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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
西部:逃走編
3/34

飛翔するブルーイーグルⅡ

本格的に動き出した策謀とそれに巻き込まれるオーチャ中

 帝都ジョジョエーンの王宮の謁見の間に内乱鎮圧を終えた、モモが報告に来ていた。

「見事な手際だった。褒美には、何が欲しい」

 泰然とそう告げるのは、モモ達の父親、四十六才で、その権勢を更に高める、ジーオ=ラリア=ビーフにモモが笑みを浮かべて答える。

「それでしたら、お願いしたい事が一つあります」

 ジーオが促すとモモが意味ありげに、横に居る美形故に重圧感を感じさせない弟、カルビ=マツザカ=ビーフを見てから告げる。

「地方に居るミココ=エジソンが製造したソオルアーマー、ホワイトタイガーを父上の誕生祭のソオルアーマーロードに加えて頂きたい」

 その言葉にざわめきが起こり、無駄に豪華な装飾をつけた四十五才のファーストのテトリススターのソオルマイスターにて、タワーマスターのノーウ=ムウが反論する。

「あれは、盗作容疑もあがった人物。その様な者が作ったソオルアーマーを陛下の誕生祭のソオルアーマーロードに加えるのは、問題があるかと思われます!」

 その言葉にモモが苦笑しながら返す。

「盗作したという証拠があるのですか?」

「それは、しかし、タワーマスターの選考会の時に私と同じソオルアーマーを出してきたのは、事実です!」

 ノーウの答えにモモが質問を追加する。

「ならば、聞きますが、貴方がミココ=エジソン、元ファーストのダブルスターのソオルマイスターのソオルアーマーを盗作していない証拠を見せてもらいますか?」

 ざわめきが更に大きくなり、ノーウが顔を真赤にして言う。

「モモ殿下! 私が十二才の小娘のソオルアーマーを盗作したと仰りたいのですか!」

 モモが肩をすくませて言う。

「私は、あくまで平等に判断したいだけです。ミココ=エジソン、元ファーストのダブルスターのソオルマイスターは、貴方からの告発に対して、選考会で明確に盗作疑惑を否定し、認められました。それに対して貴方は、していない」

 戸惑うノーウにそばに居た、ノーウと違い、質素だが清潔感が漂う服装をした三十才のファーストのトリプルスターのソオルマイスターのゲナウ=バタラが代わりに答える。

「ミココ=エジソン側から、盗作に対する告発が無かっただけのこと。あれは、そういうことをする人間で無かった、それだけです」

 それを聞いてモモが言う。

「ノーウ側の人間の言葉を信じろと?」

 それに対してカルビが発言をした。

「姉上、ゲナウ=バタラ、ファーストのトリプルスターのソオルマイスターは、その妻、ナノ=バタラと共にミココ先生の小さい時の世話をしていました。彼等程、ミココ先生の事に詳しい人物は、居ません」

 モモがわざとらしい態度で、言う。

「そうそう、彼女は、貴女の教師だったわね。そんな貴方の目から見て、彼女が盗作する人間だと思う?」

 空気が更に緊張する。

 その中には、カルビに対する同情の思いが強かった。

 カルビとしては、ミココを非難すればその教師に習った自分の評価を下げ、擁護したら擁護したらで、盗作の可能性がある人間を擁護したと攻められる原因を作る。

 実際、モモもその算段もあった。

 しかしカルビは、少し残念そうな顔をして答える。

「正直に言わせて貰えば、ミココ先生の評価を下げました。盗作をしたかどうかでなく、それで立場を失った事でですがね」

「そう、残念だったわね。でも、私は、彼女の作ったソオルアーマーに乗って少なくともソオルアーマーロードに並べるに値すると判断したわ。その判断を貴方達は、否定するのかしら?」

