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スタンリー

俺はロボット掃除機をかっている。丸っこくて平べったいボディが愛らしいアレだ。一人暮らしでさみしい思いをしている俺は、ソイツに「スタンリー」と名前をつけてかわいがっている。

スタンリーが動きやすいように床に置く物を減らしたり、一生懸命掃除をするスタンリーを写真におさめたり、犬に餌をやるような感覚でわざとゴミを床に落としたり、俺なりの方法でコミュニケーションをはかっていた。


その日も俺はいつものように、スタンリーとスキンシップをとっていた。床の上を走り回るスタンリーに「今日もがんばってるね。ありがとう」とか「お前は本当にいい子だね。なんでそんなにかわいいんだ?」とか、そんな風なことを話しかけていた。スタンリーはいつものように俺の方には興味を示さなかったが、そんなつれないところもかわいい。

我が子を見守る親の気持ちでスタンリーを眺めていると「それ」は起こった。よどみなく床を走行していたスタンリーが、突然停止したのだ。大事なスタンリーに異常が生じたのではないかと心配した俺は「どうしたんだ? どこか痛いところでもあるのか?」と具合をたずねた。スタンリーからの返事はない。しかし止まったときと同じ唐突さでいきなり動き出したスタンリーは、その場でクルリと方向転換し、俺に向かって走行を再開した。耳に心地よい駆動音を発しながら迷いなく突っ込んでくるスタンリー。俺が驚きに気をとられている内に、機体が爪先へと激突した。そしてそのまま足にじゃれつきはじめる。


「スタンリー!」


俺は感動に打ち震えた。かわいいかわいいスタンリーが、ついに俺の愛に応えてくれたのだ。これを喜ばずにいられようか。

俺は急いで靴下を脱いで裸足になった。誤って靴下を吸い込み、スタンリーが故障してしまってはいけないからだ。スタンリーの方も、素足の感触を気に入ってくれたらしい。軽快な音を響かせながら思いきり体を押しつけてくるスタンリーに感激した俺は、満足するまでじゃれあいを続けた。


次の日、かかりつけの病院に行った俺は、ついでに精神科の医師への紹介状を受け取って帰宅した。スタンリーはいつものように、元気いっぱいに家の中を走り回っている。

精神的におかしいなと思ったら、このようなことになる前に、周りの人やお医者さんに相談してください。大変なことになる前に。

経験者が語っているので、間違いありません。本当に。

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