表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/494

空の宇珠 海の渦 第五話 その六十一





いくつもの峠を越えてきた。

 


だが、まだたどり着けない。

 


蝦夷の未来。

 


紫音が願った未来。

 


村人たちは既に限界を超えている。

 


食料も尽きかけている。

 


保ってあと二日。

 


それまでに見つけたい。

 


紫音はそう思っていた。



もうすぐ登り道が終わる。



木々の間から青空が見えた。

 


「呼んでいる…」



紫音は、誰かに呼ばれているような気がした。

 


大地が呼んでいるような気がした。

 


「紫音、あれを見て!」

 


峠を登り切ったところであった。 

 


先頭の御遠が、何かを見つけた。

 


峠の上からその景色が見えた。

 


その瞬間…

 


紫音の瞳から、涙が溢れた。




挿絵(By みてみん)




「見つけた!」

 


「やっと見つけた!」

 


紫音は、その場に座り込んで泣いた。

 



うれしかった。

 


また皆で生きられる。

 


大地が「生きよ!」と言っている。

 


御遠が紫音の手をにぎった。

 


「紫音、私たちの未来よ!」

 



紫音は御遠と抱き合って喜んだ。

 


村人も駆けてきた。

 


歓声が上がる。

 


大地が呼んでいた。

 


紫音には聞こえる。

 


その声が。

 

 

共に生きよう

 


皆の力で

 


共に生きよう

 


明日を創ろう

 


共に生きよう



生命は同じ



共に生きよう

 


皆、繋がっている

 


共に生きよう

 


全ては一つ

 


共に生きよう

 


離れることなどできない

 

 


紫音は、涙を手の甲で拭った。

 



「みんな!あと少し!頑張りましょう!」

 


村人に声をかけた。

 


あんなに疲れていたのに元気が出た。

 


それは村人も同じであった。

 


「母礼、見つけたよ…」



紫音は心の扉につぶやいた。

 


大地の生命(エネルギー)が輝いていた。




挿絵(By みてみん)



続く…





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