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真説ソオルアーマー戦記  作者: 鈴神楽
西部:逃走編
1/34

起動するホワイトタイガー

連載版のソオルアーマーの開始です

 五つある大陸の一つ、ウエスター大陸の貿易都市ナニーワの南方の平原で通常エンジンを動力とする火薬砲台を持つ戦車が交戦して居た。

 一方は、ブルースピア帝国レオ大隊オーチャ中隊に所属するバトルタンク小隊。

 もう一方は、ブルースピア帝国の支配に反意を示す勢力の戦車部隊。

 交戦は、数で勝るオーチャ中隊有利で進んでいた。

 しかし、反意勢力は、秘密兵器をだして来た。

 それを見て、オーチャ中隊のサードのダブルスターのバトルタンク乗り、十六才のガッツ=アフレスが呻く。

「ソオルアーマーを出してきやがった……」

 悔しそうにするガッツに班長が怒鳴る。

「後退するぞ!」

 それに答えて、ガッツが後退を開始すると他のオーチャ中隊の戦車も下がる。

 しかし、人型を思わせる二足歩行搭乗型兵器、反意勢力の持ち出したソオルアーマー、レッドスピアⅡは、戦車に追いついてくる。

 そしてその手に持ったヒートスピアで、戦車をなぎ払う。

 僚機が爆発するのに舌打ちするガッツ。

「トッテさんは、まだかよ!」



 その頃、オーチャ中隊の旗艦、中央からのお下がりのソオルシップ、サイレントエレファンのソオルアーマーデッキでは、慌しく整備員が動いていた。

「おら、ボケッとしてる奴は、叩き降ろすぞ!」

 五十五才なのに、まだまだ元気なセカンドのテトリススターのメカニックチーフ、ハンマ=ハントスが怒鳴る中、彼の部下達が黒い巨体、オーチャ中隊の所有するソオルアーマー、ブラックアックスにホースを繋いでいく。

