヨ~』
声が聴こえると無数の人魂に囲まれて眼が狂乱している女の子が現れた。
(淡堕)「俺がやる!」
淡堕は一人で女の子を救うといった。
(日太)「…分かった」
日太は淡堕一人でやる事に納得した。
(界男)「しかし!」
界男は反対した。
(日太)「何も淡堕が一人でやると言っても俺達が淡堕の補佐をして女の子を救うのが淡堕の考えだ!」
日太は淡堕の考えを界男に伝えた。
(狂霊)『ア~ソ~ボ~ヨ~』
狂霊の女の子は淡堕達に向い始める。
(界男)「…気をつけろよ!」
界男は淡堕の考えに納得した。
(淡堕)「じゃぁ、行ってくる!」
淡堕は女の子の元に近付き、日太と界男は本殿から出ないギリギリのラインまで下がった。
(淡堕)「ねぇ、遊ぶなら《チャンバラごっこ》にしないか?」
(狂霊)『ウン! チャンバラシヨウ!』
淡堕の提案した遊びは女の子も納得してくれた。
(淡堕)「じゃぁ、僕の力で刀を出すね」
淡堕は女の子と自分様に玩具の刀を出した。
(狂霊)『スゴイネ』
女の子は一心不乱に刀を振り回し始めた。
(淡堕)「…」
淡堕はその隙に界男にアイコンタクトをした。
(界男)(了解!)
界男は日太と界男の二人が居る場所は入らない檻を創り出した。
(淡堕)「じゃぁ、始めるよ」
淡堕は檻が完成すると女の子にチャンバラごっこを始めると優しく伝えた。
(狂霊)『ウン♡』
女の子は刀を構えた。
(淡堕)(これで、君を救う!)
淡堕も構えた。
(日太)「…ファイト!」
日太が開始の合図を出した。
二人は物凄い攻防が行った。
(界男)「女の子もやるな」
界男は女の子の剣術に関心をしていた。
(日太)「いや、あれは唯、遊んでいるだけ…つまり、俺達の常識が通用しない攻撃をしているだけだ」
日太は女の子の攻撃を分析していた。
淡堕は女の子の肩に当てようと攻撃するも女の子は霊体特有の瞬間移動で淡堕の攻撃を避ける。次は女の子が淡堕の心の臓を狙って突きを放つが淡堕はバレエの如く軽やかにかわした。今度は淡堕が女の子の脳の辺りを狙って突きを放った。それを女の子は瞬間移動でまたかわした。
淡堕と女の子のチャンバラが始まって四時間経過――
(淡堕)(これで、決める!)
淡堕は再度、女の子の脳に向けて突きを放った。
(狂霊)『オナジテハツウヨウシナイヨ♡』
女の子も瞬間移動で再度、かわした。
(淡堕)「だったら、この手ならどうだ!」
淡堕は攻撃をかわした女の子の方向に再度突きを放った。だがそれもかわされる。しかし、淡堕は笑みを浮かべていた。
(淡堕)「これでチェックメイトだ!」
淡堕は上から刀を振り落とすが女の子はまた瞬間移動でかわすが女の子は何故か吹っ飛んだ。
(恥緪)『あれ? 私、何していたの?』
女の子は狂霊から普通の霊に戻った。
(淡堕)「大丈夫か?」
淡堕は女の子に無事か訊いた。
(恥緪)『大丈夫だけど…君は誰?』
女の子は淡堕に名前を訊いた。
(淡堕)「俺の名前は濃怒 淡堕…君のお兄さんと燿代さんに頼まれて君を救いに来た者かな」
淡堕は女の子に自分の事と女の子にあっている対面している原因を言った。
(恥緪)『お兄ちゃんと燿代お姉ちゃんに頼まれたって?』
女の子は淡堕にどう言う事か訊いた。
(淡堕)「君が死んだ後に君を苦しめていた両親がやっていたこのお寺を潰す事を君のお兄さんと燿代さんは考えて、君の後を追って首を吊って死んだ。君の苦しみを少しでも和らげようとしてね」
(恥緪)『お兄ちゃんと燿代お姉ちゃんが…』
女の子は淡堕の話を聴いて蒼然とした。
(淡堕)「取り敢えず、此処から出よう」
(恥緪)『うん』
淡堕は檻の外に居る界男に合図を出した。
(界男)「OK」
界男は檻を消した。
(日太)「二人とも! 出てきて良いですよ」
日太は平他と燿代さんを呼んだ。すると、本殿の天井からスゥーっと現れた。
(平他)『恥緪!』
(燿代)『恥緪ちゃん!』
(恥緪)『…! お兄ちゃん! 燿代お姉ちゃん!』
