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空の宇珠 海の渦 第九話 魂の鼓動 その十六







真魚と嵐も行く先は同じである。




浅葱は一緒に村に戻ることにした。

 




「しばらくは、一人で出歩かない方が良い…」




真魚が浅葱に言う。

 




「今回は浅葱の策が良しと出た…」

 



「だが、力では奴の方が上だ…次はわからぬ…」





真魚が力の差を口にする。





挿絵(By みてみん)





「しかし、お主も大したものじゃぞ…」




足下の嵐が、浅葱を見上げている。

 




浅葱が女であると言う前に、




技そのものが完成されている。

 




力では敵わないが、技で持ち堪えたのである。

 




「あの技を誰に習った…」





真魚が、気になっていた事を聞いた。





「小さい頃から…父さんにね…」





浅葱はそう言って微笑んだ。

 




「なるほど…」




真魚は少し考え込んだ。

 




「父の名は、鹿牟呂と言うのか?」





「えっ!?」

 



「どうして父を知っているの!」





浅葱が驚いている。

 





「先ほど、この先で遭ったからな…」





嵐が足下でそう言った。

 




「あの男の事を何か知っているのか?」




真魚が確認を入れる。





「いえ、突然現れたのよ…」

 




「ほう…」

 



「偶然にしては出来すぎている…」





それを聞いた真魚が、笑みを浮かべている。





「偶然、どういうこと?」

 



浅葱にはその意味が分からない。





同じ日に、父と娘が同じような目に遭う。

 




これを偶然としてしまうには、





腑に落ちない点が多すぎるのだ。





「お主達は、狙われたのかも知れぬ…」





真魚がそう言った。

 




「狙われるって、私もってこと?」





浅葱にそんな覚えはない。 

 




「理由はわからぬ…」

 




「だが、俺達は偶然…」

 




「父と娘が襲われる、二つの出来事を見た…」

 




真魚達から見れば偶然…

 




しかし、浅葱や鹿牟呂からは、偶然とは言い難い。

 




「今はただ…か…」

 



鹿牟呂の言葉…

 




鹿牟呂は何かを隠している。





「父と娘…」





真魚の口元には、笑みが浮かんでいた。



 








「じいさん…これはやはり…」

 




「紅牙の言った事は間違いではない…」

 




「寄り道をして正解じゃったのう…」

 




後鬼が経塚を見ている。

 




前鬼と後鬼は、和泉山脈のある場所にいた。

 





目的の島は、目と鼻の先…






半日でここまで来るのは、驚異的な脚力である。

 




「小角様の凄さを、今頃知る事になろうとは…」





前鬼が過去を思い出している。

 




「だが、なぜ小角様はうちらに言わなかったのじゃ…」





「守れと…一言いうてくだされば…」





後鬼の願いはもう届くことはない。

 





「いつか、こうなる…」





「それを見越しての事だったのかも知れぬ…」





前鬼がそう言って後鬼を見た。

 




「時が…経てば…」




後鬼がつぶやいた。

 




「まさかとは思うが…」





後鬼があることに気がついた。





「だから…言わなかったのか…」





後鬼の瞳に、涙が浮かんでいる。

 





小角の心…

 




後鬼が今それに触れている。

 





「とにかく、行って見るしかなかろう…」





「あそこは紅牙も見ておらぬ…」




前鬼は後鬼にそう言った。

 




「飛ぶなら…夜が良かろう…」





後鬼の考えに、前鬼が頷いた。





次回へ続く…




挿絵(By みてみん)






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