表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
南部:要塞編
15/34

鎮圧するサンアポロン

要塞編突入前のプロローグです

 オーチャ中隊の駐屯基地のティーの執務室。

「本日づけで、レオ大隊オーチャ中隊に配属になりました、スプラ=ナダッセ、セカンドのトリプルスターのソオルライダーです」

 スプラの敬礼を配属指令書の確認しながらティーが頷く。

「配属を承認しました。さて、問題は、ここからですね、ミココ=エジソン、ファーストのトリプルスターのソオルマイスター」

 バッドが外のある新型の大型のソオルシップを指差して言う。

「中央でも殆ど配置されない最新型のソオルシップがなぜ地方の部隊に配置されたのだ。さっさと白状してもらおうか」

 ミココは、機密と書かれた封筒を見せる。

「特別指令がオーチャ中隊に下ったんですよ。その為の移動手段としてあちきが改修に参加した前線基地代行可能型ソオルシップ、ホワイトホエールが配置されたの」

 封筒を受け取り、中身を確認して大きく溜息を吐くティー。

「また大事になりましたね」

 ティーから封筒を受け取り、中身を見て頭を押さえるバッド。

「お前は、どうしてこう大事に巻き込む」

 視線を逸らしながらミココが言う。

「前回の逃亡の件で、オーチャ中隊が独断専行する可能性がある部隊ってイメージがあるから、いざって時に切り捨て易いって判断みたいです」

 ティーが苦笑する。

「簡単に無罪放免と言う訳には、いかないって事ですか」

 バッドが呆れた顔をして言う。

「細かい事情くらいは、説明してくれるな」

 ミココが頷き話し始める。

「そうあれは、一ヶ月ほど前の事です」



 サウーザ大陸、温暖な気候で、帝国が支配する五大陸の中でも一番の食料生産量を誇る。

 元々は、温厚な原住民が多かった為、帝国の武力侵攻に殆ど抵抗することは出来なかった。

 その為かゲリラも多く、その時もどうやってかソオルアーマーを手に入れたゲリラの討伐に第三皇子、ハラミが来ていた。

「帝国の鬼畜共め、俺達の恨みを思い知れ!」

 エレメント派のソオルアーマー、レッドイーフリートのコックピットでゲリラ兵のリーダーが叫び、帝国のソオルアーマーを破壊していく。

 そんなレッドイーフリートの前に炎を纏ったソオルアーマーが立ち塞がる。

『そこまでだ。これ以上の狼藉は、この私、ハラミ=ミヤギ=ビーフが許さん。大人しく、投降すればお前達にも、裁判を受けるチャンスをやろう。しかし、投降しないのであれば、このサンアポロンの力を思い知ることになるだろう』