平他と燿代さん、恥緪ちゃんは抱き合った。
(日太)「俺達は帰るぞ!」
日太は淡堕と界男の二人に小さな声で寺から出る事を呟いた。
(界男)「…そうだな」
(淡堕)「そうだな」
二人も出る事に納得した。
(平他)『そうだ! 彼らにお礼を…』
平他は淡堕達にお礼を言うと振り返ったが淡堕達三人はいなかった。
淡堕達は既に気愛東寺から出ていた。
(日太)「にしても、あんな策に出るとはね」
(淡堕)「まぁな」
(界男)「でも、どうやって、女の子を狂霊から普通の霊に戻した?」
界男は淡堕に女の子をどうやって普通の霊に戻したのか訊いた。
(淡堕)「それはな…俺があの子の頭上から刀を振り落とした時に女の子は幽霊特有の瞬間移動でかわすがそれは俺も理解してかわす時に消えた様に見えるがそれを俺は見逃さずにギリギリで刀を体ごと横に思いっ切り回って当てただけ」
淡堕は女の子が瞬間移動をする前兆を見逃さずに淡堕はギリギリで振り下ろしている刀を止めて全力で横に振り回して女の子に当てた。
(日太)「さてと、あの廃墟で良いよな」
(淡堕)「そうだな」
淡堕達は近くの廃墟に入って行った。
(日太)「この辺りなら他人に見られる事は無いだろうな」
日太はそう言うと界男が持っていた完素特製のリュックから人を取りだした。
(日太)「淡堕…準備はOKか?」
日太は淡堕に訊いた。
(淡堕)「こっちはさっきの戦いからずっと出しっ放しだって」
淡堕はあの戦いの時に使った刀をずっと出現させていた。
(日太)「これで全員だ」
リュックから出て来たのは気愛東寺の本殿で倒れていた人達だった。
(淡堕)「じゃぁ、やるぞ!」
淡堕は刀を倒れている人達に向けた。すると、刀から人魂が出て来た。刀から出て来た人魂達はそれぞれ本来の肉体に戻って行った。
(男性1)「…あれ、ここは?」
(男性2)「俺は確か…廃寺に居た筈じゃあ」
倒れていた人々は次々に意識を取り戻して行った。
(男性1)「…あれ、君たちは?」
意識を取り戻したある人が淡堕達を見つけて言った。
(淡堕)「俺達は悪霊から君達を救った者達だ」
淡堕は倒れた人々の問いに答えた。
(男性3)「じゃあ、悪霊は成仏したのか?」
ある男の人が笑顔で訊いた。
(淡堕)「いや、成仏はさせていない」
淡堕は悪霊を成仏していないと答えた。
(男性1)「じゃあ、霊能者にあそこに居る悪霊を成仏するように頼もうじゃねぇか!」
ある男が悪霊の恥緪ちゃんを成仏させようと言った。
(被害者達)『おぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
倒れていた人々はその言葉に賛成の雄叫びを上げた。
(淡堕)「お前ら!」
恥緪ちゃん達を成仏させると聴いて淡堕達は激憤した。淡堕は刀を出現させて成仏させようと言った男の喉を斬った。
(男性)「…」
男は声が出なくなった・
(淡堕)「おめぇら」
淡堕は既に狂鬼の顔になっていた。
(男性)「ひぃぃ!」
倒れた人々は逃げようとしたが界男が既に檻を出現させていて逃げる事は不可能だった。
(男性4)「出してくれよ!」
(男性2)「お前ら俺らを助けてくれた筈だよな?」
淡堕は修羅よりも怖いオーラを出して倒れていた人々に迫っていた。
(男性3)「頼むよ」
倒れていた人々は恐怖で命乞いをしてきた。
淡堕は倒れていた人々の喉を斬りまくった。
倒れていた人々の喉を斬り終えて落ち着いた時、淡堕達は語りだした。
(淡堕)「てめぇらが言う成仏は成仏じゃねぇ!」
(日太)「そんな事をすれば人殺し当然だ! おめぇらにとって悪霊は悪い者と思っているんだろうな! だがな、今のお前らが悪だよ!」
(界男)「悪霊の悪だけを取り払い普通の霊に俺達は戻した。それでもやると言うなら自分を捨てる覚悟を持ってやれ! 面白半分で成仏という言葉は口にするな!」
界男、淡堕、日太は倒れていた人々に激怒して説教をした。
(3人)『お前らは一生をここで暮せ!』
