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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
西部:逃走編
13/34

圧勝する玄武

これまでの苦戦を感じさせない圧勝のお話

 帝都ジョジョエーンの会議室にゲナウが呼ばれていた。

「それでは、聞かせてもらおう、新型ソオルアーマー三機の性能を」

 第二皇子、タンの言葉にゲナウが答える。

「詳細は、事前に配布した資料を参考にして頂くとし、大枠で説明させて頂きます」

 第一皇子、ロースが頷くとゲナウが説明を開始する。

「白虎は、以前より使用されていたホワイトタイガーの原型であり、ホワイトタイガーは、このソオルアーマーの試作プロトタイプ。基本性能は、大幅に上がっていますが、基本路線は、近距離戦闘に特化したソオルアーマーです」

 第三皇子、ハラミが頷く。

「それは、交戦した青龍との戦闘データでも確認させてもらった。問題は、残りの二体だ」

 ゲナウがそこで少し思案した後、答える。

「その二体なのですが、次の戦闘までにあがるとしたら、一体のみだと思われます」

 第一皇女、モモが言う。

「その根拠は?」

 ゲナウは、青龍を含む四機の新型の情報を展開する。

「一番早く完成した青龍には、コバルトブルードラゴンがあり、前回の戦闘に使用された白虎には、ホワイトタイガーがあった様な試作プロトタイプが存在しません。天才、ミココ=エジソンの能力を持ってしても、残りの二体を実戦段階まで引き上げるには、時間が必要です。青龍との交戦で最低でも二体のソオルアーマーが戦闘不能と思われる現状では、どちらか片方のソオルアーマーのテスト、改修を優先させると考えられます」

 ロースが頷く。

「道理だ。そしてそれが、今度の作戦を早急に行う必要性があると言う事を示す。そこで、我々の内の誰かが直接戦場に赴き、大戦力で一気に勝負を決める事とする。反論は、あるか?」

