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星姫 〜天の星、地の人〜  作者: 猫様のしもべ
第2章 学びと戦いの、学園生活
9/16

第8話 新しい友達 孤独な少女

〜前回のあらすじ〜

無事皇立マーラプア学園の入学式を終え、晴れて学生となったマナ。

「星姫」ではなく、みんなと同じように学生生活を送りたい。

そう願う中、ソフィが新しい友達を連れてくる。

4月8日。今日から授業が始まる。

マナ達は学校に来て、席に座った。

少しおしゃべりしながら待っていると、先生が来た。

そしてみんなに言う。


「皆さん、おはようございます」

「「「おはようございまーす」」」

「元気ですね。ではさっそく授業といきましょうか」


先生は軽く挨拶し、教室を出た。

5分経つと、足音が聞こえ、みんな急いで席に座る。

初授業は、なんと神学から始まる。

名の通り、神や女神、星姫について学ぶらしい。


「皆さん、初めまして。私は神学の授業をする、アリシア・プロメッサです。入学式で司会してましたね。じゃあさっそく授業しましょう。挨拶を」

「えーと、起立、礼、よろしくお願いします」


よくあるあの挨拶をやって、座る。

先生の話が始まる。

みんなは、あまり聞く気はなさげなようで、自習をしている子が多い。


「え〜、まず、かなーり昔、神と女神がこのサフィアスにやって来られました。当時の人間は、争い合い、奪い合う暮らしをしていたため、神と女神は憐れみ、人間を統治し、平和な星と成らせました。そして人間を守るため、龍を創造し、龍と人間は仲良く暮らしました」


まるでお伽話のような伝説。

先生は絵などを見せながら、解説する。

マナは代々伝え聞いているため、その内容を知っている。だが、少し疑問に思うところがあった。


(龍と人間・・・仲良くしてたっけ?)


だがまぁ、質問するわけにもいかないので、心に留めておく。

これには続きがあり、そこが1番重要。


「けれど2000年前、星の外から魔神がやってきます。彼らは暴虐を繰り返し、星の民を全滅させ、神と女神を連れ去ってしまいました。なぜ神と女神が敵わなかったのか、それは謎のままです」


