表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星姫 〜天の星、地の人〜  作者: 猫様のしもべ
第1章 星と出逢いの、小さな始まり
5/16

第4話 光なき城、1人の親友

〜前回のあらすじ〜

皇立マーラプア学園の入学試験を終え、皇子といろいろあったものの、帰宅。今日は合否を見る。

皇子とも話す約束だが、マナはどうするかな?

さて、一夜が明け、今日は合格発表の日。

合否はネット上でも確認できるが、点数まで見れるのは学園の掲示板のみだ。


身支度を整え、髪飾りもつけて家を出る。

20分ほどして、マーラプアに到着。


「受かってるかな〜。緊張する」

「大丈夫よ。騎士団長に勝ったんだから」

「うん。けど・・・めっちゃ注目されてるね。仕方ないけど」

「そうねぇ。まぁ、堂々としていれば大丈夫よ。どうせなら今日から友達作りましょ」

「難しいよ〜」


マナが騎士団長に勝った話は、歩くスピーカーやら歩く拡声器やらと呼ばれる人から、多くの人に伝えられ、それがネットでも広まった。

そして、掲示板の前にきた。

ドキドキしながら掲示板を見る。


「20番・・・マナ・・・あった!」

「まぁ!合格よ、おめでとう!」

「よかったぁ・・・えーと、点数はっと」


点数公開!

