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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
西部:逃走編
10/34

娘を試すスカイブルーロッド

レッスの父親が登場でレッスが頑張ります

「また新しい問題が発生したよ」

 食堂でミココが突拍子も無く、口にした。

 レッスが呆れた顔をして言う。

「また? 問題を起こして周りに迷惑をかけるのは、止めて欲しいよ」

 視線を泳がせるミココを不審に思いトッテが言う。

「何か言い辛そうだが、どんなトラブルだ。また後継者とか、ソオルアーマー開発に関わることか?」

 ミココは、頬をかきながら言う。

「思いっきりタイミング悪い台詞があったから後にしておく」

 ガッツが言う。

「珍しく歯切れが悪いな」

 レッスも頷く。

「そうよ、今更、ミココ絡みのトラブルの一つや二つくらい誰も気にしないわよ」

 困った顔をするミココに首を傾げる一同。

 そこにバッドが来てレッスに言う。

「ミココから話を聞いたか?」

 レッスは、手を横に振る。

「まだです。毎度おなじみのトラブルだから気にしないって言ってるのに、言わないんです」

 するとバッドが通達する。

「ついさっき判明したのだが、ジェミニ大隊のミンテ中隊が我が中隊の追撃に加わったそうだ」

「嘘……」

 戸惑うレッスにガッツが言う。

「それだけでどうしてトラブルなんだ?」

 ミココが説明する。

「基本的には、ジェミニ大隊のミンテ中隊といえば、センータ大陸を主な活動拠点にしていて、本来なら、ウエスター大陸で活動することが無い部隊だよ。多分、タン殿下の策略だと思うんだけど……」

 また言葉を濁すミココにガッツが首を傾げているとトッテが呆れた顔で言う。

「お前は、解っていないのか? レッスのフルネームは?」

「レッス=ミンテ」

 ガッツの言葉に頷きトッテが言う。

「それで、新しく追撃に加わった中隊の名前は?」

「確か、ジェミニ大隊のミンテ中隊……。面白偶然だな」

 本気でそんな事を言うガッツにレッスが怒鳴る。

「そんな訳無いでしょうが! あたしの父親が中隊長を務めている部隊よ!」

 ざわめきが起こり、バッドが言う。

「お前も戦い辛いだろうから、暫く出撃は、控えろ。戦場での中途半端な気持ちは、死を招く」

 優しさと冷酷さが入り混じった言葉にレッスが沈黙するのであった。



「考えればこんな絡め手を使ってくる可能性も高かったって事ですね」

 自分の執務室でのティーの言葉にミココが答える。

「諸刃の剣ですけどね。カルビ殿下の方に牽制を強めるようにお願いしておきます」

 バッドが真面目な顔で言う。

「しかし、どうしますか? 仕事として来た奴等と違い、損得勘定が無いですよ」

 それにティーとミココが溜息を吐く。

「問題は、そこなのですよね。レオ大隊の場合は、身内の恥としてある程度は、強固な追撃があっても任務って一面が強いです。しかしミンテ中隊のドット=ミンテ中隊長は、レッス個人の事で動いています。親子の感情で動かれたら、理性的な行動は、望めません」

 バッドが舌打ちする。

「本来ならば、そういう事態を避ける為に上の人間が押さえる物なのですがね」

 ティーが苦笑する。

「タン殿下は、こういった絡め手を好んで居るって事ですね」

 ミココが肩をすくめて言う。

「そこなんですよね、タン殿下の弱点って。頭も良いし、後継者順位も高い。だけど、自分の手に溺れる所がある。読み違えを考慮した戦略を打ってこない。だから、本人には、つけいる隙が幾らでもある」

 嫌そうな顔をしてバッドが言う。

「本気でお前は、そういったやりとりが得意だな。レッスを前線から外すとして、どこまで被害を与えるつもりで戦いますか?」

 ティーが難しそうな顔をして言う。

「今までは、相手も捕縛を前提にしていた為、殺さないで戦闘不能という形をとれましたが、こうなるとかなり難しいのも確かですが、相手の出方しだいという所ですね。何かしらの行動があった時、それを元に判断するしかありませんね」

