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空の宇珠 海の渦 外伝 -風の音色- その四





森の中を抜け、華音の家に向かっていた。

 


いつの間にか太陽が昇っている。

 


「これからどうするつもりじゃ?」

 


嵐が心配そうに聞いた。

 


「どうするって…」

 


華音が考え込んでいる。

 


「一人ではな…」

 

真魚が言った。




挿絵(By みてみん)



「もう誰もいない…」

 


華音は考え込んでいる。

 


母が亡くなったばかりだ。



このままでは華音が心配である。

 


「父がいるのではないのか?」

 


真魚が華音に聞いた。

 


「生きているのか?」

 


嵐は気づいた。

 


「母は父は死んだと言った…」

 


「だけど…」



華音の心が揺らいでいる。

 


「生きているのか?」

 


真魚が疑っている。

 



「母には、事情があったのではないのか?」

 


真魚はそう感じていた。

 


「もし、生きていても会えない!」



「私のこの姿を見れば逃げるわ!」

 


華音は想いの全てを撥ね除けた。



「母親は何か言っていなかったか?」

 


真魚が華音に聞く。

 


「母は出雲の出身みたいなの…」

 


「いつもあの場所に立って、出雲の方を見ていた…」

 


「だから、あそこにお墓を作ったの…」

 


母の本当の気持ちを感じていた。

 


華音は目を伏せた。




「まあ良い、続きは家に着いてからじゃ」

 


嵐が、華音の様子をみて気を利かせた。

 


「出雲か…」

 


真魚には一つ思い当たることがあった。

 

 


父が逃げたのではなく、母の方から逃げたのではないか?



命の危険があったのかも知れない。



母が華音を連れ去ったのでは…。


 

真魚はそう考えていた。









真魚は、華音の母がこの島に来た理由をたどっている。




どの考えの先にも、一つの事実が見える。

 



「奴らの力が必要かも知れぬ…」

 


真魚はそうつぶやいた。

 


「奴らとは奴らのことか!」

 


嵐が気にしている。

 


「そうだ、奴らだ」

 


「ひょっとして…」

 


嵐が畏れていた事実。




くくくくくっ…

 


くくくくくっ…



誰かが笑いを堪えている。

 


ひゃひゃひゃは~~!



馬鹿笑いが聞こえた。

 


「お主ら!どうやって海を渡ったのじゃ?」

 


嵐に一つの疑問が浮かぶ。

 


その声は、華音の家の大木の上で聞こえている。

 


華音には何のことだかわからない。

 



挿絵(By みてみん)




「さっき羽の音がしたわ…」

 


華音がそれを聞いていた。

 


「羽…そうか!」

 


嵐は気づいた。

 


一度見たことがある。

 


奴らは一体化出来る。

 


それを思い出した。

 



「そうか…飛べるのか…」

 


「だが、俺ほど速くはなかろう」

 


嵐が自慢げに事実を言った。

 


「誰なの?」

 


姿の見えないものに、華音が警戒している。

 



「心配するな、連れだ…」

 


真魚が声をかけた。

 


「前鬼と後鬼と言うしょうも無い奴らだ…」

 


嵐が改めて紹介する。




「しょうも無いだと!」

 


後鬼が怒っている。

 


「すまんが、わしらも入っても良いか?」

 


後鬼が、家の外から声をかけた。

 


「もう、どうでもいいわよ!」

 


華音はわけが分からなくなってきた。

 



続く…






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