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キャッチボール

一組の男女が楽しげにおしゃべりをしている。男はなんとはなしに、彼らの会話に耳をかたむけていた。


「そういえば、この間映画をみたのよ」

「よかったね。おもしろかった?」

「楽しかったわ。映像がとてもきれいだったな」

「なんだか抽象的だなぁ。もっと具体的に話してくれない?」

「一番よかったシーンは、ラストで主人公とヒロインがお別れするところね」

「ねぇ。それって良いシーンなの? どこが?」

「頑固で未熟だった主人公が、ヒロインとの冒険を経て見違えるほど成長するの。二人は想い合ってたんだけど、でも最後にはお互いのしたいことのためにお別れすることになるの。それで最後に別れの言葉を交わすんだけど、その時の二人の笑顔がすごくよかったの!」

「のんきなもんだね。僕は最近忙しくて、映画なんてみる暇ないよ」

「余暇ができたら、今度一緒にみにいきましょう? 公開終了まで、まだまだ期間があるから」

「…………。楽観的だなぁ。さっきも言ったけど、休みをとれないほど忙しいんだよ、僕は」

「私はただ、あなたと一緒に楽しみたかっただけで……怒らせたかったわけじゃない」

「いつもそうだよな君は」

「あ! …………はいはい。小言はうんざりだわ」

「わざと怒らせようとしてるんだろ」

「ろ……ろくでなし! そんなわけないでしょ!」

「よく言うよ。顔、真っ赤にしてさ」

「サイテーね!」


なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ……。聞き耳をたてていた男はハラハラして落ち着かなくなってきた。しかし、二人は変わらず笑顔でおしゃべりにきょうじている。そんな彼らが不気味でたまらなくなった男は、そそくさとその場から離れていった。

男が離れた後も、男女の会話は続く。


「ねぇ……って、これはもう言ったからダメか」

「私の勝ちでいいよね?」

「それはちょっと……。待って、すぐにひねり出すから。『ね』だろ、『ね』……」

「いつでもギブアップしてくれていいからね」

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