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空の宇珠 海の渦 第六話 その二十四






倭の兵が集まっている。

 


既に道を切り開く為に山に入っていた。

 


途中、その部分だけ木が無い開けた場所があった。

 


田村麻呂はそこに陣を作る様に指示をした。




入り口からここまでの道は狭かった。

 


馬一頭分の幅しかない。

 


一度に攻め入る為にはある程度の幅が必要だ。

 


兵が一列に並ぶことは不利な戦いとなる。

 


何千人いようが、一人で戦うようなものだ。




挿絵(By みてみん)




「田村麻呂様、この奥に屋敷があります」



偵察の者が様子を見てきた様だ。

 



「敵の隠れ家か…」

 


ほぼ間違いはない。

 



「敵の数は分かるか?」




「それがどうも…外から見た感じでは誰もいない様なのです」




「誰もいない…だと」




そんなはずはない。

 


誰もいないのではない。

 


隠れているか、奇襲だ。




田村麻呂はそう考えた。




「敵の数は少ないと見た…」



「だが、油断はするな、おかしな術を使う輩かもしれぬ…」



田村麻呂は有りもしない情報をわざと言った。

 



「隠れ家かも知れぬ、その屋敷は囲んでおけ…」




田村麻呂はそう指示を与えた。

 



太陽が真上を過ぎた。

 


「夜か…」



それもある…

 


田村麻呂はそう読んでいた。

 








子供達の無事は確認した。



後鬼達が気になる。

 



「田村麻呂もあれだけの兵をよく集めたな…」



空の上で嵐が呆れている。

 


「どうせあの男の命令であろう…」



真魚は帝に呆れている。

 



「四人でどうにかなるのか?」



嵐が真魚に聞く。

 



「どうにかするのだ…」

 


真魚がそう答えた。

 



「昼間は不利だが…」



「夜ならいけるというのか?」



真魚の言葉を遮るように嵐が言った。

 



「とにかく時間を作りたい…」



「そのためには夜までは事を起こさぬ方がいい…」



真魚は子供達を気にしている。

 



あの調子なら、あと一日あれば海まで行ける。

 



「夜に事が起これば、陽が昇るまでは動けぬ」



「その目で確認するまでは田村麻呂も帰れまい…」



「たとえ、けりがついたとしてもだ…」



真魚が笑っている。

 



「確かにそうだな」


嵐が納得している。

 



「それで、いつ起こすのだ…」


嵐が真魚に聞く。

 


「前鬼と後鬼が上手くやるはずだ…」





「はずとは何だ、決めてないのか?」



嵐がその事に呆れている。

 


「恐らく決めても無駄だ…」

 


「無駄とはどういうことだ」



「予期せぬ事が起こるからだ…」



真魚の笑みは確信を意味している。

 



「予期しているではないか…」

 


嵐は笑うしかない。



「真魚、その前に何か食わぬか」



「夜までは保たぬ…」



本来の姿に戻った嵐は燃費が悪い。

 


「いいのか、ご馳走が待っているかも知れぬぞ」



真魚が嵐をからかう。

 


「それは別腹だ」



嵐は既に限界であった。

 


「どうせなら皆でどうだ!」



真魚が気を利かす。

 



「俺は早く食いたいだけだ!」



そう言うと,嵐は目に見えぬ速さで館まで飛んだ。




挿絵(By みてみん)




続く…






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