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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
中央:帝都編
33/34

奪還するために突き進むコバルトブルードラゴンカスタム

ハラミの嫌疑を晴らすその為にオーチャ中隊は、再び帝都に戻る

 ドーバの助けもあり、帝都からの脱出したハラミとオーチャ中隊であったが、そこで手詰まりになっていた。

 シルバーフェニックスの作戦室。

「どうにかして、ハラミ殿下の無実を立証しなければ」

 ホルモが使えるだけのコネを使って動いていたが、見つかるのは、問題のソオルライダーがハラミに心酔していた事実のみだった。

「無実の立証は、難しいでしょう。それよりも、今回の事にカルビ殿下が干渉していた確かな証拠を見つける方が確実です」

 ティーの提案にドーバが苦笑する。

「それは、更に難しい事かもしれないわ。カルビ殿下の裏工作は、あのミココソオルマイスター仕込みで、抜け目がないからね」

 それを聞いてハラミが頬をかく。

「ミココソオルマイスターのお陰で脱出できた。しかし、そのミココソオルマイスターの教えたお陰でカルビの策に嵌っている。複雑な心境だ」

 ホルモが眉を寄せて頷く。

「本当です。あの人は、どっちの味方なのでしょうか?」

 するとドーバが答える。

「あれの性格からして、ハラミ殿下に力を貸したいと思っている筈。しかし、同時に自分の生徒であるカルビを見捨てる訳にもいかない。だから中立なのよ。そこがあの子の弱点」

 ティーが神妙な顔で言う。

「味方をしてくれない事を言うより、敵に回っていない幸運を感謝すべきです」

 ハラミが頷く。

「そうだな。ここまでお膳立てをしてもらって居ただけでもありがたいのだからな」

「しかし、具体的にこれからどう動きますか?」

 ホルモの質問に誰も答えられない。

 重い沈黙の中、ドーバが告げる。

「私が帝都に居た頃なら情報網を使ってなんとか出来たかもしれない。でも、今は、私が持っているのは、大まかな情報を集める程度のネットワークだけ。そっちも変わらないでしょ?」

 ホルモが頷き、悔しそうに言う。

「カルビ殿下の情報網は、物凄い物があります。あれだけの情報網をどうやって構築したのでしょうか?」

「一度調べたことがある。大本は、ミココソオルマイスターがソオルタワーの利権システムを監視する為に作った物でね。帝都を離れる際にカルビ殿下に譲ったものらしいわ」

 ドーバの説明にバッドが眉を顰める。

「又、ミココか?」

 苦笑するティー。

「それだけ影響力があったという事です」

「そうね。あたしの事もあったから、ネットワークやコネなど、かなりの物を譲っていたって話よ」

 いきなりの声に全員が驚き振り返るとそこに居たナノをドーバが睨む。

「どうやって空を飛ぶシルバーフェニックスに忍び込んだのですか?」

 ナノは、気楽に答える。

「そんな無理は、しない。地上に降りて補給している間に忍び込んで居ただけよ」

 ハラミが質問する。

「それで、何の用ですか? ミココソオルマイスターからの伝言があるのですか?」

 ナノは、首を横にふる。

「ハラミ殿下への伝言は、カルビ殿下に伝えたのが全部よ。ミココちゃんとしては、このまま田舎町にでも逃げてくれた方が嬉しいかもしれないわね」

 ティーが聞き返す。

「どういう意味ですか?」

 ナノが淡々と言う。

「お二人が戦うのを見なくて済むから。ミココちゃんは、今回の事を悩んで居た。どちらにも手を貸せないけど、どちらにも手を貸したい。だから何もしない中立を選んだんだよ」

 淡々とした口調が暗にハラミ達を攻めていた。

 それをしりながらもハラミが言う。

「それでも、私には、帝国の国民を戦火から護る義務があります」

 強い口調にナノが小さく溜め息を吐く。

「これは、あたし個人の助言。ミココちゃんは、監禁されているから何も出来ないけど、奪還されて強要されてまで何もしないのは、中立と思わない筈よ」

 それを聞いてホルモが首を傾げる。

「それは、どういう意味ですか?」

 ナノの謎かけをティーは、理解した。

「詰り、ミココさんを奪還して強制すれば、こちらに協力してもらう事が出来るという事ですね?」

 ナノが肩をすくめる。

「強制しておいて、協力って言うのは、問題あるけどね」

 道が示された。

「そうなると再び、帝都に戻らなければいけませんが、可能か?」

 ハラミの言葉に眉を寄せるティー。

「正直、難しいでしょう。カルビ殿下もミココさんの奪還だけは、阻止するために護りは、強固のはずです。せめてソオルアーマーを持ち込めなければ意味がありませんが、このシルバーフェニックスでも帝都に潜入は、不可能です」

