表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星姫 〜天の星、地の人〜  作者: 猫様のしもべ
第2章 学びと戦いの、学園生活
10/16

第9話 星獣の森にて、影を見る

〜前回のあらすじ〜

ついに始まった学園生活。今日はみんなが楽しみにしていた、星獣の森へ行く日だ。

期待に胸が膨らみ、わくわくする。

けれどその森には、招かれざる客もいるようだ・・・。

皇立マーラプア学園の入学式から、早くも1週間。

今日は、星獣の森へ行く日だ。

みんな学校に集まって、おしゃべりしている。


しばらくして、先生が来た。


「皆さん、おはようございます」

「「「おはようございます」」」

「はい。今日は星獣の森へ行きます。忘れ物はないですね?では、行きましょう」

「「「はい」」」


先生の後ろに並び、ついていく。

学校の裏側に、大きな森がある。

そこが星獣の森。


少し歩いて、森に到着した。

森の前で、みんなで少しお祈りする。

そして、中へ。


「わぁ・・・綺麗な森だね」

「そうだね。暖かくて明るい」


木々の間から差し込む陽の光が、暖かい。

4月半ば、春の陽気に包まれている。

たまに木を伝うリスが見えたり、蝶が飛んでいたり。

爽やかで、優しい雰囲気が広がっている。

自然と笑顔になって、みんな嬉しそうだ。


少し奥に進んだところで、先生が言う。


「では、これからはそれぞれ自由に動いて大丈夫です。何かあったらすぐ先生に言うこと。剣は護身用ですので、争わないように。気になる植物を見つけたらスケッチし、それについて観察してください。それではどうぞ、行ってらっしゃい」


