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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
東部:追撃編
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囚われるサンクチュアリアテナ

次の話の状況説明です

 ウエスター大陸の貿易都市ナニーワの近く、オーチャ中隊が駐屯している基地。

 ガッツがホワイトホエールの外壁掃除をやっていた。

「何で俺がこんな事をしないといけないんだよ!」

 不満の声を上げると、近くで休憩しながら監視をしていたレッスが答える。

「これ以上、給料が天引きされると生活できないと訴えた上の罰当番だからでしょ」

 ガッツは、大きく溜め息をついて言う。

「何で仕事して減給されないといけないんだよ!」

 そういって空を見た時、不自然な影を見つける。

「あれって鳥か?」

 それを聞いてレッスがガッツの見ていた方向を見て言う。

「鳥にしては、大きすぎる気がするけど……」

 どんどん大きくなっていく影にレッスが言う。

「以前にもこんな事があった気がする」

 そう言っている間に、どんどん大きくなっていく。

「ソオルシップだ!」

 ガッツの大声をあげる中、銀色の翼を持つソオルシップが駐屯基地に着陸するのであった。



「それで今度は、どんなトラブルなのだ?」

 ホワイトホエールの会議室でバットが問いかけると、銀色の翼のソオルシップ、シルバーフェニックスでやってきたミココが言う。

「解ります?」

 ティーが言う。

「当然です。帝国でも両手で数えるしかない飛行可能なソオルシップに乗ってきた時点で解りますよ」

 そしてミココが頬をかきながら言う。

「またもや大事なんだけど、心の準備は、良いですか?」

 バットが大きく深呼吸して言う。

「聞かなかったら別なところに行くって事は、無いんだろう?」

 ミココが遠い目をして言う。

「もう時間が無いんだよ」

 ティーが諦めて言う。

「どうぞ」

 ミココが言う。

「モモ殿下が誘拐されちゃいました」

 重苦しい空気の中、ミココが言う。

「詳しい話をしている間に復活してくださいね」



 イースタン大陸の西部の山岳部、ブルースピア帝国の唯一の女性殿下、モモ殿下は、SOEを活用して、反抗勢力を潰していた。

 その日も、LWRIシステムを搭載したサンクチュアリアテナに乗り、その姿を前線に見せて、権力を誇示していた。

 戦いが終わり、サンクチュアリアテナを降りたモモに副官のドーバが近寄る。

「お疲れ様です」

 モモは、満足そうな顔をして告げる。

「LWRIシステムは、戦場をリアルに感じられるのが良いわね」

 ドーバは、頷くが忠言する。

「ビッグガルーダをもう少し、遠くに配置した方が宜しいかと思われます」

 それを聞いて、モモが苦笑する。

「そんなに心配しなくても大丈夫よ。いざとなれば、ビックガルーダで空に逃げれば良いだけの話なのだから」

「しかし、LWRIシステムを使用している関係上、近くに十分な戦力を配置しておりません。万が一の時に十分な対応が出来ません」

 ドーバがそう言った時、爆発音が響く。

「何が起こった!」

 ドーバが素早く回りに人間に確認する。

『格納庫の方で爆発が発生しました。直に兵士を向かわせます!』

 それを聞いて即答する。

「愚か者! 現在の配備を解くな!」

 その言葉が終わるかどうかのタイミングで、銃撃音と共に、テロリストが流れ込んできて、困惑するモモを確保する。

「殿下を離せ!」

 ドーバが叫ぶ中、テロリストが告げる。

「皇女は、貰っていく。要求は、後日通達する。我々は、『日が昇る国の希望なり』!」

 そういって、モモに拳銃を突きつけて、リーダーがサンクチュアリアテナに乗り、脱出し、残りのメンバーも混乱するビックガルーダから脱出するのであった。



 ブルースピア帝国の首都、ジョジョエーンのハラミの執務室。

「申し訳ありません! モモ殿下は、この命を懸けまして、必ずや奪還いたします!」

 ドーバの言葉にハラミが沈黙したままであった。

「残念だけど、その話は、私が担当する事になる」

 そう言って現れたのは、カルビである。

「モモ殿下は、ハラミ殿下の妹君、ここは、ハラミ殿下が中心になって奪還するのが筋では、ありませんか!」

 ドーバの言葉にカルビが苦笑する。

「残念な事に、ロース兄上に続きタン兄上が帝位から脱落した結果、ハラミ兄上は、現在最有力の後継者。その人間が簡単に腰を上げるわけには、いかない。それにこういった交渉ごとには、私の方が向いている」

