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星姫 〜天の星、地の人〜  作者: 猫様のしもべ
第2章 学びと戦いの、学園生活
12/16

第11話 星誕日 予想外の訪問者

〜前回のあらすじ〜

皇立マーラプア学園で馴染んできたマナ。

星獣を助けたり、いろいろあるけど友達もいて楽しい。

そしてそろそろ「星姫」の誕生日だ。

複雑な想いになるも、それを悟られないように・・・。

4月24日。今日はマナの誕生日だ。

全ての国で、「星誕日」と呼ばれる祝日だ。

「星姫」の誕生日の影響力は絶大で、ほぼ全ての企業や店などで休みになる。

休まないのは病院や、お祈りで忙しい教会くらい。



マナは朝起きて、いつも通りの部屋着に着替える。

そして1階に降りた。


「おはよう、お母さん」

「あら、おはようマナ。お誕生日おめでとう」

「ありがと〜。お父さんはいつ帰る?」

「お昼頃らしいわよ。それまで好きに遊んでなさい」

「やった〜」


マナはいつも通りに、ゲームを起動。

誕生日くらいは、楽しく過ごしたいよね。

なので「星の祈り」を遊ぶ。


すると、ケレポナにメッセージが届いた。

「LANI」で、ソフィからだ。

ケレポナを開き、ソフィからのメッセージを読む。


『マナ、1日早いけど、お誕生日おめでとう!!!

 せっかくだから星姫様の誕生日である、特別な日に

 お祝いしたいなって!

 マナと出会った日から、私の人生がパラダイスよ!

 今更かもだけど、親友になってくれてありがとね!

 優しくて、強くて、可愛いマナが大好き!!

 明日学園でプレゼント渡すね!

 これからもよろしくね!

 改めてお誕生日おめでとう!

           マナの大親友、ソフィより』


マナはそれを読んで、笑顔になる。

親友がいる、というのはいいことだ。

そしてマナは返信し、ケレポナを閉じた。


ソフィからのメッセージで、嬉しくなるマナだが、同時に少し悲しくもなる。

偽りの姿で親友となっているマナ。

自分の本当の姿も、誕生日も、星姫であることも隠している。

もしマナが星姫だと知ったら、ソフィはどう思うか。


(また、あの時のように・・・)