そんな話をしていた。

神と女神や龍に関しては、大昔の国の文献として残っている。ほんの少しだが。


そんなこんなで神学は終わり。

次に歴史、数学、古語とやった。


「では、これにて古語の授業を終わります。昼休みの後は、皆さんは部活見学です。では挨拶を」

「起立、礼、ありがとうございました」


そうして今日の授業は終わり。

午後は部活の見学をする。そこで、どの部活に入りたいかを決める予定だ。

ソフィがマナのそばに来た。


「マナ、お昼ごはん一緒に食べよ!」

「いいよ。どこで食べる?」

「食堂!たぶん中庭は混むからね。それと、友達を紹介したいの!」

「うん。誰?」

「フィーユ、こっち来て〜!」


すると、女の子が来た。

茶色の綺麗な髪に、ペリドットのような黄緑の瞳。

可愛い女の子だ。


「初めまして、わたしはフィーユ・ラピュセル。よろしくね」

「初めまして、私はマナ・セレスティアです。よろしくお願いします」

「マナ、でいいかな?友達になりたいんだ」

「わかった。フィーユ。仲良くしようね」

「うん。よろしく」


ソフィが2人の間に入り、両方の肩に腕を乗せた。


「マナ、フィーユ、仲良くしようね!」

「うん」

「もちろん」


それから、3人で一緒に昼ごはんを食べることに。

食堂に来た。かなり混雑している。

マナはお弁当を持って来た。

ソフィとフィーユは学食を頼み、それぞれ席に座る。


「じゃあ、いただきます」

「あれれ?マナ、お祈りじゃないんだ?」

「あ、そうなの。翠風国の挨拶なんだ。お父さんが翠風国にいてね」

「そうなんだ!」

「ソフィもお父さんやお母さんとは、話すの?」

「うん!たまに一緒に話すよ」


ソフィは笑顔で、明るかった。

けれどフィーユは少し、俯いているのがわかった。

マナはフィーユに聞いてみる。


「フィーユは何食べてるの?」

「サンドイッチとフルーツだよ。少食なほうだからこのくらいがちょうどいいんだ」

「そうなんだ。美味しそうだね」


すると、ソフィがニヤリと笑い、言う。


「マナ、私はパンケーキなんだけど、一口いる?」

「え、じゃあもらおうかな」

「うん!はい、あーん」

「え?自分で食べるよ」

「いいからいいから、ほら!」

「そう?ありがとう・・・」


マナはソフィが差し出した一切れを食べた。

ソフィは満足気。

マナにしたらなんとも言えないが、まぁ美味しいので文句言わない。

フィーユはちょっと気になるみたい。


「ソフィったら、ここ食堂だよ?」

「そうだけど〜。やってみたかったから!」

「まぁいつも通りだけど」


ソフィはいつもこんな感じ。

フィーユに対しても、これをやったことがあるとか。


そうして時間が経ち、昼休みは終わり。

教室で待つと、先生が来た。


「では皆さん、これから部活見学をします。そしてどの部活に入りたいかをこの紙に書き、提出してください」

「「「はい」」」

「では、どうぞご自由に」


そうして、部活見学が始まった。

マナはソフィ、フィーユと共に部活見学することに。


「どこ行く?」

「私、アクセサリー創作部めっちゃ気になってる!」

「いいね。私はイラスト部かな」


マナの質問にソフィが答え、マナも気になる部を言う。すると、フィーユも。


「わたしもイラスト部行きたい。近いらしいし、まずはアクセサリー創作部行かない?」

「いいね。確か南校舎かな?」

「うん。部室は全部南校舎だよ」

「わかりやすくていいね〜」

「広すぎるのに複雑だと迷子になっちゃうもんね」

「うん」


そうしてアクセサリー創作部についた。

中に入ると、部長が来た。


「皆さんようこそアクセサリー創作部へ〜。私は部長のシェラ・リスティアです〜」


どこか嫌な感じを覚える話し方。

すると、フィーユの方を見る。

それに気づいたフィーユは、顔が強張った。

部長のシェラは言う。


「あら、そちらはラピュセル家の次女さんですね?お姉様と比べて才能もなく、いつも・・・ふふ。そうなるのも当たり前のことですけれど」

「・・・!」


シェラはフィーユをバカにしている。

誰が聞こうと、そう思うだろう。

だがシェラの言葉は、“当たり前”を口にしているだけにも、聞こえた。


それでも、フィーユは何も言い返さない。

マナはさすがに声を上げずにはいられなかった。


「撤回してください。根も葉もないことを・・・」

「あら、本当のことですわよ?才能がものを言う世界で、比べられるのは当たり絵ですわ。こんな妹を持って、可哀想なクオーレ様」

「何を・・・!」


マナの言葉に、食い気味に反応したシェラ。

その言葉は、フィーユをバカにするだけでなく、存在を否定する意味まで含まれている。


(どうして・・・何も、言えないの!?)


普段感情を表に出すことができないマナ。

怒りが込み上げるが、拳を握って、落ち着かせた。

冷静に見えるが、喉元まで声が出かかっていた。

けれど、今日フィーユと会ったばかりのマナは、反論できる言葉を持ち合わせていなかった。


するとフィーユがマナに言う。

その手は、服の裾を軽く握っていた。


「気にしないで、マナ。日常茶飯事だから。もう慣れたよ。怒ってくれてありがとう」

「でも・・・」

「いいの。さ、早く見ちゃおう」

「・・・うん」


3人で教室に入った。

相変わらず部長は、優越感に満ちた目で、フィーユを眺めていた。

中に入ってから、マナはそっとソフィに質問する。


「ねぇ、ソフィ。さっきの、どういうことなの?」

「うん・・・。実は、フィーユのお姉様、クオーレ様はとてもすごい方なんだ。3歳年上で今年度で卒業なの。学校でも1番と言える秀才で、とっても美人な上、『星の祝福』も持っている」