 それを聞いて、ドーバが言う。

「私が、ハラミ殿下の代わりに前面に出ます!」

 カルビが切って捨てる。

「お前程度がモモ姉上の命が掛かった交渉に相応しいと思っているのか?」

 その言葉に悔しそうにするドーバ。

「ハラミ兄上も文句は、ありませんね?」

 カルビの自信をもって言う。

 しかし、ハラミもドーバもカルビの裏の企みが容易に想像できた。

 この機会に、モモを排除しようとしている。

 それは、明確に解ったから、ドーバが激しく抵抗していたのだ。

 そんな中、ハラミがある決断をする。

「カルビ、お前も帝家の人間、兄上殿の抜けた穴を塞ぐために余力は、あるまい。更にモモが抜けた以上、お前とて、仕事に余裕は、無い違うか?」

 カルビが意外な展開に多少驚くが、即答する。

「しかし、私以上にハラミ兄上は、多忙だと思われますが?」

 ハラミが頷く。

「だから、ここは、ミココソオルマイスターに全権を預けようと思うが、どうだ?」

「ミココ先生ですか……」

 カルビが少し思案した顔をして言う。

「解りました。ミココ先生なら問題ないでしょう」

 あっさりと引いて退室したカルビの事を示しながらドーバが言う。

「随分とあっさりひきましたね?」

 ハラミが苦笑する。

「ミココソオルマイスターの名前が出た時点で諦めたと言うのが本音だろう。今回のことは、本来の計画に無かった事故で、無理は、しなかったのだ」

「同行させて下さい」

 ドーバの言葉にハラミが言う。

「全ては、ミココソオルマイスターの判断しだいだ」

「了解しました」

 ハラミの執務室を出て行くドーバであった。



「そんなこんなで、あちきが、今回の作戦の総指揮を取る事になったの。それで、時間が無いからオーチャ中隊を実働部隊として借り出す事になった訳」

 それを聞いて、バッドが言う。

「時間が無いのなら、イースタン大陸方面に展開している部隊を徴集すれば良いだろう」

 ティーが言う。

「具体的な移動時間を問題にしている訳では、無いのですよ。ミココさんが、オーチャ中隊を選んだのは、カルビ殿下の部下が紛れ込んでも直に解るようにです。他の部隊では、その調査に時間が掛かるのです」

 ミココが頷く。

「それもあるけど、そのティーさんの頭脳を始めとする能力面でも信用してるんだよ」

 バッドが溜め息を吐いて言う。

「また、帝位継承がらみのゴタゴタに巻き込まれるのか?」

 ミココが頭を下げる。

「あちきが関わった所為です、すいません」

 ティーが苦笑しながら言う。

「別にかまいません。それより、一つだけ確認させていただけませんか?」

 ミココが首を傾げる。

「何ですか?」

 ティーがバッドに先に声をかける。

「ここから先の発言は、聞かなかった事にしてくれ」

 バッドは、戸惑いながらも頷く。

 そして、ティーが言う。

「ホワイトホエールの監視データに関する工作は、カルビ殿下の為にしたのですか? それともハラミ殿下の為ですか?」

 バッドが驚きの表情を浮かべる中、ミココが眉を顰めながら言う。

「やっぱりばれましたか。あれは、真実を隠蔽したほうが、両方の為になると思っただけです」

 それを聞いてティーが頷く。

「了解しました。それでは、急いで準備を始めましょう」

 ミココも頷く。

「あちきは、トッテさんと親方に相談してきます」

 ミココが退室した後、バッドが言う。

「今のには、どんな意味があったのですか?」

 ティーが言う。

「ミココさんが最終的にどちらを取るかを確認したかったのです」

「カルビ殿下とハラミ殿下のどちらをですか?」

 バッドの質問にティーが首を横に振る。

「帝国の利益か、人道かです。多分、本人も悩んでいるところですが、それで良いと思います。どちらかに偏る事があったらそれは、危険な証ですから」

 バッドが複雑な顔をする。

「何故、奴らは、まだ若いミココに大きな物を背負わせ様とするのですかね?」

 ティーが悲しそうに言う。

「能力があると言う事は、必ず幸せに結びつかないと言うことです。我々と同じで」

 バッドが強く頷くのであった。

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