マナの脳裏に、昔の記憶が浮かぶ。

だが、なんとか頭から放り出す。

そしてゲームで遊び始めた。



ゲームしたり、アニメ見ているうちに時が経ち、12時前になった。

車が止まる音、そして鍵を開ける音が聞こえた。


「お父さんだ」


マナは小走りで玄関に行く。

扉が開き、大荷物のお父さんが入って来た。


「お、マナ!ただいま」

「おかえり、お父さん!」

「誕生日おめでとう、マナ。これからお祝いだな」

「ありがと。なんか手伝う?」

「ちょっと荷物運ぶの手伝ってくれ。これ、ケーキとお菓子だ。お母さんに渡してくれ」

「はーい」


マナはそれらを運び、お母さんに手渡す。

ケーキは3時のおやつ時に食べるから、冷蔵庫へ。


「ただいま、マヒナ」

「おかえりなさい。じゃあお昼ご飯食べましょ。今日はせっかくだし、マナの大好きなパンケーキにしてみたわ」

「お、いいな。腹減ってたし、食べるか」


みんな食卓の席に座った。

何気ない、いつもの日常。

特に豪華な家ということもない、普通の家。


「いただきまーす」


みんなでパンケーキを食べる。

お父さんは長らく翠風国にいたからか、箸の扱いに慣れてしまったようだ。

お母さんが聞く。


「マナ、お友達はどう?ソフィちゃんとは、仲良くできているかしら?」

「うん。さっきも誕生日メールをくれたんだ。明日プレゼントもくれるって」

「いいわね。フィーユちゃんはどうかしら。複雑なご家庭みたいだけれど、平気そうかしら?」


マナは普段、友達のことをよく話している。

友達がいることが、ただ単に嬉しいから。


「フィーユはケレポナを持っていないみたい。たぶん買ってもらえないのかも・・・」

「そうなのね。いつかよくなるといいのだけれど」

「うん・・・。ソフィが、今度のフィーユの誕生日にはケレポナをあげたいって言ってたよ」

「あら、すごいわね。さすが公爵家だわ」

「そうだね〜。よし、ごちそうさま」


お父さんもお母さんも食べ終わった。

みんなでお皿を片付けたら、一緒にゲームをする。


外からは、まるでお祭り騒ぎのような声がする。

マナの誕生日は、みんな知ってるクリスマスのような日だ。

サンタはいないし、プレゼントもないが、特別な日。


(私にとっては、ただの誕生日なんだけど)


そうしてゲームしているうちに、3時が近づく。

お母さんが立ち上がって、言う。


「そろそろ、ケーキの時間にしようかしら」

「やった。今日のケーキはどこで買ったの?」


お父さんが、その質問に答えた。


「オーノ菓子屋ってとこだ。翠風国人が経営している店だから、なんか愛着が湧いちゃってな」

「もうお父さん、翠風国人になりかけてるじゃん」

「ははは。何年あそこに住んでると思ってんだ。そんくらいになるさ」


オーノ菓子屋とは、大野さんが経営している店。

オーノとはある国の言葉で「美味しい」という意味。

それに、苗字を掛け合わせて、こういう名前になったんだとか。


お母さんがケーキを取り出し、切り分ける。

4等分では多いので、8等分。

残りの5切れはまた今度。


ケーキを机に置き、蝋燭を立てる。

そして電気を消したら、お母さんが自身の持つ力を使って、部屋中に星屑を散らす。

これは星の民特有の、お祝いだ。

部屋はまるで、夜空のように煌めいた。


星の民は代々、こうしてお祝いをしている。

お父さんは初めて見た時、感動したんだそう。

お母さんが手を組んで、言う。


「天に煌めく星々よ、今日もこうして、マナの誕生日を祝えることに感謝します。これからも限りなく平和と安寧が続きますように」

「お誕生日、おめでとう!」


お父さんがそう言った。

雰囲気がぶち壊されたが、まぁお祝いなのでよしとする。


「もう、お父さんったら〜」

「あはは。またやっちゃった」

「まぁいいや。火消そう〜」


マナが息を吹いて、火を消した。

と、その時。家のチャイムが鳴った。


「誰なの、いいところで〜」


お母さんがインターホンを確認する。

すると、そこに映っていたのは・・・。


「えっ!?サ、サフィール殿下・・・!?」

「んんっ!?」


お父さんが一口食べたケーキを飲み込み、むせた。

マナも驚いて、インターホンを見る。


「ほ、ほんとだ!急いで出ないと」

「マナ、髪飾り忘れないでね。あ、私もだわ」

「お母さんが忘れてるじゃん」

「レオン、ケーキをもう一切れ、あと紅茶・・・淹れるのはあなた下手だものね。私がやるわ」

「な、なんかすまん」


ドタバタしながらも、マナとお母さんは髪飾りをつけて、お父さんはケーキを出す。

そしてマナが出迎えてるうちに、お母さんが紅茶を淹れる。

マナは扉を開け、出迎えた。


「えっと、こんにちは、殿下」

「ごきげんよう、セレスティアさん。突然訪問してしまい、すみません」

「本当突然ですね・・・。ノエルさんも、止めなかったんですか?」


ノエルは困り気味に、言う。


「止めたんですが、それで止まるならこうはならないので・・・。いつも通りだと思ってください」

「わかりました。えっと、中へどうぞ」

「ありがとうございます」


サフィールとノエルが、家にあがる。

そして少しの迷いもなく、靴を脱いだ。


(城でも靴は脱ぐのかな?)


