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王を問う  作者: 大石安藤
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6・龍気2

 父の気配が消えて4日。

 時折、ふわりと龍気が香る。青に近い緑や花に近い淡い桃色がたなびく。

「それは残滓だな。残滓はしばらく残るから、いきなり国が傾くことは無いよ」

「しばらくとはどの程度の、ええっと、期間でしょう」

「龍の強さによるからなぁ。長くて2、30年は持つようだ」

「……私が見つけなくてもよいのでは?」

「まあ、そう言うなよ。短ければ1日も持たなかったって記録もあるんだから」

「えっ?」

「まあ、焦らなくていいと思うよ。まだ龍気を感じるんだろう?」

「は、はい」

 香女は頷いた後、白湯をぐっと飲み干した。山之師はお茶を入れるのが下手だと言って、庵に着いてからこっち、すでにお茶は香女が入れるものになってしまっている。山之師はマメに動く男で何かと手をかけてくれるのだが、手ずから入れるのはいつも白湯である。

「どちらにしても今この国で龍気を辿れるのはコウしかいない。新しい龍のための王を見つける方法を教えることはできるが、それを活かせるのもコウしかいないということだ。しっかり学べ」

「はい」

 束の間、山之師は出会った時のように頼りがいのある師の顔を見せた。だが、あっと言う間にこの短い日にちで見慣れたぼやっとした笑顔を浮かべた。

「焦らなくても、コウは見つけることができるよ」

「……はい」

 香女は、コウは、今は山之師を信じるしかないのだと、深く頷いた。



 翌朝、コウは山之師と共に庵を出て、首都、壬京じんきょうのほぼ中央にある、一番上の兄皇子で王太子の住む真織宮まおりのみやへと歩いて向かった。




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