そう言うと淡堕達は倒れていた人々を置き去りにした。
(界男)(…と言っても明日の朝には檻は消えて声も元に戻っているからな)
三人は既に深大寺入口の信号に着いていた。
(日太)「俺は左だから」
(淡堕&界男)『じゃあな』
日太はそう言うと淡堕と界男と分かれた。
三人が分かれた信号に謎の人物がいた。
(謎の人物)「先生…そちらの案件は…そうですか……えぇ、こちらは今日も廃墟での救助活動を行っていました」
謎の人物は先生と名乗る人物と話していた。
(謎の人物)「…確かに前回の林寸 日太が車で轢かれた件は予測出来ていましたが特殊制裁班の心究が本当に動く事になるとはね」
謎の人物は日太が車に轢かれた事件に関わっている模様――
一方、日太は――
(日太)「ただいま~」
日太は既に帰宅していた。
(希癒)「おかえいなさい」
大網の声は聴こえるが二人の姿が見えない。
(日太)(…まさか)
(日太)「大網…今の服装、裸エプロンだろ?」
日太は大網に今の服装が裸エプロンか訊いた。
(希癒)「…」
大網は返答しなかった。
(日太)「…じゃあ、牛乳を取りに台所へ行くぞ」
日太はわざと大網に台所に行くと言った。
(希癒)「待って!」
大網は大声で日太を止めた。
(日太)(やっぱりか)
(日太)「沙枝さんはリビングだろ」
日太は台所に通じる廊下の途中でリビングに通じる扉を開けた。するとそこには日太の言う通り沙枝さんが居た。
(日太)「沙枝さん」
日太は少し怒りそうな表情をしていた。
(沙枝)「御免なさい」
沙枝さんは日太に舌をちょっと出して謝った。
(日太)「取り敢えず、大網! 俺は二階に居るから着替えが済んだら教えてくれ!」
(希癒)「うん!」
日太は二階へ上がった。
数分後――
(希癒)「終わったわよ!」
日太は一階に下りた。
(日太)「大網は何故、裸エプロンに?」
日太は二人に訊いた。
(沙枝)「いやぁね、日太ちゃんの性欲があるのか調べたくて…つい」
沙枝さんは日太の問いに答えた。
(希癒)「でも、どうして私が裸エプロンになっていたのが分かったの?」
(沙枝)「確かに…どうして?」
大網と沙枝さんの二人は日太が何故、大網が裸エプロンになっていたのが分かったのか訊いた。
「まず、最初に俺の声に答えたのは大網だけだった。でも、大網は出て来なかった。一瞬風呂だと思ったが風呂なら水の音がする筈だけどしなかった。それに着替えてるのなら顔だけ出す筈なのにそれも無かった。それで、後は恥ずかしい服装になっている事のみ。だがそれが何か分からなかった。分かったのは最初の大網が返事をした場所が台所だと分かって台所=エプロンとなる。それで恥ずかしい服装なら裸エプロンのみと推測しただけだよ」
日太は二人の問いに正確に答えた。
(沙枝)「そうだったの…でも私が居るのがリビングだと分かったの?」
沙枝さんは更に訊いた。
(日太)「あそこ以外に俺の性欲を確認できる場所はないからな」
日太は沙枝さんの問いに答えた。
(希癒)「ねぇ、私が裸エプロンで居た事は訊かないの?」
大網は顔を真っ赤にしながら日太に言った。
(日太)「訊くかそれ、まぁ、お前も俺の性欲に関して少なからず興味があった…そう言う事だろ?」
(希癒)「…うん」
日太は呆れた感じで答えた。
(日太)「取り敢えず、腹が減った」
日太は二人に腹が減った事を伝えた。
(沙枝)「じゃぁ、晩御飯にするね」
沙枝さんは晩飯の準備を始めた。
(日太)「たくっ…!」
(日太)(…何だ、今の?)
日太は一瞬だけ何かを感じた。
(希癒)「どうかしたの?」
大網は日太の異変を感じて訊いた。
(日太)「いや…何でもない」
(希癒)「…そう」
二人はリビングに向った。
四情狩林 それぞれの苦しみと意い
~第五章~完
四情狩林 それぞれの苦しみと意い
~最終章~続く――
助けることに成功して何事もなく終わった! だが、これで終わる訳が無かった!