 男だらけの整備員の中で目立つ小柄の十四才のサードのトリプルスターのメカニック、ミココ=エジソンが接続を確認して、大声を出す。

「OKです、ソオルを流してください!」

 ホースを通り、ソオルシップを循環して人の精神波を吸収しているソオルがブラックアックスに流れ込む。

 コックピットの濃い顔の三十三才のセカンドのトリプルスターのソオルライダー、トッテ=エイチが、充填率を確認して伝える。

「時間が無い、これで行くぞ!」

 ハンマは一瞬だけ躊躇をするが、聞こえてくる戦車の爆発音に踏ん切りをつけて怒鳴る。

「直ぐにホースを取り外せ!」

 整備員達が、緊急用の装置でホースを撤去していく。

「撤去確認しました。行けます!」

 ミココの報告に、ハンマがゴーサインを送るとトッテが、胸から下げていた、命より大事なソオルコアをセットする。

 それにより、ブラックアックスのソオルドライブが起動し、充填されたソオルからエネルギーを生み出す。

「ソオルアーマ小隊、ブラックアックス、トッテ=エイチ、出撃する!」

 ブラックアックスがソオルアーマーの重力操作機能を利用した高速発進した。

 それを見送りながらミココが祈る。

「間に合って」



「少しは、効きやがれ!」

 ガッツの乗る戦車の砲兵が悲鳴に近い声を上げながら砲撃を続ける。

 しかし、戦車同士なら有効な砲撃も、ソオルアーマーの防御フィールドの前では、無力であった。

「無駄な事は、止せ。ソオルアーマーの防御フィールドを破るには、ゼロ距離射撃でもしなけりゃ無理だ」

 班長の言葉に悔しげにハンドルを叩くガッツ。

「くそー、ここまでかよ!」

 反意勢力のレッドスピアⅡのヒートスピアが戦車に振り下ろす為に振り上げられた。

 その瞬間、ブラックアックスが体当たりをかます。

『まだ無事の奴等は、直ぐに逃げろ!』

 通信機から聞こえるトッテの声にガッツ達は、安堵の息を吐く。

「巻き込まれる前に後退するぞ」

 班長の言葉に従いながらもガッツは、戦場の花形、ソオルアーマーの勇士を見つめ続ける。

「何時か俺もソオルライダーになってみせる」



 トッテが駆るブラックアックスにヒートスピアを突き出すレッドスピアⅡ。

 レッドスピアⅡのパイロットも避けられる覚悟に突き出した。

 避けている間に体勢を整えようと思って居たのだろうが、ブラックアックスは、なんと装甲の厚い部分でそれを受ける。

 穂先が埋って動きが封じられたレッドスピアⅡは、重力制御による加重がされたハードアックスの一撃が決まり、行動不能になる。



 サイレントエレファンのブリッジで、静かにお茶を飲んでいた、のんびりとした雰囲気を持つ二十八の青年、ティー=オーチャ、ファーストのシングルスターのレオ大隊オーチャ中隊長が言う。

「なんとか終りました」

 小さく頷き、オーチャより威厳がある、四十二才の中年、バット=タタケー、セカンドのフィフススターの中隊副隊長が戦後の細かい処理を指示し始める。

「しかし、反意勢力が一世代前とはいえ、ブルースピア帝国の切り札、ソオルアーマーを運用していました。今までの様な脱走兵がらみですかね?」

 ティーが誰にも聞こえない小さな声で呟いたのであった。



 オーチャ中隊の駐屯基地。

 慌しかった戦闘の後処理も終り、完全休憩・予備待機・警戒待機に分かれ、順次休息をとっていた。

 予備待機のガッツがメンテナンス中のブラックアックスを羨望の眼差しで見ながら呟く。

「俺もいつかは、ソオルライダーに……」

「無理ね」

 はっきりとした答えにガッツが振り返ると、オーチャ中隊のもう一人のソオルライダー、まだまだ新人の十六才の少女、レッス=ミンテが居た。

「解らないだろ!」

 ガッツの反論に肩を竦めるレッス。

「あのね、ソオルライダーに最も必要な物は、何だか解る?」

 ガッツは、拳を握り締めて答える。

「熱い魂と根性だ!」

 呆れた顔をするレッスだが、胸元からソオルコアを取り出して言う。

「これよ、これ。帝国に選ばれた者にしか授けられないソオルコア。ソオルライダーになるには、これが無いと駄目なのよ」

 物欲しげな目でそれを見るガッツ。

「譲ってくれないか?」

 眉を顰めるレッス。

「譲れるわけ無いでしょうが。これは、代々受け継いでいく物で、新しいソオルコアだって、武勲を上げたソオルライダーに授けられる事になっている。まかり間違っても、地方の一般兵が手に入れられる物じゃ無いわよ」

 因みに、彼女は、父親の地位を継ぐものとして、武功を立てた父親の功績から授かったばかりである。

 それでもガッツは、諦めない。

「だけど、何か方法がある筈だ!」

「ある訳ないじゃん!」

 切り捨ててくるレッスを睨むガッツの耳に少女の声が聞こえてくる。

「ソオルコアを一般兵が手に入れる方法だったらあるよ」

「本当か!」

 希望の光を求めてガッツが向いた先には、同じく予備待機中のミココが精密機械を調整しながら答える。

「中央に行って、ソオルタワーの第十三番受付に行くと、そこでは、安全確認がされて無いソオルアーマーのテスト用ソオルライダーの受付やってる。それになって一年、無事に生き残れれば使用していたソオルコアを貰えるよ」

