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君に恋して痛かった

作者: mito

後半にゆうと君目線を入れてみました!

ゆいちゃんメインで書こうと思ったのですが、ゆうとくん目線でもお楽しみ頂けるようなタイトルになっているので、2人の目線でお楽しみください。

『可愛いからいいじゃん』

『それも才能だよ』

『他にも辛い人なんているんだから』

ゆい「…」

それでも生きないといけないから。死を望むことは罪だから。

私はそれを背負って生きなければいけない。それが私の贖罪だから。

「…い…ゆい…!」

はっと顔を上げると心配そうに見つめるまゆがいた。

ゆい「ご、ごめん」

咄嗟に笑顔を作ると「もー」とふてくされながら話の続きを始める。大丈夫そう。と胸をなでおろしまゆの話を聞く。いつも通り。優しくて、可愛くて、天然な私を見せる。

それが日常。変わらない。

まゆ「あ、今日カラオケ行かない?」

ゆい「ごめん来月イベントあるから貯めたいんだよね~」

まゆ「そっかー残念...」

そう、来月は推しのアニメの展覧会がある。私の今の生きがい。推しの声がにける。ただそれだけで私は生きていける。


家に帰ると自分の部屋に入り、テーブルに座る。

ゆい「...っ…っ」

独りぼっち。いくら泣いてもその人には触れられない。目線すら合わない。

どうして。なんで。中学でガチ恋はやめたはずだったのにまた沼に落ちてしまった。

誰か殺してくれたらいいのに。

机に広がったアクリルスタンドを眺めながら眠りについた。


―次の日

ゆい「ん...」

目が覚める。時計を見ると7:00だった。重たい体を動かし部屋を出る。

まゆ「おは~」

ゆい「おはよ」

教室に入るとまゆがすでに席に座っていた。

ゆい「はぁ...就職先探さなきゃ」

まゆ「ねぇここの保育園どう思う?」

ゆい「うわめっちゃきれ~」

まゆ「だよね」

就職したらきっと今より推しの時間は減ってしまうだろう。そしたら私は忘れられるのだろうか。

授業が始まる。私の一番嫌いな授業。

先生「今日は児童福祉施設の子供たちについて...」

ゆい「...」

分かってる。自分がつまらないことで病んでいることくらい。だからこそ自分よりも不幸な子供を知る度にそれを身に染みて思い知るのだ。私なんかより辛いひとなんて山のようにいる。だから家族にも環境にも恵まれた私が悩みなんてもってはいけない。

それでも…生きずらいと思ってしまう。

気づいたら眠っていた。どちらにしろ児童福祉施設には行かない。

大丈夫と言い聞かせ、荷物を整理した。

まゆ「ゆい〜かーえろ〜」

ゆい「はぁい」

階段を降り、大学を出ると隣接する高校からみなれた集団が出てくる。

まい「あ、ゆい先輩!」

ゆい「ん?あ、まい久しぶり〜」

まい「お久しぶりです!先輩も今帰りですか?」

ゆい「そうだよ〜」

まい「え〜、

途中まで一緒に帰ってもいいですか?」

ゆい「まゆいい?」

まゆ「いいよ〜私まゆです。よろしくね〜」

まい「よろしくお願いします!」

まいはそういうとニコッと笑い、歩き出した。

ゆい「…」

チラっとゆうとの方に目を向ける。金髪…高校の時と全然違うな、と思った。

ゆうとは高校の時の吹奏楽部の同級生で、体験入部の時、たった一度だけ見かけた彼に一目惚れをしていた。3年間片思いをしたままだった。大学に入り、推しに出会ってからは思い出すことは無かった。それまでの好意だったのだろう。