 頷くバッドとミココであった。



 簡易トレーニングルームでひたすら筋トレをするレッス。

「あまり体を苛めていいこと無いぞ」

 トッテがスポーツドリンクを投げ渡しながら言う。

「ありがとうございます」

 レッスが受け取り一口飲んでから続ける。

「やっぱりあたしは、前線に出ないほうが良いですか?」

 トッテが隣に座って言う。

「バッド副長が言うように、そんな中途半端な気持ちだったら止めたほうが良いな」

 落ち込むレッスにトッテが質問する。

「俺は、前線の人間だから噂でしか知らないが親父さんは、中央では、そこそこ名の知れたソオルライダーなんだって?」

 頷くレッス。

「はい。代々ソオルライダーで父も若い頃からソオルライダーとして活躍していました。小さい頃からソオルライダーがどれほど尊く大変な仕事なのかを耳がたこになるほど聞いてきました」

 トッテが淡々と過去を語る。

「俺は、戦死したオヤジのソオルコアを受け継いで、前線のソオルライダーになった。だから言えるんだが、家族同士で戦うのは、止めた方が良い。理屈じゃない、血の繋がった者同士で争うのは、不幸でしかないからな。良い例が今回の事件の大元だ」

 苦笑したあとレッスが頭を下げる。

「すいませんが、今回は、宜しくお願いします」

「おう、任せておけ」

 トッテの返事に頭を上げたレッスだったが、相手の視線が自分の胸元に集中している事に気付き、確認すると汗で体に密着して、下着の線まで出ていた。

 慌てて腕で隠しながら言う。

「まさか、ずっと見ていたんですか!」

 トッテがニヤニヤしながら答える。

「意外と可愛い下着だな」

「セクハラオヤジ!」

 怒鳴るレッスであった。



 ジェミニ大隊のミンテ中隊のソオルシップ、サンダーバードのブリッジ。

 ブリッジ要員達は、重苦しい雰囲気に困っていた。

 その原因は、艦長席で不機嫌を撒き散らす46の厳ついオヤジ、ドット=ミンテ、ファーストのダブルスターのコマンダーの所為だ。

「レッス、私は、お前をこんな愚かな事をする奴に育てたつもりは、無いぞ」

 永遠と娘に対する思いを呟き続けているのであった。

 そんな中、通信兵が言う。

「ミンテ中隊長、サイレントエレファンとの強制通信可能範囲に入りましたが、本当にやるのですか?」

 ドットが頷く。

「直ぐに回線をつなげ、私が相手の中隊長と話をする」

「了解しました」



 サイレントエレファンのブリッジに駆け込むレッス。

『それでは、貴殿は、自分の行為が間違っていないと言うのだな』

 通信画面上のドットにレッスが軽く怯む中、ティーが答える。

「はい。陛下暗殺未遂は、完全に私の中隊を陥れる策略。その様な状態で正当な裁判が期待できない以上、部下を護る為に仕方ない手段だと断言できます」

 その責任感にあふれる言葉にドットがバッドの方を見る。

『バッド、お前も同意見なのか?』

 実は、中央に居た頃の知り合いであるバッドが答える。

「はい。元々、ソオルアーマーロードに我々が呼ばれた時点で不自然な所がありました。私も政治的なやりとりで部下に無用な罪をきせるのは、望みません」

 その言葉にドットが頷く。

『貴殿達の言葉は、理解できた。しかし、私も任務だ、正々堂々と戦わせて貰う』

 冷静な判断にレッスがほっとした姿をドットが発見してしまう。

『レッス! お前は、別だ! どうして、由緒正しいミンテ家の家名に泥を塗るような真似をした!』

 レッスが顔を引き攣らせる。

「それは、その。無実の罪の仲間をほっておけなくて……」

 はっきりしない言葉にドットが怒鳴る。

『常に正道を、それが我がミンテ家の家訓だ! お前の行動は、その家訓に反するぞ!』

「でも……」

『でももあさってもない!』

