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空の宇珠海の渦 第八話 神の血族 その三十






「なるほど…」



「そこまで見抜かれておるとは…」



お珠が考え込んだ。

 


「昴を見捨てるつもりだったのか…?」



真魚がそのお珠に聞いた。

 



「そんなつもりはない…大切な孫じゃ…」

 


「昴は現に生きておる…」




相反する意味。



それが、言葉の中に存在している。





挿絵(By みてみん)




「確信犯か…」



真魚が、笑みを浮かべている。

 



「俺達は、魚か…」



嵐が呆れている。

 


餌が生きたまま帰って来ることなど、有り得ない。




だが、お珠達が言っていることは、そう言う事だ。

 



「そうではございませぬぞ、救いの神なのです…」

 


お福と呼ばれる婆さんが言った。

 



「この村には、言い伝えがあります…」



お福が、真魚に言う。

 



「ほう…」



真魚は興味が湧いた。





『黒き闇迫り、神の血を穢す時、光現れ、古の力が開かれる…



新たなる神の地が、人の導きとなろう…』




お福が、その言い伝えを述べた。


 

「なるほど…」



真魚が目を閉じて、笑みを浮かべた。

 



「ここは、新たなる大地か…?」



嵐がそう言った。

 



「いいや…そうではなかろう…」



お珠が嵐の疑問に答えた。

 



「恐らく…ここは神の血の方じゃ…」



美鷺が言った。

 



「神の血は、大地と同じ意味じゃ…」



朱鷺が続けた。

 




「黒き闇迫り…穢された血…」



真魚が考えている。

 



「あの男が畏れたのは、神の血の方か…」



そして、そう言った。

 



帝に受け継がれている以外に、神の血が存在する。

 


それは、帝にとって、脅威となるはずだ。

 


脅威は畏れとなり、不安を引き入れる。

 


その不安が、阿瑠達に殺戮を命じた。

 



「あの男の…やりそうなことだ…」 



真魚が笑っている。

 



「あの男とは…帝の事か…」



「面白い男よのう…」



羅矛が、真魚を見て笑っている。

 



「昴達には…感謝せねばなるまい…」



お珠も同じ思いであった。

 



「斬られたのは、舞衣だけか…」



真魚が、その事実を確認した。

 



「その事まで、知っておられるか…」



お珠がほとほと感心している。




「他にも数人…やられた…」

 


「だが、致命傷を負ったのは…」



お珠が、そこまで言いかけて止めた。

 



そして、乙瑠の方を見た。

 



『話してもよいのか…』

 


お珠の意思が見えた。

 



「私から…話そう…」



乙瑠がそう言って、前に出た。

 




「舞衣が今、生きているのは…」



「古の力のおかげじゃ…」



乙瑠が話し始めた。

 



「あれは…そういうものか…」



嵐の謎が解けたようであった。

 



「舞衣が生きるための、最後の手段であった…」



「だが、それで…舞衣は…」



乙瑠が目を伏せた。

 



乙瑠の舞衣に対する想いが、溢れてくる。

 



「迷い人になったか…」



真魚がつぶやいた。

 



乙瑠は黙って頷いた。





挿絵(By みてみん)




続く…






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