トカゲの尻尾
お腹を空かせて目を覚ましたトカゲは、ぼやけた視界に飛びこんできた自分の尻尾を見て、寝ぼけた頭でこう思いました。「ひょっとして、自分の尻尾はとってもとってもおいしいんじゃないかしら?」と。だから、自分を狙う動物達も切った尻尾の方に気をとられて、それ以上追いかけてこないのではないのかと。もしもこの考えが正しいのなら、自分の尻尾を食べてお腹を満たすのもいいかもしれないなと、そんな風な馬鹿げた考えまで浮かびます。
トカゲは空っぽのお腹を撫でながらチロチロと舌を出し、食い入るように尻尾を見つめます。けれど不意に舌を引っ込めたかと思うと固く口を閉ざし「うーん」とうなりました。「でも本当においしかったら、これまでたくさん食べてきた虫たちを、もう食べられなくなってしまうかもしれない」と、またおかしなことを考えました。もしそうなってしまったら、尻尾が生えてくるまでの間、空腹に耐えながら生きつながなければなりません。切れた尻尾がすぐに生えてこないことは、トカゲ自身が一番、うんざりするほど理解していることでした。
「すぐに生えてきてくれないかなぁ……」
肩を落としたトカゲは湿っぽいため息をつきました。どれだけ頭の中で空想をふくらませたところで、お腹まではふくれません。食事を確保するためには、狩りに出かけなければいけないのです。
気が進まないながらも寝床から這い出し、トカゲは出かける準備にとりかかりました。そんなトカゲの尻尾は半ばから千切れ、きれいな断面を晒しています。