「脱出の時の様に、半ば強引に突入すれば、どうでしょうか?」

 ホルモの提案にドーバが首を横に振る。

「このシルバーフェニックスがハラミ殿下に加担しているとはっきり解ればモモ様に害が及びます。そんな事は、認められません」

「そこをなんとか、なりませんか!」

 詰め寄るホルモを制しハラミが言う。

「これ以上、モモに迷惑をかける訳には、いかない。ここは、我々の力でどうにかするしかない」

「シャドーペンギン、高度なステルス能力を持つあれならば、今回の作戦に相応しいのですが、今何処にあるかしっていますか?」

 ティーの質問にドーバが答える。

「一応、ミココソオルマイスターから私がモモ様とは、関係ない形で預かっているわ」

 意外な幸運にホルモが言う。

「でしたら、それを貸してください!」

 ドーバが首を横に振る。

「カルビ殿下がメッサ様に手を出そうとした時に避難させる為に準備されていたのよ。前回の借りの返しとして私がやる事になっていたから管理しているだけ。始動には、ロック解除が必要で、それは、メッサ様しか知らない。そして、メッサ様の心象を考えれば帝国の後継者争いに加担するとは、思えないわ」

「そうですか……」

 悔しそうな顔をするティーと違いホルモは、諦めなかった。

「私が説得して見せます! 通信をとって頂けませんか?」

 ドーバがやる気の無い顔で言う。

「通信ぐらいは、なんとかするけど、無駄だと思うわよ」

「それでも諦めたくないのです!」

 ホルモが強引に進め、シルバーフェニックスの機能を使って、帝都で半ば幽閉されているメッサに連絡がとられる。

「どうか、シャドーペンギンをお貸し下さい!」

 頭を下げるホルモ。

 事情を聞いたメッサは、長い沈黙の後、告げる。

『私もミココさんの気持ちと同じです。兄弟で争う事に手を貸したくは、ありません』

 予想通りの答えに周りが落胆するが、ホルモが諦めない。

「ロース殿下を失ったメッサ様のお気持ちは、解ります。無理を言っている事は、承知していますが、どうしても必要なのです」

 真摯なホルモの顔にメッサが気付く。

『貴女は、ハラミ殿下の事を愛しているのですね?』

 ホルモが慌てる。

「そんな、私の様な者がハラミ殿下を愛するなんて恐れ多いことです!」

 メッサがロースとの事を思い出しながら言う。

『当時の私もそう思っていました。しかし、この気持ちをもっと早く、素直に現していたらもしかしたらあの様な結末にならなかったのかもと、考える時があります』

 重い言葉にホルモも沈黙する中、メッサがもう一度確認する。

『貴女は、ハラミ殿下の事を愛しているのですね?』

 ホルモは、搾り出すように言う。

「はい。ずっと愛しています。帝国の皇子だからとか関係なく、ハラミだから愛しています。でも、ハラミ殿下は、ハラミ殿下なのです。ハラミ殿下として生きる為には、どうしてもシャドーペンギンが必要なのです。お願いします」

「……ホルモ」

 ハラミがその様子を見て呟く中、メッサが頷く。

『解りました。貴女のその思いにシャドーペンギンをお貸しします』

「ありがとうございます」

 何度も頭を下げるホルモ。

 その様子を見てドーバが驚く。

「絶対に説得できないと思っていたのに?」

 ティーも頷く。

「私もそう思っていました。だからこそシャドーペンギンは、フリーだったのかもしれません」

 バッドが首を傾げる。

「どういう意味ですか?」

 ドーバが肩をすくめながら言う。

「カルビ殿下だったら、シャドーペンギンが管理から外れた時点でおかしいと思っていた筈。追跡調査もされていて、ミココソオルマイスターがメッサ様の安全確保の為に私に預け、その上で私の事情で使われないようロックされていた事まで察知していた。メッサ様の説得が不可能と判断したからミココソオルマイスターと争うことを嫌い、手を出さなかったのかもしれない」