不意に携帯の通知が鳴った。確認するとゲームの公式Twitterからの通知だった。

ゆい「あ…」

画面を開くとイベントの案内と共にイラストが表示されている。それだけで幸せになれた。

ゆい「ダイヤあったかな」

まい「ん?先輩の推しですか?」

ゆい「そ。灰谷竜胆かっこいいでしょ。」

まい「ほんとだぁ…なんのアニメですか?」

ゆい「東京リベンジャーズ」

まい「あ、しってる!」

ゆい「それに出てくるの。かっこいいでしょ〜

蘭ちゃんのこと兄ちゃんって呼んでるのも可愛いし、お兄ちゃんに負けないくらい美形だし、タレ目が綺麗で満身創痍なとこも可愛いんだぁ…」

竜胆の話をするだけで頬が緩む。

ゆうと「ちゃんと現実戻ってこいよ」

ゆい「…分かってます〜」

ほっぺを膨らませながら反論する。分かってる。

そんな事分かってるから今だけは浸ってたっていいじゃん。



家に帰り部屋に戻る。ベッドに倒れ込み、画面を見ると竜胆が笑っている。その目はこちらを見ているようで見ていない。目線は一生交わらない。無駄なことだって分かってる。

それでも手放したくなかった。

現実?こっちが夢で小説の中が現実ならいいのに。

そんなことを考えながら机に手を伸ばす。

部屋にカチカチと刃を伸ばす音が響く。切った部分から血が滲み、キリキリとした痛みが走る。残念ながらこちらが現実らしい。それでもこちらの私が傷つけば傷つくほど小説の中の、夢の中の推しが優しくしてくれる。私を見てくれる。そんな事を考えながら意識を失う。


『ゆいちゃん』

竜胆の声がする。隣には蘭がいて、竜胆が微笑みかけている。

「ゆい!」

目を開けるといつもの部屋。リビングで母親がご飯を食べに行くと催促する声が聞こえる。最悪だ。

イライラする心を落ち着かせながら笑顔を作り、部屋から出て階段を降りていった。


ご飯を食べ、お風呂に入り、部屋に戻る。

寝る前に夢小説を読み、イラストを眺めながら眠りにつく。


『ゆい』

「り、竜胆…!?//ど、どうしたの…///」

唐突に竜胆が体を押し倒す。手首をがっしり掴まれ、照れた顔を隠すことが出来ない。

不意にその顔が近づき、口を開く。

『現実見ろよ』


ゆい「っ…」

はっと目を開ける。まだ暗い部屋。何の変哲もない現実がそこにあった。まずい…早くこの言葉を忘れなければ…記憶の中から抹消しなければ…

ゆい「はぁっ…はぁっ…ぁ…」

荒れた息を落ち着かせ、携帯のフォルダを開く。

キラキラとした笑顔、彼女の発言に照れる顔、

夜遅くに帰ってきた彼女に怒る顔、他の男と話していた彼女に嫉妬してヘラる顔、推し達の沢山の顔が溢れている。その顔を見ただけで涙が溢れてくる。

この中には幸せが詰まっている。


『やっと見つけた』

優しい声とともに後ろから抱きつかれる。

「…竜胆…?」

『もう少しで会えるからな〜』

反対の耳から別の優しい声が聞こえる。

「…どうして…?」

『すぐ迎えに行くから』


目が覚めるといつもより少し明るくなった現実が

あった。夢の中のことばでも鮮明に覚えていた。

『すぐ迎えに行くから』

思い出しただけで頬がゆるむ。

いつかきっと蘭と竜胆が迎えに来てくれるんだ。

ゆいは少し頬を染めながら服を選ぶ。

今日はお姫様のようなふわふわした可愛い服を着たい気分だった。紫のふわっとしたシルエットのワンピース、左側でハーフアップをした髪には竜胆と蘭の造花をさし、両耳には公式グッズの竜胆と蘭と同じデザインのイヤリング。

持ち物を準備し、カバンを手に取ると玄関の扉を開ける。

隣の家の桜が風にのって流れてくる。いつか迎えに来てくれると思うだけで少し浮かれてしまう自分を2人が可愛いと言いながら遠くで見ている気がして少し頬が緩んだ。

いつもの駅のホームに着き、アニメのゲームを開き

パズルを進める。遠くで電車が来ることを知らせるアナウンスが聞こえる。

「無理すんなよ」耳元で竜胆の声がした時ふと顔を上げると優しい顔で手を伸ばす竜胆がいた。

ゆい「っ…!」

幻覚だって分かってた…それでも手を伸ばした。

そして


その手に触れた

.

.

.