 挑戦する視線でノーウ達を見るモモ。

 ノーウは、悔しげに何も言えず、ゲナウが答える。

「ソオルマイスターとして当然の懸念事項を申し上げただけ、モモ殿下の意見を否定した訳では、ありません」

 誰が聞いても言い訳しかないが、それを指摘する者は、居ない。

 話が終わったのを確認し、ジーオが言う。

「我が娘、モモへの褒美だ、モモの提案を承認しよう。手配するが良い」

「ありがたき幸せです」

 モモが一礼をして、自分が常に立つ場所に戻っていく。

 すると長身で、筋肉質だが、美形のモモの似ていない兄、ハラミ=ミヤギ=ビーフが小声で問う。

「モモ、何のつもりだ?」

 モモは、笑みを浮かべ、前に立つ、第一後継者のオーラを放つ、ロース=クロゲ=ビーフとその隣の美形だが、どこか闇を感じるタン=コウベ=ビーフを見ながら小声で答える。

「あの盗作騒ぎには、ロース兄上かタン兄上が裏で圧力をかけたという噂がある。今回の事で、その事が明るみに出れば、皇帝の地位が近づくわ」

 小さく溜息を吐くハラミ。

「お前は、まだ諦めてないのか?」

 少し不機嫌そうな顔をしてモモが言う。

「兄さんが諦め良すぎるだけ。母親が違う兄弟なんて蹴落としてでも登り詰めて見せるわ」

 そんな会話を聞こえたわけでは、無いだろうが、タンがロースに呟く。

「モモは、盗作疑惑を利用して私達にダメージを負わせたいみたいですね」

 しかしロースは、気にした様子も見せずに淡々と答える。

「関係ないな。私は、私が背負う義務をこなすだけ」

 その悠然とした態度にタンが笑みを浮かべながらも憎悪した。

 そんな子供達の争いを把握しながらもジーオは、けっして止める事は、しなかった。

 彼自身、実の兄、リカン=アメ=ビーフを蹴落とし、皇帝の座を手に入れたからだ。

 逆に誰か勝ち残るかを楽しみにしている。

 父親としては、最低の部類に入る男だが、優秀な後継者を望む賢帝であった。

 しかしそんなジーオの目にもカルビは、計りきれなかった。

 先ほどの態度を思い出しながら呟く。

「ミココ=エジソン、末弟の辛さ故に荒れ、女癖が悪かったカルビの女の教師しか駄目だと言う我侭に答える苦肉の策だった。しかし、その教えがあれを変えた。不気味な程に……」