 通信が終わり、見詰め合うハラミとホルモを横目にドーバとティー達による、帝都突入とミココ奪還の具体的な検討が始まった。



 カルビの私邸。

「すいません、ハラミ殿下の行方は、未だつかめていません」

 頭を下げるヒレに対してカルビが平然と答える。

「構わん。それよりも帝都の護りに集中しろ」

 ヒレが頷くが、納得できない顔をする。

「しかし、今更帝都に戻ってきても何も出来ないと思われますが?」

 カルビが笑みを浮かべる。

「それは、何処に居ても同じだ。奴らに残された手は、ミココ先生を奪還し、協力を強制するしかない」

 それを聞いてヒレが唾を飲み込み、覚悟を決めて進言する。

「ならば、ミココ=エジソンを殺せば、カルビ殿下の皇帝の地位は、約束されるのでは!」

 カルビが鋭い視線をヒレに向ける。

「何度も同じ事を言わせるな」

「しかし、あの女は、危険です!」

 引き下がらないヒレをカルビがベッドに押し倒す。

「生意気に嫉妬しおって、身の程を解らせてやる」

 そのままヒレを抱くカルビであった。

 情事の後、ヒレが寂しげに言う。

「カルビ殿下にとってミココ=エジソンは、それ程に特別なのですか?」

「当然だ」

 あっさり答え、王宮に向かうカルビであった。



「今回の作戦は、完全な電撃作戦です。限界までシャドーペンギンで帝都に接近し、ソオルアーマー四機で強引に血路を開き、突入班がミココさんを確保する。カルビ殿下の警戒は、強く、困難なミッションですが、これを成功させなければ私達に勝利は、ありません。健闘を祈ります」

 ティーの言葉にオーチャ中隊の兵士達が頷く。

 ティーの後ろに控えていたハラミが前に出る。

「私が不甲斐無いばかりに、皆に迷惑をかけている。だからこそ約束しよう、どの様な結末を迎えようと、この命を引き換えにしてでも貴殿等の名誉を護る事を」

 バッドが感慨深げに言う。

「聞いたか、例え敗れようとも我らの名誉は、護られる。力の限り戦え!」

「おう!」

 バッドの声に答えるオーチャ中隊。



 ステルスモードで進行するシャドーペンギンのソオルアーマーデッキ。

 ハンマ達、メカニックによるソオルアーマーの最終調整が続けられていた。

 トッテは、作業指示をするハンマの横に行き告げる。

「多分、こいつらは、戻ってこれないと思いますから、先に謝っておきます」

 それに対してハンマが淡々と答える。

「こっちは、何時だってその覚悟だ。だからこそ、その時出来る最大限の事をしてやっている」

 含蓄がある言葉にトッテが感心しながら疑問に思っていた事を尋ねる。

「ハンマさんは、どうして今回の作戦に参加したのですか?」

 ハンマは、苦笑する。

「難しい話じゃないさ。わしは、ソオルアーマーをより好きな方に力を貸したそれだけだ」

 意外な答えにトッテが驚いているとハンマが語る。

「ソオルアーマーは、人を犠牲にして動いている呪われた兵器だ。だが、そこには、俺達メカニック、お前達ソオルライダー、そしてシンカ=エジソンを初めとするソオルマイスター達の思いが篭っている。その思いは、一つ。この帝都に平安をもたらす事だ。頑張って来い」