 そんな親子のやりとりを見ていたミココがティーに耳打ちするとティーが頷き言う。

「ミンテ中隊長、一つ提案があるのですが、如何でしょうか?」

 その言葉にドットが言う。

『何だ?』

 ティーがレッスを指しながら告げる。

「レッス、ソオルライダーの覚悟を確認したいと思っている筈です。ならば一騎討ちを成されては、如何でしょうか? それで負けた場合、私達は、素直に投降します」

 意外な展開にレッスが驚く。

「オーチャ中隊長、いきなり何を言うんですか!」

 しかし、ドットが応じる。

『ミンテ家は、代々ソオルライダーの家系。ソオルライダーで決着をつけるのが正道だ。請けて立ちましょう。そして万が一にも私が負けた場合は、追跡を断念する事を約束する』

「勝負は、二時間後で宜しいですね?」

 ティーの言葉に頷くドット。

『十分』

「ちょっと待ってください! あたしの意見も聞いてください!」

 必死に言うレッスだがドットが切り捨てる。

『父親と上司であるオーチャ中隊長の決定にお前の拒否権は、無い』

 そのまま通信が切られる。

 そしてミココがレッスに近づき言う。

「じゃあ、レッス、乗るソオルアーマーどうする?」

 涙目でミココを睨むレッス。

「ミココ、絶対にあなたの入れ知恵でしょ!」

 ミココは、視線を逸らして言う。

「いやだな、あちきは、ただ、親子間の問題は、直接会わせて解決させた方が良いんじゃないかって言っただけだよ」

 ティーが言う。

「喧嘩をして、始めて解る親子の思いもあると思うのですよ」

 不満そうなレッスにバッドが言う。

「はっきり言おう、親子間の問題は、お前達できっちり解決してくれ。それを戦場に持ち込まれたら迷惑なのだ。もちろん、勝つのだぞ」

 味方が居ない状態にレッスが叫ぶ。

「どうして、こうなるのよ!」



 ソオルアーマーデッキでは、ホワイトタイガーの出撃準備が進められていた。

「どうして、俺のホワイトタイガーに乗せるんだよ、あいつのブルーイーグルⅡの方が慣れていていいんじゃないのか?」

 ガッツの言葉にミココが難しそうな顔をして言う。

「あちきもそこは、悩んだんだけど、結局は、トッテさんの意見でそうなったの」

 レッスに簡単なレクチャーをしていたトッテがやってきていう。

「慣れの問題もあったが、ソオルアーマー同士の一騎討ちを想定した場合、ブルーイーグルⅡでは、不利すぎるからな」

 コックピットの微調整をしていたメカニックに呼ばれミココが行く中、ガッツが言う。

「実際問題、勝てるのか?」

 それに対してトッテが苦笑する。

「お前に心配されるとは、レッスが聞いたら怒り出しそうだな」

 不機嫌そうにガッツが言う。

「だけどよ、レッスは、正面から戦うタイプじゃないでしょう?」

 トッテが頷く。

「そうだ。お前みたいに向こう見ずに突っ込まないな。しかし、ホワイトタイガーが起動してからの連戦で、レッスも成長している。きっと勝つさ」



「レバーの位置は、大丈夫?」

 ミココの質問に、ホワイトタイガーのコックピットでレバーを弄りながらレッスが答える。

「問題ない。でも凄いわね、たった一時間で、レバーの位置の調整まで出来るなんて」

 メカニックも頷く。

「確かにな、量産機のブラックアックスでもこうは、いかないぞ」

 ミココが苦笑する。

「あちきは、試作機畑の人間だからね。誰でも直ぐに乗れるように出来るのがデフォルトだったんだよ。それより、覚悟は、決まった」

 レッスが睨み返しながら言う。

「決まるわけ無いじゃない! でも行かないと駄目なんだよね」

 ミココが頷く。

「正直に話せば、対処に困っていたんだよ。他の奴等と違ってレッスって個人的な理由があるミンテ中隊との戦いは、損得抜きになって、相手かこちらに死人が出る可能性もあったからね」

