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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
南部:要塞編
16/34

墜落する朱雀

ケロベロス要塞編の開始です

「これが正式な指令書です」

 ホワイトホエールのブリッジでティーに指令書を手渡すホルモ。

 それを受け取りティーが言う。

「要塞攻略の任務、了解しました。直ぐに移動を開始します」

 そしてホルモが言う。

「ハラミ殿下の代わりに私が白虎のソオルライダーとして同行する事になりますが現場の指揮に関しては、従うように命令されています」

「了承しました」

 ティーがそう答えるとミココが手を上げる。

「それじゃ、他のソオルライダーへの顔みせは、あちきがやっておきます」

「すいませんが宜しくお願いします」

 頭を下げたティーは、そのまま、バッドと細かい打ち合わせに入る。

「こっちね」

 ミココは、ホルモを連れてガッツ達が居るソオルライダーの待機室に向った。



 ソオルライダー待機室に着いて、ミココが言う。

「ここには、直接ソオルアーマーデッキに移動できるシューターもあるよ」

 そういってドアを開けた時、ガッツが駆け寄ってきた。

「ミココ! どうして白虎のソオルライダーが俺じゃないんだ!」

 ミココは、溜息を吐きながら言う。

「あちきには、ソオルライダーの配置に対する人事権なんて無いよ。文句だったら、今回の件の為に昇進してセカンドのテトリススターになったトッテさんに言って」

 不満そうな顔をするガッツにスプラが言う。

「大体、僕は、君がホワイトタイガーのソオルライダーとして再任している事実が信じられないよ」

「何でだよ」

 ガッツの言葉にレッスが言う。

「あんな事件を起こして降格したサブソオルライダーは、二度とソオルアーマーには、乗せてもらえないのが通例だからよ」

「そうなのか?」

 驚いた顔をするガッツにトッテが言う。

「そうだ。ミココに感謝しろ、裏から手を回して、ホワイトタイガーを動かしたのが前回の作戦の一部だった事にしてくれたから、またサブソオルライダーに成れたんだからな」

 ミココが肩をすくめて言う。

「そんくらいは、大した事じゃないから気にしなくても良いよ。それより、この人が、白虎のソオルライダーとしてホワイトホエールに乗ることになったホルモ=センマイ、セカンドのトリプルスターのソオルライダーだよ」

「お世話になります」

 敬礼するホルモにトッテが敬礼を返した後、小声でたずねる。

「それで、ハラミ殿下とは、何処まで行ってるんですか?」

 顔を真赤にするホルモ。

「どうして、それを!」

 周りの視線が集まり、ホルモが睨むとミココが視線を逸らしながら言う。

「約束通りカルビ殿下には、話してないよ。でも、あんな恋愛小説みたいな展開、そうそう無いから、パジャマパーティーでついつい話しちゃった」

 レッスが目を輝かせる。

「相手の事を思って、身を引くなんて、本当に愛しているんですね」

「私とハラミ殿下とは、けっしてそんな関係では、ありません!」

 力の限り否定するホルモを全員が生暖かい目で見るのであった。



 移動中のホワイトホエールの盗聴対策が万全な重要会議室。

「今回の一番の問題は、敵が味方だと言う事ですね」

 ティーの言葉にホルモが頷く。

「はい。ハラミ殿下も出来るだけ相手側にも被害を与えないように要塞を攻略する方法を検討して欲しいとの事です」

 バッドが苦々しい顔で言う。

「そうは、言っても要塞とは、元々攻略されないために有る施設だ。そこを攻め落とすと成れば、双方にそれ相応の被害が出るのは、必然です」

 それに対してホルモが言う。

「ハラミ殿下は、SOEを使用し、直接説得が行うとの事です」

 正直に顔を顰めるバッドを見て苦笑しながらミココが言う。

「まあ、ハラミ殿下もそれだけでどうにかなると思っていません。平行して要塞を囲い込み補給を断ち、時間をかけて相手をまいらせる作戦を基本とするように提示されています」