国語85点、算数72点、社会70点、理科64点、古語80点、剣術150点。合計521点。

ーー明らかに異常なのは、誰の目で見てもわかった。


「あらぁ〜・・・」

「剣術、満点超えた・・・」

「まぁ、なんせよ受かってよかったわ」

「うん。帰ろう」


マナは笑顔で帰ろうとする。

すると、目の前に金髪の皇子様が。

笑顔で話しかける。だけど、少し拗ねてるような雰囲気だ。後ろの護衛さんも困っているみたい。


「セレスティアさん?約束忘れましたね?」

「!殿下・・・忘れました」

「正直でよろしい。とりあえず、おめでとうございます」

「殿下も、おめでとうございます」

「はい。そして初めまして、セレスティアさんのお母様」


サフィールは笑顔でお母さんに話しかける。

お母さんも笑顔で答えた。


「あら〜、殿下。初めまして、私はマナの母の、マヒナです〜。娘がお世話になっております〜」

「こちらこそ。少しだけ娘さんとお話しさせていただいてもよろしいですか?」

「あら、いいですよ〜」

「ありがとうございます。セレスティアさん、こちらへどうぞ。貴女、めっちゃ目立つので」


笑顔だけれど、お母さんも少し緊張しているようだ。

いつもより語尾が伸びていて、今日は気を張っているのが伝わってくる。

マナは作り笑顔のまま、皮肉も込めて、サフィールに返答する。


「はい。殿下がいるから、ということもありそうですけど」

「ふふ。そうですね」


サフィールはマナとあまり人のいないところへ行こうとする。

護衛さんもついて来ようとしたが、サフィールに止められた。

どうやら、2人きりで話したいらしい。

護衛さんは困りながら、人を寄せないようにする。


「殿下・・・護衛さん、困ってましたよ?」

「そうですね。何処の馬の骨とも知れない女の子と僕を2人きりにしまいと、してるんでしょう」

「いいんですか?」

「はい。ノエルなら、分かってくれます。あ、紹介がまだでしたね。彼は僕の専属護衛、ノエルです。幼馴染なんですよ」

「そうなんですね。それで、お話しとは?」


サフィールはどこかイタズラっぽい笑みを浮かべる。

そして、マナに言う。


「セレスティアさん、お名前でお呼びしても?」

「え、よ、よろしくないです。私そもそもそんな身分でもないですし」

「別にいいんですよ。僕からの提案ですし〜。ね、マナさん?」

「・・・わかりました」

「ありがとうございます。2人きりの時はこう呼ばせてください」

「あんまないと思いますけど」

「ふふ。結構あるかもですよ」


サフィールはにこにこ笑顔。機嫌が戻ったっぽい。

マナは少しほっとしながらも、困っている。

自分にこうも仲良くしようとしてくる理由もわからないし、もちろん嬉しいけど、どうしたらいいか迷っている。


「それで、お話しなんですけど。マナさん、点数すごいことになってましたね。剣術なんてオーバーしてましたし」

「いえ、殿下ほどではありません」

「謙遜する必要はないですよ」

「本当のことですし・・・」


サフィールは、筆記試験が全教科満点。

そして、剣術も90点だった。最高得点だ。


「では、単刀直入に聞きますが、なんでそんなに強いんでしょう?」

「・・・私にもわかりません。『星の祝福』なのかも知れませんし、そうじゃないのかも・・・」

「全くわからない、ということですね。まぁ僕にとってはどちらでもいいんですが、陛下は気にしてます」

「そうですよね・・・」

「利用されそうで、不安でしょう。ですが、安心してください」

「・・・?」


サフィールの言葉は、マナの気持ちを心から理解するかのように感じられた。

まるでその恐ろしさを、知っているかのように。

サフィールは手を差し出して、言う。


「なら、僕から提案です。たまに、僕と一緒に視察とか行きませんか?」

「え・・・なぜですか?」

「正直に言うと、貴女は皇宮にとって放っておけない存在なんです。だから監視下に置きたい、と思っています」


その言葉には、ふたつの意味が含まれていた。

そうでもしなければ、マナは友達など、作れるかさえわからない。


(また、友達がいない学校生活・・・?)