 少し沈黙してからレッスが言う。

「仲間の為にもがんばるわよ」

 ソオルの充填も終わり、ホワイトタイガーの出撃準備が整い、ミココ達が離れていく。

 レッスは、気合を入れなおして告げる。

「ソオルアーマー小隊、ホワイトタイガー、レッス=ミンテ、出撃します!」

 そのままホワイトタイガーを発進させるレッスであった。



「問題の新型で来たか。しかし、性能差で、実力差を埋めきれない」

 そんな独り言を愛機、スカイブルーロッドのコックピットで呟くドットであった。

 そして、近距離に近づき、ソオルアーマーの通信機でも高度の通信が可能になった所でドットが告げる。

「お前がソオルライダー学校を卒業してから、どれだけ成長したか、見せてもらうぞ」

『仲間の為にも父さんにも負けません!』

 レッスがそう答えて、ホワイトタイガーに突進準備をとらせる。

「その心意気は、良し。こちらも本気でいかせてもらう」

 スカイブルーロッドのロッドをホワイトタイガーに向ける。

『当りません!』

 ホワイトタイガーが回避行動をとると、ロッドの先から青い衝撃が放たれていた。



「あれってソオル能力だよな?」

 ソオルアーマーデッキで状況を見ていたガッツが聞いてくるのでミココが答える。

「そう、スカイブルーロッドは、ウェポン派がソオル能力を研究して作り出した特注のソオルアーマー。エレメント派は、威力の小ささから失敗作だと主張しているけど、あちきは、ここ数年の新技術の中でも十本指に入る物だと思ってる」

「因みに、コバルトブルードラゴンとクリムゾンドラゴンに装備されているスケルガードは、前年度で最も優れた新技術に選ばれたって聞いているけどな」

 メカニックの豆知識にトッテが苦笑する。

「ミココが凄いのは、もう十分に解ってる。ホワイトタイガーのホワイトタイガークローやあの機動性が今年の優れた新技術に選ばれるんじゃないのか?」

 ミココが肩をすくめて言う。

「どうかな、カルビ殿下に渡した新型ソオルアーマーが年内に発表されたら、そっちの方がとると思う」

 ガッツが呆れた顔をして言う。

「どっちにしろ、お前のソオルアーマーがとるのが決まりなのな」

 ミココが頷く。

「仕方ないよ、ノーウの馬鹿がタワーマスターやっていた所為で新技術の開発が遅れてるもん。来年なんかは、ゲナウ兄さんの管理の下、凄い技術が出てくると思うよ」

 そんな会話をしている間にホワイトタイガーがスカイブルーロッドに接近する。

「決まったな。接近でホワイトタイガーに勝てるソオルアーマーなんてそう居ないぜ」

 しかし、トッテが真面目な顔で言う。

「どうかな、レッスは、お前より上手くホワイトライガーを操っている」

 言葉の途中にガッツが割り込んでくる。

「ちょっと、待ってくれよ! どうして初めて乗ったレッスの方が上手なんだよ!」

 呆れた顔をしてミココが言う。

「当たり前でしょ。レッスは、学校で、色んなタイプのソオルアーマーの操縦訓練を受けてるの。まだ、性能に頼りきった戦いをするガッツよりましなのは、当然だよ」

 不満そうなガッツを無視してミココがトッテの方を向く。

「あちきもあそこまで接近したら、遠距離戦を想定されたソオルアーマーでは、ホワイトタイガーに対抗する手段が無いと思うけど」

「噂だけだがソオルライダーとしては、武装の魔術師と呼ばれていたと聞いている。その手に掛かれば、どんな武器も信じられない新兵器のような効果をだしていたそうだ。それが単純な使い方だけだとは、思えないな」

