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空の宇珠 海の渦 外伝 魂の器 その十三







「昔は幽霊島って呼ばれていた…」



那海が真魚にそう言った。

 


「幽霊か…」

 


その言葉に笑みを浮かべた。

 



「だけど…船を見た人がいたの…」



「幽霊は船に乗らないでしょ?」



「確かめた人はいないけど…」



那海はそう言った。

 



挿絵(By みてみん)





誰でも命は惜しい。

 


危険な場所には近寄らないのが、賢明な選択だ。





「そのうちにわかる…」



真魚は既に手を打っていた。

 



「奴らの姿が急に消えたのは、そう言う事じゃな…」



嵐が気付いた。



それが、前鬼と後鬼の行方だ。

 



「誰か、確かめに行ってるの?」

 


那海は二人の会話からそう考えた。

 



「変な奴らがいるのじゃ…」

 


嵐が態とそう言った。

 



「変な奴?」

 



「頭に角が生えた変な奴らじゃ…」

 



「まさか、角って鬼みたいじゃない?」




「そうじゃ、鬼じゃ」

 



「え!」


 

那海の言葉が止まった。

 


「本当の…鬼なの?」


 

那海は、疑り深い性格だ。

 


「本当の鬼だ!」

 


嵐が言い切った。

 


「神がいるのだ、鬼がおっても不思議ではあるまい…」



自らを、自慢しているのか…



前鬼と後鬼を、確かなものにしているのか…




「それも、そうよね…」

 


那海が、見たこと無い鬼を、素直に受け入れていた。

 




「あれっ?」

 


那海が何かを見つけた。

 



「弦と千潮?」

 


那海は、自分の目を疑った。

 



だが、二人の波動が届いている。

 



那海にはそれがわかる。

 



「あれが、弦と千潮なの?」



那海が知っている、弦と千潮ではなかった。

 



弦はいつもふてくされ、千潮は心を閉ざしていた。




二人の姿は、とても楽しそうであった。

 


まるで、幼き子供の様であった。




「私と…同じ…」



那海は、その答えを知っていた。

 


光は全てを照らす。

 


那海はその事実に、少しだけ嫉妬した。




変わり始めていた。 

 



その光に照らされて。 

 


その事実を受け入れ、変わる自分を楽しんでいた。








「さて、どうしたものかな…」

 


木の上で前鬼が、頭を悩ましていた。

 



真魚に仕事を頼まれはしたが、当てがなかった。

 


真魚が見たと言う、島の光。

 


その島まで、飛んで来た。

 



そこは、無人島のようであった。

 


人の気配は感じられない。




それらしきものも、見当たらなかった。

 



「これだけの島なのに…なぁ、媼さん…」



広さはそこそこある。




「そうじゃのう…人が住まぬのは…」

  


「幽霊でも出るのかのう…」

 


後鬼はそう言って、意識を広げてみた。

 


「おや…」


 


「どうした?媼さん!」

 


後鬼が何かを見つけた。


 

「何かが…苦しんでおるのか…」

 


かすかな波動を、後鬼は捉えた。



「行くぞ!」

 


後鬼はそう言うと木の上を跳んだ。


 

「何のことじゃ…」

 


前鬼に、その波動は感じなかった。 


 

「病は、媼さんの管轄だからのう…」

 


独り言を言いながら、前鬼は後鬼の後を追った。




挿絵(By みてみん)





続く…


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