ソフィは俯き加減に、話し始めた。

フィーユは少し遠くにいるので聞こえていないはずだが、悲しげなのが見てわかる。


「そんなお姉様と比べられてフィーユは何度もバカにされてる。フィーユの親でさえ、差別化して扱っているの。私は優しくて可愛いフィーユが好きだけど、みんながみんな善人じゃないからね。可哀想だけど、助けられないんだ」

「そっか。『星の祝福』は別に、人を選んで与えられているわけじゃないのに・・・」

「え、どういうこと?」

「あ、いや。なんでもない。気にしないで」

「そう?でもまぁ、星が人を選んだりはしないよね」

「うん」


なんとも言えない感情が心に渦巻くが、あまり気にしていると、フィーユに気を遣わせてしまう。

なのでとりあえず笑顔を作り、部活を見ることに。

フィーユもなんとか笑顔を浮かべている。


「このネックレス可愛いね。マナ、つけてみたら?」

「いや、いいよ」

「そんなこと言わんで〜・・・あれ?」


ソフィがマナの首に手を回すと、手にシャラシャラした何かが当たるのがわかった。

フィーユも気になってそばに来た。


「マナ、ネックレスつけてるの?」

「あ、まぁね。ペンダントだけど」

「へぇ、見せて〜」

「いいよ」


マナはペンダントを引っ張り出した。

星型の宝石が蛍光灯を反射して煌めく。


「わぁ、可愛い!この真ん中のなんて宝石?」

「え、っと・・・フ、フローライト?」

「なんで疑問形?でも可愛いね。星だな〜」


とっさに思いついた宝石の名を挙げた。

でも嘘であるため、疑問形に。

フィーユもそれを見て、言う。


「わぁ、すごく綺麗な星・・・。もしかして星道具?」

「えっ、いや、違うよ。たまったま、こんなんなだけだから・・・」

「そうだね。普通持ってるわけないや」


フィーユは意外と鋭いみたいだ。

星道具は一般人には手の届かない、特別な代物。

マナはすぐにペンダントをしまった。


そして見終わったら、次はイラスト部に来た。

また部長さんがお出迎え。

みんな少し気を張り、緊張する。

でもそんな緊張を解きほぐすように、優しく柔らかい笑みで、部長さんが話しかける。


「初めまして。私はイラスト部部長のフィアナ・リリィです。よろしくお願いします」

「あ、よろしくお願いします」

「ふふ。緊張なさらないでください。イラスト部には優しい子ばかりですよ」


部長さんはフィーユの現状を知ってか、優しく接してくれている。

フィーユは少し緊張が解け、言う。


「あの、わたし絵を描くのが好きなんです。あまり上手くはないけど・・・」

「全然大丈夫です。この部活にいれば、どんどん上達できますよ。誰も何も言えないくらい」

「ほんとですか?」

「ええ。保証します。でもまずは、貴女の心内を表現できるようにならなければなりませんね」

「ありがとうございます」

「ええ。どうぞご自由にご見学ください」


中に入ると、様々な絵がある。

綺麗な絵、明るい絵、暗い絵、何を描きたいのかわからない絵など、本当に多種多様。


すると、その中にとても綺麗な絵を見つけた。

美しい、星空の絵。

青、紫、白、赤、使いづらそうな色もとても上手に使い分け、目を惹かれる絵だ。

その作者の名前はフィアナ・リリィ。


すると部長さんが来た。

フィーユに話しかける。


「その絵、いかがですか?私の最高傑作なんです。自慢にはなってしまいますが」

「とっても綺麗です。わたしもこんな絵を描きたいです」

「それはよかったです。これは、星姫様が誕生なされた時見えた、美しい星空を描いたものです。心にある家族、友達への愛情を込めました」

「本当に美しいです。絵からも優しい方なんだろうなと伝わって来ます」

「ふふ。ならこれをどうぞ」


部長フィアナの手には、その絵を縮小したような、綺麗な絵。

大小2種類描いたらしい。

フィーユはそれを受け取って、言う。


「ありがとうございます。少し心が暖まりました。きっと部長さんも、いろんな経験をなされたのだろうなと思いました」

「ええ。何も、他人が比べられるものはありません。貴女ならきっと最高の絵を描ける。いつでも待っています。入部しなくても、個人的に話しかけてくだされば、いつでも教えますよ」