 そしてもう一度子供達を見てからジーオは、確信する。

「今度の誕生祭、間違いなく大きな変動が起こる」



 オーチャ中隊の駐屯基地のティーの執務室。

 そこにミココが呼び出されていた。

「帝都から、我が中隊の誕生祭のソオルアーマーロードの参加の命令が来た」

 ティーの言葉にバットが続ける。

「本来なら、優秀な成績を上げた部隊もしくは、各派閥の最新鋭のソオルアーマーしか選ばれない名誉ある命令だが、どう考えても前回のモモ殿下の件が関係しているのだろう」

 ミココが困った顔をして言う。

「すいません、多分、あちきを引っ張り出して盗作騒ぎを利用する謀略だと思います」

 ティーが苦笑する。

「気にしなくてもかまいません。もしもホワイトタイガーが無かったら、我が中隊は、全滅していた可能性があったのですからね」

 バットが頷く。

「後継者争いに巻き込まれたのは、お前も一緒だ」

 そしてミココが言う。

「確か、軍務を理由に断る事が可能だった筈ですが、特にこの周囲には、不在の間の交代戦力もありませんから、それを理由にする事も可能かと思いますが?」

 ティーが首を横に振る。

「私もそれを考えましたが、先手を打たれました。交代の部隊が三日後には、到着します」

 それを聞いてミココが頬をかく。

「その手際、モモ殿下の仕事とは、思えませんね」

 バットが眉を顰める。

「どういうことだ? 今回の事は、モモ殿下の謀略で無いと言うのか?」

 ミココは、首を横に振る。

「それは、間違いなくモモ殿下ですが、色々と別の人間も裏で動いているんでしょうね。やり方があちきの教えた通りですから」

「なるほど、カルビ殿下も決して皇帝の座を諦めていないって事ですね?」

 ティーの言葉にミココが頷く。

「下手をすると一番強いかもしれませんよ」

 バットがそんな二人の会話を聞いて呟く。

「軍人が政治的なやり取りするのは、好かない」

 苦笑するしかないティーとミココであった。



 パイロット達の控え室で、教本を読まされながらガッツが言う。

「結局どうなるんだ?」

 レッスが呆れた顔をする。

「話を聞いてた?」

 ガッツが眉を顰めて言う。

「とにかく俺のホワイトタイガーがお姫様の目に止まって、それを皇帝の誕生日のパレードに参加させようって話だろう」

 レッスが大きな溜息を吐く。

「パレードじゃなくてソオルアーマーロードよ。帝国権威を示す為に皇帝陛下が通る道を精鋭ソオルアーマーで固める物で、選ばれるのは、凄く名誉な事なんだから」

 トッテが後を続ける。

「まあ、最新鋭ソオルアーマーもそこに並ぶ事になる。どちらかと言うとホワイトタイガーは、そっちの部類に入るな」

 ガッツが軽い頭をひねって答える。

「つまり、ホワイトタイガーだけがその列に参加すれば良いのか?」

 そこにミココがやってきていう。

「表向きは、単独で呼ぶって言うのは、おかしいからオーチャ中隊のソオルアーマー小隊に招集が掛かっているけど、実は、後継者争いの伏線だよ。みんなには、悪いことをしたけど、あちきの選考会での盗作騒動には、皇帝一家も絡んでるから、そこらへんから相手のダメージを与えようと言うやり取りの結果だよ」

