表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/494

空の宇珠 海の渦 外伝 祈りの傷痕 その二十二







気がつくと楠が風に揺れていた。

 


全てが夢の様であった。

 


身体が熱い。

 


身体が振動している。 

 


神の波動はまだ残っている。

 


夢ではない。

 


我夢の心には確かな証が存在していた。

 



「夢幻…」

 


真魚がその刀に名を付けた。

 


「これはお前の刀だ…」

 


真魚が我夢に刀を渡した。

 


「俺の…これが…」

 


我夢は驚いている。

 


「お前が打つ必要があった…」

 


「その意味が分かったであろう…」

 


真魚が我夢の心に問いかける。

 


言葉は言ってない。

 


だが、我夢の心にそう伝わってくる。  



「わかる!」





挿絵(By みてみん)




我夢の心の中にあるもの。

 


全てがこの刀に集まっている。

 


鉄斎はそれを見ている。

 


真魚の心を感じている。

 


彩音は踊り疲れ、嵐の側で眠っていた。

 


「いつの間にか大きくなった…」

 


いつしか鉄斎の心も、晴れっていた。

 



佐伯真魚。

 


何という男だ。

 


鉄斎は改めてそう思う。



その光に、恐怖さえ感じはじめていた。








星が美しい。

 


星の光以外、光りはない。



空が全て星だ。


 

光は星で、星は光であった。



木の上を跳んでいた影が、突然止まった。 



「ん!」

 


前鬼であった。

 


「何という気配じゃ…」

 


後鬼もそれに気がついた。

 


それは、森の闇の中に潜んでいた。

 


闇に潜む闇の気配。

 


その入り口は小さい。




「真魚殿が言っていたのはもしや…」

 


前鬼の言葉には、疑いが含まれていた。

 


だが、その疑いが晴れるまでに時間はかからなかった。

 


その奥に巨大な闇が潜んでいる。



それが入り口から漏れている。

 


前鬼はそれを感じている。

 


「間違いない…」


前鬼が考え込んだ。

 


その気配の主を確かめる。

 


それを考えていた。

 


「この気配は闇そのもの…」

 

後鬼がその答えを言った。

 


「真魚殿に報告した方が良さそうだな…」

 

前鬼はそう判断した。

 


「闇の扉が開くかも知れぬ…」

 


後鬼は既に、相手の力を見ていた。




挿絵(By みてみん)





「行くぞ!」

 


そう言うと前鬼が跳んだ。

 


その後に後鬼が続いた。

 


手に負えぬかもしれぬ。

 


そう判断した。

 


それほど奥にある闇の力は大きい。


 

光と闇。



「引き合っているのか…」


 

前鬼によぎる不安。

 


それを直ぐに消し去ることは出来なかった。



「強き光は濃い影を生み…」



「闇の中で、光は一際輝く…」

 


前鬼はその事を考えていた。

 


「この世も動いているのだ」



前鬼はそう考えていた。





続く…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