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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
中央:帝都編
31/34

帝都の夜を飛ぶブルーイーグルⅡカスタム

最終章開始。勝つのは、カルビか、ハラミか?

 その事件は、突然発生した。

「ハラミ殿下こそ、皇帝陛下に相応しいのだ!」

 そう叫び、ハラミの配下で、高い戦績から、ハラミの推薦で皇帝陛下のお目通りが適ったソオルライダーが、皇帝陛下に襲い掛かった。

 偶然というには、不自然の程、その日の謁見の間には、ハラミの配下の人間が多かった。

 その者達の殆どが、皇帝陛下が、カルビ殿下を高く評価している事に不満を持っていた。

 その為、行動が遅れ、誰も皇帝陛下を守る事が出来なかった。

「父上!」

 突然の事態にハラミが慌てて間に入ろうとしたが、ホルモが咄嗟に間に入った。

「危険です!」

 そのまま、ハラミを始めとする誰もが何も出来ないまま、問題のソオルライダーは、皇帝共々爆死した。



「何故、止めた!」

 自室で謹慎するハラミが苛立ちを堪えながらホルモに詰問した。

「お怒りは、重々承知しております。全ては、私の責任です。どうか処罰してください」

 淡々と告げるホルモの肩を掴むハラミ。

「私が言っているのは、そういうことじゃない! まさかと思うが、お前が関わっているという事は、無いだろうな?」

 ホルモは、頷く。

「それは、ありません。しかし、あの男と同様の考えを持った者達が殿下の配下にいた事は、承知していました」

 悔しそうにするハラミ。

「なんて愚かなんだ! 自分の配下の考えも十分に考えられていなかったのか!」

「ハラミ殿下が悔やむことでは、ございません。それよりもこれからの事を考えるべきです」

 ホルモの言葉にハラミが真摯な顔で告げる。

「罰を受けるつもりだ。あの男をあそこに連れてきたのは、私なのだ、知らなかったなんて事で済ませられない」

「殿下、それだけは、おやめ下さい。ここで殿下が罪を認めてしまえば、帝国は、カルビ殿下の物になってしまいます!」

 ホルモの反発にハラミが淡々と答える。

「この事件が起きる前からそうだった。私は、皇帝の器では、無かった。それだけだ」

「しかし……」

 ホルモが諦めず説得しようとした時、呼び出しがかかった。

 ハラミは、覚悟を決めた顔でその呼び出しに応じるのであった。



 一部の高官だけが集められた会議室でカルビが質問する。

「今回の事は、全てハラミ兄上の策略だと言う者が多いが、反論は、ありますか?」

 ハラミは、正面からそれを受け止める。

「私の配下の者が起こした事件、そう思われても仕方ない事。そして、配下の者が罪を犯した以上、私にもそれ相応の罰があってしかるべきだろう」

 慌ててホルモが割ってはいる。

「あれは、間違いなく単独犯です!」

 ヒレが一瞥して告げる。

「貴女に発言の資格は、ありません」

 黙るしかないホルモ。

 そんな中、カルビがあっさりと罰を受けるハラミに肩をすくませて言う。

「そうですか、それでは、正式な罪状と罰が決まるまで謹慎をお願いします」

 ハラミが頷く。

「解った」

 そして、衛兵に連れられて皇族専用の謹慎室に連れて行かれようとするハラミを絶望の表情で見るホルモ。

 そんな中、カルビが告げる。

「そうそう、監禁中のミココ先生から伝言があります」

 ハラミが驚く。

「どうしてミココ=エジソンソオルマイスターを監禁したのだ?」

 カルビが苦笑する。

「ミココ先生も叩けば埃が山の様に出る人ですから、暫くは、監禁させてもらえます。私が皇帝の地位に着くまで短い間ですがね」

 その言葉にその場に居た誰もが、一連の事件を裏から糸を引いているのが誰で、それを邪魔されないようにミココを監禁しているという事を悟った。

 そんな空気を無視してカルビが告げる。

「助力を求めるのならオーチャ中隊が一番。あそこは、あちきの聖域だから、カルビ殿下にも手が出せないとの事ですよ。まあ、大人しく監禁されているのは、今回の事に関しては、中立を保つって事でしょうね」