 ティーが頷く。

「強固な要塞に対しては、妥当な作戦ですね」

 それを聞いて、ミココが言う。

「そういうことで、現場指揮官を宜しくお願いしますね、ファーストのダブルスターに昇格したオーチャ中隊長」

 つまらなそうな顔をしてバッドが言う。

「オーチャ中隊長は、ともかく、どうして私までファーストのシングルスターに昇格したのだ。特に私の昇格には、色々と障害があったはずだぞ」

 ミココが平然と言う。

「バッドさんの昇格を邪魔しそうな元上司の人達は、あちきが弱みを掴んで脅しておきましたから、平気でしたよ。それに今回は、複数の部隊での共同作戦ですから、ある程度の地位は、必要なんです」

 苦笑するティー。

「なるほど、ソオルタワーの魔女には、誰も睨まれたくないって事ですね」

 眉を顰めるミココ。

「こんな所までそのあだ名が広まってるんですか?」

 バッドが頷く。

「当たり前だろう。お前がソオルタワーに戻ってからの数ヶ月で失脚したソオルマイスター関係者がどれだけいると思ってるんだ。大半がロース殿下暗躍事件で発覚した不正の関係者だったみたいだがな」

 そんな雑談めいた会話を区切るようにミココが手を叩く。

「こっからが最重要点なんですが、オーチャ中隊長、タン殿下の行動を見て不自然だと思いませんでしたか?」

 ティーが真剣な顔で頷いた。

「ええ、幾らなんでも要塞に立て籠もったぐらいで帝国の攻撃を凌げると考えているとは、思えません。何かしらの隠し玉があるのでしょう」

 ホルモが悔しそうな顔で言う。

「私達の方でもまだ掴んでいませんが、その可能性は、高いと思われます」

 するとミココが一枚の写真をテーブルにおく。

「それに関係するかもしれない可能性が一つ」

 その写真を見てバッドが言う。

「なんだ、この見た目だけ派手で中身が無さそうな男は?」

 思わず苦笑するミココ。

「止めてくださいよ、ビンゴ過ぎて、笑いが止まらなくなるじゃないですか」

「ノーウ=ムウ、前タワーマスターがどうしたのですか?」

 ホルモの言葉にティーが真剣な顔をする。

「まさか、タン殿下と接触をしているのですか?」

 ミココが首を横に振る。

「不明ですよ。これは、サウーザ大陸に出張していたソオルタワーの職員が撮った物ですけど、念の為の追跡調査で、足取りが今向っているケロベロス要塞の近くの町で途絶えています。可能性として一発逆転を狙い、タン殿下と手を組む可能性があります」

 バッドが呆れた顔をしながら言う。

「往生際が悪い奴らだな。しかし、裏工作ぐらいしかとりえがない奴が加わっても大した事が出来るとは、思えないが」

 それに対してミココが複雑そうな顔をして言う。

「腐っても元タワーマスター。ブルースピア帝国の最重要秘密、ソオルコアの製造方法を知っていますよ。帝国内に居る間は、そんな情報を流出させる真似できないと処分だけは、しないで居たんだけど、追い詰められたタン殿下は、要塞内でのソオルコアの製造を行い、それを餌に反帝国組織と手を組む可能性が出てきますよ」

「最悪なシナリオですね。ソオルコアを作り出せる可能性は、どの程度なのですか?」

 ホルモの質問にミココが複雑そうな顔をする。

「それは、あちきにも解らない。前の前タワーマスターも現タワーマスターもあちきには、ソオルコアの製造に関しては、一切関わらせようとしなかったから。でもいえるのは、不良品でも少しでも動けば十分な餌になるって事だけ」