久しぶりに戻った部活は悲惨なもので、練習もまともに進んでおらず、イベントが近いというのに緩い空気だった。

卒部して半年が過ぎた頃、ゆうとは後輩に助けを求められ、顧問に手伝って欲しいと言われ、半ば強引に部活のイベントに参加することになった。そのため1週間に2日程のペースで高校の部活に顔を出さなければならない。

部活の帰り道はいつも後輩のまいと帰っていた。

ふと前を見ると見覚えのある少女がいた。

制服の頃とは想像がつかないようなパーカーに1つに束ねたその少女は紛れもなくゆいだった。

高校の頃、自分に恋をして必死に話しかけながら追いかける彼女はとても可愛くて、気づいたら追いかけていたのはゆうとの方だった。それなのに気づいたら別の男と付き合っていた。未だ未練が残っているのは自分だけなんだろう。

まい「あ、ゆい先輩!」

ゆい「ん?あ、まい久しぶり〜」

まい「お久しぶりです!先輩も今帰りですか?」

ゆい「そうだよ〜」

まい「え〜、

途中まで一緒に帰ってもいいですか?」

ゆい「まゆいい?」

まゆ「いいよ〜私まゆです。よろしくね〜」

まい「よろしくお願いします!」

まいがそう言うとゆいが隣に並ぶ。前ではゆいの友達とまいが楽しそうに話している。

おもむろにゆいが携帯を取りだした。紫色の携帯に2次元の男のイラストが貼られている。成程、こいつが今の推しか。

ゆい「あ…」

唐突にゆいが口を開き、その顔が段々明るくなっていく。初めて見た…まるで愛しいものを見つめるように恍惚な表情をしていた。

まい「ん?先輩の推しですか?」

ゆい「そ。灰谷竜胆かっこいいでしょ。」

まい「ほんとだぁ…なんのアニメですか?」

ゆい「東京リベンジャーズ」

まい「あ、しってる!」

ゆい「それに出てくるの。かっこいいでしょ〜

蘭ちゃんのこと兄ちゃんって呼んでるのも可愛いし、お兄ちゃんに負けないくらい美形だし…」

自分の好きな物の話になると止まらなくなる。

テンションが上がって早口になるのが可愛くて好きだった。だが今はその口から溢れる他の男への好意が煩わしかった。

ゆうと「ちゃんと現実戻ってこいよ」

気づいたら口走っていた。言ってすぐ後悔した。

今のゆいに1番言っては行けない言葉だと分かっていたのに…後悔しても遅かった。自分の放ってしまったその言葉はゆいの瞳から一瞬で光を奪ってしまった。

家に帰り、自分の部屋に篭もる。柄でもなくその事だけを考えていた。光を失ったゆいの目。謝ろうにもLINEはブロ削されているようで、インスタのアカウントすら知らない。明日短大の前で待っていたら会えるだろうか。そんな事を考えているうちに眠っていた。

-次の日

朝、目が覚めると学校へ向かっていた。厳密に言えばゆいが学校のある駅に向かう電車に乗り換えるために降りる駅に向かっていた。ゆいは直ぐに思いつめる癖がある。1度本気で川に飛び込もうとしたことがあった。だから昨日のあの一言でまたそうなるのではと思ったのだ。

電車を降り、ホームを見回す。

「まもなく○番線に…」

ゆうと「ゆい!」

人目も気にせずその名前を叫ぶ。すると少し先に頭に紫の花と白い花をつけた少女がいた。

ほっと胸を撫で下ろし、その少女の方へ向かう。

後ろで電車の警笛が聞こえる。するとおもむろに少女が顔を上げ、少し驚いた顔をした後空虚に手を伸ばした。呼吸が止まる。間に合わない…

少女が列車に身を投げる。その少女の顔は安心したような、希望に満ち溢れたような顔をしていた。


-1年後

大学2年の春。友人につられて花屋へと入ると色々な花の香りがした。店内を見回すと紫色の花とその隣に2枚の花びらがついた白い花が置いてあった。

その花に近づくとそれに気づいた店員が話しかけてきた。

店員「竜胆と胡蝶蘭ですか?

珍しい組み合わせですね。」

ゆうと「…友達が好きなキャラクターの名前

だから」

それだけ言うと友達の元に戻って行った。

まだまだ書き始めたばかりなので読みにくい、このよう書き方をすると良いなどコメントありましたら沢山頂けると嬉しいです。

※タイトルが既存の漫画と似てしまっているのですが、関連は一切ないです。

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