 ホルモが思わず口にする。

「カルビ殿下の口から伝言されたそれを信じろと言うのですか!」

 ヒレが睨む。

「一介のソオルライダーの分際で無礼、ここで処分されたいの!」

 ハラミが間に入り言う。

「その伝言、確かに受け取った。ホルモ、すまないがオーチャ中隊に事の次第を伝えに行ってくれ」

「しかし……」

 戸惑うホルモに対してハラミが言う。

「今は、ミココ=エジソンの言葉を信じるしかない。そして、短い付き合いだが、その言葉には、信頼を置けると私は、思っている。私を信じてくれないか?」

 躊躇しながらもホルモが頷いた。



 同時刻、オーチャ中隊が使用するホワイトホエールにレオ大隊の大隊長、リーオ=シシンが来ていた。

「カルビ殿下からの通達だ。元SOEの四機のソオルアーマーを摂取する」

 それにティーが驚く。

「突然ですね。あれは、ソオルタワーのエジソンソオルマイスターの管轄だと思われましたが」

 それに対してリーオが余裕の笑みを浮かべて言う。

「あれは、ただいま、カルビ殿下が拘束中だ。あの娘も色々と問題行動が多いからな」

 それを聞いてバットが怪訝そうな顔をする中、ティーがあっさりと答える。

「解りました。私も一介の軍人です。上からの命令には、従います。直にソオルコア、四つをソオルライダーから回収しますので、先に機体の摂取を始めていてください」

 それを聞いてリーオが満足そうに言う。

「素直が一番だ。これ以上、逆らわなければカルビ殿下もお前達の事を悪いようには、しないから安心するが良い」

 リーオがソオルアーマーデッキに向かう中、バットが言う。

「宜しいのですか?」

 ティーが肩をすくめる。

「我々は、軍人だ、上には、逆らえない。言うとおりにする。トッテ達を呼んでくれ」

 呼び出しに応じてやってきたガッツ達だったが、話を聞いてガッツが噛み付く。

「そんな出鱈目な事があって良いわけ無いだろう!」

「ミココさんは、大丈夫なのでしょうか?」

 スプラがミココを心配するとティーが告げる。

「ミココさんは、自分が危なかったら自分で何とかします。それにカルビ殿下がミココさんに危害を加えるとも思えません。それより、先ほどの命令を覚えていますか」

 レッスが朱雀のソオルコアを握り締めて言う。

「どうしても駄目なのですか?」

 バットが苦々しい顔で言う。

「我々は、軍人である以上、命令には、逆らえないのだ」

「だけどよ!」

 納得いかないで詰め寄ろうとするガッツを制止し、トッテが言う。

「確認なんですが、回収するソオルコアは、四つなんですね?」

 ティーが笑みを浮かべて答える。

「はい。白虎、青龍、朱雀、玄武の四体のソオルコア、四つです」

 それを聞いてトッテがあっさり玄武のソオルコアをティーに渡す。

「どうぞ、お受け取り下さい」

 トッテの行動に他の三人も従うが、ティーが苦笑する。

「相手に渡すソオルコアは、四つなのですよ」

 それを聞いて驚いた顔をするレッスとスプラ。

「どういう意味だ?」

 一人、まだ状況が読み込めないガッツであった。



 そして、白虎達の摂取の翌日、ホルモがやってきて、帝都で起こった事件の説明をするとティーが納得する。

「なるほど、カルビ殿下も最後の大勝負に出たのですね」

 それを聞いてバットが言う。

「どうするつもりですか?」

 ティーは、真剣な顔で答える。

「ここで動けば前回の茶番と違い、成功しても、失敗してもただでは、すみません。参加するメンバーは、最低限にするつもりです」

 それを聞いてホルモが驚く。

「カルビ殿下に逆らうつもりなのですか?」

 ホルモ自身は、何があってもハラミを救い出そうと考えていたが、オーチャ中隊は、どちらかというとカルビ殿下よりだと考えていた。

 やってきたのもハラミに言われたからだけで、何も期待をしていなかった。

 ティーが帝都の方を向いて言う。

「覚悟は、していました。前回の暗殺事件以降、度重なる後継者争いに対する決断は、ミココさんに預けてきました。しかし、それでは、駄目なのです。自分達の考えで動かないといけないのです」

