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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
北部:反乱編
27/34

善戦するイエローフィッシュⅡ

開始されるロース殿下確保作戦


「結局どうやって、ロース殿下を確保するのですか?」

 バットの質問にティーが真剣な顔で答える。

「そこが問題なのですが、相手も帝国の隠密部隊を警戒して、ロース殿下の所在を明らかにしていません。それを調べる事から始まる予定でした」

「どうして、そこが過去形なのですか?」

 バットが半ば答えを察知しながら尋ねると、白虎達の調整データを確認しながら戻ってきたミココが答える。

「あちきが、その情報を獲得したからだよ」

 なんともいえない顔をするバットを見て、特別に参加していたトッテが大きな溜め息混じりに言う。

「どうやったらそんな、重要情報を手に入れられるんだ?」

 ミココが金のマークを見せて答える。

「金だよ。今回の騒動で、ノーブルス大陸の企業の株が大暴落して、株式に疎い馬鹿な高官が破産しかけてるのを見つけたから、金と引き換えに情報を提供させてる」

「一つだけ確認しますが、そのお金は、何処から出ているんですか?」

 恐るおそるのティーの質問にミココが平然と答える。

「タン殿下の隠し資産。あちきが見つけてカルビ殿下に言って、確保してもらったの。こういったダークな金が必要な時に使うためにね」

 トッテが頭を押さえながら言う。

「お前、そういう暗躍体質改善しないといつか痛い目みるぞ」

「痛い目だったら何度もみてるし、今回もその一つだと思ってるよ」

 ミココは、何処か諦めた顔で言うと、ティーが咳払いをして話を戻す。

「とにかく、ロース殿下は、聖地テンポから、ほど近い海岸を背にした防衛戦に適した町、セルファーに教皇の娘さんと一緒に滞在中です」

「まだまだ、ロース殿下を旗頭にする事に対する反対派の意見もあるから、ここで待機してるって状態だと思うよ」

 ミココの補足にバットが地図を見て、思考する。

「海岸線は、視界がありすぎて侵入には、適していない。だが、上下を山地で展開も難しい。唯一の平原も敵最大勢力がある聖地への道、下手をすれば、挟み撃ちになる算段が高い」

 ティーが頷く。

「通常の戦力だったら、海岸線に敵の数倍の戦力を集めて、力押ししかない所ですが、こちらのソオルアーマーは、通常戦力では、ありません。海岸線から故意に距離をとって玄武で襲撃、相手の攻撃が集中した所で、上下から飛行能力を持つ青龍と朱雀が強襲。その時点でロース殿下は、聖地に向かって逃がされるはずすから、そこを白虎で確保します」

 その作戦を聞いてトッテが苦笑する。

「相手側にもソオルアーマーある状況でこんなとんでもない作戦が決行できるのは、この中隊だけですね」

 バットが強く頷く。

「そうだ。しかし、私の若い頃は、相手側にソオルアーマーが無いと甘く見て、ソオルアーマーの有利性を確信して、これより無茶な作戦を立案する馬鹿な上官が居たものだ」

 遠い目をするバットにミココが告げる。

「最悪ですね。相手がソオルアーマー隠し持っていて、ソオルアーマーが足止め食らっている間に、仲間が全滅したなんて例がいっぱいあったでしょ?」

 バットがトッテを見て告げる。

「ミココが言った通りの最悪な状況に、何度も遭遇した。油断だけは、するな」

 トッテが頷く。

「解っています。いくら玄武達が強くても絶対じゃないことくらいしっています」

 こうして、作戦が開始される事になる。



 セルファーの小さな教会、そこでメッサが祈りを捧げていた。

「こんな所に居たのですか?」

 ロースがやって来る。

「ロース殿下、この様な所に態々いらっしゃらなくても、私の方からお伺いしますのに」

 メッサが恐縮する中、ロースが教会を見回し、感慨深げに告げる。

「この教会は、帝国の襲撃の際も残った数少ない天包布教の教会ですね?」

 メッサが驚いた顔をして肯定する。

「そうです。今でこそ、宗教の自由が認められて、聖地も近いこともあり、大きな教会がありますが、当時の教会の大半は、壊されました。この教会だけは、市民の協力もあり、なんとか無事に残ったのです」

 沈痛な表情をするロース。

「私の先祖は、なんと愚かな事をしたのだ。何を信じていようと同じ人間だと言うのに。本当にすまないことをした。私などが幾ら謝罪しても意味がないかもしれないが、謝らせてくれ」

 頭を下げるロースにメッサは、必死で訴える。

「ロース殿下が謝る必要は、ありません。それに、私達も、ロース殿下を無理やり改宗させようとしています」

 俯くメッサにロースは、聖書を見せて告げる。

「それこそ気にする事では、ない。私は、天包布様の教えに触れる事が出来た事を幸運だと思っているのだから」

「ロース殿下」

 見詰め合う二人。

 そんな時、兵士が駆け込んでくる。

「大変です! 海岸から、帝国のソオルアーマー、それもSOEが襲撃をかけてきました!」

 ロースの顔が真剣な物に変わる。

「それは、何がイメージされる機体だ?」

 衛兵は、即答する。

「亀のイメージされる機体だったそうです」

 ロースが苦々しく顔をする。

「玄武か、あの能力なら単独でこの町を制圧する事も可能だな。私が出る!」

 それを聞いてメッサが慌てる。

「そんな、殿下が戦いに出る必要は、ありません!」

「そうです! ここは、我々にお任せ下さい!」

 兵士もメッサに同意する中、ロースは、強い決意を籠めて告げる。

「無理だ。相手は、帝国軍でも苦戦した最強クラスのソオルアーマーだ。それよりも、玄武一体でここに来たとは、思えない。他の場所からの襲撃も予測される。周囲の警戒を強めろ」