 ティーが今の言葉に何かを察知したが顔にも出さないで言う。

「そうなると、封鎖の密度を濃くして、ソオルコア一つ、問題の要塞から出さないようにしないといけませんね」

 バッドが面倒そうに言う。

「人一人見逃せないという事か。難しいがやるしかないな」

 その時、ソオルアーマーデッキからミココとホルモの呼び出しがかかる。

「それでは、失礼します」

「作戦の方をお願いしますね」

 去っていく二人を見送った後、ティーが言う。

「バッドさん、もしもソオルコアの製造施設を制圧する時の為、口が堅く、清濁併せ持つ事が出来る人を選んでおいてください」

 バッドが真剣な顔で言う。

「そういうことなのか?」

 ティーが頷く。

「多分、ミココさんの祖父殿とゲナウ殿がミココさんに秘密にする理由なんて他に考えられません」

 バッドが辛そうに言う。

「帝国も業が深いって事だな。解った、秘密を墓までもっていける奴を選出しておく」

 何かに気付く、年長二人であった。



 そして、ホワイトホエールもケロベロス要塞に到着、先に到着した部隊と要塞の隔離作戦を開始した。

 それと同時にLWRIを使った、説得も行うため、SOEの一機、朱雀がケルベロス要塞に接近する。

 その朱雀のコックピットには、自称、スプラのライバル、スプライ=トライムが乗っていた。

「皇帝の代弁者の称号を持つソオルアーマー、これこそが私が乗るに相応しいソオルアーマーなのだ。クリムゾンドラゴンという欠陥ソオルアーマーの所為で私の輝かしい経歴が傷ついてしまったが、今度の任務で最高の働きを行い、一気にナンバーワンソオルライダーとなるのだ」

 高笑いをあげるスプライであった。



 その様子を観測室で通信機越しに聞いていたミココがホワイトホエールのソオルアーマーデッキで玄武に搭乗して待機しているトッテに言う。

「トッテさん、本気で大丈夫なの?」

 するとトッテも煮え切らない様子で言う。

『出る前に、今回は、あくまでハラミ殿下のお言葉を相手に伝えるだけの任務だと念を押しておいたから大丈夫だと思うぞ』

 ミココが眉を顰める中、朱雀に搭載されたLWRIを通して、ハラミの説得が始まる。

『タン兄上を始とするケロベロス要塞に立て籠もる我が同胞に告ぐ。今すぐ武装を放棄し、傍で待機している部隊に投降して欲しい。我等は、同じブルースピア帝国に属する仲間。ここで無駄な争いをする必要など何処にもないのだ』

 そんなお約束の説得の会話にミココが溜息を吐いていると、ケロベロス要塞からのソオル能力を使った砲撃が始まる。

「あれが、エレメタル派が開発した固定型ソオル能力砲台か。ソオルアーマーの形が、一番効率が良いとされるソオル能力発動を、研究に次ぐ研究で砲台にした、自信作だよね」

 そんなミココの呟きを聞いてトッテが言う。

『実際の威力の方は、どうだ? 今度、戦う為の参考として知りたいから、お前の知っている範囲で教えてくれ』

 ミココが言う。

「うーん、ソオルアーマーで使った場合の半分って所。正直、ソオル技術の成り立ちからして砲台とかには、無理があるんだよ」

『ソオル技術の成り立ちか、あまり詳しい事は、ソオルライダー学校でも習わなかったな。今度、教えてくれ』

 トッテの言葉にミココがあっさり答える。

「どうせ、長期戦になるから良いよ」

 そんな会話をしている中、何発かのソオル能力の砲弾が朱雀に命中するが、朱雀の装備、フェザーガーターで殆どダメージが無い。

「そろそろフェザーガーターが種切れになる頃かな」

 ミココの何気ない一言にトッテが言う。

『もうなのか? 安全圏にまで離脱するまで保つか?』

 二人とも、朱雀が離脱行動をとる事を疑ってなかった。



 朱雀のコックピットでスプライが高笑いをあげる。

「さすがは、SOE、裏切り者のちんけな攻撃では、蚊に刺された程のダメージも無い! この朱雀なら、このまま私一人で裏切り者を全滅させる事も可能かもしれないな」

 余裕たっぷりな態度をとって居た時、警告音がなる。

「どうした? フェザーガーター残量が一桁を切った?」

 首を傾げるスプライの目の前でどんどんフェザーガーターの残量が減り、ゼロになった。

 次の瞬間、激しい衝撃が朱雀のコックピットを襲った。

「馬鹿な! どうして!」

 混乱するスプライを乗せたまま、朱雀は、墜落していく。



 玄武のコックピットで待機していたトッテは、手で顔を押さえていた。

 そこにミココからの通信が入る。

『トッテ=エイチ、セカンドのテトリススターのソオルライダーチーフに一つお伺いしたい事がありますがよろしいでしょうか?』

 その内容が十分予想できたので、嫌そうな顔で口調だけ丁寧に返すトッテ。

「なんでございましょうか、ミココ=エジソン、ファーストのトリプルスターのソオルマイスター」

 大きく息を吸う音の後、ミココの怒鳴り声が響く。

『なんであんなのがセカンドのトリプルスターなのよ!』

「仕方ないだろうが、あいつの父親がバルゴ大隊の大隊長なんだからよ! いくら何でも、ある程度の攻撃なら何度か受けられるを、何度でも受けられると勘違いする馬鹿の責任までは、とれるわけないだろうが!」

