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空の宇珠海の渦 第八話 神の血族 その三十六






「珍しいではないか…」



舞衣のすぐ後ろに、真魚が立っていた。

 


「このままでは、神としての俺の面目が立たぬ…」





「大食いの子犬も珍しいぞ…」



真魚が、その事実を言った。

 


昴に隠れて、能亜が必死に笑いを堪えていた。

 




挿絵(By みてみん)





「昴と舞衣を連れて、散歩に行くぞ…」



「ほう…食後の腹ごなしにしては大層だな…」



真魚は、嵐の意図を感じ取っていた。

 



その方が良い…

 


真魚もそう思っていたからであろう。


 


「な、何のこと…」



昴が少し怯えている。

 


神々しく美しい獣。

 


その姿を昴は知っているからだ。




「何処かに行くの?」



昴とは逆に、舞衣は興味がありそうだ。




「付いてこい!」



嵐が皆を表に誘った。

 


嵐が先に表に出ると、振り返った。

 



「その眼に焼き付けておけ…」



嵐の言葉が光を呼んだ。



目が眩むほどの光。



その瞬間、突風が吹いた。



嵐の解放された霊力が、大気を押し広げた。 




皆は無意識に目を庇った。



真魚だけが平然と立っていた。

 



「こ、これが…」

 


「おお…」



「これが、神のお姿…」



美鷺と朱鷺が、腰を抜かした。

 



そこに…



金と銀の光を放つ、美しい神の獣が立っていた。

 



「儂らの孫は、やらかしおった…」



乙瑠が笑っている。

 



「昴め…」



お珠は、孫の仕事を褒め讃えた。




「昴、舞衣、背中に乗れ!」



嵐が二人に言った。

 



「えっ、私が…」



昴が戸惑っている。

 



「何をしておる、神の命令じゃぞ!」



お珠が、昴の尻を叩いた。

 



「一生に一度、あるかないかよ!」



舞衣は覚悟を決めていた。

 


真魚が先に乗って導いた。


 


「仕方ない…か…」



昴が先に、真魚の手を握った。

 



「どきどきしている…」



舞衣が、真魚の手に引かれた。

 



「しっかり掴まっていろ!」



嵐はそう言うと跳んだ。




「あっ!」



その反動で、昴と舞衣の身体がぶれた。

 


それを真魚が支えている。

 



「しっかり掴まっておれ!と言ったであろうが…」

 


嵐が笑っている。

 



「だって、跳ぶとは思わなかったんだもの…」

 


昴が言い訳をしている。

 



「すごい…すごいわ…」

 



既に…



舞衣はその感動を抱きしめ、



別の世界にいた。






挿絵(By みてみん)




続く…








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