「はい!」

 行動を開始する兵士達の後を追う様にロースが戦場に向かおうとした時、メッサが泣きそうな顔をする。

「どうして危険な場所にいかれるのですか?」

 ロースは、メッサを抱きしめて告げる。

「貴女がここに居るからです。昔の私でしたら、自分の立場を考えて逃げていたでしょう。しかし、今は、護る者が居る。だから戦うのです」

「ロース殿下……」

 目を潤ませるメッサと長い口づけをしてからロースは、戦場に歩みだす。

 メッサは、教会で祈る。

「どうか、ロース殿下を御守下さい。その為でしたら、この命も捧げます」



 海岸線で、バードフィッシュ派のソオルアーマー、イエローフィッシュⅡと戦う玄武。

「イエローフィッシュⅡのミサイル搭載量は、厄介だな」

 コックピットのトッテは、ソオルコーティングミサイルを撃つが、防衛側のイエローフィッシュⅡは、大量のミサイルで、その全てを迎撃していた。

 そして、玄武のスピードの遅さという弱点を突こうと接近するイエローフィッシュⅡだったが、トッテは、タートルシェルを効率よく使って撃退していく。

「これ以上の侵攻は、無理だな。ここで、相手の注意をひくか」

 足場の確認を始めるトッテだったが、計器に表れる異常ソオルエネルギーに驚く。

「何だ、これは、ゴット派のソオルアーマーの出力だぞ!」

 目の前に迫る大波にトッテは、タートルシェルで受け流す形をとる。

 そして、大波が過ぎた後、その攻撃の元を見る。

 そこには、三叉の矛を持った神のイメージを持つソオルアーマーが居た。

『こんな所で、再び、合間見える事になるとは、思わなかったぞ』

 通信機から聞こえるロースの声にトッテが驚く。

「ロース殿下!」



 その通信は、少し離れた位置に居たシャドーペンギンにも届いていた。

「あれは、何だ? 始めてみるソオルアーマーだぞ?」

 バットの言葉にミココが口を押さえる。

「そういえば、ポセイドンってこっちに預けられていたんだっけ」

「知っているのですか?」

 ティーの言葉に、ミココは、トッテにも聞こえるようにして説明する。

「お祖父ちゃんが作ったソオルアーマーの一つ。失敗作だったから、こっちに友好の証だって預けられていた筈だよ」

『失敗作って事は、戦闘力が低いのか?』

 トッテの質問にミココが頬をかきながら答える。

「それが、今回にいたっては、そうじゃないの。ポセイドンのソオル能力は、水コントロール。大量の水が無いと、使えないんで、内陸では、使えないって失敗作になっただけだから」

『なるほどな、ここだったら水が使い放題だから、関係ないって事だな。因みに弱点は、無いのか?』

 トッテの質問にミココが困った顔をする。

「お祖父ちゃんが作ったソオルアーマーだから、どっかの馬鹿が作った物じゃないから、あからさまな弱点は、ないよ」

 そんな会話を聞きながらティーとバットが作戦変更の打ち合わせをしていた。

「かなり面倒な展開になりましたね」

「ソオルアーマーを集めて一気に確保するか?」

 それを聞いていたミココが嫌そうに告げる。

「戦力を集めても、ポセイドンのソオル能力を考えたら、不利には、変わらないよ」

「それでも、トッテ達の腕だったら、勝てるだろう?」

 バットの指摘にミココが複雑な顔をするのを見てティーが辛そうに言う。

「勝てるだけじゃ不十分です。確保をしないといけないのですから。その為には、相手の戦闘不能にしつつ、致命的なダメージを与えず、その上で敵の包囲網を抜けなくては、いけません」

 重苦しい空気が、シャドーペンギンに張り込める。



 ポセイドンのソオル能力をタートルシェルで受け流し続ける玄武が舌打ちする。

「確実にレベルアップしてる。何があったんだ?」

『エイチソオルライダーチーフ、説得を試みるので、通信を中継してください』

 ティーからの通信にトッテが装置を確認しながら答える。

「この距離なら何とか、強制に通信ラインを開きます」

『通信を繋いだみたいだな』

 ロースの声を確認して、ティーが返信する。

『ロース殿下、私は、レオ大隊オーチャ中隊、中隊長、ティー=オーチャと申します。皇帝陛下からの特命で殿下に帝都にお戻り頂く手伝いに参りました』

『建前は、良い。私は、この地で生きていく事を決めた。この地を護る為には、この身を捧げる覚悟もある。死してもこの地は、離れん』

 ロースの答えにトッテは、驚きを覚え、呟く。

「とても、前戦った時の殿下と同一人物とは、思えないな」

『どうしても、お戻りなさる気は、ありませんか?』

 ティーの問い掛けにロースが即答する。

『私の意思は、変わることは、無い』

『エイチソオルライダーチーフ、撤退だ』

 ティーの命令をトッテは、了承する。

「了解しました。殿下、またお会いする事があると思われますが、その時は、決着をつけさせてもらいます」

『その言葉は、そのまま返そう』

 ロースは、そう言いながらも、攻撃の手を止める。

 その間に後退する玄武であった。



 セルファーでの初戦は、こうして両者に大きな被害が出る前に終結するのであった。

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