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空の宇珠 海の渦 外伝 祈りの傷痕 その二十九






男の背中の黒い霧が広がった。

 

その波動が広がり男を包む。

 


我夢はそれを感じた。



無意識に一歩下がった。

 


そこに龍牙が滑り込んできた。



かちぃぃぃん!



反射的に上から押さえ込んだ。



 

だが、その切っ先は、我夢の右の足に食い込んでいた。

 


「うっ!」




挿絵(By みてみん)




我夢は痛みを堪え後ろに下がる。

 


着物に血が滲んでいる。

 


だがその傷の深さは確認することは出来ない。

 


我夢は右膝を地面に付けた。

 


「我夢!」

 


鉄斎が心配している。

 


だが、真魚は笑っていた。

 


「姑息な…」

 


真魚は我夢を見ているのではなかった。

 



後ろの闇を見ていた。

 


手刀印を組み呪を唱える。

 


真魚の棒が赤く輝いている。

 



その棒から赤い怪鳥が飛び出すのと、



闇が広がるのは同時であった。

 



嵐が既に動いている。

 


光となり闇を切り裂き、食っている。

 


「朱雀!」

 

ぎゃぃぃぃぃん!!

 


真魚が叫ぶと赤い怪鳥が声を上げた。


 


闇に向かっていく。

 


「おお…」

 


鉄斎は何が起こっているのか分からない。

 



「鉄斎殿もこちらへ!」

 


前鬼が見とれている鉄斎を、



無理矢理玄武の盾の中へ抱え込む。

 



言葉は優しいが動きは荒っぽい。

 


闇が完全に男から離れた様に見えた。

 


朱雀の炎が闇を焼いている。

 


「我夢の間合いに入った…」

 


それは予想外の出来事であった。

 


「もしや、無間天昇流奥義、一門閃光…」

 


鉄斎が驚いているのは、我夢がその奥義をかわした事だ。

 


かろうじて上から押さえ込んだ。

 


並の者なら腹に致命傷を負っている。

 


「あれを…」

 

鉄斎が二人を見ている。



「大したものだ…」

 


男が我夢に言った。

 


我夢はゆっくり立ち上がった。

 


我夢の足の傷は深くはない。

 


「生かしておいてよかったよ…」

 


男は刀についた我夢の血を舐めた。

 


わざと舌を伸ばし美味しそうに舐める。

 


そうやって心を乱そうとしている。

 


そういう行為だ。

 


我夢は笑っている。

 


「何がおかしいのだ…」

 


男の表情が曇る。

 


「おかしくはない、笑っただけだ…」

 


我夢がそう言った。

 


「こんな男を、憎んでいたのかと思ってな…」

 


更にそう言った。

 


「何だと…」

 


男に怒りがこみ上げる。



「そんなことは…もうどうでもいい!」



「だが、俺がお主を倒す!」




我夢が夢幻刀を構える。




我夢の身体が更に輝き始めた。




挿絵(By みてみん)



続く…




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