「ありがとうございます」


そうしてイラスト部の見学は終わった。

フィーユは、本当に顔が少し明るくなっていた。

マナはフィーユのことをあまり知らないが、それでもこうして、優しい人に出逢えればいいと心の底から思った。


さて、そこからは目についた部室に入って行った。

剣術研究部に入ると、マナが問い詰められた。

「頼む!剣技のコツを教えてくれぇ!!」


星姫信仰部なんてのもあり、変な儀式をしていた。

たぶんペンダントを見たら、奪いに来るだろう。


生きているなら遊ぼうぜ同好会、なんていうわけわからない部も存在した。

とにかくボードゲームをしており、たまーにテレビゲーム機も持ち込んでいるらしい・・・。

結構楽しくて、面白かった。


そうして部活見学は終了した。

ソフィはアクセサリー創作部に入り、フィーユの良さを熱弁してやると意気込んでいた。

フィーユはイラスト部でたくさん絵を学ぶそう。

マナは元から入らないことに決めている。


教室に戻り、提出した。先生が言う。


「皆さん、いかがでしたか?好きな部活で、学園生活を謳歌してくださいね」

「「「はい」」」

「では、そろそろ終わりましょう。日直さん、よろしくお願いします」

「お祈りを始めます」


お祈りし、挨拶。

みんな入る部が決まって満足そうだ。

すると、先生がいう。


「あ、いい忘れてました。来週は星獣の森に挨拶へ行きます。そこで植物の観察をしますので、スケッチブックとノートを忘れないように。水筒も必須です。詳細はプリントを見てください。では、さようなら」

「「「さようなら」」」


マナたちは互いに挨拶し、家路を歩む。

来週の授業が、楽しみに思えた。

友達との関係も、さらに深められたらと思う。

今回はイラスト部部長について書きます。

イラスト部部長、フィアナ・リリィ。


フィアナは画家の一家に生まれました。

そしてフィアナには兄がいました。

彼は幼い頃からとんでもない絵の才能を発揮して、家族からも、国からも期待されていました。


フィアナはそんな兄を尊敬していましたが、家族は違いました。家族はフィアナに絵の才能があまりないことを知り、兄の反対も無視し、フィアナを路地に置き去りにしました。


フィアナに渡されたのは、ほんの少しの路銀と、兄からのプレゼントである、スケッチブックとペンだけです。


フィアナは幼いながら、自分が捨てられた理由を悟りました。そして悲しいけれど、涙も出ませんでした。

それでも生きるため、絵を描いて売り始めました。

あまり儲かりはしませんでしたが、それでも日々のため頑張りました。


それでも、スケッチブックが尽きかけます。

そんな時フィアナに手を差し伸べたのは、1つ年上の女の子。彼女は名を、クオーレと名乗りました。


金色の混ざった茶髪に、鮮やかな緑の瞳。とっても美しい美少女でした。

クオーレはフィアナを施設に入れ、一部の養育費を出してくれました。


しばらくしてフィアナが見事マーラプア学園に合格。

喜んでクオーレに会いに行きました。

クオーレはおめでとうと褒めてくれました。

すると、クオーレは言いました。


「もし、私の妹フィーユがこの学園に入ったら、優しくしてあげて欲しい。あの子がどれだけ辛い思いをしているか、1番そばにいるからわかる。フィーユに関する悪い噂は全部デマよ。お願い。あの子も絵が好きなの」


フィアナは言われなくとも、と答えました。

クオーレは笑って言いました。


「何も、他人が比べることはできない。貴女ならきっといい絵が描けるから。自信を持ってね」


フィアナはそれをずっと胸にしまい、イラスト部で過ごしました。

フィーユがクオーレにどんな想いを抱いているか、それはフィアナもよく分かっています。

でもだからこそ、フィーユに、その言葉を伝えたかったのです。


それからフィアナはクオーレファンクラブにも、密かに加入しています。


星への願いは、届くのだろうかーー。

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