みんな護身用に剣を持っている。

何があるか分からないからだ。

普通の剣だが、十分攻撃力がある。


みんなは、自由にバラけて歩き始めた。

マナはまず、ソフィ、フィーユと一緒に行くことにした。


少し歩くと、花畑を見つけた。

綺麗な花々が咲き誇り、陽の光に照らされている。

ソフィとフィーユが楽しそうに話す。


「ねぇ、あそこでスケッチしない?」

「いいよ!きっと綺麗な花があるよね!」

「虫いないといいな〜」


けれど、虫はいないように見える。

動物達も遠くから、まるで見守るように立っている。

ソフィが少し残念そうに言う。


「あれ?動物もいるのに、寄ってこないな・・・」

「あ・・・もしかして・・・」

「マナ?なんか気づいたの?」

「ちょっと待ってて」


マナが動物に近づいてみると、動物達は少し緊張したように見えた。


「もしかして、私がいるから来ないの?」


マナは動物に話しかけてみた。

動物の1匹が、軽く頷いた。


「言葉わかるんだ・・・私のことは気にしなくていいよ。一緒に遊ぼう。おすすめの花とかある?」


優しく話しかけたら、1匹の鹿が前に出る。

そして、花畑の中心へ。

そこに咲いていた花を、ちょんと鼻で示した。

どうやらそれがおすすめらしい。

ソフィが驚いたように言う。


「マナって動物に好かれるのかな?」

「あはは・・・とりあえず、観察してみよう?」

「そうだね。どれどれ・・・」


その花は、青い星形の花だ。

他にもピンクや紫はあるが、青はこの1本だけ。

3人は丁寧にスケッチする。

花の形、色、花びらの数、おしべやめしべの数。

特徴を書き、生息環境を書く。


鹿やリス、小鳥や蝶なども花畑で休憩し始めた。

「星姫」たるマナは、畏れ多い存在。

でも今は、マナがいるからこそ安心できる。

敵は来ないし、みんな穏やかになれる。


そうして幸せな時間を過ごしているうちに、スケッチは終わった。

ソフィが言う。


「マナ、そろそろいいかな?」

「そうだね。まだ時間はあるし、もう少し散策してみよっか。どこ行こっかな・・・」


すると、わぁっという歓声が聞こえた。

右の方からだ。


「なんだろ?行ってみよっか」


フィーユがそう言うので、行ってみることに。

動物達に挨拶して、手を振り、行く。


少し進むと人溜まりが見えた。

中心にサフィールとノエル、そして・・・。


「ま、魔獣!?」


サフィールが魔獣を倒したようだった。

森で魔獣が現れて大騒ぎになっていたところに、サフィールが駆けつけ、ノエルと協力し、魔獣を倒したのだそう。


「あ、セレスティアさん。魔獣って案外弱いのもいるんですね〜」

「そうですね・・・。ノエルさん、大丈夫ですか?」


ノエルは疲れた様子。

そりゃそうだろう。守るべき皇子が意気揚々と魔獣に挑んでいくんだから。


「殿下・・・無謀すぎますって」

「別にいいじゃん、ノエル。倒せたし」

「・・・まぁ昔からか・・・」


ノエルとサフィールは少し懐かしそうに笑った。

サフィールは昔から無謀らしい。

マナは思わず微笑んだ。


「セレスティアさん達はスケッチ終わったんです?」

「はい。種類は分かりませんでしたが・・・」

「ちょっと見せてください」

「え、はい」


サフィールにマナがスケッチを見せる。

そこにある絵を見てサフィールが驚く。


「これ、星染花(せいせんか)ですよ。青いのは見たことありませんが・・・。その星染花を学者に見せたら、きっと大喜びで調査するでしょうね」

「すごいですね。星染花・・・あまり聞きませんね」

「はい。星染花は夜以外、1日かけても、日を遮られることのない場所に生息します。星のような形は、星に染められたようだと言われていますね。普通は紫やピンク、黄色なんですが・・・まさか青があるなんて」

「博識ですね。ここが特殊だからなんでしょうか」

「たぶんそうですね。星獣もいますし、その恩恵なんでしょう」

「やったね、ソフィ。大発見だって」


マナはソフィに笑顔でそう言った。

するとソフィは思い切りマナに抱きつく。


「マナ可愛い〜。これもまた、マナが鹿さんと仲よくなったおかげだね」

「え、それどう言うことですか?」

「殿下、気になるんです?マナ話していい?」

「えっと・・・まぁいいかな」


ソフィが嬉しそうに話し、サフィールが興味津々で聞く。

その時、マナの服が何かに引っ張られた。


「ん?」


マナが後ろを見ると、鹿がいる。

慌てたように、マナの服を引っ張る。

ソフィ達は気づいていないようだ。

マナはみんなに言う。


「ソフィ、フィーユ。私ちょっと別の場所行くね」

「え、1人で?」

「うん。ここにいてね」

「分かった。でも無茶しないでね」

「ありがとう」


マナは鹿の誘導する方向に走って行く。

すると、一際大きく綺麗な樹がある。

その下に目を向けると、可愛らしい生き物が倒れていた。

その周りには、熊や猪、鹿なども。


「な、何これ・・・!」


マナはすぐにその子達の様子を見る。

かなり怪我が深いようだ。

息もしづらそうに見える。


マナは少し悩む。

けど、事は一刻を争う。


「バレないといいけど」


マナはその動物達に手をかざす。

マナの手から、星の光が粒となり、降り注いだ。

それが動物達に当たると、みるみる回復する。

無意識か、動物の表情も和らいだ。


久しぶりに力を使うからか、少し安定しない。

周りの傷つけられた木まで、回復している。


(よし、最後の子!)


最後の1匹は、不思議な見た目の子。

回復が遅い。何か力を持っている証だ。

遅いと言っても10秒もかければ回復するが。


「んん・・・?」


その子が起き上がる。

マナは回復をやめ、星の光は宙へと舞い上がった。

小さな瞳が、マナの方を見る。


「わわわ!に、人間です!?」


とても驚いたようで、後退りした。

マナは優しく話しかける。


「落ち着いて。私は何もしないよ」

「あ、そ、そうです・・・?ってええ!?星姫様です!?」

「そ、そうだけど。どうした?」


途端にその子は、顔をパッと伏せて謝った。


「ごめんなさいです!びびっちゃったです!」

「え?いや、いいよ・・・。それより君は誰?」


その子は顔を上げる。

その子は、とても可愛い姿をしていた。

狐に翼が生えたような見た目。毛は真っ白で、目は金色。星のような頭飾りをつけている。

けれどどこかあどけなくて、とても可愛い。


「ぼくはフィオーレです。星獣フィオレンサの子供なのです。人の言葉を話せるのも、星獣だからなのです」

「星獣なのね。まぁ見た目からしてそうだろうとは思ったけど・・・。フィオーレはどんな力を持ってるの?」

「ぼくは蔦や蔓草を生やせるです」

「すごいね」


「星の祝福」は人だけに付与されるものではない。

動物にも平等に付与される。


(そしてその動物を、敬意を込めて星獣と呼ぶーー)


