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空の宇珠 海の渦 第九話 魂の鼓動 その二十一





空が紅く染まっている。

 




海がそれを映している。

 




美しい夕日。





前鬼と後鬼は、岬の崖の上で…





夜が来るのを待っていた。

 





「ここまで来れば、後は見るだけじゃ…」





後鬼は目の前にあるその島を見ていた。

 




友が島…

 




小角が施した葛城二十八宿。

 



その一品目がここにある。

 





挿絵(By みてみん)






「しかし…」





「なぜここが一番最初なのじゃ…」





後鬼にその疑問が浮かび上がった。

 




「金峰山からも、倭からも遠い…」





後鬼はそう言って考え込んだ。

 




「確かにそうじゃな…」

 




前鬼がその疑問に同意した。

 




「だが、そうする必要があったからじゃ…」





「小角様が意味も無くすることはない…」





前鬼が嘗ての主人、小角の事を思い出している。

 





「龍の背骨…その始まり…」





後鬼はその意味を考えていた。

 




ここから始まり、倭の二上山まで向かう。

 




その先には生駒…

 





前鬼と後鬼が、古の時代に名を馳せた場所である。

 




「始まりがあるのなら、終わりが…」

 




後鬼がつぶやいた。

 




「龍の背骨…終わりはどこじゃ…」





後鬼にそれ以上ことは思い浮かばない。

 




「確かに…始まりがあれば、終わりがある…」





葛城二十八宿。

 




龍の背骨…その最後…





「二上山で終わる筈がない…」



 


前鬼がそうつぶやいた。

 





「続きがあるとすれば…」

 




「生駒を抜けてさらに…」

 




「いや…」





それは有り得ないだろう。

 




後鬼がその考えを打ち消した。

 




「あるなら、なぜそこまで施さない…」





前鬼が自問自答をする。

 





自分たちが手伝ったのはこれだけ…





他に小角と一緒に…




何かを仕掛けたという記憶は無い。





「そうか…」





「無かったのかも知れぬ…」

 




「ここにだけ…」

 




「何もなかったとしたら…」

 




前鬼が何かに気付いた。





「そう言えば…」

 




「だから小角様は…」 





今は亡き小角の想い。

 





その中に答えが隠されている。

 




後鬼は小角の事を思い出し、考えた。

 




小角様ならどうするか…

 




「無いものは創るしかない…」

 




前鬼がそう言って、髭を触る。

 





「無かったから仕掛けた…」





「そういうことじゃな…」





小角様ならきっとそうする。





後鬼も同じ考えであった。





次回へ続く…





挿絵(By みてみん)





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