イメージ的には、城では脱がないはずだが、サフィールもノエルも迷いはない。

まるで、慣れているかのようだ。


マナはリビングに案内する。

お父さんとお母さんが、丁寧に出迎えた。


「初めまして、サフィール皇太子殿下。お会いできましたこと、光栄に思います。マナの父、レオン・セレスティアと申します」

「お久しぶりです、サフィール殿下。改めて、マナの母、マヒナ・セレスティアと申しますわ」

「初めまして、レオンさん。マヒナさんも、お久しぶりです。改めて名乗らせていただきます。ラニアケア皇国皇太子、サフィール・レヴァ・ラニアケアです。こちらは僕の専属護衛、ノエル・ユヴェントスです。以後お見知り置きを」


とても形式的な挨拶。

だがこれが貴族と会う時の礼儀だ。

マナはいろいろあってその礼儀を飛ばしたけど、家族くらいはしっかり守らなければ。

お母さんが言う。


「どうぞ、お座りください。ケーキと紅茶を用意してあります」

「ありがとうございます」


お母さんはどこからか、椅子をもう一つ持ってきた。


「護衛様も、ぜひ」

「感謝します。どうぞ、ノエルと呼んでください」

「光栄です」


そしてとても緊張した雰囲気のまま、マナ達家族も座る。

サフィールが一口紅茶をすすり、言う。


「美味しい紅茶ですね。お家もおしゃれで、とても素敵だなと思います」

「感謝いたします。皇家御用達の、最高級茶屋から取り寄せました」

「それはご丁寧に、ありがとうございます」


お父さんが丁寧に対応している。

マナは密かに、城に住んでる人が何を言う、とか思っていたが、口には出さない。

サフィールが本題に入る。


「今日こうして訪問したのは、来週に控えた、マナさんと共に行く視察について、お話ししたいなと思いまして」

「なるほど。行く場所がわかっていると、親としてはとても安心します」

「はい。ここからは娘さんも交えて、話しましょう」


マナは邪魔にならないよう、耳だけ傾ける。

サフィールが説明を始めた。


「まず今回の視察で行く場所は、皇都の東にある星森というところです。たぶん迷うと思いますので、念のため車で迎えに来ますね」

「ありがとうございます。星森ですね。覚えておきます」

「はい。そしてやること、ということも特に多くありませんが、その場所には、ラニアケア皇国で最も力のある星獣様がいます。その星獣の状況確認と、これからも友好的でいてくれるよう、会話します」

「なるほど・・・、星獣様がおられるんですね。マナを連れて行っても、大丈夫でしょうか・・・」


お父さんの心配事。

それは星獣に対してマナが粗相をしないか、ではなく星獣がマナに萎縮しないか、というものだ。

マナも少し心配する。

前のフィオーレの様子を見ているため、唐突に「星姫様」などと呼ばれたら、いろいろやばい。


「大丈夫ですよ。無口な星獣様ですし、マナさんは前に星獣様を助けています。その情報は、星獣内で共有されているはずですから、きっと丁寧に対応してくれますよ」

「あ、なるほど。なら大丈夫そうですね」


情報が共有されているなら、マナが星姫であることを隠しているということも伝わっているだろう。

噛み合ってないはずなのに、なぜか噛み合ってしまう会話だ。

サフィールが話を続ける。


「星獣の状況確認が終わったら、森自体の状況を確認します。そこでは、娘さんは自由に行動してくれて構いません。僕らが終わる頃に、戻ってきてくれれば。護衛はつけますか?」