 レッスが顔を引き攣らせて言う。

「それって、生存率は、ちゃんとあるんでしょうね?」

 ミココが頷く。

「五割は、生き残る。まあ、残り四割九分九厘は、途中で病院送りになって二度とソオルアーマーに乗ろうと思わなくなるそうだよ」

「それって不可能と同義語よ。そうよね、ガッツ」

 同意を求めようとガッツを見るレッスだが本気で悩んでいるガッツを見て慌てて頭を掴んで揺さぶる。

「冷静になりなさい、そんなモルモットみたいな事がしたくって軍に居るわけじゃ無いんでしょが!」

 最後の言葉に正気を取り戻してガッツが言う。

「そうだった。俺は、家族を守るために軍に入ったんだった」

 安堵の息を吐きレッスがミココに近づく。

「ところで何を作っているの?」

「ソオルドライブ」

 ミココの言葉にレッスが驚く。

「ソオルドライブってソオルアーマーのメイン機関のソオルドライブ」

 ミココが頷くとガッツが駆け寄ってくる。

「本当なのか? ソオルアーマーって帝都でしか造れないと思って居たけど違うのか?」

 ミココは、作業を続けながら答える。

「さっきから話になっているソオルコア以外は、一般流通している部品と材料で作れるよ。ただし、それ相当の知識と技術が必要だけど」

 レッスが手を叩く。

「そういえば、ミココって都落ちだっけ?」

 頷くミココ。

「お祖父ちゃんのコネでソオルタワーにいたけど、お祖父ちゃんが死んだ後、いろいろなトラブルに巻き込まれて、地方に流されたの」

 嫌そうな顔をするレッス。

「帝都ってやっぱり権力争いがそんなに激しいんだ」

 ミココは、ブラックアックスを指差して言う。

「ソオルアーマー技術の派閥と五人の帝位後継者の静かな争いが激化してるよ」

 ガッツが首を傾げて言う。

「なんだ、そのソオルアーマー技術の派閥って?」

 レッスが呆れた顔をする。

「ソオルライダーになりたいのにそんな事も知らないの? ソオルアーマーには、大きく別けて四種類系統があるのよ。まずは、そこにあるブラックアックスみたいに通常兵器を主武装としたウェポン派。あたしが駆る、飛行能力を持つブルーイーグルⅡみたいな特殊環境対応が多いバードフィッシュ派。後は、対ソオルアーマー戦にその能力を発揮する瞬発力が高いアニマル派。そして、ソオルの特殊能力を遠距離攻撃可能なまで高めたエレメタル派があるのよ」

 ミココが引き続き説明を続ける。

「二十八才の第一皇子ロース=クロゲ=ビーフ殿下には、ソオルアーマの製造数が多いウェポン派。二十五才の第二皇子タン=コウベ=ビーフ殿下には、数こそ少ないけど希少性が高いソオルアーマを造るエレメタル派。二十才の第三皇子ハラミ=ミヤギ=ビーフ殿下には、ソオルライダーに人気が高いアニマル派。その双子の妹の第一皇女モモ=ミヤギ=ビーフ殿下には、特殊性から必須とされるソオルアーマーを作るバードフィッシュ派がそれぞれバックについて、覇権と次の皇帝陛下の座を争っているよ」

 指折り数えていたガッツが言う。

「あれ、帝位後継者が一人足らなくないか?」

 レッスが頷く。

「十八才の第四皇子カルビ=マツザカ=ビーフ殿下は、将軍職を兼務する他の皇子と異なり、情報部を治めているって建前になってるけど、末弟として、次の帝位を絶望視されているって言うのが本音ね」