 レッスが驚いた顔をする。

「ミココって意外と大物だったみたいだね?」

 苦笑するミココ。

「お祖父ちゃんが偉かっただけだよ」

 トッテは、頭をかきながら言う。

「そうなると、俺達が気をつけないといけないのは、余計な騒動に巻き込まれない様にすることだな。帝都の美人を楽しもうと思ったんだがな」

 そんな時、警報が鳴り、緊張が走る。

『敵対勢力のソオルアーマー五機発見。総員、第一種戦闘態勢に移行せよ』

「うそ! どっからそれだけの数のソオルアーマーを……」

 驚くレッスにトッテが言う。

「今は、そんな事を言っている場合じゃない、急いで戦闘準備だ」

「どっちに乗るの?」

 ミココの質問にトッテは、一瞬だけ躊躇したが、答える。

「ブラックアックスだ。俺のソオルアーマーは、アレだ。それに、相手の数が多い、一機でも多くソオルアーマーが必要なんだ」

「解った。多分、オーチャ中隊長も同じ判断だと思うよ」

 ミココが確認の連絡を取り始める。



 ソオルアーマー発進デッキでは、慌しく発進準備が進められていた。

「ハントスチーフ、予定通りの構成で行くそうです」

 ミココがハンマに駆け寄りながら伝達する。

 ハンマは、一瞬ホワイトタイガーを見てから言う。

「そうだな、ガッツのガキに言っておけ、前回みたいな間抜けな発進したら、二度とソオルアーマーに乗せないぞと!」

 周りが失笑する中、発進準備が終り次々とソオルアーマーが発進していく。

 最後のやはりどこか頼りない発進をするホワイトタイガーを見送ってから、ハンマが言う。

「今回のソオルアーマーの数、普通じゃない。お前絡みだな?」

 ミココが辛そうに頷く。

「多分、あちきに帝都に戻ってきて欲しくない殿下が裏で糸を引いていますね」

 ハンマが不機嫌そうな顔をするのを見て、ミココが俯くとハンマがその頭を撫でながら言う。

「お前に腹を立ててるんじゃねえよ。自分の地位の為に仲間すら襲う馬鹿な奴等に腹を立ててるんだ。お前は、何も悪いことしてないんだ胸を張ってろ」

 ミココが微笑む。

「ありがとう」



 ブルーイーグルⅡのコックピット。

「敵戦力は、レッドソードⅢが三機、レッドスピアⅡが二機です」

 緊張の面持ちのレッスにトッテがソオルアーマー小隊の隊長として指示を出す。

『どちらも旧型、一機ずつ正面から戦えば勝てる相手だ。盾代わりにガッツを前に出す。相手が分断された所を俺が一機ずつ潰していく』

『俺は、戦えます!』

 ガッツが割り込んでくるがトッテが厳しい口調で告げる。

『そういう台詞は、まともにソオル能力を使えるようになってから言え。とにかく、レッス、お前は、俺達が抜かれた相手の足止めをすれば良い』

「了解しました」

 レッスがそう答えて、後退する。

 その間にガッツの操るホワイトタイガーが前に出て、敵から至近距離の攻撃を食らうが、その強力な防御フィールドで無傷である。

 そして分断されたレッドソードⅢの一機に狙いを定めてトッテのブラックアックスが攻撃を仕掛ける。

 混戦状態になる中、レッドスピアⅡの一機が駐屯基地に向かって行く。

「トッテさんは、混戦中で、ガッツは、一方的に攻撃を受けてる。ここは、やっぱりあたしが足止めしないと」

 唾を飲み込み、レッドスピアⅡの進路に割り込み、ブルーイーグルⅡの標準装備のライフルを発射する。

 しかし、レッドスピアⅡは、止まらない。

「どうしよう……」

 戸惑うレッス。

『レッス! 諦めるな、少しでも時間を稼ぐんだ!』

「了解!」

 トッテの指示に従い、レッスがライフルを連射するが、通常装備で、ソオルアーマーにダメージを与えるのは、難しく、相手もそれを重々承知しているのか、更に加速を開始した。

『レッス、突っ込めよ! そいつを止められるのは、お前だけだ!』

 ガッツの言葉にレッスは、反射的にどなり返す。

「あたしには、貴方みたいに無茶は、出来ない!」

 それを聞いて、ガッツが怒鳴り返してきた。

『何時もの強気のお前は、何処行った! 何時もえばり腐っているソオルライダー様だろう! それとも、サブソオルライダーの俺より撃墜数少なくって良いのか!』

 その言葉に、レッスの動きが止まる。

『俺は、どんどん倒すぜ! それが仲間を護る事に繋がるんだからな! お前は、そこで、仲間が死ぬのを見ているつもりなのか!』

 レッスの脳裏に前回の戦いの絶望感が甦る。

「そんなの嫌!」

 レッスは、ブルーイーグルⅡを急速接近させる。

 当然、レッドスピアⅡも攻撃してくるが、相手と同じようにソオルアーマーに至近距離以外の通常兵器は、通用しない。

 そして、銃口が当るほどに接近したレッスがライフルのトリガーを引く。

「倒れろ!」

 激しい銃撃音と共に、レッドスピアⅡが倒れていく。

「……やった」

 呆然とするレッス。

 そこにもう一体のレッドスピアⅡが迫ってきた。

「嘘!」

 レッスが思わず目を瞑る。

 しかし、レッスが予想した衝撃は、来なかった。

 レッスが目を開けるとそこには、吹き飛ばされたレッドスピアⅡの姿が入ってきた。

「トッテさんがやったんですか?」

『違う、援軍だ』

 トッテからの返信でレッスが見るとそこには、コバルトブルーのドラゴンを思わせるソオルアーマーが在った。



「人の獲物を横取りして、何ものだ?」

 今回は、一方的に攻撃されただけのガッツが見慣れないソオルアーマーを見上げて文句を言う。

「そういう台詞は、一発でもまとも攻撃を当ててから言え」

「でも、実際何者ですか? 遠距離攻撃って事は、エレメタル派のソオルアーマーですけど、スタイルからしてアニマル派のソオルアーマーに見えますけど」

 レッスが不思議そうに見上げると答えは、後ろから返ってくる。

「コバルトブルードラゴン。あちきがソオルタワーで最後に設計したソオルアーマーだよ」

 ミココの言葉にトッテが頷く。

「なるほどな、基本フォルムがどこかホワイトタイガーに似ていると思った」

 そしてコバルトブルードラゴンから二十才の好青年が降りてきて、トッテに敬礼をする。

「私は、バルゴ大隊ルースド中隊第一ソオルアーマー小隊所属、スプラ=ナダッセ、セカンドのトリプルスターのソオルライダーであります。ソオルアーマーロードに参加するレオ大隊オーチャ中隊ソオルアーマー小隊に代わり、ナニーワ周囲の警護に参りました」

 返礼をするトッテ。

「レオ大隊オーチャ中隊ソオルアーマー小隊隊長、トッテ=エイチ、セカンドのトリプルスターのソオルライダーだ。警護の件、了解した。直ぐに中隊長の所に行かれるか?」

 スプラは、首を横に振る。

「それは、うちの小隊の隊長が行います。それより、一つ聞かせて貰えますか? あのソオルアーマーとそのソオルライダーについて」

「お久しぶり、あれは、あちきが作ったソオルアーマーでホワイトタイガーって言うの。それで、そのソオルライダーは、そこに居る、サードのトリプルスターのサブソオルライダーだよ」

