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空の宇珠 海の渦 第五話 その五十七






挿絵(By みてみん)



『これほどとはな…』



美しい声が真魚の心に響く。

 



『どうするつもりだ?』

 


「決まっているだろ!」

 


目の前の巨大な闇の龍が睨んでいる。

 



『言ったはずだ、人の死に関わるなと…』



「もう人の死ではない」

 


『勝手なことを言う奴だ…』



「俺の(せい)だ」



『ほう…』

 



真魚は光の輪を更に回転させる。

 



真魚の身体が輝く。

 


真魚の棒が光り出す。

 



「嵐、悪いが時間を作ってくれ」



「奴を食らってくれると有り難い…」



真魚の言葉を全て聞かぬうちに、嵐は飛んだ。 



金と銀の光が、螺旋を描きながら大気を揺るがす。

 



真魚の言葉の意味を、嵐は理解していた。

 



手加減して勝てる敵ではない。

 



「久しぶりに本気を出すか!」



嵐は速度を上げた。

 



青龍と朱雀が回り出した。

 


その合間を縫って嵐が仕掛ける。

 


光が龍の身体を突き抜ける。

 



だが、その穴はすぐに塞がれる。

 



何度開けてもそれは同じだった。

 



闇が飲み込んだ恐怖と絶望は、計り知れない。 



「埒が明かん…」

 


嵐が奪った分は補填されていく。

 


「俺一人では食い切れん…」

 


だが、嵐は再び飛ぶ。

 


青龍と朱雀は黒龍を挟んで向き合っている。

 


互いに炎を吐いては、同じ距離を保ち回っている。 



見た目には効果が無いようであった。

 


だが、真魚が欲しい時間は稼がれていた。





真魚の霊力が上がっていく。

 


光の輪の回転がもう見えない。



沸き上がる生命(エネルギー)

 


真魚の身体が輝く。

 


真魚の棒はもう光そのものになっている。

 


真魚は笑っている。

 


例えようのない高揚感に酔っている。

 


溢れ出る生命(エネルギー)がそれを更に高める。

 


『真魚!』

 


美しい声が真魚の心に響く。

 


だが、もう止められない。

 


光の輪を止めることはもうできない。

 



うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

 



真魚が振動している。

 


真魚がその振動に耐えている。



その波動が大気を揺らす。

 



『行くな!』

 


その声が止める。

 


真魚の身体が変貌していく。

 


額が避け血が流れている。

 


骨が隆起している。

 


沸き上がる生命(エネルギー)に身体が悲鳴を上げる。

 


だが、真魚に痛みはない。

 


その心地よさに酔っている。

 


「真魚、それ以上はだめ!」

 


声がした。

 


聞き覚えのある声だ。

 


「い、壱与か…」



「人でなくなるわ!」



だが、そんなことはどうでも良かった。

 


この衝動を止める事は出来なかった。





挿絵(By みてみん)




続く…




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