 強く頷くトッテであった。



 帝都の警戒網の限界まで接近したシャドーペンギンで出撃を待つホワイトタイガーカスタムのコックピットの中で、珍しい事にガッツが緊張していた。

「俺は、生き残れるのか?」

 そんな時、スプラから通信が入る。

『ガッツ、今、良いか?』

「お前から話なんて珍しいな」

 ガッツの言葉にスプラが緊張した面持ちで告げる。

『お前は、ミココさんをどう思っている?』

 意外な質問にガッツが首を傾げる。

「どういう意味だ?」

 苛立った様子でスプラが言う。

『言葉通りの意味だ!』

 ガッツは、頬を掻きながら言う。

「まあ、戦友って奴かな」

 それを聞いてスプラが安堵した顔をする。

『そうか。それなら良い』

 その態度が気になりガッツが言う。

「一体、何なんだ?」

 その時、レッスの通信が割り込む。

『鈍いんだから。スプラさんは、ミココの事が好きなのよ』

 想定外の言葉にガッツが驚く。

「冗談だろう? あんなガキの何処が良いんだ? 何時も何時もトラブルを起こす、根っからのトラブルメーカーだぞ?」

 それに対してスプラが真剣な顔で反論する。

『ミココさんは、好きでトラブルメーカーなんじゃない。周りに大切な人間を護る為に、敢えて泥を被った結果なんだ! 僕は、そんなミココさんの助けになりたいんだ!』

 熱いスプラの思いを知りガッツが言う。

「お前にもそんな所が有ったんだな。クールなだけの奴かと思っていたぜ」

『冷静じゃなければミココさんの助力になれないからな』

 スプラの答えにレッスが楽しそうに言う。

『本当に好きなんですね』

 少し恥ずかしそうにしながらスプラが通信を切る。

「意外だったな?」

 同意を求めるガッツの言葉にレッスが呆れる。

『あのね、あからさまだったよ。気付いていないのは、ガッツと本人だけじゃない。ミココってあれで恋愛の機微に疎いから』

「そうだったのかー」

 腕組して悩むガッツを見てレッスも覚悟を決めた。

『あたしは、そんな単純馬鹿なガッツの事が好きだよ』

「誰が単純馬鹿だって……」

 言葉の途中で、レッスの発言の意味に気付いて顔を真赤にするガッツ。

『続きは、帰ってからね』

 そう告げてレッスが通信を切る。

 ガッツは、苦笑いをして言う。

「絶対に生きて帰らないといけなくなったな」

『ソオルアーマー小隊、出撃ポイントに到着しました。お願いします』

 ティーからの指示にガッツが先ほどまでの不安など消えうせた顔でガッツが言う。

「ホワイトタイガーカスタム、ガッツ=アフレス行くぜ!」

 そして、ガッツの駆るホワイトタイガーカスタムが戦場に出る。



 帝都防衛隊の司令室。

「大変です、帝都内部に未承認のソオルアーマーの反応が四つ現れました」

 その報告に帝都防衛隊の指令が慌てる。

「どこの勢力だ!」

「オーチャ中隊です!」

 その答えに指令が拳を握り締めて怒鳴る。

「何度も我々に煮え湯を飲ませてくれた奴らを今度こそ地獄を見せてやれ!」

 指令の指示に隊員達が答え、無数とも思えるソオルアーマーが出撃を開始する。



 先行するコバルトブルードラゴンカスタムのコックピットでスプラは、熱い思いを抱いていた。

「ミココさん、絶対に助け出します!」

 何体ものソオルアーマーが出ては、すぐさま蹴散らされる中、スプラの行く手を塞ぐのは、コバルトブルードラゴンの量産機、スカイブルードラゴンだった。

 連続して放たれるアイスブレスに、自身がアイスブレスを使うために対応がされたコバルトブルードラゴンカスタムもじわりじわりとダメージを貯めていく。

 しかし、スプラは、怯まなかった。

「アイスブレスの応用力、見せてやろう!」

 ドラゴンブレスで敵のアイスブレスを迎撃し、大量の水分を空中に撒き散らす。

 そして、ひきつけたところで打ち出されるコバルトブルードラゴンカスタムのアイスブレス。

 当然、回避されるが、アイスブレスが空中に撒き散らされた水分を凍らせて、スカイブルードラゴンの動きを封じる。

『後は、任せろ! タイガークロー!』

 追いついてきたホワイトタイガーカスタムからガッツの声が響き、動きを封じられたスカイブルードラゴンを撃墜していく。

 最新鋭のソオルアーマー達を蹴散らされて怯む帝都防衛隊。

 そして、そんなスプラ達、ソオルアーマー小隊が囮になるなか、突入部隊がミココの監禁された施設に潜入を成功するのであった。



「ここか!」

 ホルモが扉を開けるとそこでは、ベッドの上で御菓子を食べるミココが居た。

「やっぱ来たんだ」

 やる気無い顔をするミココにホルモが殺意すら覚えながら武器を突きつける。

「大人しくこっちの要求を聞いてもらう。カルビ殿下が皇帝陛下暗殺に関わった証拠、それを見つけ出して!」

 ミココは、メモリースティックを投げ渡す。

「そこに問題のソオルライダーを洗脳した上官とカルビ殿下の配下が接触した証拠があるよ」

 あっさり提示される証拠にホルモが驚く。

「どうしてこんな物を持ってるのよ」

 ミココが遠い目をして言う。

「監禁されてるっていっても、ナノ姉さんだったら楽勝で潜入してこれたから、色々と動いてもらっていた。使う羽目にならなければ良いと思ってたんだけどね」

 寂しげなミココの腕を掴みホルモが言う。

「とにかく、ついてきてもらいます。ここから脱出し、この証拠を使ってハラミ殿下の冤罪を晴らすのを手伝ってもらいます」

「予想外の事が多いですね」

 その声にホルモが驚き振り返るとそこには、カルビとヒレが立っていた。

「あちきだって予測しなかった。帝都脱出の成功する確率は、極端に低く、メッセさんを説得できる確立なんてゼロだと確信してた。シャドーペンギンのロックを解ける人間を見つかったらもしかして位に思ってたのに、まさかホルモさんの純愛がメッセさんの心に通じるなんてね」