 ミココの挨拶にスプラが嬉しそうに近づき言う。

「ミココさん、元気そうで良かったです!」

 レッスが驚いた顔をして言う。

「ミココ、この人のことを知ってるの?」

 ミココが頷く。

「前に話したでしょソオルライダーになる方法。今じゃ若手ソオルライダーナンバーワンと呼ばれるこいつも最初は、危険なテストを行っていたソオルライダーだったんだよ」

 スプラが苦笑する。

「僕が生き残れたのは、全てミココさんがテスト前の確認を十全にしていてくれたおかげですよ」

 ミココが肩をすくめて言う。

「そんなの製造に関わる者としては、当然の事よ」

 和やかな空気が流れていたが、スプラは、ガッツを見て言う。

「それにしてもどうしてミココさんのソオルアーマーにミソッカスが乗っているんですか?」

「誰がミソッカスだ!」

 ガッツが反論するがミココが言う。

「ミソッカスだからあちきので盾になるしか出来なかっただけだよ」

「盾としては、役にたったな」

 トッテも頷く。

「トッテさん!」

 抗議の声を上げるガッツをスプラが睨む。

「君は、自分がどれだけ貴重なソオルアーマーに乗っているのか自覚があるのか?」

 ガッツが不機嫌そうに言う。

「ミココが作った奴がそんなに凄いのかよ?」

 スプラはガッツの胸倉を掴む。

「ミココさんは、帝国でも最高のソオルアーマー設計者だ。それを理解できない君にホワイトタイガーは、相応しくない!」

 ガッツが必死にもがく。

「うるせい! 相応しいかどうかは、お前が決めることじゃねえだろうがよ!」

 腕力では、敵わないみたいで、外せないガッツにスプラが言う。

「そんなのは、今の戦いを見れば解る。もしも僕だったら、あの程度の敵を五分で全滅させる」

 レッスが手を上げて言う。

「でも、性能差って奴があるから一概に比較対象には、ならないと思いますが」

 スプラが自分のコバルトブルードラゴンとホワイトタイガーを見て少し悔しそうに言う。

「ミココさん、ソオルアーマーの性能は、どのくらい違うのですか?」

 ミココが即答する。

「コバルトブルードラゴンは、ブルーイーグルⅡを助けたのに使ったドラゴンブレスって遠距離攻撃がある事と短時間飛行が可能な事を除けば、全ての面でホワイトタイガーからは、数段劣るよ。近距離戦闘が出来る今回なら、ホワイトタイガーの方が数倍有利だね」

 スプラの目に嫉妬とも思える光が宿る中、トッテが言う。

「すまないが、これは、我が中隊の配置問題だ、口を出さないで貰えるかな」

 スプラは、ガッツから手を離してトッテに頭を下げる。

「余計な口を挟み、すいませんでした」

「よくもやりやがったな!」

 殴りかかろうとするガッツをトッテが止め、冷たい一言を放つ。

「今の戦闘を見たら、誰もが同じ感想を持つ。悔しかったらもっと練習しろ」

 歯軋りをするガッツ。

 そんな中スプラが言う。

「しかし、本当に信じられません。これほどのソオルアーマーを作れるミココさんに盗作疑惑があるなんて。ナノさんも、未だにあの件は、納得していません」

 苦笑するミココ。

「ナノ姉さんは、あちきの送別会の時もずっと文句を言ってたもんね」

 スプラが頷く。

「あの時は、ゲナウさんとミココさんが二人で宥めてましたよね。でも、その気持ちは、解ります。どう考えても、ノーウの奴が作ったクリムゾンドラゴンは、コバルトブルードラゴンを真似したとしか思えません」

 スプラ自身が納得していない顔をしている。

 トッテがミココを見て言う。

「そんなあからさまだったのに、お前の方からは、訴えなかったのか?」

 ミココは、手を振って言う。

「この世界は、盗作された方が悪いの。それだけだよ。ほらいつまでもだべってないで、ソオルアーマーの整備をするよ。コバルトブルードラゴンの状態見せてくれる」

「お願いします」

 スプラが応じて、盗作の話題は、流れた様に見えたが、トッテは、呟く。

「単純な盗作問題じゃないみたいだな」



 バルゴ大隊ルースド中隊第一ソオルアーマー小隊に警護の引継ぎを終えると、サイレントエレファンでレオ大隊オーチャ中隊は、ソオルアーマー小隊を中心としたメインメンバーが帝都ジョジョエーンに向って移動するのであった。

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