「本人は、どうか解らないけどね」

 小声で呟くミココ。

 シフトのアラームが鳴り、レッスが言う。

「それじゃあ、完全休息に入りますか」

「お休み」

 さっさと工具を片付けて部屋に戻っていくミココとレッス。

 ガッツは、名残惜しげにブラックアックスを見て居たが、眠るために自分の部屋に戻っていく。



 慌しいが通常と同じ一週間が過ぎた後、その襲撃があった。

 駐屯基地に緊急警報が鳴り響く。

 誰もが飛び起き、持ち場に戻っていく。

「どういう状況ですか?」

 ティーがブリッジに着いた頃には、バッドが状況を整理していた。

「敵襲です。問題は、敵にソオルアーマーがあることです」

 深刻そうな顔をするバッドにティーは冷静に告げる。

「こちらのソオルアーマー二機を同時に当たらせてください」

 バッドも頷く中、通信士が怒鳴った。

「大変です、敵、ソオルアーマーは、レッドイーフリートです!」

 ブリッジがざわめき、バッドの顔に緊張が走る。

「本当か? ソオルアーマーの中でも貴重なエレメント派のソオルアーマーが反意勢力に渡っているとは、とても思えないが」

 通信士が首を横に振る。

「間違いありません」

 通信士によって映し出された映像に現れたのは、まるでアニメに出てくる魔法使いの様なスタイルをしたソオルアーマーであった。

 ブリッジのメンバーの表情が青褪める。

「落ち着いて下さい。ソオルアーマーだけで戦闘をする訳では、ありません。ここは、私達の基地です。撃退する方法がある筈です」

 バッドも慌てて続ける。

「そうだ、エレメント派のソオルアーマーは、通常なら通じないソオルアーマーへの遠距離攻撃が可能な点で有利なだけだ。上手く、接近戦に持ち込めば逆にこちらが有利だ。とにかく、ソオルアーマーの発進を急がせろ!」

 恐怖心を打ち消す様に動き出すブリッジ。

「接近戦に持ち込む方法があれば良いですが」

 思考をめぐらせるティーにバッドが言う。

「ここは、トッテの能力に懸けましょう」



『エレメタル派のソオルアーマーが相手なんて』

 通信機越しでもわかるレッスの弱気な発言にトッテが言う。

「安心しろ、俺は、何体も潰した事がある。すまないが先行して囮になってくれ。相手の攻撃の避けられる安全距離で注意をひいてくれれば、後は、俺が何とかする」

 少し不安そうだったが、レッスが頷き、発進する。

『ソオルアーマ小隊、ブルーイーグルⅡ、レッス=ミンテ、出撃します!』

 大きなウイングを持ったレッスが駆るソオルアーマー、ブルーイーグルⅡが先行して発進する。

 それを確認してからトッテがマイクに声が入らないように呟く。

「エレメント派のソオルアーマーを潰すには、三倍以上のソオルアーマーが要るって言うのが常識なんだがな」

 充填されていくソオルを確認し、覚悟を決めるトッテ。

「ソオルアーマ小隊、ブラックアックス、トッテ=エイチ、出撃する!」

 発進するブラックアックス。

 先行したブルーイーグルⅡは、トッテの指示通り、安全な距離をとって、レッドイーフリートの攻撃を避けていた。

「まあ、新人をこれ以上は、当てに出来ねえな」

 トッテは、一気に接近する為にブラックアックスを最短距離で直進させる。

 レッドイーフリートのソオルライダーの腕は、未熟らしく、ブラックアックスの接近に直前まで気付かない。

「コレでどうだ!」

 加速力と重力操作による加重を掛け合わせたハードアックスの一撃がレッドイーフリートに迫る。

 回避は、間に合わなかった。

 しかし、その一撃は、レッドイーフリートの防御フィールド強化用のマントの一部を砕くに止まった。

「クソ! やはり、防御フィールドの硬さが半端じゃねえ!」

 悔しそうにしながらもトッテは、相手の攻撃を避ける為に回避行動に移ろうとした。

 その時、自分の背後に燃料タンクがある事に気付いてしまった。

 ブラックアックスの動きが止まった瞬間、レッドイーフリートのソオルの特殊能力による、火炎弾が放たれた。

「受け止めるしかねえか!」

 ブラックアックスの防御フィールドを前面に集中させて火炎弾を受けるトッテだったが、対ソオルアーマー用の攻撃は、それでも防ぎきれず、ブラックアックスを吹き飛ばし戦闘不能にするのであった。