 大幅改修を受けたアポロン、サンアポロンを睨みゲリラ兵のリーダーが言う。

「丁度良い、お前の捕え、帝国への交渉材料にしてやろう! 皆、いけえ!」

 一緒に並んだレッドイーフリートと共に炎のソオル能力を撃ち放つ。

 しかし、サンアポロンは、腕に纏った炎が広がり、全ての攻撃を防ぐ。

「そんな、ソオル能力は、ソオルアーマーにも有効な筈だぞ!」

 思わず叫ぶゲリラ兵のリーダー。

『同じソオル能力ならば防ぐことが可能だ』

 そう答えながら、炎の帯を作りながら急接近するサンアポロン。

「前に出て防げ!」

 ゲリラ兵のリーダーの声に答え、レッドソードⅢ、数体がサンアポロンの前に立ち塞がる。

『喰らえ!』

 サンアポロンに振り下ろされるレッドソードⅢの剣。

 しかし、サンアポロンは、機体を横にずらす。

 本来なら不可能な動きを可能にしたのは、先ほどの急接近でも使われた白虎に使われていた突風による機動である。

 そのまま振り上げた足で踵落としを決めて、一体を破壊するサンアポロン。

「そんな、ソオルアーマーで足技を使うなんて……」

 ようやく手に入れた切り札が無力に倒されていく様に愕然とするゲリラ兵のリーダー。

 残りのレッドソードⅢをあっさり駆逐しハラミが告げる。

『最終通告だ。投降しろ』

「誰が、我等を蹂躙した帝国に屈するか!」

 ゲリラ兵のリーダーは、再び攻撃を行うが、炎の壁は、容易にそれを防ぐ。

『終わりだ、サンフレア!』

 胸の獅子から炎が生み出され、それが両手の炎を揺らめかせていた突風と絡み合い、一気にゲリラ達を包み込むのであった。



 ハラミの旗艦、キングレオの休憩室。

「休憩中に申し訳ありませんが、サンアポロンの操縦感覚について問題が無いか答えて貰えますでしょうか?」

 初陣の確認の為に来ていた、サンアポロンの改修責任者だったミココの質問にハラミが笑みを浮かべる。

「素晴らしい出来だ。お前が敵でなかった事を幸運に思っている」

「ありがとうございます。詳細につきましては、後ほど資料にして提出していただければ、こちらで調整の段取りを組ませて頂きます」

 ミココの言葉にハラミが手を叩き言う。

「そうだ、あの装置を外せないか?」

 ミココが困った顔をして答える。

「サンクチュアリアテナに乗るモモ殿下には、好評なのですが、やはりお嫌いですか?」

 ハラミが苦笑する。

「モモは、力を誇示するのが好きだからな。だが、俺は、自ら前線に出る事にしているから不要だ。あの装備を外せば更に機動性があがる筈だな」

 ミココが頷く。

「LWRIを外せば、その分の余力で、機動性もあがりますが、あのシステムは、陛下も皇帝には、必要な装備といわれています。それを外すのは、ハラミ殿下の今後を考えるとマイナスになります」

 それを聞いてハラミが苦笑する。

「構わないさ。私は、皇帝の地位なの興味は、無い」

「駄目に決まっています!」

 そう口を挟んできたのは、ハラミと同じ年の真面目そうな女性、ホルモ=センマイ、セカンドのトリプルスターのソオルライダーだった。

 ホルモは、ハラミに近づき言う。

「何度も言わせないで下さい。ハラミ殿下は、皇帝になる可能性を秘めた御方なのです。その様な言葉は、おやめください。今回のことも、モモ殿下の様にSOEを前面に出して指揮してくだされば宜しかったのです」