 バットが淡々と言う。

「しかし、ハラミ殿下は、皇帝陛下になるには、真直ぐ過ぎるぞ」

 ティーが頷く。

「しかし、カルビ殿下は、目的の為に手段を選らば無すぎます。残念ですが、私は、カルビ殿下が皇帝陛下になる事を容認できません」

 それを聞いて、バットが言う。

「確かにな。しかし、何人、残ると思う?」

 ティーが答える。

「たった二人でもやるしか無いでしょう」

 首を傾げるバット。

「一人は、オーチャ大隊長として、もう一人は、誰ですか?」

 ティーが笑顔で告げる。

「タタケー副隊長に決まっているでしょう」

 大きなため息を吐くバットだったが、反論することは、無かった。

 そして、事情を説明後、有志の参加者を乗せてホワイトホエールが帝都に向かって動き出す。



 帝都ジョジョエーンのカルビの私宅。

「それでは、オーチャ中隊は、素直に実験機を差し出したのだな?」

 カルビの質問に褒められるのを待つような顔をしたリーオが答える。

「はい。奴らもカルビ殿下には、逆らえない事が解っているのでしょう」

 ヒレも頷く。

「そうでしょう。彼らは、元々、こちら側の人間です。今更、ハラミ殿下に加担するとは、思えません」

「その通りです。全ては、カルビ殿下の思惑通りです」

 媚を売るリーオを面倒そうに見ながらカルビが手を差し出す。

「ソオルコアを渡せ。それで帰って良い」

 残念そうな顔をしながらもリーオがティーから受け取ったソオルコアを渡す。

「これで全部だと言うのか?」

 カルビの問いに首を傾げるリーオをヒレが叱責する。

「愚かな! あの実験機は、ダブルソオルコアシステム。ソオルコアは、全部で八つです」

 一気に顔を青褪めさせるリーオ。

「しかし、ソオルアーマーも無い以上、奴らには、何も出来ない筈です!」

 その時、カルビの部下が入ってくる。

「大変です、オーチャ中隊のソオルアーマー部隊が、ハラミ殿下を幽閉した塔を襲撃しています!」

 大きく溜め息を吐くカルビに戸惑い続けるリーオ。

「馬鹿な、どういうことだ?」

 カルビが面倒そうな顔でヒレに視線だけで指示するとヒレが答える。

「アニマルモードの為、元々使っていたソオルアーマーのソオルコアと機体の一部を使用している。詰り、残ったソオルコアは、元のソオルアーマーの物。実験機の返還が想定し、ミココソオルマイスターが元のソオルアーマーを準備しておいたんだ」

 リーオが事態を飲み込む。

「詰り、奴らは、四体のソオルアーマーを所有しているって事ですか?」

 ヒレが冷たい視線を向ける。

「それも、そのうち二体は、SOEの元になったミココソオルマイスターのソオルアーマーです」



 皇族専用の謹慎室と言う名の塔に幽閉されたハラミが呟く。

「このまま、私が処罰されて全て、終わると言うのか?」

 言葉に出来ない不安に襲われるハラミ。

 その時、衝撃がハラミの部屋を襲う。

「何が起こっている?」

 壁が吹き飛び、一体のソオルアーマーが突入してくる。

「誰だ!」

 ハラミが叫ぶと、ソオルアーマーのコックピットが開き、レッスが現れる。

「ハラミ殿下、お急ぎ下さい!」

「君は、確か、オーチャ中隊のレッス=ミンテソオルライダー。何故ここに?」

 ハラミが戸惑う中、レッスは、通信機を手渡す。

『ハラミ殿下。オーチャ中隊は、ハラミ殿下を全面的にバックアップしてくださるとの事です。そして、このままハラミ殿下が処罰され、カルビ殿下が皇帝になった場合、帝国が大変な事になると判断したそうです。その判断は、私も賛成です』

 ホルモからの通信にハラミが躊躇する。

「しかし、ここで逃げたとしても、何の解決にもならない」

 すると、今度は、ティーが説得してきた。

『ロース殿下の事件を思い出して下さい。我々が逃げ出し、動き回ったお陰で軍の膿が出ました。今度は、この王宮の膿を吐き出させる時なのです』

 ハラミの脳裏に次々と消えていく兄妹の姿が過ぎる。

「解った。ここで、私が何もしなければ本当に大変な事になるだろう」

 ハラミは、レッスが駆る、ソオルアーマーに乗る。

「ところで、朱雀じゃないみたいだが、どういうことだ?」

 ハラミの質問にレッスが頬をかく。

「実験機は、既に押さえられています。これは、ミココが用意していた、代替えと言うか、元のソオルアーマー。あたしのブルーイーグルⅡカスタムです」

 一気に上空に上がるブルーイーグルⅡカスタム。

 塔の周囲では、トッテが駆るブラックアックスカスタム、ガッツが駆るホワイトタイガーカスタム、スプラが駆るコバルトブルードラゴンが警備のソオルアーマーを蹴散らしていた。

「ミココソオルマイスターは、この事も予測していたと言うのか?」

 ハラミの呟きにレッスが少し哀しそうに答える。

「多分。だから、事前に全てを終えていた」

 レッスの複雑な心境を察し、ハラミが言う。

「袂を割った訳では、無い。中立の立場に立っているだけだ。全てが終わったら又、同じ目標に向かって進めるだろう」

 レッスが頷く。

「そうですよね。飛ばしますから、掴まっていてください」

 帝都の夜を快走するブルーイーグルⅡカスタム。

 こうして、歴史上では、ハラミ殿下とカルビ殿下による後継者争いの最終戦が始まった事になる大脱出が始まったのであった。

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