 ブラックアックスが吹き飛ばされ、地面から起き上がれない様子を見て、サイレントエレファン内に絶望の空気が流れる。

「クソ、俺にソオルアーマーがあれば!」

 ガッツが壁を叩きながら叫ぶ。

 それを見て居たミココが言う。

「ぶっつけ本番だけどやってみる?」

 ガッツがミココの方を見る。

「何をやるって言うんだよ!」

 ミココは、ソオルアーマー発進デッキの隅のシートを指差して言う。

「頑張って」

 ガッツは、困惑したままそのシートを外すと、そこには、虎のイメージを纏った白いソオルアーマがあった。

「あちき、お手製のソオルアーマー、ホワイトタイガー。昨日組みあがったばっかりで、何のテストもしてないから、いきなり爆発する可能性すらあるけど使う?」

 戸惑うガッツ。

「だけど、肝心のソオルコアが無いと駄目なんだろう?」

 ミココは、ポケットから新品のソオルコアを取り出してガッツに投げ渡す。

「それは、あちきがソオルタワーにいる時に手に入れた奴。ソオルコア無いのにソオルアーマー造る訳無いよ」

 ガッツがソオルコアを握り締めて言う。

「本当に良いのか?」

 ミココが頭を掻きながら言う。

「聞きたいのは、あちきの方だよ。さっきも言ったけど、洒落抜きで動かしている途中に暴走して死亡事故に繋がる可能性が高いけど、乗るの?」

 ガッツが強い意志を籠めて答える。

「今、乗らなくて何時の乗るって言うんだ!」

 ガッツは、ホワイトタイガーを見上げて言う。

「頼むぜ、ホワイトタイガー!」



 ブリッジでは、バッドがレッスに細かい指示を出していた。

「とにかく、時間を稼げ! その間にブラックアックスの応急修理をする」

『……解りました』

 レッスの声は、ブリッジにいる誰の耳にも頼りなく聞こえた。

「メカニック死んでも、ブラックアックスを動くようにして来い!」

 言いながらもバットは、本当に命懸けになり、多くの部下に犠牲が出ることを覚悟した。

 しかし、ソオルアーマーデッキからは、予想もしない返信が来た。

『こちら、ソオルアーマー発進デッキ、こちらで試作したソオルアーマーを出撃させたい。許可をお願いする』

 驚くバット。

「ソオルアーマーを試作していたという話は、聞いていないぞ!」

 押し問答が始まるかと思われた時、ティーが割ってはいる。

「それは、メカニックのミココが造った物ですね?」

 通信相手、ハンマが答える。

『そうだ、ミココ=エジソンが造ったソオルアーマーだ』

 それに頷きティーが言う。

「出撃を許可します」

「オーチャ中隊長、どういうことですか?」

 バッドのクレームにティーが答える。

「ミココ=エジソンは、前タワーマスター、シンカ=エジソンの孫です。懸けてみる価値は、あります」

「最高のソオルマイスターと呼ばれた、あのシンカ=エジソンの孫……」

 驚きで言葉がきれるバッドであった。



 ホワイトタイガーのコックピットのガッツは、これ以上ないくらい緊張していた。

『おい、ソオルの充填率は、どうなってる!』

 ハンマからの通信に慌てて、何度も空想で行ったソオルの充填率確認を実際にやろうとするが、いくつもあるメーターに困惑して答えられない。

『正面にある、ソオルアーマーと同じ形をしたメーター。それの色が付いている部分の頭の数値を言って』

 ミココからの通信で慌ててそこを確認するガッツ。

「五十パーセントです!」

『フル充填したいが、時間もないから出すぞ。最後にもう一度確認するが、本気か? ソオルアーマーの操縦は、専門の訓練所で数年がかりで覚える物だ。素人のお前がそうそう出来る物じゃ無いんだぞ!』