 ハラミが真剣な顔で言う。

「お前一人を白虎に乗せて前線で戦わせるなんて、俺のプライドが許さない」

 ホルモは、少しだけ頬を赤くしながら視線を逸らし言う。

「ハラミ殿下の危険を少しでも下げるのが私の使命です。その為だったらこの命など惜しくもありません」

 ハラミがホルモを抱きしめて言う。

「そんな悲しいことを言わないでくれ。俺の気持ちも解っているだろう?」

 ホルモが悲しそうな顔をして言う。

「身分が違いすぎます」

「そんなのは、関係ない!」

 ハラミが断言する中、申し訳無さそうにミココが口を挟む。

「そういう恋愛事情は、他人が居ない場所でしないと他の後継者に利用されますよ」

 ホルモが慌ててハラミから離れてミココに言う。

「この事は、カルビ殿下には、決して密告しないで下さい。それが無理なら、私が極刑を覚悟して、貴女の口を塞ぐことになります」

 ミココがあっさり頷く。

「別に言いませんけど、バレバレですよ。カルビ殿下なんかは、貴女の親族の弱みを握っていざって時に利用しようとしてるくらいですから」

 ホルモが真剣な顔で言う。

「タワーマスターの様に私的事を仕事に持ち込む事は、しません」

 ミココが笑顔で言う。

「口には、気をつけたほうが良いですよ。あんまり余計な事を口にしていると、あちきを敵に回すことになりますから」

 ホルモとミココの間で火花が散る。

「くだらない事を言っているな。それより、何の用事で来たんだ?」

 ハラミの言葉にホルモが慌てて言う。

「ゲリラにソオルアーマーを供給していた武器商人から予想外の名前が出てきたのです」

 ハラミが真剣な顔をして言う。

「軍の上層部の者の名前か?」

 ミココがあっさり言う。

「タン殿下の名前が出てきたんでしょう」

 驚くホルモ。

「どうして、解ったのですか!」

 ハラミが苦々しそうに言う。

「それもカルビの情報だな?」

 ミココが首を傾げる。

「少し違いますね。ハラミ殿下は、ホワイトタイガーの初陣の記録を見ましたか?」

 ハラミが頷く。

「ああ、今回の様にレッドイーフリートがテロ組織に使われていたのだったな」

 ミココが言う。

「大量生産ラインが出来ているウェポン派やアニマル派のソオルアーマーならともかく、使用するソオルコアにも制限があるエレメタル派のソオルアーマーが流出するなんて事は、本来ならありえないんです。気になってソオルタワーに戻ってから、エレメント派の調査をカルビ殿下と共同でやったんですが、タン殿下の指示の元、大掛かりなソオルアーマーの流用の事実が出てきたんです」

 不満げな顔をしてホルモが言う。

「そういう大事を秘密裏にやっていたのですね」

「大事だから秘密裏にやってるんですけどね。因みに調べれば直ぐ解ることだから教えますけど、タン殿下は、ソオルアーマーを提供したテロやゲリラ組織を、弱点を突いて壊滅させて、手柄を立てているみたいですよ」

 ミココの言葉にハラミが辛そうに言う。

「なんて事を……」

 ミココが溜息混じりに言う。

「あちきとしては、今回の証人をカルビ殿下に提供する事で、今度の告発を共同って事に持っていくのがハラミ殿下に一番のプラスだと思いますよ」

 それに対してハラミが言う。

「いや、タン兄上には、私が直接話して、自ら罪を償ってもらう事にする」

 それを聞いてミココが顔を引き攣らせる。

「ハラミ殿下、冗談ですよね? 今回の証人だけじゃ確実な証拠には、ならないんですよ」

 ハラミは、悲壮な表情で言う。

「このまま、事が発覚すれば、ロース兄上の騒動も治まらない今、帝国は、大混乱に陥る。タン兄上も話せばきっと理解してくれる筈だ。そうと決まれば、急がなければ」

 休憩室を出て行くハラミを見ながらミココが言う。

「どうして、ハラミ殿下は、ああも熱いんだろう。少しは、他の殿下みたいに皇帝の地位の為に策略を巡らせても良いと思うんだけどな」

「そこが、ハラミ殿下の良い所です」

 恋する女の顔をするホルモにミココが言う。

「モモ殿下に急いで連絡して、ハラミ殿下を止めてもらった方が良いと思いますけど」

 ホルモもそれには、頷く。

「私達では、ハラミ殿下は、止められませんから」

 動き出すホルモを見送ってからミココが言う。

「何か大騒動になりそうな予感」



 時間は、戻ってティーの執務室。

「モモ殿下の説得も通じず、ハラミ殿下が問いただしたところ、タン殿下が、暴走。サウーザ大陸にある要塞に篭城して、サウーザ大陸の独立を宣言したんですよ。ハラミ殿下は、責任を感じ、自ら討伐を行うと言ったのですが、ロース殿下に続き、タン殿下が後継者争いから脱落したことでハラミ殿下は、本人の意思と関係なく帝位争いのトップにたった訳で、そんな人物を危険な前線に出すわけにも行かず、SOEを使った遠隔指示と言う事で話がまとまったんです」

 バッドが半目で言う。

「やはり、お前が引き金をひいたんだな」

 ティーがしみじみと言う。

「それにしても、タン殿下があの事件の裏に居たのですか」

「もうすぐ、代わりの部隊が到着します。それと同時に正式な通達と共にオーチャ中隊は、一時的にハラミ殿下の直轄部隊となり、他の部隊と共同して要塞攻略にあたる事になります」

 ミココの言葉にティーが頷く。

「解りました。部下達には、本当の事情を隠蔽したまま、準備をさせます」

 こうして、オーチャ中隊の新たな戦いが始まるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