 即座にハラミが反応する。

「その役目は、私にお任せください。前回の様な失態は、おかしません」

 それに対してタンが言う。

「一度失敗した者に何度もチャンスがあると思わないで欲しい。ここは、私にお任せください」

 その言葉にモモが睨みつけながら言う。

「何か勝算があるのでしょうね?」

 タンが笑みを浮かべて言う。

「当然だ。エレメント派から多数のソオルアーマーを借り出す約定をとりつけてある。例えどんなに強力な白虎と言えど、遠距離からの大量攻撃の前では、無力と言う事だ」

 それに頷きロースが言う。

「確かに、一機を無力化出来れば優位に進められるだろう。任せたぞ」

「お任せください」

 頭を下げるタン。

 前回の失敗があるハラミは、悔しそうだが引き下がり、モモは、何かを考えてあえて動かなかった。

 そんな中、第四皇子、カルビが話の外に居たゲナウに質問をする。

「率直に聞きたい。残りの二体の内、どちらが次の戦いに投入されたら不味いと考える」

 ゲナウは、即答する。

「玄武です。もしも玄武が今のミココ=エジソンに完成されたら、この次の作戦は、かなり困難の物になるでしょう」

 それを聞いてタンは、資料を叩きながら苦笑する。

「所詮は、対一般兵器のウェポン派ベースのソオルアーマー、エレメント派のソオルアーマーの前には、無力な事には、変わりませんよ」

 自信たっぷりな顔でタンが宣言する。

「必ずやオーチャ中隊を確保して見せましょう」

 立ち去っていく殿下達。

 残ったカルビがゲナウに問う。

「そんなに強烈なのか、玄武は?」

 ゲナウが頷く。

「改修プランを見ましたが、最初からのコンセプトである、中隊単位のバックアップがあれば都市制圧を本当に可能にするソオルアーマーです」

 肩をすくめるカルビ。

「ミココ先生の才能は、底なしだな」



 サイレントエレファンのソオルライダー控え室。

「お疲れ様です」

 ミココがスポーツドリンクを渡すとトッテが受け取り言う。

「ありがとう。玄武は、とんでもないな。あれが戦場に出たら今までのソオルアーマー戦の様相が一変するぞ」

 ミココが頬を掻きながら答える。

「量産化が難しいソオルアーマーですけどね。それより、先にあげるのは、玄武で構いませんか?」

 トッテが頷く。

「頼む。あれだったら、どんなに大量のソオルアーマーが来ても対応可能だ」

「了解しました」

 ミココが控え室を出て行き、代わりにレッスが入ってくる。

「お疲れ様でした」

「次は、お前の番だ、頑張れよ」

 トッテの言葉にレッスが頷く。

「すまないな、ホワイトタイガーを壊して、復旧に時間が掛かる為、俺のソオルアーマーを先に仕上げる事になって」

 トッテの謝罪にレッスが首を横に振る。

「構いません。トッテさんが前線に出られる事が最優先ですから」

 そんなレッスの様子を見てトッテが言う。

「安心しろ、お前が乗る朱雀も尋常じゃないぞ」

 レッスが少し戸惑った顔をする。

「ミココって凄すぎます。青龍も白虎もそうでしたが、玄武のあの性能は、完全に反則ですよ」

 頭を掻きながらトッテが言う。

「ミココが怖いか?」

 レッスが慌てて否定する。

「そんな事は、ないです!」

 それに対してトッテが淡々と言う。

「そうか、俺は、怖かったよ。お前もホワイトタイガーに乗った事があるだろう。あれは、普通のソオルアーマーとは、一線をひく性能だ。あんな物を作り、盗作騒ぎを起こしながら平然と帝国軍内に居た上、皇室にも関わりがある、えたいも知れない奴だと。だからこそホワイトタイガーにガッツを乗せるのを容認した。万が一の場合にアレを止める事が出来るようにな」

 レッスが驚く。

「どうして、そんな……」

 トッテが真剣な顔で言う。

「俺には、お前達を護る義務があるからな。それでも、帝都を出た時、自分の家族の為に一生懸命なあいつを見て、後悔したよ。あいつが何者かは、関係ない。あいつが家族を大切にし、仲間を思うそんな奴だと解ったから俺は、安心してあいつの設計したソオルアーマーに乗れる」

 レッスが笑顔になっていう。

「そうですよね、ミココは、ミココですもんね。朱雀のテストに行ってきます」

 控え室を出て行くレッスを見送った後、トッテが真剣な顔をして言う。

「だが、これだけの才能、帝都の住む魑魅魍魎が見逃すわけが無い。俺が出来るのは、こうやってソオルアーマーに乗る事だけだ。ミココを本当の意味で護れる奴は、理屈を無視できる奴等だけだな」

 脳裏によぎるのは、二人。

「まあ、片方は、まだまだ未熟だがな」

 苦笑するトッテであった。



 そして、タンは、大規模な部隊展開を済ませていた。

 自分のソオルシップ、ミステリアスクラーケンの自室で、優雅にワインを飲んでいた。

「オーチャ中隊には、感謝をしないといけないな。邪魔なハラミにこれだけ失点させてくれたのだからな。そして、オーチャ中隊を私に都合良い様に利用して、ロースから第一後継者の座を奪いとる」