 ハンマの問いに今度は、即答するガッツ。

「やります。ソオルライダーが居ない以上、誰がやっても同じ。だったら俺がやります!」

『解った。ホースの切り離しが終ったから出ろ!』

 ハンマの答えに、ガッツは、重力操作レバーを入れて怒鳴る。

「ホワイトタイガー、ガッツ=アフレスでます!」

 いきなりの加速で操作を忘れるガッツであった。



 バランスを崩したまま飛び出していくホワイトタイガーを見てハンマが顔を抑える。

「やっぱり他の奴にした方が良かったか」

 ミココは、頬を掻きながら言う。

「無理。今は、順調かもしれないけど、いつ暴走してもおかしくない物にまともな兵士が乗ると思えないですよ」

 ハンマが大きく溜息を吐く。

「結局、あいつの根性に頼るしかないって事か」



 レッスは、激しい恐怖に襲われていた。

 十全の信頼を寄せていたトッテの撃沈は、容易に自分の撃墜を予測させたからだ。

 飛行能力に重点を置いたブルーイーグルⅡでの撃墜は、死亡を意味する。

「まだ死にたくないよ!」

 涙を流すレッス。

 その瞬間もブルーイーグルⅡの横を火炎弾が通り過ぎていく。

「もう駄目かも……」

 力なく呟いた時、火炎弾が止まった。

 レッスが不思議に重い、地上を確認する。

「何、あのソオルアーマー? 新手? でも、サイレントエレファンの方から進んでいる様に見えるけど?」

 戸惑うレッスの目の前を体勢が崩れたまま進む、ホワイトタイガーであった。



「姿勢制御は、こっちだ!」

 うろ覚えの操縦でなんとかホワイトタイガーの体勢を戻し、額の汗を拭うガッツ。

「よし、敵は、どっちだ!」

 その瞬間、火炎弾が目前に迫っていた。

「嘘だろ!」

 叫ぶが、火炎弾は、消えず、ホワイトタイガーの防御フィールドに直撃した。

 しかし、それだけだった。

「まさか、外れたのか?」

 戸惑うガッツの予測に反して次々と直撃するレッドイーフリートの火炎弾。

 そのどれもがホワイトタイガーの防御フィールドにぶつかって消滅していく。

「すげえ、とにかく行くぞ!」

 一気に詰め寄るガッツ。

 必死に火炎弾を連射するレッドイーフリートだったが、そのどれもがホワイトタイガーの防御フィールドを打ち破れない。

「食らえ! ホワイトタイガーパンチ!」

 ホワイトタイガーには、武装が無かった為、パンチを放つガッツ。

 ホワイトタイガーの拳は、ブラックアックスのハードアックスを凌いだレッドイーフリートの防御フィールドを貫き、レッドイーフリートに直撃、破壊するのであった。

「やったぜ!」

 大喜びするガッツ。

 しかし、次の瞬間、ホワイトタイガー肩の部分が外れた。

 それと同時に外装の幾つかが外れていった。

「嘘だろ?」



 その様子を見て居たハンマが言う。

「設計者としては、一流だが、製造の方は、まだまだだな」

 ミココは、顔を赤くしてそっぽを向くのであった。



 そして、その一連の戦闘を見てバッドが呟く。

「名前からしてアニマル派のソオルアーマーかと思ったが、強力すぎる防御フィールドは、まるでゴット派のそれじゃないか」

「元々、彼女の技術は、四つの派閥を取り纏めて、最高のソオルアーマーを造るソオルタワーを研究所とするゴット派で習得した物ですからね」

 ティーの答えにバッドが不審の目をする。

「曲がりなりにもゴッド派と呼べる程のソオルアーマーを作れる人間が何で都落ちをしたんだ?」

 ティーは、肩を竦める。

「帝都には、色々あるって事でしょう」

 バッドもそれ以上、突っ込む事は、しなかった。



 戦後処理で、ドタバタしている中、ミココは、ティーの私室に来て居た。

「今回の件は、ただの反意勢力の襲撃とは、違うと思います」

 ティーが頷く。

「そうでしょうね。しかし、証拠は、ないでしょうね?」

 今度は、ミココが頷き続ける。

「こんな田舎まで帝位の後継者争いの波が襲って来たって所ですね」

 その顔には、明らかな辛さが出ていた。

 ティーは、小さく溜息を吐いて言う。

「何かしらの手を打たないといけないかもしれませんね」

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