小鳥や虫は体が小さく、祝福の力を受け入れられないため、星獣にはならない。

とはいえ「星の祝福」は遺伝しない。

なので親子そろって持っていることはとても珍しい。


「ちなみに、どうしてこんなことに?」


マナの質問に、フィオーレは悲しそうな顔で答える。


「悪い人間が来たのです。お母さんを連れて行ってしまったのです。お母さんはぼくを守るために怪我をしちゃったのです。動物達も、ぼくらを守るために戦ってくれたです」

「そうなの・・・。でもそうすぐ負けちゃうの?」

「あいつらは、魔獣を操っていたのです。魔獣と星獣は相性が悪い・・・。相手の魔獣も倒れたですけど、お母さんもやられちゃったです」

「魔獣!?だから普段いないはずのこの森に現れたのか」


「星の祝福」を得た星獣とちがい、魔獣は魔族の力を得た動物。

星獣の力とは反発する、強い力を操る。

だからこそ星獣と魔獣は相性が悪い。

フィオーレは悲しそうにいう。


「お母さん、本当ならあんな奴らにやられないです。魔獣さえ、いなければです・・・」

「でも魔獣を操れるなんて聞いたことない・・・」

「お願いです、星姫様!お母さんを助けて欲しいです!」

「・・・うん。分かった」


すると周りの動物達も立ち上がり、まるでマナにお願いするかのように、頭を下げた。

星獣はこの森の主。動物達にとっては、星獣がいなければならないのだ。


「大丈夫だよ。みんな、私に手を貸してくれるかな?できれば斬りつけたくないから」

「大丈夫なのです!動物達も一緒にやるです!」


動物達は頷いた。中には力強い熊や猪もいる。

マナは少しだけ、剣を握ることを迷った。

それでも、母を助けたい想いを、見捨てられない。


「じゃあ案内をお願い」

「はいです!」


星獣同士なら、互いの居場所がわかる。

それも、親子ならさらに正確にわかる。

マナとフィオーレ、そして動物達は、駆け出した。

今回は星獣とその子供について書きます。

星獣フィオレンサ、星獣フィオーレ。


フィオレンサは昔、マーラプアの後ろにある森ではなく、普通の森で暮らしていました。

ある時、その能力を狙われ、人に追われてしまいます。


そんな時、かっこいい男の子(狐)が助けてくれました。

それからフィオレンサとその男の子の間に子供が産まれます。その子もなんと「星の祝福」を得ました。

そんな仲良し一家は、幸せに過ごしていました。


けれどある日、どこからか、フィオレンサとフィオーレが親子に渡って星獣であることが広まりました。

そのせいでフィオレンサ達は人間に狙われます。


毎日のように人間に追われ、蔦をあちこちに生やして周りを囲ったり、フィオレンサの能力である結界で防いだりしましたが、剣を持つ人間には蔦はあまり効果もなく、追われ続けました。


そんな日々が続いた時、フィオーレのお父さんが人間に倒されてしまいました。

フィオレンサは悲しむ暇もなく、翼と蔦を使ってなんとか逃げました。


そしてマーラプア学園に着きます。

当時の校長は、フィオレンサ達を憐れみ、助けてくれました。

裏の森に住まわせてくれ、食べ物もくれました。


初めのうち、フィオレンサとフィオーレは校長を信用しきれませんでしたが、過ごしているうちに、信じることができるようになりました。

そして校長はフィオーレのお父さんのことも埋葬してくれました。


それからは親子仲良く過ごしています。


星獣親子はいつも、祈っています。


「星々が見守っていてくださいますように」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