マナは思わず、服の裾を握りしめていた。

けれどマナにとっては、サフィールも危険。

なにもわからない状況。

最善の選択は、バレないように断ることだろう。

だが、マナの答えは違った。


「わかりました。殿下と、たまに視察に行きます」

「はい。ありがとうございます。悪いようにはしませんよ。こちらとしても、貴重な戦力を失いたくないので」

「ありがとうございます。では、そろそろ戻りたいと思います」

「はい。貴女とは、これからも仲良くしたいと思います。友達として、よろしくお願いしますね」

「はい。よろしくお願いします」

「ふふ。友達として・・・ですね」


「友達として」のその一言は、まるでサフィールが自分に言い聞かせているかのようだった。

確証はないが、マナはそう感じた。


サフィールは柔らかな笑みを浮かべる。

マナは少しかっこいいな、とも思った。

その笑顔は、一部の女子からは国宝級とまで言われ、崇められている。

マナだって恋はしてみたい。けれど、相手が相手なので、油断はできない。


「では、殿下。また今度」

「はい。あ、そういえば、制服を作るなら西区にある『エトランジェ』という名のお店がおすすめですよ。3月9日は割引しているみたいです」

「え、そうなんですか?ならそこに行こうかな・・・ありがとうございます」

「はい。では、またお会いしましょう。さようなら」


マナはぺこっと礼をして、お母さんのところへ。

お母さんは護衛のノエルとペラペラ話していた。

そしてマナが来たら、ノエルが退がる。


「お母さん、帰ろう?」

「そうね。行きましょう。さようなら〜」

「はい。さようなら」


ノエルも挨拶してくれた。

そして、お母さんと2人で家に帰る。

その途中、校門を出る前に振り返ったら、サフィールが護衛にお小言を言われながらも手を振っていた。

マナも振り返し、家に帰る。



家に帰ったら、久しぶりにゆっくり遊べた。

たまに、サフィールのことを頭に思い浮かべながら。


夜になったら、夕飯を食べて、風呂に入る。

そして出たらお父さんに報告だ。

プルルルル〜。


「もしもし〜、マナ」

「お父さん、マーラプア受かったよ!」

「おおぉ!おめでとう、マナ!よく頑張ったな!」

「えへへ」

「騎士団長に勝った甲斐があったな。注目されてただろ?」

「うん。点数も、剣術は150点だったよ!」

「それはすごいな!ちなみに、殿下とはそれからなんかあったか?」

「えっとね・・・」


マナはサフィールと話したことを、またまた省略して伝えた。


「それはすごいな。殿下と視察か・・・」

「うん。バレないように気をつけるよ」

「騎士も多そうだしな。まぁ、たぶんそんなすぐにはバレないはずだ」

「そうだといいな。お父さんも頑張ってね〜」

「ああ。じゃあそろそろ寝よう。おやすみ、マナ、マヒナ」

「おやすみお父さん」


会話が終わったら、電話を切り、寝た。

マナたちの家はこんなに幸せ。

だが、皇宮は全く・・・。




            ◇




ラニアケア皇国皇太子、サフィール・レヴァ・ラニアケア。金髪碧眼の国宝皇子。


合否の確認を終え、サフィールは城に帰った。

そして、これから王に合格を報告する。

城の中心、王の間の扉の前に来た。


サフィールは深呼吸をする。

体が強張り、心臓の拍が速くなる。

すると、扉が開いた。ゴゴゴと音を立てながら。

レッドカーペットの上を前に進む。

そして王の御前で跪く。


黄金で作られ、真っ赤の最高級クッションの乗せられた王座に、尊大な態度で腰掛けている者。

彼こそ、ラニアケア皇国の皇王、ファネス・ラニアケアだ。

王が言う。その表情は、さぞ迷惑そうだ。


「何用だ?」

「報告です。皇立マーラプア学園の入学試験に合格しました」

「そうか。そんなこといちいち報告せんでいい。だいたい、受からないようなら斬り捨てていた」

「・・・はい」

「出ていけ。我は今日、ルティアナと食事を摂る」

「はい」


サフィールは歩いてそこを出る。

サフィールが出て、扉が閉まると、王は小さくつぶやいた。


「皇族の責務もこなせない・・・ならば子を守れなくて当然だ」


その王の顔は、悲しみのような、怒りのような複雑な表情をしていた。

王座の裏には、小さな箱が1つ、置かれていた。


サフィールは暗い胸の内を抱えながら、自分の部屋まで歩く。


「はぁ・・・」


重苦しいため息が出る。

自分はなぜこんなところにいるのか、と考えてしまう。

すると、前からノエルが来た。


「殿下、いかがでしたか?」

「ノエル・・・なんもなかったよ。いつも通り」


サフィールは幼馴染であるノエルに対しては、タメ口で話す。

彼らだって、普通の12歳の男の子なのだから。


「・・・そうですか。実は、俺からささやかながらプレゼントを用意しています。皇妃様、ルティアナ様と共に買いました」

「ほんと?なに?早く〜」

「はいはい。こちらをどうぞ」


ノエルが小さな箱を取り出し、サフィールに渡す。

サフィールはその箱を開けた。

中に入っていたのは、龍と星のチャーム。

剣につけるのにちょうどいい。


「わぁ。かっこいいね。ありがとう、ノエル」

「喜んでいただけたなら、嬉しいです」

「うん。じゃあ部屋に戻ろっか」

「はい」


ノエルと2人で部屋に。

皇王や皇妃、皇女であるルティアナと比べたら、小さくて簡素な部屋。

ベッドと机、椅子。たったそれだけの殺風景な部屋。

サフィールは椅子に座る。目の前には、たくさんの書類の束。


「じゃあやるか〜」

「はい。お茶を淹れてきますね」

「うん。ありがとう・・・」


鍛え上げられたノエルの背中を目で追う。

あの頃とは違う、大きな背中。

サフィールは悲しみを振り払うように首を振って、書類を手に取る。


サフィールの仕事は、様々な意見書を読み、それについていろんな決定をすること。

絶対王政の中で、様々な意見や不安の声、反対の声が書類として届く。それは大体サフィールが処理する。


(正直、面倒でやりたくない)


