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空の宇珠 海の渦 外伝 心の扉 その二十






東子は真魚が付き人を連れて、出て行くのを見ていた。



「あなたは行かなくていいの?」

 



「では、夜まで時間を潰してくるか…」



そう言って嵐は霊力を解放した。



 

嵐の身体が一際輝いたかと思うと、風が巻き起こった。

 



嵐の霊力で大気が押された。



「これで分かったであろう」

 


「ああ…」




東子は開いた口が塞がらない。

 


金と銀の光を放つ獣がそこにいた。

 




挿絵(By みてみん)




「また、夜に迎えに来てやる!紗那と一緒にな…」 



嵐が東子を見て笑った。



だが、次の瞬間にはその姿は消えていた。

 



「本当だったんだ…」



東子は呆然としている。

 



しかし、これで全てが事実であることが証明された。



「今夜、会える…」

 


東子は紗那への想いを抱きしめていた。










真魚と湯守はある場所に向かっていた。

 


三笠山。

 


武御雷が勧請されたと言われている。

 




「行く所は無かったのでは…」

 


湯守が真魚の行動を不自然だと感じていた。 




「今、出来た…」  



「今?出来た?」

 



湯守が真魚の言葉に怪訝な表情を見せた。

 



「お主らどこに行くつもりだ?」




二人の後ろから声がした。

 



子犬の嵐がそこにいた。

 



「三笠の山だ」




真魚が笑ってそう言った。

 



「い、犬が喋った!」

 



「何度言わせるつもりだ!犬ではない神だ!」




「神、神様?」

 



湯守はそう言って真魚の顔を伺った。

 


真魚は口元に笑みを浮かべている。

 



「考えて見ろ、喋れる犬がどこにいる」

 


そういえばそうだ。

 



湯守は嵐の言葉を素直に受け取った。

 



「で、では本当の…」

 



「神もいろいろいるからな…」

 



真魚はそう言って全てを片づけた。

 



「三笠の山に何しに行くのだ?」

 



嵐が真魚に聞く。

 



「神の祟りを鎮めに行くのだ…」

 



真魚はそう言って湯守を見た。

 



「祟りはなかったのでは?」




湯守に冗談は通じないようだ。

 




「あまり生真面目だと、この先大変だぞ…」



真魚が湯守を窘めている。




「どこで誰が見ているかも知れぬ…」



真魚はそう言って湯守に目で合図した。

 



その意を湯守は理解した。



 

仲成は用心深い男だ。

 


その事を湯守は忘れていた。

 




付き人である湯守でさえ、信用していないのだ。

 



「では、今出来たというのは…」



湯守が真魚の行動の答えを見つけた。

 



「そういうことになるな…」



 

真魚は後を付けられている事を感じたのだ。 



それで三笠山に行く理由が出来たのだ。


 


「あの距離では声までは聞こえてはいまい…」



真魚は湯守にその事を伝えた。

 



「嵐、知っておったな、お主…」



「言うほどのことでもないであろう」 



嵐はそう判断した。


 


湯守は驚いていた。

 


全く分からなかった。 

 



だが、仲成の性格を考えれば十分に考えられる。

 


その事すら気にしていなかった。

 



それを真魚は全て分かっていた。

 



だが、もう一つ見方が有ることに湯守は気づいた。

 


仲成が湯守のことを信用していない。

 


いや、誰のことも信用しない。

 



それを分からせる為に湯守をわざと連れ出した。




そう言う見方も出来る。

 



『この人は倭を変えるかも知れない』

 


そんな予感がした。



同時に、真魚の凄さを改めて感じていた。





そして、真魚の背中を見ながら、その心に誓いを立てた。

 



湯守のその波動を真魚は背中に感じていた。 




挿絵(By みてみん)




続く…







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