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星姫 〜天の星、地の人〜  作者: 猫様のしもべ
第2章 学びと戦いの、学園生活
14/16

第13話 温もりを知らない少女

〜前回のあらすじ〜

星森にて、星獣ヴァルディアに導かれたマナ。

その先で出逢ったのは、龍姫と名乗る美少女。

家族も家も持たない、セフィリア。

そんな彼女が初めて、家族に触れる。

夕陽が地平線に沈んでいき、空には星が煌めき始める。

皇都アイカーネの街も、夜の準備に入る。

子供達は家に帰り、カラスが鳴いていた。


皇太子サフィールに送られ、車で家に帰った。

隣には、星森で出逢った美少女、セフィリアがいる。

マナはサフィールと、軽く挨拶する。


「ありがとうございました、殿下」

「はい。また学校で会いましょうね、マナさん」


サフィールは笑顔で、言った。

マナは名を呼ばれると、少し鼓動が跳ねる。

嬉しいような、緊張するような。

マナは悟られまいと、言葉を返した。


「また明日、殿下」


マナは笑顔で手を振った。

サフィールも少し嬉しそうに、振り返す。

そして車に乗って、城へと向かった。


マナはセフィリアの方を向き、言う。


「じゃあ家に入ろっか」

「うん」


マナは家の鍵を開け、中に入る。

すぐにお母さんが、リビングから出てきた。


「おかえりーーまぁ、可愛い子。その子はどなた?」

「お母さん、ただいま。この子は星森で会ったんだ」

「あら、そうなの。連れてきたってことは、何かあるのでしょうね。どうぞ、上がって」

「ありがとう」


セフィリアは、靴を脱ぐことに一瞬戸惑っていた。

いや、もしかしたらーーそれだけではないかもしれない。


マナが髪飾りを外し、髪と目の色が変わる。

それを見たセフィリアは、少し驚いていた。

色が変わったことに、じゃない。

その髪と目の色自体に、驚いているように見えた。


(セフィリアの髪と目も不思議だし、何か繋がりがあるのかな・・・)


とりあえず、セフィリアを案内する。

セフィリアと共にリビングに行く。

そしてソファに座ってもらった。

お母さんがお茶を用意し、前に置く。


そして話しかけた。


「ふふ、遠慮せずに飲んでね」

「・・・ありがとう」


セフィリアはお茶を一口、すすった。

少し驚くかのように、目を見開いた後、そっとカップを置く。


「聞きたいことがあるわ。まず、貴女のお名前は?」

「ボクはセフィリアだよ」

「セフィリア、可愛いお名前だわ。どうして私たちの家に来たのかしら?」


セフィリアは軽く、自分の過去を話した。

出自は言わない。ただ、親と家がないこと、そして自分は龍姫であるということだけ。


それを聞いたお母さんは、少し考え込んでいた。


「そうなのね。あと、最後に1つだけ聞きたいわ。貴女の髪と目・・・私たちの血縁かしら?」


白銀の髪、グラデーションの瞳ーー

それは、神の血縁にのみ現れる特徴。


(さらに言えば、今まで瞳がグラデーションだったのは、私だけ。この子は、何者なんだろう?)


マナはそう思った。

セフィリアは一息ついて、静かに言う。


「そうだよ。ボクはマナたちの・・・マナの、遠い、遠い血縁だよ」

「そう・・・。わかったわ。今日はうちに泊まってどうぞ。不便はさせないわ」

「ありがとう」


セフィリアはそう言った。

明るい笑顔で、でもどこか寂しげで・・・。

まるで“笑うこと”だけを教わってきたかのような、何かを隠そうとしている、笑顔。

マナはこの子を「護りたい」と、そう思った。


セフィリアに、軽く家を案内する。

車に乗る時もそうだったが、まるで機械を見たことがないかのように、辺りを見回している。

小さな子供のように、見るもの全てが新鮮というように、少し楽しそうだった。


「マナ、セフィリア。夕食にしましょう」

「はーい」


マナはセフィリアと共に、椅子に座る。

お父さん用の椅子だが、仕方ない。


食卓に並ぶ、いくつもの料理。

セフィリアはそれを少し、見つめていた。

初めて見る驚き、というよりは、初めて知る日常のような戸惑いだった。


「いただきます」


マナとお母さんの行動を見て、セフィリアは不思議そうに見ながらも、真似をした。


セフィリアは丁寧に、食事をする。

その手つきは、作法を習ったことがあるように見える。

ますます、不思議な女の子だ。


お母さんがニュースをつけると、これまた驚く。

テレビも、リモコンも知らないらしい。


3人で静かに、ニュースを聞きながら夕食を食べた。



「ごちそうさま」


夕食を食べ終えて、風呂に入る。

マナはセフィリアに、風呂を案内した。

けれど、シャワーや風呂自体、全て見たことないと言う。


初対面なので一緒に入るわけにもいかないから、なんとか説明した。

この無知に対して、理解は早い。

セフィリアは風呂に入った。

マナはパジャマを用意しながら、ふと思う。


(セフィリアは知らないことが、多すぎる・・・)


でも、言葉に出すことはできなかった。

触れてはいけない、そんな気がしたから。


マナはパジャマを、置いておいた。

セフィリアは服を1着しか持っていないので、マナのパジャマを貸すことにした。



少しして、セフィリアが風呂から上がった。

パジャマ姿で出てきたセフィリア。

その姿を見て、思わず目を逸らしてしまった。


(か、かわいい・・・!)