 トッテも怒鳴り返す。

 双方の荒い息遣いの後、トッテが言う。

「ソオルライダーチーフの責任で、朱雀は、ちゃんと回収してくるから待ってろ!」

 そう言って、他のソオルアーマーに通信を入れる。

「白虎、青龍、ホワイトタイガーは、先行して墜落した朱雀の確保、俺の玄武が到着してから、ホワイトタイガーで朱雀を搬送、他の二機がその護衛。その間は、俺の玄武で、牽制する。解ったか!」

『『『了解』』』

 こうして、白虎、ホワイトタイガー、青龍の順で発進し、最後にハンマに通信をつなげるトッテ。

「早速ですが余計な手間を増やす事になりましたが頼みます」

『解ったから、さっさといけ』

 ハンマの答えを聞いて、軽く深呼吸をしてトッテが言う。

「オーチャ中隊、ソオルアーマー小隊、玄武、トッテ=エイチ、出撃する!」

 ゆっくりとした発進で玄武を戦場に向けるトッテであった。



 ホワイトホエールの作戦会議室にオーチャ中隊の幹部とソオルライダーが集まっていた。

 不機嫌そうな顔でバッドが言う。

「それで、朱雀とそのパイロット、スプライ、ソオルライダーの様子は、どうだ」

 それに対してミココが答える。

「朱雀の方は、故障シミュレーションで想定した墜落故障箇所以外に大きな故障が無い為、パーツの取替えで再度戦場に出す事が可能です」

 トッテが嫌そうに答える。

「ソオルライダーの方は、命に別状は、無いですが、治療の為、暫くは、使い物になりません」

 それを聞いてレッスが驚く。

「凄い。飛行可能型のソオルアーマーの墜落事故としては、奇跡的な程に軽度ですね」

 ミココは、手を震わせて言う。

「朱雀には、墜落時の損害を軽微にする二重三重のシステムが組み込まれているから驚く事じゃない。そんな中、どうしたら手首を複雑骨折するか、開発に関わったソオルマイスターとして疑問が尽きません」

 トッテもスプライに関する資料をほおり投げて言う。

「あの馬鹿野郎は、自分は、絶対に墜落なんてしないと言って、墜落時のマニュアル一つ覚えてなかったんだよ。墜落した時にレバーにしがみ付く奴を俺は、ソオルライダーとは、言いたくないぞ」

 完全になげやりなトッテ。

 ボケナスなスプライの行動にこの会議の参加者の殆どが、切れかけていた。

 ティーが深い溜息の後に言う。

「とにかく、現状、朱雀の新たなソオルライダーを決める必要があります。トッテソオルライダーチーフ、貴方の意見を聞かせて貰えますか?」

 トッテは、無理やり気分を切り替えて言う。

「本来なら、他の部隊から熟練のソオルライダーを引き抜きたいところですが、朱雀の早期再投入を考えた場合、レッス、ソオルライダーが適任かと思われます」

「あたしがですか? でも、SOEには、セカンドのトリプルスター以上のソオルライダーで無いといけないと言うルールが出来たと聞きますが」

 レッスの質問にミココが肩をすくませて言う。

「そこらへんは、あちきがどうとでも誤魔化す。第一、また肩書きだけの奴に乗られる事を考えたら、搭乗経験が豊富なレッスに任せるのが妥当だとあちきも思う」

 スプライのことで懲りたのか、誰からも反論があがらなかった。

 そして会議を締めるようにティーが言う。

「とにかく、作戦は、開始されました。皆さん、帝国の為に全力を尽くして下さい」

 敬礼をして、それぞれの仕事に戻っていく。

 そんな中、ミココが呟く。

「幸先悪いスタートだけど大丈夫かな?」

 その不安は、的中することになるのであった。

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