神社のきつね
葉は色付き仄かに香り、川は椛を運ぶ。
その近くには神社がありました。
そこに住んでいるのはちいさなきつね。
鳥居の先、境内の中で丸まっています。
いつもの遊び相手は小鳥たち。
そんな小さな神社に小さなお客様が1人。
子供は泣いていて、きつねは戸惑っています。
どうしたの、と聞きたくても通じないので人に化けることにしたきつね。
和服に身を包み、流れるような黄金色の髪。
可愛らしい姿になったきつね。
子供はお母さんと離れ離れになってしまったようです。
きつねは子供の手を引っ張り、境内の中であそびました。
最初は戸惑っていた子供は次第に笑顔になっていきました。
蹴鞠に、鬼ごっこ、一緒に歌を詠んだりしました。
そして夕暮れ近くになり、お母さんが神社にやってきました。
子供は母親に怒られてしょんぼりしてました。
帰る間際に子供はまたあそぼうねと言いました。
きつねはうん、答えました。
そうして帰っていったのできつねは元の姿に戻りました。
それからはきつねのあそび相手は小鳥とその子供です。
その後子供が青年になり、きつねに恋をしたのは別の話。