 トッテの言葉にミココが唾を飲み込む。



「勝てる!」

 ホワイトタイガーのコックピットのレッスは、半ば勝利を確信していた。

「これほどのソオルアーマーで苦戦していたガッツに問題があったとしか思えないわね」

 そのままレッスは、スカイブルーロッドのロッドより内側に入り込み、ホワイトタイガークローの体勢に入ろうとした。

「これでお終い!」

『甘い!』

 ドットの言葉と共に激しい衝撃が背後からレッスを襲った。

 レッスは、必死に堪えるが、タイミングを狂わされたホワイトタイガーの拳は、空を切り、ほぼ零距離になったスカイブルーロッドの肘がホワイトタイガーの後頭部に直撃した。

 ホワイトタイガーは、そのまま吹き飛ばされてしまう。

「何が起こったのよ!」

 叫ぶレッスであった。



「武装の魔術師の異名の通りの凄さだな」

 ソオルアーマーデッキでトッテが感心し、ミココが驚いた顔で言う。

「反動による射撃のブレを無くす為の固定を業と外してから発射し、手の先でロッドを回転させ、ホワイトタイガーの背後から打ち込むなんて事、普通は、考えませんし、あんなに上手く当りませんよ」

「訓練していたか、博打だったかのどちらかだろう?」

 ガッツの言葉にトッテが首を横に振る。

「どちらも違うな。次の射撃に影響があるあんな使い方をする訓練などしていないだろうし、数多の戦いを繰り広げてきたあの人には、反動による動きの予測が出来たから咄嗟にやったんだ」

 ミココは、トッテを凝視して言う。

「トッテさんも出来ますか?」

 トッテは、少し考えてから言う。

「流石に練習なしにって言うのは、無理だが、戦闘中に動きを試して、直ぐに実行は、出来る自信は、あるぞ」

「なるほど。参考にしておきます」

 頷くミココにトッテは、微かに嫌な予感を感じるのであった。



 ロッドから放たれる衝撃波を避け続けるホワイトタイガーのコックピットのレッスが呟く。

「不用意に近づけない。どうしたら良いの」

『どうした! お前の覚悟は、その程度のものだったのか!』

 ドットの言葉に、悔しそうにするレッス。

「違う、でも……」

『情けないな。お前は、家に居た頃から何も変わっていない様だな。ここでお前達の逃亡も終わりだ。安心しろ、役職をとしてお前の減罰を願う事にする。家に戻ったら、一からお前を鍛えなおしてやろう』

 ドットの言葉にレッスは、実家での地獄の日々が思い出された。

「そんなの嫌!」



 切れたレッスは、再びホワイトタイガーを突進させる。

「何度やっても無駄だ!」

 迎え撃つスカイブルーロッドのコックピットでドットが悠然と答えた時、ホワイトタイガーの動きが止まった。

「そっちを使うか!」

 咄嗟に横に飛ぶドットのスカイブルーロッドをホワイトタイガーの突風がかする。

 次の瞬間、ホワイトタイガーが目前に迫っていた。

「機体を回転後に地面との固定を解除して、移動に流用したか!」

 目前に迫るホワイトタイガークローにドットは、咄嗟にロッドを地面に向けて射撃する。

 その反動で回避速度を加速させるが、腕を一本もって行かれる。

 そして、再び相対して自分のソオルアーマーの状況を確認し、ドットが言う。

「私の負けだ。好きにするがいい」

『やったー!』

 レッスの喜びの声を聞きながらドットは、微笑を浮かべて小声で呟く。

「レッスも私から腕を一本奪うほどまで腕を上げたか」



 ソオルアーマーデッキに戻ってきたレッスが安堵の息を吐く。

「親父さんの諦めがよくて助かったな。そうでなければ、あのソオル能力を使ったホワイトタイガーの残り活動時間では、確実に負けていたぞ」

 トッテの言葉にレッスが耳を塞いで言う。

「言わないで下さい! あの一撃が外れた時、本当に負けたと思ったんですから!」

 そんなレッスを見て整備をしていたミココが寂しそうに呟く。

「父親って良いもんなのですね」

「シンカもお前を実の娘以上に愛していて、成長を喜んでいた」

 フォローを入れるハンマであった。

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