異端
異端
朝。
カーテンを開ける。テレビを付ける。当たり前な朝。
その空間に住む彼の名前は言わなくても良いだろう。そう彼はどこにでもいる普通の人間だ。彼は刑事だ。テレビドラマの脇役にも出れないほど目立たない。だからだいたい雑用は彼の仕事だった。
その日もそうだった。同僚が困った顔をして彼の方にやってきた。
「なぁ、最近児童の転落死亡事故多いだろ?」
「ああ。」
最近、掃除中に児童が転落死亡事故が多発している。しかも全員、死亡。同じような多すぎて話の話題によくあがる。
「あれは事故じゃないと言う子がいるんだ……」
彼も一度手が足りなくて、現場に行ったがどこから見ても事故だ。
「一応話聞いて置いてくれないか?ほら窓口にいるからさっ。」
「えっ?おいっ!」
同僚は面倒くさいことを彼に任して逃げてしまった。窓口に向かう途中に、同僚が彼女と今日デートだと自慢してたのを思いだした。はめられたと気づいた時には同僚は消えていた。
窓口には中学生らしい少女がいた。普通に可愛らしい子だ。
「えーとっ君?転落事故だよ?あれは。」
相手は彼を睨みつけながらこう言った。
「大人と同じ扱いにしてください。それにあれは事故じゃありません。」
彼は少しムッとして
「じゃあ君が背中を押したんですか?」
とやけ気味に聞いた。
「そうですね。背中を押しましたね。直接ではないですけど。」
少女は嬉しそうに笑いながら言った。
――狂ってる。
「現場には何もなかった……。」
彼は自分を落ち着けるためと、確認するように呟いた。
「まさか、こっちだって一言で死ぬとは思いませんでしたよ。」
肩をすくめながら言った。
少女には不釣り合いだった。
「だって、あの子たち私をバカにしたから言っただけなんです。」
勝ち誇った顔をして彼女はこう言った。
「魔女の恰好をして飛び降りてごらん。誰でも空を飛べるから。
だけど見つかったら火炙りにされるのよ――って。」
刹那。彼は少女が言った意味分かってしまった。
「普通」の彼でも分かる普通のこと。
なぜ児童が清掃中に転落したか?
箒を持っていたから。
なぜ全員死亡なのか?
人に見えない高い所でやらないといけない。
なぜ全員児童なのか?
子供しか信じない。
「普通」の彼にはまった「異端」のピース。
「異端」の名前は「完璧犯罪」
「完璧犯罪」の「犯罪者」は犯罪を犯罪と認識してない「少女」だった。
―END―
学校では好評でした…。
うーん、微妙だなぁ。