 ミココの言葉にカルビが肩をすくめる。

「ミココ先生の言ったとおりですね。ハラミ兄上達みたいなストレートな人間こそが私達の天敵だって」

 ヒレがミココに武器を突きつける。

「敵に利用されるくらいならここで!」

 放たれる銃弾。

 しかし、それを受けたのは、ミココでもそれを咄嗟に庇おうとしたホルモでも無かった。

「カルビ殿下!」

 ヒレが悲鳴をあげる。

「馬鹿が、誰がミココ先生を殺して良いと言った!」

 肩から血を流しながら怒鳴るカルビに戸惑うヒレ。

「しかし、ここで逃げられては、ここまで積み上げていたものが!」

 カルビがヒレに武器を突きつけた時、ミココがヒレの腹に一撃を入れて気絶させる。

「無駄な殺しは、しない。だいたい、あんな攻撃にあたったり、暗殺をあっさり受けるあちきだと思ってたの?」

 カルビが苦笑する。

「女性を護るのが男としての義務ですから」

「キザな事を言わない」

 カルビの傷の治療をするミココにホルモが武器を突きつける。

「カルビ殿下を捕虜にして逃げます!」

 ミココが平然と言う。

「撃ちたければ撃てば良いよ。でもね、そんな事をハラミ殿下が認めると思う?」

 ホルモが悔しげに黙る。

 そしてカルビ殿下の治療を終えたミココが言う。

「忠告、下手な足掻きは、せず、ここは、負けを認め、次のチャンスを待つ方が確立高いよ」

 カルビが立ち上がりミココ達に背を向けて言う。

「残念ですが、私は、そんなあるかどうか解らないチャンスを待つ気は、ありません」

 追いかけようとするホルモにミココが言う。

「カルビ殿下に何かしようとするんだったらあちきが敵になるよ。それでも良いの?」

 悔しそうにしながらもホルモが言う。

「解りました。今は、脱出を優先しましょう」

「それで、この子は、どうするの?」

 いつの間にかに現れたナノがヒレを指差す。

「すいませんけど、安全なところまで避難させておいて」

「了解。そうそう、例の件は、ミココの想像通りで間違いなかったわ」

 ヒレを担いだナノの言葉に拳を握り締めるミココであった。



 シャドーペンギンに戻ってきたミココにハラミが言う。

「強引な事をしてすまない。しかし、こちらも切羽詰っていたのだ」

 ミココが頷く。

「解ってますよ。これしか、方法が無かったって事くらい」

「とにかく、今は、脱出が優先だ」

 バッドの言葉に、ミココが言う。

「残念だけど、そう簡単に行かないよ」

 次の瞬間、シャドーペンギンに爆発が起こる。

「どうした!」

 バッドが確認させると部下が答える。

「ステルスしてる筈のこのソオルシップが攻撃を受けています」

 バッドが驚く。

「馬鹿な、帝都防衛隊にも気付かれていなかったんだぞ」

 ミココが手を上げる。

「カルビ殿下のソオルアーマー麒麟王だよ。あれには、シャドーペンギンのステルスなんて通用しない高度な探索機能があるから」

 ホルモが睨む。

「貴女が庇わなければこんな事にならなかった筈です!」

 ミココが辛そうに言う。

「あちきもこの展開だけは、嫌だったんだけどね」

 その表情にティーは、ミココがずっとこの状況をならないように努力し続けて居たのだと気付いてしまう。

「何があると言うのですか?」

 そんな中、ミココが言う。

「最後の戦いだよ、カルビ殿下が乗る、麒麟王を倒さない限り、脱出は、不可能。この戦いで長かった後継者争いに決着がつくよ」

 シャドーペンギンのメインディスプレイに大きく映し出される一本角を持つ金色のソオルアーマー、麒麟王は、まるで神の様な威厳を放っていた。

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