そんな仕事を延々と続けている。

王への反感は絶えることない。その割に王は何もしないため、サフィールや皇妃がこなしている。

すると、1つの書類が目についた。


「あ、これ・・・」

「どうしました?はい、お茶です」


ノエルがお茶を持ってきてくれた。

サフィールは礼を言い、完璧な所作で、そのお茶を一口すする。

そしてノエルに書類を見せた。


「ほら、これ本当はラピュセル伯爵家がやるやつだよ」

「本当だ。また押し付けて来たんですね」

「うん。まったく、何様のつもりなんだか」

「伯爵様のつもりなんでしょう」

「その通りだね」


ラピュセル伯爵家は、2人の娘を持つ家。

上の娘が「星の祝福」を持っているのをいいことに、様々な方面で自慢している。

そして傲慢にも、サフィールに仕事を押し付ける。

皇族がこうもナメられている理由は、王が9割占めているだろう。

あとは、サフィールが子供だから。

そういうものは、送り返すのみ。


「そういえば、あの子はどうでしたか?」

「セレスティアさんね。いい子だったよ。正直で。僕の作ったイメージを本当だと信じてるみたい」

「そうなんですね。かなりお気に入りのようで」

「まぁね」


サフィールの「女の子が苦手」は、ただの作り話。

確かに昔からモテてはいたが、そんなストーカーされたり、困るほど告白されたりはしてない。

なんせ皇子だ。ストーカーなんて許されないし、告白しても意味などない。みんな、理解している。

ただ、マナに対しては、別の感情がある。


(なんだか、目が向いちゃうんだよね、あの子)


そこからしばらく仕事をした。

ひと段落したら、風呂に(シャワーだけだが)入り、出たら夕飯を部屋で食べ、寝る。


寝る前、ノエルが言う。


「それでは、おやすみなさい、殿下」

「うん。ありがとう、おやすみ、ノエル」


ノエルは軽く頭を下げて、部屋を出た。

サフィールはベッドに潜り込む。

いつもならため息をついてしまうところだが、今日は違った。

ノエルからもらったチャームを握りしめる。


(ありがとう、ノエル)


サフィールは、ノエルに心から感謝している。

彼がいなければ、ここまで頑張れなかったはず。

幼馴染として親しく話せなくなっても、ささやかな気遣いで、優しさを感じられる。

サフィールは、眠りについた。

今回はマーラプアの校長と、騎士団長の関係を書きます。

校長、カノア・サージェス。

騎士団長、イノア・アルジェント。


カノアとイノアが初めて会った時、まだイノアは普通の騎士でした。

カノア32歳。イノア26歳。


初めて会ったのは、ある年の入学試験。この時の剣術試験の相手として、イノアは学校に来ました。

カノアは、相手となる騎士達に挨拶をしていました。

イノアとカノアはお互いの名前を聞き、言いました。


「名前、似てんな〜」


1文字違いの2人は、名前が似ていることを理由に、会話し始めました。

騎士と先生は本来あまり関わることはありません。

なので、この2人も入学試験以来、あまり会っていませんでした。


ある日、皇都アイカーネに魔獣が現れました。

しかもそれは、イノアの家の近く。イノアの弟、最も小さな子が、たまたま魔獣を引き寄せる薬を割ってしまったのです。


お父さんとお母さんは、それぞれ両腕に子供を抱え、長女も弟を1人抱っこして逃げました。

けれど、薬の1番そばにいた弟は、危険で近寄れませんでした。


それでも、カノアは先生であり、子供を守る義務があると、駆け出しました。

弟が魔獣に怯え、泣きだします。すると、魔獣はその弟に気づいてしまいました。

カノアは弟に覆い被さり、守ろうと必死になります。


そんな時、騎士団が着きました。

その中には、イノアも。

場所がカノアの家のそばだと知り、すぐに駆け出して来たのだそうです。

そして、イノアはカノアを守りながら戦い、なんとか倒しました。


それからイノアの一家はカノアに謝礼をたくさん贈り、お金持ちであったため、様々なものをくれました。

カノアは躊躇しましたが、半分押し付けられる形でもらいました。

そして、それからはカノアとイノアは仲良しに。


今となっては、親友と言えます。

年差は多少あれど、1番分かり合える友達です。


星への願いが、叶いますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