 高笑いをあげるタンの元に、副官が駆け寄る。

「タン殿下、サイレントエレファンを捕捉しました。これから包囲し、確保に移ります」

 その答えに満足そうに頷くタン。

「殺すなよ、あいつらには、生きて私の役に立ってもらわないといけないからな」

「了解しました」

 敬礼をしてさっていく副官であった。



 ソオルアーマーデッキが玄武の初陣に緊張が高まる中、トッテは、玄武のコックピットをゆっくりと見回す。

「綺麗だな、ブラックアックスとは、違うって事だ」

 自分の愛機の事を思い出すトッテだったが、玄武を軽く叩いて言う。

「お前に俺の命を預ける。頼むぞ、相棒」

 そして専用のソオルコアを差し込む。

「ソオルアーマー小隊、玄武、トッテ=エイチ、出撃する!」

 ゆっくりと出撃する玄武であった。



 包囲するソオルライダー達には、余裕があった。

「どんなに凄いソオルアーマーだが知らないが、こっちは、百体以上あるんだ、余裕だな」

 包囲担当のワイドシールドⅡのソオルライダーが呑気に言うと同僚が同意する。

『それも、虎の子であるエレメント派のソオルアーマーも二桁揃えてあるんだぜ。田舎の一中隊には、十分過ぎる戦力だぜ』

 ワイドシールドⅡのソオルライダーも頷く。

「今回は、楽な仕事だな」

 軽い返事が返ってくると思った通信機からは、爆発音が聞こえた。

「どうした!」

『やられた! 戦闘続行不能だ!』

 意外な言葉に慌ててワイドシールドⅡのソオルライダーがレーダーを確認する。

「攻撃が有効な範囲内まで近づかれて無い筈だぞ!」

 その時、警報がなり、見ると、小型ミサイルにロックオンされている事が通知されていた。

「通常兵器がソオルアーマーの防御フィールドを突破出来るかよ」

 その言葉通り、防御フィールドとミサイルがぶつかった。

 しかし、ミサイルの先頭から放たれた不可視な力が防御フィールドを中和する。

 そしてミサイルは、ワイドシールドⅡの頭部を破壊する。

「冗談だろう、こんなふざけた事があっていいのかよ!」

 怒鳴りながら脱出するワイドシールドⅡのパイロットが外で見た風景は、更に非常識であった。

 通常兵器が通用しない筈のソオルアーマーの包囲網がミサイルで次々に破られていく。

 そして、それをなした漆黒のソオルアーマー、玄武を畏怖の眼差しで見る。

「奴等は、死神を味方にしたのかよ」



 自室でその状況を見ていたタンがグラスを落として叫ぶ。

「馬鹿な! こんな非常識な事があってたまるか! 誰でも良い、このふざけた映像の説明をしろ!」

 副官が慌ててやって来ていう。

「敵ソオルアーマー、玄武は、こちらの包囲網の中心に位置をとると大量の小型ミサイルを発射し、こちら側のソオルアーマーを戦闘不能にしています。ミサイルを避けた一部のソオルアーマーと強力な防御フィールドを持つエレメタル派のソオルアーマーが無事ですが、他は……」

 歯軋りをしながらタンが命令する。

「もういい、エレメント派のソオルアーマーであのソオルアーマーをこの地上から消し去れ!」

「しかし、それでは、タン殿下の計画に問題が……」

 副官の忠告にタンが睨み言う。

「この私にこんな屈辱を味あわせた者に生かしておけるわけがなかろう。直ぐに実行しろ!」

「……了解しました」

 諦めた顔をして副官が命令を伝える。

 そしてタンが見る画面上の玄武に包囲するエレメント派のソオルアーマーから放たれたソオル能力による攻撃が集中する。

「これだけのソオル能力による攻撃、跡形もなくなっているだろうな」

 歪んだ笑みを浮かべるタン。

 しかし、ソオル能力の爆破で起こった砂煙が晴れたそこに玄武は、傷一つない状態で立っていた。

 そして、背中の甲羅にも見える部分が水平になり、その亀甲を思わせるパネルが分離、発射され、次々とエレメント派のソオルアーマーを沈黙させる。

 愕然とするタンに副官が告げる。

「我が方の完敗です」

 タンが見る画面の真ん中をサイレントエレファンは、悠然と進んでいくのであった。



「玄武が帰艦しました」

 ソオルアーマーデッキからの報告をサイレントエレファンのブリッジで聞き、ティーが答える。

「トッテ=エイチ小隊長には、ご苦労様と伝えてください」

 返信する通信士を尻目にバッドが脂汗を拭いながら言う。

「想定が出来ましたが、実際に目にすると、とんでもない兵器です。帝国が世界制覇を果たした切り札であるソオルアーマーの大軍をたった一機で壊滅状態にするなんて」

 それに対してブリッジに来ていたミココが言う。

「はっきり言えば、相手の指揮官が悪かった。これがハラミ殿下だったら、こうは、簡単にいかなかった筈ですよ」

 ティーが頷く。

「玄武は、その圧倒的な攻撃力の引き換えに機動性が通常のソオルアーマーと比較しても格段劣りますからね。ハラミ殿下のアポロンで接近戦を挑まれたら困った事になっていましたね」

「玄武の能力は、相手にも解っていたんですから、何かしらの対応をとってきてるかと思ったんですけど、タン殿下は、エレメント派でウェポン派を蔑んでいたので正しく評価が下せなかったみたいですね」

 ミココの言葉にバッドが苦笑しながら言う。

「帝国軍人だったらこんな状況を誰も想定できない」

 ミココが肩をすくめる。

「別段、真新しい技術は、使っていないんです。全ては、ウェポン派が開発し、スカイブルーロッドに使っていた、通常兵器にソオル能力付与するのを利用して、先端に短時間だけソオル能力を付与したミサイルと、スケルガードの強化版で、分離して玄武をガード出来るタートルシェルを飛ばしただけですよ」

 バッドは、背筋が寒くなるのを感じるのであった。

「とにかく、これで中途半端な襲撃は、減るでしょう。そろそろ大詰めですね」

 ミココが頷く。

「そろそろ、あっちも証拠が集まった頃だと思います」

 こうして長かったオーチャ中隊の逃亡劇もクライマックスを迎えようとしていたのであった。

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