白銀の髪は、来た時よりさらに美しい。

頰も少しピンクになっていて、化粧をしてるんじゃないかと思えるくらいの美少女。


不覚にも、ソフィがマナに“可愛い”を連呼する気持ちが、わかってしまった。


その後、セフィリアにはリビングで待っていてもらい、マナとお母さんも風呂に入った。

そしてお父さんに、電話をかける。


「もしもーし、マナ?」

「はーい、お父さん。今日はちょっと相談したいことがあってね」

「なんだ?また皇宮か?」

「いや、この子を紹介したいの」

「この子・・・?」


マナはテレビ通話のカメラを、セフィリアに向ける。

セフィリアは少し戸惑いながら、言う。


「えっと、ボクはセフィリアだよ」

「うぉっ!?えっと、だれだ?失礼かもだが、家に入れて大丈夫なのか?」

「マナとマナのお母さんが、不審者を家にいれると思う?」

「まぁ、そう言われると思わないな・・・」

「だよね」


セフィリアはにこっと、笑みを浮かべた。

お父さんが言う。


「俺はマナの父、レオンだ。それで、マナ。どんな相談なんだ?」


初対面のセフィリアと話すのが気まずくなったのか、お父さんがマナに話を振る。


マナはことの経緯を軽く説明した。

そしてセフィリアの過去も、わかる限り教えた。


「私は、セフィリアと一緒にいたい。星姫としてじゃなく、セフィリアを護りたいから」


セフィリアは、軽く瞳を震わせた。

そして少し目を瞑ったあと、笑顔で言う。


「ありがとう、マナ。お父さんも安心して欲しいな。正直に言うと、ボクは家族をあまり知らない。でも、一緒にいたいと思ってる」

「・・・そうか。マナ、マヒナ、いいか?」


マナとお母さんは、声を揃えて答えた。


「もちろん」


お父さんはそれを聞いて、頷く。

そしてセフィリアに向き合い、言う。


「・・・マナとマヒナがいいと言うなら、俺も受け入れよう。セフィリア、俺たちの家の養子になるか?」

「・・・いいの?」

「ああ。ただ、お願いがある」

「どんなお願い?」


お父さんは一息ついて、言った。


「マナを、俺たちの娘を・・・護ってくれ」


マナは少し驚いた。

でもお母さんも頷き、何よりセフィリアが、頷いた。


「ーーそっか。マナも、護られてるんだね。いいよ。龍姫としての力を使ってでも・・・護るから」

「ありがとう、セフィリア」


2人は軽く、笑顔を見せた。

マナは言う。


「・・・私が気まずいからそろそろ電話切るよ。もう決まったし」

「え、おう。じゃあ後の手続きとかは俺らでやるからな。マナはセフィリアに、責任持っていろいろ教えるんだぞ」

「うん、もちろん。じゃあね」

「おやすみ、マナ、マヒナ、セフィリア」


通話が切れ、マナはケレポナを充電する。

セフィリアを部屋に連れて行く。

マナの隣の部屋。唯一余っていた、部屋だ。


「セフィリア、これからはここで暮らしてね。家具はまだ備え付けだけど、これから揃えよう」

「ありがとう、マナ。えっと、どこで寝るの?」

「え・・・ベッドだよ?ほら、これ」


マナはベッドを指し示す。

セフィリアはそれを手で軽く押して、柔らかさを確かめていた。

そして少し嬉しそうに、言う。


「これがベッドだったんだ・・・。ふかふかだね」

「そうだよ。寝っ転がってみて」


セフィリアは少しだけ、動きが止まる。

手を伸ばすことを、少し躊躇うかのように。

それでも、そっと手を触れた。


セフィリアがベッドの上に乗り、横になる。

少しマナの方を、見つめていた。

マナが毛布をかけてあげると、セフィリアはきゅっと毛布を握った。


そして、小さくつぶやいた。


「あったかい・・・」


マナとお母さんは、少し目を見開いた。

目を瞑り、ほんの少し笑みを浮かべるセフィリア。

小さな髪飾りを片手に握りしめ、眠りにつく。

そっと扉を閉じて、部屋を後にした。


お母さんは部屋の外で、言う。


「いったい今まで、どんな想いをしていたのかしら」

「・・・私が、護らないと」

「そうね。おやすみなさい、セフィリア、マナ」

「おやすみ、お母さん」


お母さんは部屋に戻り、マナも自分の部屋へ。

そしてなんとなく、いつもより意識しながらベッドに潜り込んだ。


(この暖かさを知らないなんて・・・)


マナは小さく、手を組んだ。

そし静かにつぶやいた。


「おやすみ、セフィリア」


夜空には無数の星々が煌めき、まるで祝福しているかのようだった。

今回は「居場所」について書いてみます。


「居場所」には、人それぞれの想いがあります。

安心できる場所、誰かがいる場所、あるいは、ひとりでいられる場所。

それは痛みや悲しみの中で、形づくられることも少なくありません。


セフィリアはそれまで、

家も、家族も、持っていませんでした。

そんな彼女にとって、居場所と呼べる場所はあったのでしょうか。


誰かに居場所をつくることは、とても難しいことです。

けれど、もしそれが生まれたなら、

その人にとって、かけがえのないものになるはずです。


セフィリアが、マナの家、そしてマナの隣を、

居場所だと思えるのか――。

その答えは、この先の物語に隠されています。


星への願いが、叶いますように。

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