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第4話クレアナ視点
朝の空気は冷たく澄み、戦いには理想的だった。
私はミレイナ様と向き合っていた。
彼女の魔力は制御されている……ように見えたが、内に渦巻くそれは、暴走寸前の凶刃だった。
「……“計算”終了です」
動き、魔力、呼吸、すべてを読んだ。
私の“計算”は、最適な一手を導き出す。
だが彼女は、それを愉しげに踏み越えてくる。
(……もし、あの悪魔が今も彼女の中にいたなら――)
そのときのミレイナ様は、魔王すらしのぐ存在だったと確信している。
私が全力の構えを見せた直後、タイマーが終了を告げた。
戦いは終わった。
けれど、すぐに次が始まる。
「よし、来な」
ミレイナ様が微笑む。
その先に、彼女の弟――カゲナが静かに踏み出してきた。
(……今度は、あの少年の番ですね)