「いえ、大丈夫かな?マナ」


お父さんがマナに聞く。

そしてマナは即答した。


「うん。剣があればなんとかなる」

「即答とは、すごい自信ですね。まぁ騎士団長に勝っているんですし、並の護衛では足手纏いでしょう。では護衛はなしということで」

「はい」


そうして、視察の予定が決定した。

迎えに来るのは午後3時ごろなんだそう。

行くだけで1時間とかはかかってしまう。


サフィールは会話を終え、ケーキを食べた。

紅茶も飲みきり、言う。


「ごちそうさまでした。美味しかったです。今度ここのケーキを買ってみたいですね」

「それは店にとっても嬉しいでしょう」

「そうだ。ノエル、あれ持ってきてくれる?」


するとノエルは、紙袋を持ってくる。

サフィールがそれを受け取り、中身を出した。


「マナさん、1日早いですが、お誕生日おめでとうございます。僕からお祝いさせていただきます」

「・・・!ありがとうございます」


サフィールがくれたのは、綺麗な花束と、可愛いブレスレット。

花束は赤い椿と、白のアスターで構成されている。

ブレスレットは青と白の綺麗なもの。

マナはそれを受け取った。

サフィールは言う。


「では、あまり長居するのも悪いですし、そろそろ帰りましょう。ノエル、他に言うことあったっけ?」


すると、ノエルは軽く首を振る。

もうないと言いたいらしい。

サフィールは言う。


「では、帰りましょう。セレスティア家の皆さん、ありがとうございました」

「こちらこそ、お越しいただきありがとうございました。玄関までお送りします」


玄関までサフィールを送る。

サフィールが背を向けようとした、その瞬間。

お母さんが、声をかけた。


「・・・殿下、皇妃様はお元気かしら・・・?」

「え・・・?元気ですよ。たまに寂しそうにしている時もありますが、ルティアナと仲良くしています」

「そう、それはよかったです。ありがとうございます」

「はい」


お母さんは少しホッとしたような様子だった。

なぜそんなことを聞いたのか、マナにはわからない。

サフィールは靴を履いたら、言う。


「それでは、また来週お会いしましょう。マナさん」

「あ、はい。よろしくお願いします」


サフィールはにこっと笑い、ノエルはぺこぺこしていた。そして2人とも、車に乗って帰った。

お母さんは言う。


「丁寧な皇子様ね〜。それなのに身近に感じられる不思議な方だわ」

「そうだな。よし、ケーキ食べるか〜」

「そうね〜」


のほほんとした会話の後、みんなでケーキを食べ、ゲームをして、楽しく過ごした。

お父さんは明日には翠風国に戻るらしい。

なので今のうちに楽しく遊ぶ。


お父さんとお母さんもプレゼントをくれた。

お母さんは前に話していた、星狐のぬいぐるみ。

お父さんは新作のゲーム。

題名は「星の住む街」だ。

そうして楽しく遊んだ。



マナは次の日、学校でソフィからプレゼントをもらった。

可愛らしいお洋服だった。

誕生日に洋服をくれるあたり、さすが公爵家だなとマナは思った。

ソフィはこう言っていた。


「マナは可愛すぎるから、洋服が引き立て役にならないよう気を付けたの!お誕生日おめでとう、マナ!」


マナは笑顔でプレゼントを受け取った。

ずっと友達でいたいと、そう思った。

今回はマナのお母さんについて書きます。

マナのお母さん、マヒナ・セレスティア。


マヒナは生まれた時から、美人でした。

その当時は優しい皇王の下、平和な時代でした。


マヒナは美人が故、学校でもかなりモテていました。

ですが代わりに、女の子達からはやっかみを受けることもあり、あまり友達がいませんでした。


たった1人だけ、友達となってくれた子がいました。

マヒナと同じく、美人なためにやっかみを受ける子。

その子の名は、メリア・レヴァイス。

ーー後の、ラニアケア皇妃です。


メリアとマヒナは、とても仲良く遊んでいました。

ですがマヒナは、マナと同じように、自分の姿を偽って接していました。

そのことに胸の痛みを感じながらも、言い出せませんでした。


10歳になる頃。

皇王が代替わりし、新たな皇王となります。

そしてその皇王は突然、絶対王政を始めます。

反発する者は牢に捕えられ、王の命令に従わなければどうなるかわからない状態でした。

マヒナの家族はそれを恐れ、マヒナを1人で外に出さないようにします。


ある日メリアと遊んでいた時、メリアは言いました。


「この絶対王政、やめさせることはできないのかな」


マヒナは無理だろうと考えていましたが、メリアは希望を持っていました。

いつか自分がなんとかしたい。

幼いながら、そう思っていたようです。


けれどそれから会うことはほぼなく、ある年。

メリアが皇妃になる、と聞きました。

マヒナは会うことは叶わず、それきりーー。


サフィールとマナが知り合った時、

マヒナは運命が交わったのだと、思いました。


星への願いが、叶いますように。

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